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第14話
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「もうほんとに行かなきゃ…」
そう言いながらも心は動きたくないのだろう…切なそうな目で僕をじっと見つめる姿がいじらしい。僕は立ち上がりゆっくり朋美さんを立たせて
「遅刻しますよ、さぁ行きましょ」
そう言って車のキーを手に取り朋美さんの手を握った。
「和ちゃんの意地悪…こんなに引き止めて欲しがってるのにさっさと仕事に行けって追い出すのね!」
子供みたいにすねて見せる。僕は朋美さんを抱きしめ
「離れたくない…ずっと離したくない…」
そう言いながら朋美さんの頭を優しく撫でた。朋美さんは僕の胸に手を当てスッと離れる。
「和ちゃん送って…行かなきゃ…」
急に現実に引き戻される。きっと朋美さんは本当に仕事に行くのが嫌になってしまう前に気持ちを切り換えたかったのだろう。そのあと二人は黙ったまま寮を出て車に乗り込んだ。到着するまで朋美さんはうつむいたまま何も言わない。その重苦しい空気を変える為に僕は
「帰りも迎えに来ますね。朋美さんの仕事が終わる時間を見計らって」
ふと僕の顔を見て戸惑いの表情を見せる。
「でも、あんまり一緒に居るとこ見られたら私達のこと勘ぐる人も出てくるわよ?そしたら和ちゃんに逆に迷惑になってしまうわ…」
「バレちゃまずいですか?僕は別に気にしないけど。朋美さんが都合悪いのなら少し店から離れた所で送り迎えしても良いんですけど…」
「だって…この歳の差で同じ職場の二人が頻繁に会っているところ見たら、不審に思うだろうし…耳を塞ぎたくなるような噂も立つわよ?」
僕は朋美さんの気持ちを汲んでそれ以上何も言わなかった。どちらかと言えば良いことを言われないのは朋美さんの方だろう。世間的には年上の女が若い男をたぶらかしてる的な見方をされるだろう。職場内でそんな噂を立てられる朋美さんを見たくはない。
「じゃあ、この辺で下ろした方が良いですね」
そう言って僕は車を停めた。そこは職場から少し離れたコンビニの駐車場。店の従業員駐車場に停めるよりはよっぽどリスクは無いだろうと思っていた。しかし、そこには思いもよらぬ落とし穴がポッカリ口を開けて待ち受けていたことに、僕は全く気付いていなかった。
「和ちゃんありがとう。じゃあ仕事してくるね…悪いことしちゃダメよ!」
笑いながら手を振り車を降りて行ってしまった。その後ろ姿を切ない気持ちで見送っていた。朋美さんが見えなくなったあと車を寮に向けて走らせ、自分の部屋に戻りテレビを付けボンヤリとその画面を観るともなく観ていた。何気ない日常の普通の生活…何気ない時間…そんな中、急に訪れた希望に満ちた幸せな時間…この先いつまで続くのか、どういう方向性に進むのか全くわからない二人の行く末…でも、行けるとこまでずっとこのまま一緒に居たい。ずっと今のままの幸せな時間を過ごして居たい。そんな想いでボーッとテレビに目をやる。その時、昼の番組の中で歳の差の不倫をテーマに悩み相談をしてるのが耳に入ってきて僕はテレビに釘付けになる。銀行員同士の上司と新入社員の若い女性との関係についての話だった。銀行員の新入社員は三年で転勤というシステムにより、若い女性が上司の都合の良いターゲットにされるのはよくある話だという。三年で転勤してくれれば、上司にとっては後腐れなく別れられる口実になるのだそうだ。離婚するからとダラダラ不倫を続け、結局時期が来たら都合の良い女はアッサリ捨てられて、また次のターゲットが舞い込んで来るのを待つ。正に人間のクズだと思うと胸が苦しくなる。本当に人を愛したら、裏切ることも出来ないだろうし、相手をそんな物のように利用することも出来ないだろう。あまりにも身勝手な人種に思わず「クズが!」と独り言を言ってしまう。僕は絶対女性をそんな物みたいな扱い方はしない!気分が悪くなりテレビを消して読みかけの小説を本棚から取り出し読み始めたのだが、どうにも気分が乗らず落ち着かないので寮を出て職場であるスーパーに再び車を走らせた。仕事中の朋美さんの姿を見て気分を変えたかったからだ。従業員用の駐車場には停めず、一般客用の駐車場に車を停めてスーパーの中へ入る。自動扉が開き中へ進んで行くと見知った若い女性に呼び止められた。
「北村君!」
僕は振り返りその若い女性に「はい」と返事をした。その女性とは同じスーパーのパート社員で青果担当の仕事をしていた。年齢はたしか二十歳を少し回ったくらいだったと記憶している。名前はたしか…梅田…京子?だったかな?たまに目が合えば会釈をして、挨拶も何度か交わす程度でほとんど会話などしたこともない程度の関係だった。そんな彼女が仕事中に急に僕を呼び止めてきたことに少し驚く。
「北村君…さっき…見ちゃったんだけど…」
僕はドキッとして心臓が高鳴る。もしかして見ちゃったとは朋美さんと一緒に居たことなのだろうか…いや、それしか思い当たる節がない。この前とかじゃなくさっきと言うのだから…僕は恐る恐る精一杯とぼけた表情で「何をです?」と聞き返した。
