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ツイノベ
ペット ①
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『僕の両親は共働きだ。学校から帰っても、家には誰もいない。
夕方には仕事が終わるはずだけど、帰ってこない。机には、朝置かれたお金とメモ。
前からたまにあったけど、だんだん頻度が上がっていた。
両親と顔を合わせる日がどんどん減っていく。
僕はどうせ家に帰っても誰もいないからと、暗くなるまで公園で過ごすようになった。
そんな時に声をかけてきたのが、大学生のお兄さんだった』
…っていうメモがあったんだけど、ねえ?何を書こうとしたの?
困った。本気で思い出せない……。
↑っていうつぶやきをしたら、フォロワーのキコさんが反応してくれて、漫画を書いてくれました。
https://x.com/kikomaru2022/status/1794987362855850339
なので、コラボという形で、続きを書いてみました。
✤✤
【キコさんとのコラボ。続きのお話 ① 】
✤✤
「俺のペットになる?」
仕事帰りだろうか。スーツに身を包み、片方の手袋だけを手にしたお兄さんが、僕に言ったひとこと。
驚かなかったと言えば、嘘になる。
周りも暗くなった中、ポツンと1人公園のベンチで肉まんを口にしている、明らかに学生の僕に声をかけてきたんだ。
怪しいと警戒しないはずはない。
それでも、曇りのない瞳で僕の返事を待つお兄さんの顔を見ていたら、何故か大丈夫な気がした。
だから、僕は迷うことなく首を縦に振った。
「僕を……お兄さんのペットにして下さい」
寂しかった僕の人生に、新しい風が吹き込んだ。
お兄さんに迷惑がかからないように、僕は家に帰り、『少しの間、友達の家にお世話になることになったから、心配しないで』そう置き手紙をしてきた。
ちゃんと、連絡先も置いてきた。……けど、その手紙にすらいつ気付くのだろうと思うと、少し胸が痛んだ。
それでも僕の前には、明るい光が見える。新しい風も吹き込んでるんだ。
自然と、口元が緩むのを抑えられないまま、荷物をまとめて家を出た。
「お邪魔します。お世話になります」
大して多くはない荷物を持ったまま、玄関先で深くお辞儀をして挨拶をすると、お兄さんはニコニコと言ったんだ。
「お邪魔しますじゃないよ……。ただいま、でしょ?」
ああ、このお兄さんの元でなら、僕はきっと大丈夫。僕が僕でいられるための、居場所を作ってくれる。
「た……ただいま……」
いざ口にしてみると、照れてしまう。それでも、じわりと心の中が暖かくなるのを感じた。
その日から、お兄さんと僕の不思議な同居生活が始まった。
お兄さんの言葉を借りるのならば、『飼い主とペット』のはずだった。
……でも、実際過ごしてみてわかったことは、お兄さんはとても甲斐甲斐しく世話をしてくれるということ。
「何か手伝います」
この家に来てからずっと、食事もすべて準備してくれて、僕は美味しくいただくだけだ。
お兄さんの作る料理はとても美味しいし、誰かと食べる食事がこんなに楽しくて幸せだというのを、思い出させてくれる。
だから、少しでもお手伝いしたいのに、やんわりと断られてしまう。
「美味しい?」
僕の目の前で、ニコニコの笑顔で聞いてくる。
もちろん、とても美味しい。……でも、お兄さんは僕が食べ終わるのを、嬉しそうにずっと見ているんだ。
「あ、あの。お兄さんも一緒に……」
じーっと見つめられると、照れてしまうし、食べ辛い。
「じゃあ、あーんてしてくれる?」
お兄さんいわく、僕はペットだから、その存在自体が癒しなんだそう。側にいてくれて、一緒に過ごしてくれて、それだけで良いんだと言う。
「あ、……あーん」
オムライスを一口分スプーンに乗せ、お兄さんの口元へ運んだ。
おじいさんは嬉しそうにパクッと頬張った。
「うん、いつもよりもっと美味しいよ」
本当に美味しそうに、幸せそうに食べてくれる。
僕の存在が、お兄さんの癒しになっているのなら、僕がここにいる意味は少なからずあるのだろう。
僕とお兄さんの不思議な同居生活も、一ヶ月になろうとしていた。
一緒に散歩に行ったり、一緒に遊んだり、……一緒に寄り添って寝たり。
ペットなんていうからどんな生活だろうかとドキドキしたけど、自分の家で過ごす時間なんかよりも、よっぽど充実していた。
あの広い家で、静まり返った中『ただいま』と言うあの虚しさ。
返事がないのは分かっているのに、何度か『ただいま』と言って、落胆する日々。
もう、あの家には帰りたくない。
ここが僕にとっての、帰りたい場所だ。
いつしか、お兄さんと過ごす時間が、かけがえのないものになっていた。
そんなある日。
一ヶ月も連絡をよこさなかった両親が、尋ねてきた。
──警察の人と共に……。
(②へ続く)
夕方には仕事が終わるはずだけど、帰ってこない。机には、朝置かれたお金とメモ。
前からたまにあったけど、だんだん頻度が上がっていた。
両親と顔を合わせる日がどんどん減っていく。
僕はどうせ家に帰っても誰もいないからと、暗くなるまで公園で過ごすようになった。
そんな時に声をかけてきたのが、大学生のお兄さんだった』
…っていうメモがあったんだけど、ねえ?何を書こうとしたの?
