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第15話
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「北村君…さっきコンビニの駐車場で…」
やっぱり見られてしまったのか…僕は愕然としてうなだれた。どんな言い訳をしてこの状況を脱しようか考えていると梅田さんが
「鈴木さんとは…どういう関係なのかしら?ごめんね、立ち入ったこと聞いちゃって…でも、年齢もずいぶんと離れてるし、まさかとは思ったんだけど…」
二人の間に歳の差があろうが何だろうが別に関係ないじゃん!と心の中で叫んだが、朋美さんのことを思うと二人のことはバレてはいけないと思い精一杯の嘘をついた。
「あぁ、あれはたまたま鈴木さんが歩いているのを車で通りかかったから声をかけてあそこまで送っていっただけなんですよ。別になんの関係もありませんよ!」
「あら、そうなんだ。まぁ、そりゃそうなんだろうけどちょっとビックリしちゃって…ゴメンね余計な心配しちゃって…」
余計な心配って…別に心配する必要ないじゃん!例え僕と朋美さんが男女の恋仲だろうが梅田さんには迷惑かけてる訳じゃないし、朋美さんが悪女で僕をたぶらかしてるっていう心配もある訳じゃないし…だいいち朋美さんに対してあまりにも失礼な物言いだぞ!僕は凄く気分を害していた。せっかく朋美さんの姿を見て気分を変えようと来たのに、なぜ更にこんな嫌な気持ちにならなきゃいけないんだ!そう思った瞬間、梅田さんが更に続けてきた。
「あのね北村君…今日お休みなんだよね?」
「え?えぇ、まあ…そうですけど…」
「もし予定無ければ私が仕事終わったあとちょっと付き合ってくれない?」
急にそんなことを言い出す梅田さんに僕は彼女の目的を探るべく様子を伺う。
「やーだ、別にとって喰おうって訳じゃないのよ!そんなに警戒しないで!ただちょっと悩みを相談したくて…少し話を聞いて欲しいの。ダメかしら?」
困ったなぁ~…彼女と会うより朋美さんと会ってる方がよっぽど楽しいんだけどなぁ…でも、何か事情があって話を聞いて欲しいって言ってるんだろうし…無下に断るのも悪いかなぁ…さっさと終わらせて朋美さん家に行けば問題ないか。そう思い直してその場で僕は
「わかりました。でも、そんなに長くは時間作れないんでなるべく早めにしましょうね?」
「あら、忙しいかしら?それなら今度にする?」
「そんなに込み入った話ですか?」
そう聞き返すと梅田さんは少し言いづらそうに「うーん…」とモジモジしている。
「わかりました。今仕事中だし、後で聞きます。とりあえず時間は何時でした?」
「夕方4時には終わるの。それからお願い出来る?」
そう言われて仕事が終わったら落ち合う約束をしてその場を去った。そしてすぐに鮮魚コーナーに真っ直ぐ向かい遠目に買い物客を装いながら朋美さんの姿を探す。裏方に居るのか朋美さんの姿が見えない。あまりこの辺で挙動不審にウロウロと歩くと職場の人に絡まれ面倒なことになりかねないので、一度鮮魚コーナーを離れ違う場所を見に行くふりをしつつ朋美さんを探す。すると思いもかけない方向から朋美さんが姿を現した。
「あら、和ちゃん!買い物に出てきたの?」
と朋美さんが笑顔で声をかけてくれた。
「いや…あの…朋美さんの顔を見たくて…」
照れ笑いしながらそう言うと
「フフフッ、さっきまで会ってたのにもう淋しくなった?」
朋美さんは笑いながら僕をからかう。こんな何気ない一言で嫌なこと全てを忘れさせてくれる。朋美さんの笑顔にはそんな魅力があるんだなぁ~と改めて感じた。
「たしかに…でも…朋美さんの笑顔が見れて心が晴れました」
「どうしたの?何かあった?」
「いえ…別に何も無いけど…テレビを観ていたらちょっと嫌な気分になっちゃって…」
「そっか。こんな私で良かったらいっぱい見て」
朋美さんはニコニコしながら僕に言った。しかし、ついさっき梅田さんに後で付き合えと言われたことを言えずに罪悪感を抱いていた。僕が朋美さんの顔をじっと見つめて黙っている様子を見て
「和ちゃん、どうしたの?何か言いたいことがあるの?」
そう切り出されてしどろもどろに
「あの…ちょっと今日の夕方急に知り合いから話があるからと言われてちょっと会う約束しちゃったんです…」
嘘ではない…まるっきり嘘を言ったわけではない…ただ相手が女性だということを伏せただけだ…でも、なんだか凄く罪悪感を感じてしまう。朋美さんはそれを知ってか知らずか
「ふーん、気を付けて行ってきて」
何となく何かを感じ取ったような表情でそう言った。それはもしかしたら僕自身の後ろめたさがそう思わせただけかもしれない。朋美さんは続けて
「じゃあ、今夜は私一人なんだねぇ~…そっかそっか…」
意地悪な表情でそう言ってきた。僕はすかさず
「いやいや、終わったら真っ直ぐ会いに行きますよ!」
と小声で言った。店内、どこで誰が聞いてるかわからないからだ。
「いいのいいの、ゆっくりしてきて。私のことなんか放っておいて…
すねたふりをする姿に僕は思わず吹き出した。
「ほんと朋美さんは可愛いですね」
朋美さんは色白な顔を赤らめて照れ笑いしている。あまり楽しそうに話していると周りに僕たちの関係がバレてしまうと思い、「じゃ後で」とお互い小さく手を振りその場を後にした。やっぱり会いに来て良かった。モヤモヤした気分がパァーッと晴れた。
