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ツイノベ
あれで付き合ってないの?/バレンタインいつもの2人
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あれで付き合ってないの?……の、元になった二人の話ですが、本編のイメージとは違うものとなっています。
なので、別物と思って読んでいただければ。
✤✤
「……で。これ、どうする?」
昼間学校から持ち帰ったプレゼントの山。中を開けて1つ1つ確認をし終わったあと、それらをΩの部屋のテーブルへと並べると、腕組みをしながら言った。
「僕一人じゃ食べ切れないし、みんなで分けようよ」
バレンタインの意味をいまいち理解しきれていないΩの発言は、プレゼントを渡して来た相手に失礼だとは思うのだが、
仲の良い人同士でプレゼント交換……くらいの認識なので仕方がない。
「そうだな。じゃあ俺はΩ宛のやつを引き取る」
そう言い終わる前ににゅっと手を伸ばし、さっさと持参の袋に詰め込んでいく。
「えー?なんでー?僕が貰った物なのに?」
Ωの至極当然な言葉に「プレゼント交換と同じだ」と訳の分からない正論?を振りかざし、残りのプレゼントを全てしまいこんだ。
「そっか。プレゼント交換と同じか」
インチキ正論でも、αの言うことだからとすっかり信じ込み、プレゼント交換ー。と嬉しそうにプレゼントを袋に詰めると、「母さんに渡してくるー」と部屋を出ていった。
暫くすると何故かドアがノックされるので開けると、ケーキの箱を持ったΩが立っていた。
「これ、取りに行ってたんだー」
ニコニコしながら箱を開けると、中には手作り感満載のチョコレートケーキ。
「チョコレートケーキ?」
ちょっと予想外の物が出てきて、αは首を傾げた。
「昨日の夜、母さんに手伝ってもらって作ったんだ。αと一緒に食べようと思って」
内緒にしてるの、大変だったんだからー。と言いながら、ぎこちない手つきでケーキを切り分ける。二人分をお皿に盛り付けると、ケーキ本体は再び箱にしまわれた。
フォークでザックリ切り分けると、「はい、あーん」と言ってαの口元へとケーキを運んできた。
──って、ちょっと待て?あーん?今、あーんって言った?
表情こそは全く変化がなかったが、内心何が起きてるのか軽いパニックになる。
それでもこんなチャンスはなかなか無いだろうと、素直に口を開けた。
明らかに許容量をオーバーしそうなサイズを無理やり一口で食べようとしたせいか、頬にまでチョコクリームが付いてしまった。
「あーあ、クリームついちゃったね」
という言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、Ωはαの頬に付いたクリームをぺろりと舐め上げた。
「──っ!」
人間というのは、こんなにも簡単にフリーズしてしまうものなのか。普段冷静沈着なαでも、流石に言葉を失ったままその場で硬直してしまっていた。
「ん?どうしたの?……あ、クリーム?兄弟ならみんなやるんじゃないの?」
目を見開いたままのαを不思議そうに眺めたあと、自分用に取り分けたケーキを口に運んだ。
「んー、我ながら美味しくできたー」
頬に手をあてながら、んまっと何度も頷く。
「この前見たドラマでやってたよ?兄が弟のほっぺに付いちゃったソフトクリームを舐めてあげてたの」
──どんなドラマだよっ!
巨大ハリセンで盛大にツッコミたいくらいなのに、言葉が出てこない。
どうでも良いやつにこんな事されたら気持ち悪いな!とか言って押し退けるのに……。
「αは、兄弟みたいなもんだろ?」
何故か最近良く口にする言葉。
そんなに念を押すように何回も言わなくても……。
心の中でブツブツと呟きながら、平常心を取り戻すために、何度か深呼吸をする。
「……あのな。仲の良い兄弟でも、幼い頃にはやるかもしれないけど、高校生じゃやんないだろ」
ある程度は取り戻した平常心を全面に押し出し、冷静を装って言葉を吐き出した。
「ええっ?そうなの?」
今度はΩが目を大きく見開いたあと、急に恥ずかしそうに真っ赤な顔をして視線を外した。
「無知な自分が恥ずかしいよ……」
頬に付いたクリームを舐めたことよりも、無知な自分に対しての恥じらいらしい。
──恥ずかしがるのは、そこじゃないだろ!
今日何度目かの心の中でのツッコミをしたあと、大きくため息をついた。
「それよりさ、どう?チョコケーキ?」
さっきまであんなに恥ずかしそうにしていたのに、唐突に話題をかえると、何事もなかったかのように、ニコニコしながら聞いてきた。
恥じらいをどこへ置いてきた……?
