【R20】螺旋の果て

螺旋の果て（上）

第26章 【崩壊】

　週末に裕希のマンションに帰る。

裕希は、あらゆる手段でオレを出迎えた。

裸同然の服で改札口で待っていたり…

直接帰宅する日は、コスプレなど当たり前で、三つ指を付きオレを迎えた。

笑顔と悦楽。
苦虐と羞恥。

裕希の人生の全てが、オレの色に染まっていた。

そう、思っていた。

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　洋介氏に誘われ、オレはコミュニティサイトに入会した。

出会い系サイトである。

テレビＣＭ等での有名サイトではなく、課金制である。

　いろんな人間がいるものだ。

まあ、文章だけの無責任且つ、言いたい放題の場所だけに、Ｒｏｍ専を決め込んでいた。

数回のアクセスのうちに、キーワードで検索してみる。

緊縛、ＳＭ、奴隷…

　複数のキーワードで検索される女性がいた。

ハンネや年齢、出身地に思い当たるものはない。

ただ…

彼女のプロフィールと日記の内容に愕然とした。

そこには、オレと裕希しか知らないことが書かれていた。

それは、酷似するはずもない体験。
酷似しようのない調教の記録。

周囲を疑うまでもない。
これは、裕希だ。

　別に構うことはない。

オレとのイトナミを裕希がどんなに書こうと、誰に言おうと構わない。


しかし、そこにはオレと出会う前の主への、今も想い続ける言葉が綴られていた。

今の主(オレ)とのプレイに重ねて前の主を想い、平日の毎朝、毎晩、メッセージを送っていた。



…オレの怒り…



自らさえ抑えきれない怒りが沸き上がった。


　　　　　　　　…………


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　《協力者》と本誌でも書いた男。

“彼”は、プロである。

数えきれない女性の精神と身体を壊してきた男。

ビデオ俳優から、縄師、請け負い調教さえ、ＳＭをサイドビジネスとしている男。

数年前に知った、意外なオレとの接点。

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　「イカンなぁ○○さん。
こりゃぁイカン。」

ビール片手にサイトの裕希の日記を読む“彼”。

とある料亭。

「いいよ。請け負おうじゃないか。○○さんにゃ、世話になりっぱなしだもんなあ。」

『おいおい、アンタが調教しようってんじゃないだろうな。』

「あんな美人を調教出来るんなら、願ったり叶ったりだよ。
だけどさ、約束しよう。
オレは、指一本、アンタのペットにゃ触れないよ。
それに、ビジネスだ。しっかり金を貰って、結果を出してやる。
しかも、２人を１人分で請け負おってやる。」

『２人？』

「アンタの友達の女もセット価格だ。」

『なにか企んでいるな。
損な仕事はしないだろう。』

「まあな。日時と段取りは、また連絡する。
アンタらにも、しっかり仕事をしてもらうぞ。
それと、アンタがこのサイトのことを知ってることは、彼女にゃ言わん方がいいなあ。」

『気にいらん役割ならやらんぞ。』

「心配ご無用。」

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　週末。

『裕希、宴だ。』

縛られ、貫かれた裕希に語り掛ける。

「あぁ～～あぁ～～｣

首を振り、喘ぐ裕希は、聞いてない。

頬を叩き、激しく貫く。

｢あぁ～いぃ～旦那様ぁ～｣

『返事は‼裕希‼宴だ‼』

｢あぁ～だ～旦那様ぁ～‼
ウタゲ‼もっと‼もっとぉ～｣

オレは、引き抜いた。

「あぁ～なんで？
もっと下さいませ…旦那様ぁ。」

…ダメだ。
ただの淫乱になりやがった。

しかも、コイツの頭の中には、オレではない男が居やがる。


咳込みながらハァハァと息づく裕希の縄を解き、

「宴は来週だ。」

と、残し調教室を出た。

　頭のキレる裕希は、何かを感じているだろう。

調教室から戻り、シャワーを浴びてきた。

ただ、黙ってオレに寄り添っている。

『裕希…』

「はい。旦那様。」

『オナニーでオレを立たせろ。』

「はい。旦那様。」

寝巻の白襦袢を乱し、自らの指を自らの躰に這わす裕希。

ダメだ。
お前は、オレの愛奴じゃない。

『裕希、来週の仕事はハードだ。
今夜は寝る。』

不満そうな、悲しげな眼を向けながらも

「いつもお疲れ様です。
寝室でお待ちいたします。」

その夜。

縛らずに抱いた。