やっぱり見られてしまったのか…僕は愕然としてうなだれた。どんな言い訳をしてこの状況を脱しようか考えていると梅田さんが
「鈴木さんとは…どういう関係なのかしら?ごめんね、立ち入ったこと聞いちゃって…でも、年齢もずいぶんと離れてるし、まさかとは思ったんだけど…」
二人の間に歳の差があろうが何だろうが別に関係ないじゃん!と心の中で叫んだが、朋美さんのことを思うと二人のことはバレてはいけないと思い精一杯の嘘をついた。
「あぁ、あれはたまたま鈴木さんが歩いているのを車で通りかかったから声をかけてあそこまで送っていっただけなんですよ。別になんの関係もありませんよ!」
「あら、そうなんだ。まぁ、そりゃそうなんだろうけどちょっとビックリしちゃって…ゴメンね余計な心配しちゃって…」
余計な心配って…別に心配する必要ないじゃん!例え僕と朋美さんが男女の恋仲だろうが梅田さんには迷惑かけてる訳じゃないし、朋美さんが悪女で僕をたぶらかしてるっていう心配もある訳じゃないし…だいいち朋美さんに対してあまりにも失礼な物言いだぞ!僕は凄く気分を害していた。せっかく朋美さんの姿を見て気分を変えようと来たのに、なぜ更にこんな嫌な気持ちにならなきゃいけないんだ!そう思った瞬間、梅田さんが更に続けてきた。
「あのね北村君…今日お休みなんだよね?」
「え?えぇ、まあ…そうですけど…」
「もし予定無ければ私が仕事終わったあとちょっと付き合ってくれない?」
急にそんなことを言い出す梅田さんに僕は彼女の目的を探るべく様子を伺う。
「やーだ、別にとって喰おうって訳じゃないのよ!そんなに警戒しないで!ただちょっと悩みを相談したくて…少し話を聞いて欲しいの。ダメかしら?」
困ったなぁ~…彼女と会うより朋美さんと会ってる方がよっぽど楽しいんだけどなぁ…でも、何か事情があって話を聞いて欲しいって言ってるんだろうし…無下に断るのも悪いかなぁ…さっさと終わらせて朋美さん家に行けば問題ないか。そう思い直してその場で僕は
「わかりました。でも、そんなに長くは時間作れないんでなるべく早めにしましょうね?」
「あら、忙しいかしら?それなら今度にする?」
「そんなに込み入った話ですか?」
そう聞き返すと梅田さんは少し言いづらそうに「うーん…」とモジモジしている。
「わかりました。今仕事中だし、後で聞きます。とりあえず時間は何時でした?」
「夕方4時には終わるの。それからお願い出来る?」
そう言われて仕事が終わったら落ち合う約束をしてその場を去った。そしてすぐに鮮魚コーナーに真っ直ぐ向かい遠目に買い物客を装いながら朋美さんの姿を探す。裏方に居るのか朋美さんの姿が見えない。あまりこの辺で挙動不審にウロウロと歩くと職場の人に絡まれ面倒なことになりかねないので、一度鮮魚コーナーを離れ違う場所を見に行くふりをしつつ朋美さんを探す。すると思いもかけない方向から朋美さんが姿を現した。
「あら、和ちゃん!買い物に出てきたの?」
と朋美さんが笑顔で声をかけてくれた。
「いや…あの…朋美さんの顔を見たくて…」
照れ笑いしながらそう言うと
「フフフッ、さっきまで会ってたのにもう淋しくなった?」
朋美さんは笑いながら僕をからかう。こんな何気ない一言で嫌なこと全てを忘れさせてくれる。朋美さんの笑顔にはそんな魅力があるんだなぁ~と改めて感じた。
「たしかに…でも…朋美さんの笑顔が見れて心が晴れました」
「どうしたの?何かあった?」
「いえ…別に何も無いけど…テレビを観ていたらちょっと嫌な気分になっちゃって…」
「そっか。こんな私で良かったらいっぱい見て」
朋美さんはニコニコしながら僕に言った。しかし、ついさっき梅田さんに後で付き合えと言われたことを言えずに罪悪感を抱いていた。僕が朋美さんの顔をじっと見つめて黙っている様子を見て
「和ちゃん、どうしたの?何か言いたいことがあるの?」
そう切り出されてしどろもどろに
「あの…ちょっと今日の夕方急に知り合いから話があるからと言われてちょっと会う約束しちゃったんです…」
嘘ではない…まるっきり嘘を言ったわけではない…ただ相手が女性だということを伏せただけだ…でも、なんだか凄く罪悪感を感じてしまう。朋美さんはそれを知ってか知らずか
「ふーん、気を付けて行ってきて」
何となく何かを感じ取ったような表情でそう言った。それはもしかしたら僕自身の後ろめたさがそう思わせただけかもしれない。朋美さんは続けて
「じゃあ、今夜は私一人なんだねぇ~…そっかそっか…」
意地悪な表情でそう言ってきた。僕はすかさず
「いやいや、終わったら真っ直ぐ会いに行きますよ!」
と小声で言った。店内、どこで誰が聞いてるかわからないからだ。
「いいのいいの、ゆっくりしてきて。私のことなんか放っておいて…
すねたふりをする姿に僕は思わず吹き出した。
「ほんと朋美さんは可愛いですね」
朋美さんは色白な顔を赤らめて照れ笑いしている。あまり楽しそうに話していると周りに僕たちの関係がバレてしまうと思い、「じゃ後で」とお互い小さく手を振りその場を後にした。やっぱり会いに来て良かった。モヤモヤした気分がパァーッと晴れた。
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