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EX:第16.5話 第三夜も超えて、まだ来ぬ朝を思って(ゼファクロ/シアロべ)
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クロードが巡礼の旅に出て、しばらくのことである。ロベルトは王の生活の世話を担当している使用人に、突然呼ばれることとなった。
「どうした?また何か陛下が無理難題言い始めたか?
「いえ……このところは本当に、健康で節度のある生活をしていらして……」
ロベルトは笑った。あの王が健康で節度のある生活を。かつて荒れていた頃、飲食に限って言っても極端な生活をしていたあの王が。
「まともな生活をしすぎて、逆に不安になったか?」
「それ……もありますが、その……」
言いにくそうに、使用人は声を潜めた。
「……夜伽の者を、お呼びにならないのです」
ロベルトは思わず吹き出した。
思い当たりが多いにあったので。
「元より、それほどこだわっていらっしゃるようには思えませんでしたが、生活の一環として嗜んでらっしゃったものが、いきなり途絶えたもので……。そのご様子では、理由にお気づきでしたか」
「まあな」
そこまでなのか、あの人。
ロベルトは可笑しくて仕方がなかった。
はっきりとあの二人が確かな関係になった様子はなかったが、恋慕が途切れた様子もなかった。ならば、今は想い合う同士の遠距離恋愛だ。
けれど、その状況でクロードは王の性遍歴が重なろうとも今更気にしないだろう。だというのに、あの王は、わざわざ生活を変えてまで、クロードに誠実であろうとしている。
「ただの恋煩いだよ。ほっといてやれ」
「は……は!?」
「可愛いもんだよな。あの人がそんな操立てするなんて」
よほどクロードに良く思われたいようだ。それとも、あの聡明の青年以外に触れる気もなくなったのか。王の傾倒ぶりを思えば、そのどちらもが理由であってもおかしくはなかった。
「まあでも、気にかかるなら、ユーノヴェルト辺境伯領の名産品でも、寝酒代わりに差し入れてやってくれ」
時折それを飲み交わしながら、王とクロードが夜長を共に過ごしていたのを知っている。
恋慕は熱く滾ったまま、ただただ距離を離した二人に、他人がしてやれる気遣いは、それが精一杯であろうと思えた。
「はあ、ユーノヴェルト辺境伯領の……、……あのお二人にただならぬ雰囲気は感じておりましたが、その、本当に……そういう?」
「俺だって全部の事情を知ってるわけじゃないけどな。まあ、効果があったら教えてくれ」
はは、と笑ったロベルトは、数日後、王と使用人の両方から声を掛けられることとなる。
使用人からは、有用なご助言をありがとうございました、と感謝の声を。
王からは、まず渋い顔を向けられることとなった。
「余計な気を回すな」
「はは、幼馴染の手厚い気遣いじゃないですか?だってほら」
初めてロベルトがそれを口にした時、様々な果物の甘い匂いが混じり合ったそれに、既視感があった。食べ物や飲み物が体臭に影響を及ぼすのはよくあることで、なるほど、と赤毛の少年との訓練中に思ったのだ。
「名産品というだけあって、少しクロード殿自身の匂いと」
似ている、のだと言おうとして、ロベルトは黙った。久しぶりに幼馴染の冷徹将軍時代の顔と覇気を真正面から受けたので。
「……陛下、さすがに独占欲丸出しすぎません?」
「分からなかったのか?私が不愉快になることを。人の機微に敏いお前が、鈍ったなロベルト」
「めちゃくちゃ怒るじゃないですか。いくら俺でも、陛下がそこまでとは思ってなかったんで」
王の癇癪めいた怒り方に、ロベルトは半笑いで返した。ここで完全に黙るような弓騎士隊隊長ではなかった。
「大体まだクロード殿って陛下のものじゃないですよね?」
「そんなことは分かっている」
「なら、そういうのやめてくださいよ、俺とかユリウス相手ならともかく」
「分かっている」
王は長く溜息をついた。幼馴染が思った以上に恋で狂う人間と分かって、ロベルトは可笑しさ半分、危機感半分の気持ちになった。
クロードが軍都を発って、まだほんの二ヶ月ほどである。今からこんなんで大丈夫なのかこの人。
「陛下、ノグレー隊長。歓談中失礼します。陛下にユーノヴェルト辺境伯より書状が……」
「ご苦労」
クロードの手紙を持ってきた使用人は、先日ロベルトに相談してきた男だった。本当にそれだけの為に部屋を訪れたらしい使用人は、すぐに退室した。
通常ならば書状の類は纏めて朝と昼過ぎの二度、王の執務机に届けられるのが常だ。それがこの夕方に一通だけ優先的に王に届けられたというのは、使用人がロベルトの助言を元に、応用を利かせたようだった。
「余計なお世話でしたか?」
「……、……非は、詫びる」
「お…おお……クロード殿偉大すぎるな……」
まさかあの王から謝罪を引き出せるとは。ゼファーの怒りがそれほど響いていないロベルトも、さすがにそれには驚いて、ただただあの赤毛の青年の影響力に感嘆した。
「……これほど愚蒙になるものか」
「ご自覚いただいて何より」
はぁ、と重く溜息をついて、王は椅子に腰を下ろす。心底この幼馴染が恋した相手がクロードで良かったとロベルトは思った。あの聡明で篤実の辺境伯に好かれようとするなら、善き王としてあり続けるしかないのだから。
「まあ、愚痴なら聞きますんで頑張ってください」
「お前に言われると腹が立つな。シアンには同情する」
「ちゃんと世話してやってますけど?」
「そういう態度が、だ。もう行け」
「はは。それじゃ『二人っきり』でごゆっくり」
「ロベルト」
幼馴染の距離感でからかうロベルトに、王は遠慮なく怒気を浴びせて追い出した。本当に、本当に、あの王は恋慕でおかしくなっている。愉快な方に。
だからロベルトはそういう相手がシアンに現れるのを待っている。