もう心の中でのツッコミは諦めて、残ったケーキを今度は自分で口に運んだ。
「……ん、うまい」
これは、本当。正直見た目はお世辞でも整っているとは言い難いが、味は抜群に美味かった。
「やったー!来年もまた作るね!」
嬉しそうにピョコピョコと飛び跳ねる姿に、まぁΩらしいか……と口元を緩めた。
来年のバレンタインはもっと違う意味で進展していると良いなと願うαだった。
終
*****
↓ツイノベ公開時に書いたコメントもそのまま載せてあります↓
昨日はβくんのバレンタインだったので、今日はいつもの2人のバレンタインです。
付いたクリームを指ですくってペロリはよく見かけるから、直接舐めたらどうなるかなーと思って書いてみました(笑)
繰り返しますが、この2人はまだ付き合ってません。Ωくんにいたっては、自覚さえしてません( ˆ꒳ˆ; )
なので、別物と思って読んでいただければ。
✤✤
「……で。これ、どうする?」
昼間学校から持ち帰ったプレゼントの山。中を開けて1つ1つ確認をし終わったあと、それらをΩの部屋のテーブルへと並べると、腕組みをしながら言った。
「僕一人じゃ食べ切れないし、みんなで分けようよ」
バレンタインの意味をいまいち理解しきれていないΩの発言は、プレゼントを渡して来た相手に失礼だとは思うのだが、
仲の良い人同士でプレゼント交換……くらいの認識なので仕方がない。
「そうだな。じゃあ俺はΩ宛のやつを引き取る」
そう言い終わる前ににゅっと手を伸ばし、さっさと持参の袋に詰め込んでいく。
「えー?なんでー?僕が貰った物なのに?」
Ωの至極当然な言葉に「プレゼント交換と同じだ」と訳の分からない正論?を振りかざし、残りのプレゼントを全てしまいこんだ。
「そっか。プレゼント交換と同じか」
インチキ正論でも、αの言うことだからとすっかり信じ込み、プレゼント交換ー。と嬉しそうにプレゼントを袋に詰めると、「母さんに渡してくるー」と部屋を出ていった。
暫くすると何故かドアがノックされるので開けると、ケーキの箱を持ったΩが立っていた。
「これ、取りに行ってたんだー」
ニコニコしながら箱を開けると、中には手作り感満載のチョコレートケーキ。
「チョコレートケーキ?」
ちょっと予想外の物が出てきて、αは首を傾げた。
「昨日の夜、母さんに手伝ってもらって作ったんだ。αと一緒に食べようと思って」
内緒にしてるの、大変だったんだからー。と言いながら、ぎこちない手つきでケーキを切り分ける。二人分をお皿に盛り付けると、ケーキ本体は再び箱にしまわれた。
フォークでザックリ切り分けると、「はい、あーん」と言ってαの口元へとケーキを運んできた。
──って、ちょっと待て?あーん?今、あーんって言った?
表情こそは全く変化がなかったが、内心何が起きてるのか軽いパニックになる。
それでもこんなチャンスはなかなか無いだろうと、素直に口を開けた。
明らかに許容量をオーバーしそうなサイズを無理やり一口で食べようとしたせいか、頬にまでチョコクリームが付いてしまった。
「あーあ、クリームついちゃったね」
という言葉が終わるか終わらないかのタイミングで、Ωはαの頬に付いたクリームをぺろりと舐め上げた。
「──っ!」
人間というのは、こんなにも簡単にフリーズしてしまうものなのか。普段冷静沈着なαでも、流石に言葉を失ったままその場で硬直してしまっていた。
「ん?どうしたの?……あ、クリーム?兄弟ならみんなやるんじゃないの?」
目を見開いたままのαを不思議そうに眺めたあと、自分用に取り分けたケーキを口に運んだ。
「んー、我ながら美味しくできたー」
頬に手をあてながら、んまっと何度も頷く。
「この前見たドラマでやってたよ?兄が弟のほっぺに付いちゃったソフトクリームを舐めてあげてたの」
──どんなドラマだよっ!
巨大ハリセンで盛大にツッコミたいくらいなのに、言葉が出てこない。
どうでも良いやつにこんな事されたら気持ち悪いな!とか言って押し退けるのに……。
「αは、兄弟みたいなもんだろ?」
何故か最近良く口にする言葉。
そんなに念を押すように何回も言わなくても……。
心の中でブツブツと呟きながら、平常心を取り戻すために、何度か深呼吸をする。
「……あのな。仲の良い兄弟でも、幼い頃にはやるかもしれないけど、高校生じゃやんないだろ」
ある程度は取り戻した平常心を全面に押し出し、冷静を装って言葉を吐き出した。
「ええっ?そうなの?」
今度はΩが目を大きく見開いたあと、急に恥ずかしそうに真っ赤な顔をして視線を外した。
「無知な自分が恥ずかしいよ……」
頬に付いたクリームを舐めたことよりも、無知な自分に対しての恥じらいらしい。
──恥ずかしがるのは、そこじゃないだろ!
今日何度目かの心の中でのツッコミをしたあと、大きくため息をついた。
「それよりさ、どう?チョコケーキ?」
さっきまであんなに恥ずかしそうにしていたのに、唐突に話題をかえると、何事もなかったかのように、ニコニコしながら聞いてきた。
恥じらいをどこへ置いてきた……?
もう心の中でのツッコミは諦めて、残ったケーキを今度は自分で口に運んだ。
「……ん、うまい」
これは、本当。正直見た目はお世辞でも整っているとは言い難いが、味は抜群に美味かった。
「やったー!来年もまた作るね!」
嬉しそうにピョコピョコと飛び跳ねる姿に、まぁΩらしいか……と口元を緩めた。
来年のバレンタインはもっと違う意味で進展していると良いなと願うαだった。
終
*****
↓ツイノベ公開時に書いたコメントもそのまま載せてあります↓
昨日はβくんのバレンタインだったので、今日はいつもの2人のバレンタインです。
付いたクリームを指ですくってペロリはよく見かけるから、直接舐めたらどうなるかなーと思って書いてみました(笑)
繰り返しますが、この2人はまだ付き合ってません。Ωくんにいたっては、自覚さえしてません( ˆ꒳ˆ; )
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