そう言いながらも心は動きたくないのだろう…切なそうな目で僕をじっと見つめる姿がいじらしい。僕は立ち上がりゆっくり朋美さんを立たせて
「遅刻しますよ、さぁ行きましょ」
そう言って車のキーを手に取り朋美さんの手を握った。
「和ちゃんの意地悪…こんなに引き止めて欲しがってるのにさっさと仕事に行けって追い出すのね!」
子供みたいにすねて見せる。僕は朋美さんを抱きしめ
「離れたくない…ずっと離したくない…」
そう言いながら朋美さんの頭を優しく撫でた。朋美さんは僕の胸に手を当てスッと離れる。
「和ちゃん送って…行かなきゃ…」
急に現実に引き戻される。きっと朋美さんは本当に仕事に行くのが嫌になってしまう前に気持ちを切り換えたかったのだろう。そのあと二人は黙ったまま寮を出て車に乗り込んだ。到着するまで朋美さんはうつむいたまま何も言わない。その重苦しい空気を変える為に僕は
「帰りも迎えに来ますね。朋美さんの仕事が終わる時間を見計らって」
ふと僕の顔を見て戸惑いの表情を見せる。
「でも、あんまり一緒に居るとこ見られたら私達のこと勘ぐる人も出てくるわよ?そしたら和ちゃんに逆に迷惑になってしまうわ…」
「バレちゃまずいですか?僕は別に気にしないけど。朋美さんが都合悪いのなら少し店から離れた所で送り迎えしても良いんですけど…」
「だって…この歳の差で同じ職場の二人が頻繁に会っているところ見たら、不審に思うだろうし…耳を塞ぎたくなるような噂も立つわよ?」
僕は朋美さんの気持ちを汲んでそれ以上何も言わなかった。どちらかと言えば良いことを言われないのは朋美さんの方だろう。世間的には年上の女が若い男をたぶらかしてる的な見方をされるだろう。職場内でそんな噂を立てられる朋美さんを見たくはない。
「じゃあ、この辺で下ろした方が良いですね」
そう言って僕は車を停めた。そこは職場から少し離れたコンビニの駐車場。店の従業員駐車場に停めるよりはよっぽどリスクは無いだろうと思っていた。しかし、そこには思いもよらぬ落とし穴がポッカリ口を開けて待ち受けていたことに、僕は全く気付いていなかった。
「和ちゃんありがとう。じゃあ仕事してくるね…悪いことしちゃダメよ!」
笑いながら手を振り車を降りて行ってしまった。その後ろ姿を切ない気持ちで見送っていた。朋美さんが見えなくなったあと車を寮に向けて走らせ、自分の部屋に戻りテレビを付けボンヤリとその画面を観るともなく観ていた。何気ない日常の普通の生活…何気ない時間…そんな中、急に訪れた希望に満ちた幸せな時間…この先いつまで続くのか、どういう方向性に進むのか全くわからない二人の行く末…でも、行けるとこまでずっとこのまま一緒に居たい。ずっと今のままの幸せな時間を過ごして居たい。そんな想いでボーッとテレビに目をやる。その時、昼の番組の中で歳の差の不倫をテーマに悩み相談をしてるのが耳に入ってきて僕はテレビに釘付けになる。銀行員同士の上司と新入社員の若い女性との関係についての話だった。銀行員の新入社員は三年で転勤というシステムにより、若い女性が上司の都合の良いターゲットにされるのはよくある話だという。三年で転勤してくれれば、上司にとっては後腐れなく別れられる口実になるのだそうだ。離婚するからとダラダラ不倫を続け、結局時期が来たら都合の良い女はアッサリ捨てられて、また次のターゲットが舞い込んで来るのを待つ。正に人間のクズだと思うと胸が苦しくなる。本当に人を愛したら、裏切ることも出来ないだろうし、相手をそんな物のように利用することも出来ないだろう。あまりにも身勝手な人種に思わず「クズが!」と独り言を言ってしまう。僕は絶対女性をそんな物みたいな扱い方はしない!気分が悪くなりテレビを消して読みかけの小説を本棚から取り出し読み始めたのだが、どうにも気分が乗らず落ち着かないので寮を出て職場であるスーパーに再び車を走らせた。仕事中の朋美さんの姿を見て気分を変えたかったからだ。従業員用の駐車場には停めず、一般客用の駐車場に車を停めてスーパーの中へ入る。自動扉が開き中へ進んで行くと見知った若い女性に呼び止められた。
「北村君!」
僕は振り返りその若い女性に「はい」と返事をした。その女性とは同じスーパーのパート社員で青果担当の仕事をしていた。年齢はたしか二十歳を少し回ったくらいだったと記憶している。名前はたしか…梅田…京子?だったかな?たまに目が合えば会釈をして、挨拶も何度か交わす程度でほとんど会話などしたこともない程度の関係だった。そんな彼女が仕事中に急に僕を呼び止めてきたことに少し驚く。
「北村君…さっき…見ちゃったんだけど…」
僕はドキッとして心臓が高鳴る。もしかして見ちゃったとは朋美さんと一緒に居たことなのだろうか…いや、それしか思い当たる節がない。この前とかじゃなくさっきと言うのだから…僕は恐る恐る精一杯とぼけた表情で「何をです?」と聞き返した。
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