それまではまあ、青春の後悔を解いてやりながら、性欲の世話をしてやってもいいだろうと、誰に対するものかも分からぬ許しで、シアンと体を重ねながら。
そんな王とのやりとりがあったとは知らぬシアンは、弓騎士隊の宴会に遅れてやって来て、酒の杯を重ねるロベルトの隣に陣取りつつ、今晩の算段をつけていた。
明日は弓騎士隊全体の待機休日だ。隊長副隊長が揃って休みを取れるのがその日だけのため、どうしたってシアンは今晩ロベルトを独占したかった。
「お前さー」
「あ?」
「飲んでる時にキレるとぶち犯すとか言ってたの、あれマジだったのか?」
「ブッ」
シアンは思いきり吹き出した。
今更掘り起こされると思っていなかった過去の所業の真意を、唐突にロベルトは何てことない顔で尋ねてきた。
そりゃそういう時は頭もイライラしてれば、チンコもイライラしてたけどよ。
まさかそのまま言う訳にはいかず、シアンが懊悩していれば、近くで会話を漏れ聞いていた隊員たちのヒソヒソ話が流れてくる。
「た、隊長……エゲつな……」
「過去のイキリ発言のガチレス、キチーっす……」
ほんとにな。
正直死ぬほど恥ずかしいし、答えたくもない。けれど、シアンはそういうロベルトも正面から受け止めることに決めていた。だから、羞恥を堪えて口を開く。
「……まあ、どうせあんたが気づいててからかってると思ってたからな。何言ってもいいだろみたいな勢いっつーか……」
「じゃあマジなのか」
「マジだよ!!」
「ふーん」
さして興味も無ければ気乗りもしていないような声でロベルトが言うので、古参の隊員たちはシアンに同情した。そこまで聞いておいてその反応。
慰めの言葉をかけてやろうかと、その中の一人が口を開きかけたその時である。
「我慢出来て偉かったな、シアン」
ふ、と穏やかな笑みを浮かべて、ロベルトがシアンにキスをした。あまりに自然に、優しく柔らかく。
「お、おう……」
「なに、お前。酔うとムラムラするタイプか?」
「まあ……それなりに……」
くすくすと笑ってロベルトが再びシアンにキスする。そこここで冷やかしとからかいの声が上がった。
「ちょっと、あんた……」
「して欲しいんだろ?してやるって」
ちゅ、ちゅ、とロベルトに顔中キスされて、シアンは嬉しさと羞恥の狭間でぐるぐる頭を回した。
「クソぉ……、シアンの粘りがちか……隊長のデレ羨ましいなクソ…ッ」
「兄貴~、俺のチンコの世話も見てくださいよぉ~」
「ハハ。マジで言ってんなら表出ろ。握り潰してやっから」
「ヒッ!兄貴マジの顔やめてくださいってェ!」
こいつ、顔色一つ変えずに泥酔してやがる。
呑んだ酒の量を思えば当然なのだが、顔色も変わらなければ、許容の範囲も変わらぬまま、ただただ泥酔してシアンを甘やかしているな。
「……あんた……、見世物になってんぞこれ……」
「じゃあ面白い話でもしてやろうか?」
「あんたの面白い話、大体カスの嘘の話じゃねーか」
「はは。まあな。やっぱじゃあこっち」
そう言って、ロベルトはまたシアンにキスを降らせる。ほんの軽い触れるだけのキスは、それでも重なればシアンの本気の性欲を引き出すもので。
そもそも、宴会がお開きになった後、シアンはこの男の夜の全てを独占してやろうと思っていたのだ。その劣情に火がつくのは、酔いも助けてあまりに容易だった。
「……おい、あんたいい加減にしないと、ここで襲うぞ」
「へえ?ここで?どうやって?」
ふ、と目を細めて笑ったロベルトに、シアンの元々長くもない堪忍袋の尾が切れた。
ロベルトの胸ぐらを掴んで立たせると、そのまま大口を開いてキスをして、そのままテーブルの上に押し倒した。
「いったれシアン~!」
「外野うるせぇ!!」
背後に向けて怒鳴りつけて、シアンは再び目の前の恋しい男に食らいつくキスをした。
「ん……、ふぅ……、ぅん、ん……」
冷やかしの声、指笛の男、乾杯するジョッキの音。何もかもがうるさいのに遠く聞こえた。
あの意味ありげな伏し目で色気を垂れ流していたロベルトが、ただただなすがままに口の中を蹂躙されている。
「……俺が出来ねぇと思ってんだろ」
「さあ、どうかな」
「クソがよ…っ、!」
上着のボタンを外し、中のタートルネックをたくし上げてまさぐると、ロベルトの悩ましい吐息が漏れる。
「……なぁ、まじでこのままおっ始めたらどうする?」
「いや~さすがにそれはないだろ……ないよな?」
冷やかしの狭間で心配げな声が上がる。
それはシアンの理性を、ほんの少し取り戻させた。
「おい、あんた、このままだとこんな大人数の目の前で俺にぶち犯されんだぞ。いいのかよ」
「……うーん、まあ、うん」
ずいぶんとぼんやりとした返答に、シアンは酔いすぎだろ、と顔をしかめた。
「お前が、やりたいなら…?」
ロベルトの両足がシアンの腰に絡む。悲鳴と冷やかしの掛け声が両方上がる。
「クソこの酔っ払いがよ……」
ぐんと陰茎が立ち上がるのを感じて、シアンは身を屈めてロベルトの肩口に顔を沈めた。
こんなとこで勃起させやがって。くそっ、くそっ。
「……あんたの善がってる顔、人に見せるわけねぇだろ」
「そうか。お前ほんと俺のこと好きだな」
ふ、と笑ってロベルトがシアンのこめかみにキスをする。熱い、熱い唇だ。発情の熱を確かに灯された唇だった。
「……クソ、マジでちんこ限界だから帰る」
「いやこれからセックスします宣言してくな。おめでとう」
「サイコーだよクソが!」
半泣きでシアンはロベルトを引っ張って歩き出した。下半身の膨らみが重く苦しく、衣服のせいでキツくて歩くと痛みさえあった。
「それじゃシアンのチンコの世話してくるから、お前ら飲み過ぎないで楽しくやるんだぞ~」
「いや、隊長までセックスします宣言していかんでください」
はは、と楽しそうに、笑うロベルトと、中堅騎士の呆れた声を聞きながら、シアンはぐっとロベルトの腕を掴んだ。