困った。本気で思い出せない……。
↑っていうつぶやきをしたら、フォロワーのキコさんが反応してくれて、漫画を書いてくれました。
https://x.com/kikomaru2022/status/1794987362855850339
なので、コラボという形で、続きを書いてみました。
✤✤
【キコさんとのコラボ。続きのお話 ① 】
✤✤
「俺のペットになる?」
仕事帰りだろうか。スーツに身を包み、片方の手袋だけを手にしたお兄さんが、僕に言ったひとこと。
驚かなかったと言えば、嘘になる。
周りも暗くなった中、ポツンと1人公園のベンチで肉まんを口にしている、明らかに学生の僕に声をかけてきたんだ。
怪しいと警戒しないはずはない。
それでも、曇りのない瞳で僕の返事を待つお兄さんの顔を見ていたら、何故か大丈夫な気がした。
だから、僕は迷うことなく首を縦に振った。
「僕を……お兄さんのペットにして下さい」
寂しかった僕の人生に、新しい風が吹き込んだ。
お兄さんに迷惑がかからないように、僕は家に帰り、『少しの間、友達の家にお世話になることになったから、心配しないで』そう置き手紙をしてきた。
ちゃんと、連絡先も置いてきた。……けど、その手紙にすらいつ気付くのだろうと思うと、少し胸が痛んだ。
それでも僕の前には、明るい光が見える。新しい風も吹き込んでるんだ。
自然と、口元が緩むのを抑えられないまま、荷物をまとめて家を出た。
「お邪魔します。お世話になります」
大して多くはない荷物を持ったまま、玄関先で深くお辞儀をして挨拶をすると、お兄さんはニコニコと言ったんだ。
「お邪魔しますじゃないよ……。ただいま、でしょ?」
ああ、このお兄さんの元でなら、僕はきっと大丈夫。僕が僕でいられるための、居場所を作ってくれる。
「た……ただいま……」
いざ口にしてみると、照れてしまう。それでも、じわりと心の中が暖かくなるのを感じた。
その日から、お兄さんと僕の不思議な同居生活が始まった。
お兄さんの言葉を借りるのならば、『飼い主とペット』のはずだった。
……でも、実際過ごしてみてわかったことは、お兄さんはとても甲斐甲斐しく世話をしてくれるということ。
「何か手伝います」
この家に来てからずっと、食事もすべて準備してくれて、僕は美味しくいただくだけだ。
お兄さんの作る料理はとても美味しいし、誰かと食べる食事がこんなに楽しくて幸せだというのを、思い出させてくれる。
だから、少しでもお手伝いしたいのに、やんわりと断られてしまう。
「美味しい?」
僕の目の前で、ニコニコの笑顔で聞いてくる。
もちろん、とても美味しい。……でも、お兄さんは僕が食べ終わるのを、嬉しそうにずっと見ているんだ。
「あ、あの。お兄さんも一緒に……」
じーっと見つめられると、照れてしまうし、食べ辛い。
「じゃあ、あーんてしてくれる?」
お兄さんいわく、僕はペットだから、その存在自体が癒しなんだそう。側にいてくれて、一緒に過ごしてくれて、それだけで良いんだと言う。
「あ、……あーん」
オムライスを一口分スプーンに乗せ、お兄さんの口元へ運んだ。
おじいさんは嬉しそうにパクッと頬張った。
「うん、いつもよりもっと美味しいよ」
本当に美味しそうに、幸せそうに食べてくれる。
僕の存在が、お兄さんの癒しになっているのなら、僕がここにいる意味は少なからずあるのだろう。
僕とお兄さんの不思議な同居生活も、一ヶ月になろうとしていた。
一緒に散歩に行ったり、一緒に遊んだり、……一緒に寄り添って寝たり。
ペットなんていうからどんな生活だろうかとドキドキしたけど、自分の家で過ごす時間なんかよりも、よっぽど充実していた。
あの広い家で、静まり返った中『ただいま』と言うあの虚しさ。
返事がないのは分かっているのに、何度か『ただいま』と言って、落胆する日々。
もう、あの家には帰りたくない。
ここが僕にとっての、帰りたい場所だ。
いつしか、お兄さんと過ごす時間が、かけがえのないものになっていた。
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