部屋に入った瞬間、舌を入れるキスをしてやるつもりで体を寄せれば、逆にロベルトの唇に吸われることとなった。ちゅう、ちゅ、ちゅう、と児戯めいた可愛らしい音を立てながら、ロベルトは体をすり寄せながらシアンの唇を吸っている。
その下半身で、性器が緩く立ち上がって、シアンの固くなったものと擦り合っている。
はは、とロベルトが笑った。
「酒くっさ……」
「あんたもだろ」
「ははっ、酔ってるのに元気だな」
言いながら、ロベルトは下に視線を向けて膝を折った。そうしてそのまま、シアンの下半身の膨らみを、悪戯するように鼻筋で撫でた。
「……ッ、おい、あんた」
「こっちもキスしてやろうか?」
「あんたなんで無闇にエロい言い方すんだよ!?」
発作的に飛び出たシアンの大声に、ロベルトは笑って、了承の言葉を待たずに、シアンの下衣を寛げる。途端固く反り返った陰茎が飛び出した。
「こっちは素直だなぁ」
「マ……ジで、口でしてくれんの」
「たまには俺もがんばらないとな」
笑って言って、ロベルトはそのままその口でシアンの陰茎を口に含んだ。その暖かさ、ぬるりと濡れた感覚だけで、シアンはビクリと腰を震わせた。
「……っは、ぁ…、……くそ……っ」
口の中で舌が動いて、陰茎の一つ一つの皺をなぞるようにして愛撫する。ひどくねっとりとしたそれに、シアンの陰茎はさらに膨らんで、ロベルトの口の中を埋めていく。
シアンが快感を得ていると視線が確認すれば、舌で愛撫しながら、口が揺れる。まるでセックスの動きで、じゅう、とシアンの先走りを吸いながら、抜いて、入れて。
それが激しくなれば、片手は陰茎を支え、もう片方の手は追い立てるように陰嚢を揉んで。
「あんた、こんな、こ、れ…っふ、ぅ…、ん、んん…ッ」
ぜってぇこれあんたが昔の女にやってもらったフェラだろ!!腹を立てながら、だがその玄人めいた愛撫に逆らえず、シアンは堪らず腰を振って、暖かくぬかるんだ場所に擦り付ける。
じゅう、とロベルトの口に吸われて、たまらずびくびくと陰茎が震える。射精感を我慢出来そうもなく、シアンは思わず腰を引く。
「っまて、待てって、出る、出るから」
「…うん……」
「うん、じゃなく……って、おい……っ、く、ぅ……うっ……、う、う、くそっ」
呆気なく絞り取られることへの悔しさと、女を虜にする男が自分の陰茎を舐めていることの喜びと、それが他でもない恋する男であるという快感が、入り混じってもう、どうにもらなかった。
混乱の果てに、シアンはぐい、と腰を引いて、ロベルトの口から自分の陰茎を引き抜いた。その口からちゅぱ、と間抜けでいやらしい音が立って、シアンは耐えきれずに射精した。
ビュクッ、ビュクッ、と勢いよく、シアンの精液がロベルトの顔にかかる。咄嗟に目を閉じたロベルトの、額から顎、そしてそのまま胸元まで汚して、シアンは劣情と情けなさの狭間で、荒い息を吐き出していた。
「わ、り……」
どうにかそれだけ吐き出して、震える腰を叱咤しつつ、息を整える。
ロベルトはぼんやりとした顔をしていた。そうして、ペタリ、と自分の顔についた精液を手に擦り付けた。
シアンはこの夜が台無しになる覚悟をした。調子に乗ってわざと顔に掛けたと思われても仕方がない。だから酔いも覚めて、ロベルトの言葉を待った。
シアンの覚悟をよそに、ロベルトはうっとりと笑って、自らの手のひらについたシアンの精液を舐め取って、呟いた。
「……血じゃない」
ぺろぺろと舐めとるロベルトの視線が定まらない。何の話を、と思ったシアンの脳裏に、魔竜討伐の時のロベルトの姿が蘇る。
シアンの血を頭から被って、何時間もそのままでいた。任務の時には魔物の血や肉片を被ることも多かったから、シアンも隊員も、怪我がないと分かればロベルトのその姿を気にも留めていなかった。
ふと思い出す。
魔竜討伐直後、落ち着いてから心理的外傷の傷が開くこともありますから、と治癒術師は、死にかけた経験をしたシアンに向けてそう忠告した。けれど、本当にその忠告が必要だったのは、もしや。
「ロベルト、俺は生きてる。元気が有り余りすぎて、あんたにザーメン絞り取られてんだよ俺は」
「はは……そうだな……」
ロベルトは笑って、自分の手のひらから視線と唇を離して、いくらか柔らかくなった、だが芯の残るシアンの陰茎にキスをした。
「口でされるの、好きそうだな。もう一回してやろうか?」
「あー……また今度やってくれ。今日はもう、あんたの股開かせてぇ」
全部全部気持ち良くして、何も考えられなくしてやりたかった。
ロベルトの乾燥した髪を梳く。最近は随分と風呂の回数が増えたと思っていた。それが何かを洗い流そうとしていたのだと、いま理解して、全部全部、性の匂いで上書きしてやろうと思った。
「元気だなぁ、お前」
「おー。元気すぎて、あんたの足腰ガックガクにして股閉めれないようにしてやるからな。覚悟しろよ」
「っふ、ははっ、は、まあもう処女じゃないし、好きにしろよ。お前が開発したケツだしな」
そう笑うロベルトの顔に陰はない。
だからシアンは遠慮なく、ロベルトを自分のベッドに連れ込んで、幸せに壊してやることにした。
それから三時間ほど後のことである。
弓騎士隊の宴会は様々な意味で多いに盛り上がった。シアンとロベルトに当てられて俺だって恋人作るぞと盛り上がるもの、ロベルトに向けた淡い思慕を破壊されて泣く者、男同士で気持ち悪ぃなと悪態を吐く者、そういう輩と本気で殴り合いの喧嘩をしてケツ掘られてようがウチの隊長の強さには変わりねぇぞなどと叫ぶ者。
それは時を深めててんやわんやの事態となり、食堂の管理人にいい加減にしろと追い出されての今である。
「いや~今日はめちゃくちゃだったな……マジでおっ始めるかと思って焦ったわ」
ロベルトとシアンとは旧知の中堅騎士たちが寮の廊下を歩いていた。歴が長ければ長いほど寮の自室は奥側となり、その内の一人はシアンとは隣室であった。
「つーか隊長、ほんとにマジで今まで何も気付いてなかったんだな。シアン、かわいそうすぎだろ」
「いやでも口説いてあんなゲロ甘になってくれんなら報われたろ。あ~すげぇセックスしてそ」
「この時間まで飲んでて正解だな」
ワハハ、と笑い合って、中堅騎士たちはそれぞれの部屋に戻った。なんだかんだで祝福はしているのである。生々しい現場を見せられそうになって焦りはしたものの。
ロベルトとシアンとは、長い付き合い故に、ほとんど兄弟のような感覚である。だから、男同士がどうとか言うよりも、身内のそういう現場はさすがに気まずいんだよなぁ、という思いがあった。
だから、シアンの隣室の騎士は、部屋に戻り、寝台に横になった瞬間、飛び起きたのである。
はっきりと聞こえるわけではないが、ほとんど等間隔で律動を刻む軋む音を優れた弓騎士の聴覚が捉えた。そして何より。
「…っぁ、あっ…あ"……ッ!……、シア…っ、むり、も、……ッ」
切羽詰まった、上官の甲高い声。常人では言葉の形まで聞こえることはなかっただろうに、獲物を捕らえる優れた狩人である弓騎士の耳には聞こえてしまった。無理、などと弱音を吐いたことのない上官の、本当に懇願するような声。本当にすげぇセックスしとんのかい。
早めに終わるよう、中堅騎士は祈った。
祈りが通じたのか、軋む音が止む。上官の善がり声も。そしてほんの少し、安心したのもつかの間。
再び律動が始まり、中堅騎士は寝台から飛び起きた。
「まだヤんのかい……ッ!!」
そして自室を放棄した。翌朝にはシアンに文句を言ってやると決めて、先ほど笑い合っていた同僚の元へ逃げ込むことにした。
ほぼ同時刻のことである。
ゼファーは懊悩していた。十代の頃以来である。
ロベルトがあんなことを言うからいけない。あの山葡萄と野苺と、微かに柑橘の匂いのする飲み物が、クロード自身の匂いに似ているなどと。
言われてみれば確かにそうで、クロードから届いた手紙には、わずかにその香りがした。
そうと分かって、意識せぬほど泰然とはしていなかった。元々頓着していなかったとはいえ、精力自体は持て余すことの多いゼファーである。
眠りにつくことができず、ゼファーは諦めて体を起こし、机の引き出しから一通の手紙を手に取った。
そうして、もう何度も読み返した手紙を開く。ゼファーが成人の祝いと共に預けた、当たり障りのない手紙への返答だ。クロードもそれほど踏み込んだことは書いてこず、ただただ誠実と聡明ばかりが伝わってくる。
だというのに、その書き記された言葉が、あまりにクロードらしいもので、その文字を追うだけで、あの掠れた少年の声が聞こえるようだった。
青年に差し掛かった、落ち着いた声が、文字に合わせてゼファーを呼ぶ。陛下。それは繰り返し思い出せば思い出すほど、ゼファーの願望が混じって熱を持ち始める。
ゼファー。
一度だけ名で呼ばれたその声が、願望で歪んで閨のものになる。あの時、ほんの少し、舌を絡ませたあの時の響きで。
「……くそ……」
らしくもなく、ゼファーは虚空に悪態を吐き出した。すっかり昂り猛った陰茎はもはやそびえ立つように天を向き、恋しい相手を乞い願っていた。
だがここにクロードはいない。ならば想像の上で自分のものにするしかなかった。
あの高潔の青年を想像の上で汚す、そのことに背徳の興奮と、心底からの罪悪感が葛藤する。だが、罪悪感で止まれるほどの肉欲ならば、元より懊悩してはいない。
ゼファーは手紙をそっと閉じ、机の引き出しにしまい込んだ。恥ずべき悪徳から、純白を隠すように。
そうして、ゼファーは再び寝台へと戻り腰掛けた。そうして大きく息を吐き出し、自身の反り立った陰茎に手を伸ばす。自身で慰めるなど、本当に精通して間もなくの頃以来だった。
誰かに執着していたわけではなかったから、性欲が溜まれば誰か呼び発散していればよかった。
しかしこれは、クロードに、あの青年に触れたい欲だ。他の誰に満たせる欲ではなかった。
陛下。
想像のクロードがゼファーを呼んだ。そうしてクロードの手が触れる。実際には自分の手だと分かっているのに、そう想像するだけで満たされた。
そうして思い出す、クロードの顔、声、手、そして、あまつさえ、あの癒炎剣を抜いた日、全身の火傷を奇跡の癒しの炎で治して見せた日の、病衣から見えた白い足。それを想像して、掴んで、股を開かせたなら。
陛下。
お慕いしております。
出発の日、淡い光の中でそう告げた、高潔の男を想像で汚している。その言葉を、劣情で汚して、善がり声で言わせたいと。
とろり、と想像のクロードの顔が溶ける。あの時キスだけで柔く溶けた顔を、妄想で歪めて善がらせている。酷い悪徳で、酷い誘惑だった。
善がるクロードがぼろぼろと涙を零す。ゼファーの本来知っているクロードの泣き顔は、恐怖と苦痛のものだったというのに、想像で歪めて快感で泣かせている。
陛下、陛下。
泣く顔まで歪めるとは、なんと下劣な。理性ではそう思うのに、その誘惑に逆らうことが出来なかった。
想像の恋しい青年の痴態に、ゼファーの男根は赤黒い血管を浮き上がらせ、ダラダラと溢れ出る先走りの汁がぐちぐち音を立てて、その劣情を解放したがっていた。
「……っクロード、クロード……っ」
たまらずゼファーは恋しい青年の名を呼んだ。答えはないと分かっているのに、呼ばずには耐えられなかった。
クロードの答えはない。
ただただ、想像のクロードは、眉を下げて笑って、ゼファーを許した。
「……っふ、……」
ドクドクと痙攣して、粘りのある精液が溢れ出る。想いばかりが募る射精は長く長く続き、ただただゼファーを恋に狂って下劣な想像で高潔な青年を汚したという事実を叩きつけた。
何とも情けないことだ。どこにも辿り着けずに流れ落ちる精液を見ながら自嘲して、それでも抱えきれぬ恋慕を劣情で吐き出せば、いくらか気が晴れたことに安堵して。
早く帰ってこい、とゼファーは思った。
この私を、これほど情けない男にしたのだぞ、お前は。ゼファーはそう思いながら、自ら吐き出した精液を拭き取った。
ゼファーにそのような想いを抱かせているなど知らないクロードだったが、クロードはクロードで苦労していたのである。
巡礼の旅に出たクロード一行の、宿の部屋割はいつもクロードが一人部屋であった。身分のこともあったが、長年ユーノヴェルト家に仕えた老執事が、『年頃』のクロードに気を使った部分は多くあった。
気を使わなくていいのに、と思ったのは、心底からのことであった。言えば余計に、説き伏せられてしまうと分かっていたし、遠慮の意味以外での真意を言うのは憚られて、結局クロードは黙った。
一人でいれば、ふとした時に王への恋慕が顔を出して、若い体はすぐに反応した。そのことにクロードは困っていた。
元より精通も遅く、性への関心も薄かったクロードである。十五から十七の頃に至ってはそれどころではなかったのだから、ほとんど一人遊びなどしたこともなかった。
要するに、自慰が、壊滅的に下手なのである。
「……っぅ、うー……う、う」
まるで困難な問題に立ち向かうようなうめき声をあげて、クロードは自身の性器に触れていた。
慣れぬ快感に手の動きは乱れ、不慣れな手は必要以上に力強く陰茎を握っている。
ぼろぼろとクロードは涙を零していた。世の男性はこんな辛い思いをして射精をしているのか。実際は全くそんなことはないのだが、さしもの聡明の辺境伯とは言え、性器を握っていればその頭脳も鈍るものであった。
「っはぁ、はっ……は……」
中々射精まで辿り着けず、クロードは一度手を離し、途中休憩とした。
そんな体たらくと言うのに、年頃の青年である。こういう夜は度々あった。
最初はあの出発の日。王に舌の絡むキスまで授けられて、クロードの恋情はとてもではないが耐えきれなかった。
その日始めて明確に誰かを思って自慰をして、クロードは罪悪感で潰れそうになった。こんな不敬を、あんな風に送り出して頂いた後で。
その日を思い出すと、クロードは今だに申し訳なさでいっぱいになる。そう思うのに、ああすれば一番楽に射精まで到達出来ると知ってしまったから、恋しい人の手を、唇を、思い出すのをやめられない。
陛下。
声に出すのは憚られて、クロードは内心で恋しい人の尊称を呼ぶ。そうして、半端に高められた陰茎に再び手を伸ばす。
そうして擦りながら、唇で空いた方の手の指を食む。唇には、何度か触れてもらえた。唇で、指先で。それを思い出して、自分の指先に唇を押しつける。
クロード。
そう呼ぶ低い声を思い出せば、背筋に痺れが走って腰が揺れる。ぼろ、とまた涙が出た。もう楽になりたい。楽になりたいのに、ちゃんと気持ちよくなれない。
いきなり手技が巧みになるわけではないから、クロードは精神的なところで快感を極めなければならなかった。だから、思い出す。
クロード。
そうやって呼ぶ声。抱きしめられた時の体温、力強い腕、厚い胸板。指先で、唇を、額を、触れられたこと。
そうして初めて出会った時。刺すような王の鋭い目。顰められた眼差しと、冷えた声。
「ーーっぁ、う、ぁ、あ!」
一人のベッドの上、ぎゅう、と身を縮めてクロードは絶頂した。思わず自身の指先を噛んで堪えて、ガクガクと腰が揺れるままに任せて射精する。
下手な自慰は、ほとんど自分で焦らせたのと同じことで、長く焦らされた体は、ようやく解放されたとばかりに勢いよく射精をした後、ゆっくりと小さな漏らすような射精を繰り返した。
「……はっ、……はぁ、は……っ」
そうしてようやく射精が終わっても、じっとりとまとわりつく快感は止まらなかった。
それはクロードの絶頂がただの射精ではなく、脳イキと言われるものに近いせいだったのだが、性の知識の薄いクロードにはまだわからぬことだった。
後年、クロードのこの癖を知ったゼファーがその名を寝台で教え、大層に喜んでクロードの体を散々に翻弄することになる。
今この時のクロードはそれを知らぬまま、この旅路の中で迂闊にも自ら才能を発展させて、何度も罪悪感で頭を抱える羽目になるのだった。
そうして、朝。
軍都騎士団寮である。
「……あんなとこでヤッていいわけねーだろ」
寝起き一番、ロベルトが言った言葉にシアンは呆れた。食堂で人を勃起させておきやがってこいつ。
「自分に言えや。焦ったろ」
「いや、昨日はなんかいいかと思って……」
「いいかと思ったんかい」
いいわけねーだろ。シアンはロベルトの言葉をそのままなぞった。公共の施設で人前である。いい理由が一つもない。
「酔っぱらいの判断こええな」
はは、と笑ったロベルトが、ベッドから抜け出ようとして、そのままベッドから落ちる。
シアンより背の高い、鍛えられた男がベッドから落ちれば、それなりに派手な音がした。
「……大丈夫か?」
「お前……ほんとに人の足腰ガックガクにするやつがいるかよ……」
床に寝転んだまま、ロベルトが恨めしげに言った。その尻がベトベトにシアンの精液で濡れている。エロいな。散々交わった後だというのに、シアンは劣情を朝から一つ溜めた。
「するっつったろ」
「言って出来るもんなのかよ」
「あんたの尻の才能がすげぇからじゃねぇか?最後の方、尻だけでイッてる時なかったか?」
「いや……なんか全然覚えてねーんだけど……お前のチンコしゃぶった後ぐらいから」
「ほとんど全部じゃねーか」
血じゃない、と言ったあの言葉を覚えているのだろうか。シアンは疑問に思ったが、聞かないことにした。少なくとも、昨夜は本当に、ロベルトのことを壊してしまえたようだったので。
「酔っぱらいに記憶力期待すんな。いろいろ雑用あんだけど、どうするかな……」
「大事な用事なら変わってやる」
「おお……気が利くな」
「彼氏なんで」
「彼氏ではねぇだろ」
ロベルトの答えは早かった。だが丸め込むチャンスと思ったシアンは追撃をした。
「昨日のこと覚えてねーんだろ」
「覚えてねーけど、付き合うって言わなかったのはわかる」
「チッ」
「このクソガキ」
シアンの舌打ちに、ロベルトは呆れて言った。
「クソガキなんで、大事な用事もご褒美もらわないとやりたくないね。彼氏でもないらしいんで」
「お前が悪いんだろうが。いいからベッドに戻してくれ」
「もう少し甘えて言えよ」
「はぁ~?」
ロベルトが思い切り嫌そうな顔をした。さすがにこれ以上のおふざけは怒らせるか、と判断してシアンは黙ってロベルトをベッドに引き上げた。
「……俺の股閉まんなくさせといて、ひどいんじゃないか?シアン」
「エロいこと言えとは言ってない」
「いや単なる事実。敬礼の姿勢出来る気がしねえんだよな」
「エロいこと言えとは言ってねぇ!!つかあんた、ほんとに忘れてんのかよ!!」
ムラムラと劣情が溜まる。ロベルトは笑う。
「忘れてる忘れてる、シアンのチンコ気持ちいい♡とか言わされてんのも忘れてる」
「覚えてんじゃねーか!!」
「ハハ、お前結構えげつない下ネタ好きだよな」
「……素面で言わすぞ今度……………」
昨夜調子に乗って、言って言わせた淫語の数々を思い出して、シアンはムラつきとイラつきの狭間で言い放った。
「別にいいぞ。またシアンのおちんぽミルク飲ましてくれるんだろ♡」
ロベルトの言葉にシアンの動きが止まる。ロベルトが素面で言うと破壊力がすごすぎる。というか、それ以前に。
「それは言わせてねぇだろ!!!!!!!カスの嘘つくな!!!!!!!!!!!!」
「ダッハハハハ!!!!!」
大爆笑したロベルトが腰を痛めてヒイヒイと泣いて笑うので、シアンはもう一度渾身のカス!!!!!!を言い放った。
そんなやりとりを知っている訳ではないが、ゼファーはロベルトの代わりに来ました、と言ってやってきたシアンをそうか、と特になんの感慨もなく受け入れた。
直接のやりとりを知っているわけではないが、二件ほどの苦情を、ロベルトとシアンの振る舞いのせいで受け取っていたので。
「シアン」
「なんです陛下、神妙な顔して」
「食堂ではやめろ」
ロベルトとシアンのことに、それほど口を出すつもりはなかったものの、公共の場での苦情となれば別だ。
シアンに釘を刺したほうが早いだろうと判断して、ゼファーは端的に言い放った。
「あ~……お耳がはやい。いやー禁欲してる人の前でほんとすいませんね」
「別に禁欲をしている訳ではない」
シアンまでが王の現状を知っていることに、王は咄嗟にロベルトに怨嗟を向けそうになる。
だが、弓騎士隊は王の私室の警備を担当することも多い。これは実際に王の私室に誰も尋ねてこない、という事実から十分に割り出せる推測だろう、とゼファーは怒りを鎮めた。
「そうですか?あの坊ちゃんのために身綺麗にしてんのかと思ったんですけど」
「それを禁欲と言うか?単に誰にでもその気にならなくなっただけだ」
「坊ちゃんでヌいてりゃ満足になったんすか」
あまりに的を得すぎている指摘に、さしものゼファーも一瞬黙った。気持ちが伴わぬ相手と体を重ねるより、クロードを思って自らを慰めるほうが、ずっと気持ちいいことに気づいてしまったから。
「言っていいことと悪いことの区別もつかないのか」
シアンがぎょっとした顔をした。冗談のつもりが、ゼファーから否定の言葉が出なかったことで、真相を突いてしまったことに気づいたのだろう。
「……いや、すんません。マジとは思わなくて……え、本当に?」
「シアン」
「う、わー……すごいな純愛……」
「本当にお前は好き勝手に言う」
重ねて問うてくるシアンに、ゼファーは抵抗を諦めた。
「陛下がずいぶんと隙だらけになったもんで?まあ、俺もこれから色々とめちゃくちゃやると思うんで、陛下も好き勝手言って頂いて」
「円満に収まった恋人同士に今更言うことがあるか」
ゼファーは心底羨んでいる。
心を通わせて、体も通わせて。シアンの顔色を見れば昨夜散々ロベルトがシアンを甘やかしたことなど語るまでもなく分かる。
「ハハ。合意でヤれてるだけでまだ付き合ってないんですよね。あいつ、俺が惚れてたのにも気付いてなかったんで」
「…は?」
何なんだあいつは。ゼファーは幼馴染のことを内心で罵倒した。王より弟弟子を優先しておいて、まだシアンのものになっていないつもりなのか。
「その反応なりますよね~。まあ、そんな訳でここから地道に口説いてくんで……」
「……十年掛けてそこからか?」
「このクソ冷血将軍!!!!やめろや!!!!マジで哀れむの!!!!」
シアンは本気で憤っている。ゼファーはシアンにも呆れた。自覚している感情など関係なく、シアンは十分にロベルトを独占している。
妬ましいな、と思った。そのような感情、今まで感じたこともないというのに、本当に恋というのは恐ろしい。
「お前が好き勝手言っていいと言ったのだろうが。……それに、私はそれほど必死に口説く必要があるとも思わんが」
「あるだろ……」
「人間関係のしがらみから距離を置きたがるロベルトが、身内のお前に体を許した。だから、もう答えは出ているだろう」
「はい?」
これほど言葉を尽くしても分からないというのだから、もう他人には手に負えないだろう。
それでも、理解は出来た。
ただただ、恋する相手からの、好きと、愛してると、そういう言葉を欲する気持ちは。
「気付いていようがいまいが関係ない。ロベルトは、お前をずっと『自分の中の特別の席』に置いている」
「……あの、もうちょっとわかりやすく言ってくれません?」
「さて、自分で考えろ。なにぶん禁欲している人間なのでな、狭量にもなる」
「根に持ってんじゃねーか!!」
喚いたシアンを煩そうにしながら、ゼファーはそれ以上の言葉を与えなかった。
本当に、恋に狂って狭量になっている。
羨ましく妬ましい。もう十分に独占しておいて。
いまだ唇以上を触れていない青年を思い出しつつ、ゼファーはシアンに過酷な用事を申し付けた。
「どうした?また何か陛下が無理難題言い始めたか?
「いえ……このところは本当に、健康で節度のある生活をしていらして……」
ロベルトは笑った。あの王が健康で節度のある生活を。かつて荒れていた頃、飲食に限って言っても極端な生活をしていたあの王が。
「まともな生活をしすぎて、逆に不安になったか?」
「それ……もありますが、その……」
言いにくそうに、使用人は声を潜めた。
「……夜伽の者を、お呼びにならないのです」
ロベルトは思わず吹き出した。
思い当たりが多いにあったので。
「元より、それほどこだわっていらっしゃるようには思えませんでしたが、生活の一環として嗜んでらっしゃったものが、いきなり途絶えたもので……。そのご様子では、理由にお気づきでしたか」
「まあな」
そこまでなのか、あの人。
ロベルトは可笑しくて仕方がなかった。
はっきりとあの二人が確かな関係になった様子はなかったが、恋慕が途切れた様子もなかった。ならば、今は想い合う同士の遠距離恋愛だ。
けれど、その状況でクロードは王の性遍歴が重なろうとも今更気にしないだろう。だというのに、あの王は、わざわざ生活を変えてまで、クロードに誠実であろうとしている。
「ただの恋煩いだよ。ほっといてやれ」
「は……は!?」
「可愛いもんだよな。あの人がそんな操立てするなんて」
よほどクロードに良く思われたいようだ。それとも、あの聡明の青年以外に触れる気もなくなったのか。王の傾倒ぶりを思えば、そのどちらもが理由であってもおかしくはなかった。
「まあでも、気にかかるなら、ユーノヴェルト辺境伯領の名産品でも、寝酒代わりに差し入れてやってくれ」
時折それを飲み交わしながら、王とクロードが夜長を共に過ごしていたのを知っている。
恋慕は熱く滾ったまま、ただただ距離を離した二人に、他人がしてやれる気遣いは、それが精一杯であろうと思えた。
「はあ、ユーノヴェルト辺境伯領の……、……あのお二人にただならぬ雰囲気は感じておりましたが、その、本当に……そういう?」
「俺だって全部の事情を知ってるわけじゃないけどな。まあ、効果があったら教えてくれ」
はは、と笑ったロベルトは、数日後、王と使用人の両方から声を掛けられることとなる。
使用人からは、有用なご助言をありがとうございました、と感謝の声を。
王からは、まず渋い顔を向けられることとなった。
「余計な気を回すな」
「はは、幼馴染の手厚い気遣いじゃないですか?だってほら」
初めてロベルトがそれを口にした時、様々な果物の甘い匂いが混じり合ったそれに、既視感があった。食べ物や飲み物が体臭に影響を及ぼすのはよくあることで、なるほど、と赤毛の少年との訓練中に思ったのだ。
「名産品というだけあって、少しクロード殿自身の匂いと」
似ている、のだと言おうとして、ロベルトは黙った。久しぶりに幼馴染の冷徹将軍時代の顔と覇気を真正面から受けたので。
「……陛下、さすがに独占欲丸出しすぎません?」
「分からなかったのか?私が不愉快になることを。人の機微に敏いお前が、鈍ったなロベルト」
「めちゃくちゃ怒るじゃないですか。いくら俺でも、陛下がそこまでとは思ってなかったんで」
王の癇癪めいた怒り方に、ロベルトは半笑いで返した。ここで完全に黙るような弓騎士隊隊長ではなかった。
「大体まだクロード殿って陛下のものじゃないですよね?」
「そんなことは分かっている」
「なら、そういうのやめてくださいよ、俺とかユリウス相手ならともかく」
「分かっている」
王は長く溜息をついた。幼馴染が思った以上に恋で狂う人間と分かって、ロベルトは可笑しさ半分、危機感半分の気持ちになった。
クロードが軍都を発って、まだほんの二ヶ月ほどである。今からこんなんで大丈夫なのかこの人。
「陛下、ノグレー隊長。歓談中失礼します。陛下にユーノヴェルト辺境伯より書状が……」
「ご苦労」
クロードの手紙を持ってきた使用人は、先日ロベルトに相談してきた男だった。本当にそれだけの為に部屋を訪れたらしい使用人は、すぐに退室した。
通常ならば書状の類は纏めて朝と昼過ぎの二度、王の執務机に届けられるのが常だ。それがこの夕方に一通だけ優先的に王に届けられたというのは、使用人がロベルトの助言を元に、応用を利かせたようだった。
「余計なお世話でしたか?」
「……、……非は、詫びる」
「お…おお……クロード殿偉大すぎるな……」
まさかあの王から謝罪を引き出せるとは。ゼファーの怒りがそれほど響いていないロベルトも、さすがにそれには驚いて、ただただあの赤毛の青年の影響力に感嘆した。
「……これほど愚蒙になるものか」
「ご自覚いただいて何より」
はぁ、と重く溜息をついて、王は椅子に腰を下ろす。心底この幼馴染が恋した相手がクロードで良かったとロベルトは思った。あの聡明で篤実の辺境伯に好かれようとするなら、善き王としてあり続けるしかないのだから。
「まあ、愚痴なら聞きますんで頑張ってください」
「お前に言われると腹が立つな。シアンには同情する」
「ちゃんと世話してやってますけど?」
「そういう態度が、だ。もう行け」
「はは。それじゃ『二人っきり』でごゆっくり」
「ロベルト」
幼馴染の距離感でからかうロベルトに、王は遠慮なく怒気を浴びせて追い出した。本当に、本当に、あの王は恋慕でおかしくなっている。愉快な方に。
だからロベルトはそういう相手がシアンに現れるのを待っている。
それまではまあ、青春の後悔を解いてやりながら、性欲の世話をしてやってもいいだろうと、誰に対するものかも分からぬ許しで、シアンと体を重ねながら。
そんな王とのやりとりがあったとは知らぬシアンは、弓騎士隊の宴会に遅れてやって来て、酒の杯を重ねるロベルトの隣に陣取りつつ、今晩の算段をつけていた。
明日は弓騎士隊全体の待機休日だ。隊長副隊長が揃って休みを取れるのがその日だけのため、どうしたってシアンは今晩ロベルトを独占したかった。
「お前さー」
「あ?」
「飲んでる時にキレるとぶち犯すとか言ってたの、あれマジだったのか?」
「ブッ」
シアンは思いきり吹き出した。
今更掘り起こされると思っていなかった過去の所業の真意を、唐突にロベルトは何てことない顔で尋ねてきた。
そりゃそういう時は頭もイライラしてれば、チンコもイライラしてたけどよ。
まさかそのまま言う訳にはいかず、シアンが懊悩していれば、近くで会話を漏れ聞いていた隊員たちのヒソヒソ話が流れてくる。
「た、隊長……エゲつな……」
「過去のイキリ発言のガチレス、キチーっす……」
ほんとにな。
正直死ぬほど恥ずかしいし、答えたくもない。けれど、シアンはそういうロベルトも正面から受け止めることに決めていた。だから、羞恥を堪えて口を開く。
「……まあ、どうせあんたが気づいててからかってると思ってたからな。何言ってもいいだろみたいな勢いっつーか……」
「じゃあマジなのか」
「マジだよ!!」
「ふーん」
さして興味も無ければ気乗りもしていないような声でロベルトが言うので、古参の隊員たちはシアンに同情した。そこまで聞いておいてその反応。
慰めの言葉をかけてやろうかと、その中の一人が口を開きかけたその時である。
「我慢出来て偉かったな、シアン」
ふ、と穏やかな笑みを浮かべて、ロベルトがシアンにキスをした。あまりに自然に、優しく柔らかく。
「お、おう……」
「なに、お前。酔うとムラムラするタイプか?」
「まあ……それなりに……」
くすくすと笑ってロベルトが再びシアンにキスする。そこここで冷やかしとからかいの声が上がった。
「ちょっと、あんた……」
「して欲しいんだろ?してやるって」
ちゅ、ちゅ、とロベルトに顔中キスされて、シアンは嬉しさと羞恥の狭間でぐるぐる頭を回した。
「クソぉ……、シアンの粘りがちか……隊長のデレ羨ましいなクソ…ッ」
「兄貴~、俺のチンコの世話も見てくださいよぉ~」
「ハハ。マジで言ってんなら表出ろ。握り潰してやっから」
「ヒッ!兄貴マジの顔やめてくださいってェ!」
こいつ、顔色一つ変えずに泥酔してやがる。
呑んだ酒の量を思えば当然なのだが、顔色も変わらなければ、許容の範囲も変わらぬまま、ただただ泥酔してシアンを甘やかしているな。
「……あんた……、見世物になってんぞこれ……」
「じゃあ面白い話でもしてやろうか?」
「あんたの面白い話、大体カスの嘘の話じゃねーか」
「はは。まあな。やっぱじゃあこっち」
そう言って、ロベルトはまたシアンにキスを降らせる。ほんの軽い触れるだけのキスは、それでも重なればシアンの本気の性欲を引き出すもので。
そもそも、宴会がお開きになった後、シアンはこの男の夜の全てを独占してやろうと思っていたのだ。その劣情に火がつくのは、酔いも助けてあまりに容易だった。
「……おい、あんたいい加減にしないと、ここで襲うぞ」
「へえ?ここで?どうやって?」
ふ、と目を細めて笑ったロベルトに、シアンの元々長くもない堪忍袋の尾が切れた。
ロベルトの胸ぐらを掴んで立たせると、そのまま大口を開いてキスをして、そのままテーブルの上に押し倒した。
「いったれシアン~!」
「外野うるせぇ!!」
背後に向けて怒鳴りつけて、シアンは再び目の前の恋しい男に食らいつくキスをした。
「ん……、ふぅ……、ぅん、ん……」
冷やかしの声、指笛の男、乾杯するジョッキの音。何もかもがうるさいのに遠く聞こえた。
あの意味ありげな伏し目で色気を垂れ流していたロベルトが、ただただなすがままに口の中を蹂躙されている。
「……俺が出来ねぇと思ってんだろ」
「さあ、どうかな」
「クソがよ…っ、!」
上着のボタンを外し、中のタートルネックをたくし上げてまさぐると、ロベルトの悩ましい吐息が漏れる。
「……なぁ、まじでこのままおっ始めたらどうする?」
「いや~さすがにそれはないだろ……ないよな?」
冷やかしの狭間で心配げな声が上がる。
それはシアンの理性を、ほんの少し取り戻させた。
「おい、あんた、このままだとこんな大人数の目の前で俺にぶち犯されんだぞ。いいのかよ」
「……うーん、まあ、うん」
ずいぶんとぼんやりとした返答に、シアンは酔いすぎだろ、と顔をしかめた。
「お前が、やりたいなら…?」
ロベルトの両足がシアンの腰に絡む。悲鳴と冷やかしの掛け声が両方上がる。
「クソこの酔っ払いがよ……」
ぐんと陰茎が立ち上がるのを感じて、シアンは身を屈めてロベルトの肩口に顔を沈めた。
こんなとこで勃起させやがって。くそっ、くそっ。
「……あんたの善がってる顔、人に見せるわけねぇだろ」
「そうか。お前ほんと俺のこと好きだな」
ふ、と笑ってロベルトがシアンのこめかみにキスをする。熱い、熱い唇だ。発情の熱を確かに灯された唇だった。
「……クソ、マジでちんこ限界だから帰る」
「いやこれからセックスします宣言してくな。おめでとう」
「サイコーだよクソが!」
半泣きでシアンはロベルトを引っ張って歩き出した。下半身の膨らみが重く苦しく、衣服のせいでキツくて歩くと痛みさえあった。
「それじゃシアンのチンコの世話してくるから、お前ら飲み過ぎないで楽しくやるんだぞ~」
「いや、隊長までセックスします宣言していかんでください」
はは、と楽しそうに、笑うロベルトと、中堅騎士の呆れた声を聞きながら、シアンはぐっとロベルトの腕を掴んだ。
部屋に入った瞬間、舌を入れるキスをしてやるつもりで体を寄せれば、逆にロベルトの唇に吸われることとなった。ちゅう、ちゅ、ちゅう、と児戯めいた可愛らしい音を立てながら、ロベルトは体をすり寄せながらシアンの唇を吸っている。
その下半身で、性器が緩く立ち上がって、シアンの固くなったものと擦り合っている。
はは、とロベルトが笑った。
「酒くっさ……」
「あんたもだろ」
「ははっ、酔ってるのに元気だな」
言いながら、ロベルトは下に視線を向けて膝を折った。そうしてそのまま、シアンの下半身の膨らみを、悪戯するように鼻筋で撫でた。
「……ッ、おい、あんた」
「こっちもキスしてやろうか?」
「あんたなんで無闇にエロい言い方すんだよ!?」
発作的に飛び出たシアンの大声に、ロベルトは笑って、了承の言葉を待たずに、シアンの下衣を寛げる。途端固く反り返った陰茎が飛び出した。
「こっちは素直だなぁ」
「マ……ジで、口でしてくれんの」
「たまには俺もがんばらないとな」
笑って言って、ロベルトはそのままその口でシアンの陰茎を口に含んだ。その暖かさ、ぬるりと濡れた感覚だけで、シアンはビクリと腰を震わせた。
「……っは、ぁ…、……くそ……っ」
口の中で舌が動いて、陰茎の一つ一つの皺をなぞるようにして愛撫する。ひどくねっとりとしたそれに、シアンの陰茎はさらに膨らんで、ロベルトの口の中を埋めていく。
シアンが快感を得ていると視線が確認すれば、舌で愛撫しながら、口が揺れる。まるでセックスの動きで、じゅう、とシアンの先走りを吸いながら、抜いて、入れて。
それが激しくなれば、片手は陰茎を支え、もう片方の手は追い立てるように陰嚢を揉んで。
「あんた、こんな、こ、れ…っふ、ぅ…、ん、んん…ッ」
ぜってぇこれあんたが昔の女にやってもらったフェラだろ!!腹を立てながら、だがその玄人めいた愛撫に逆らえず、シアンは堪らず腰を振って、暖かくぬかるんだ場所に擦り付ける。
じゅう、とロベルトの口に吸われて、たまらずびくびくと陰茎が震える。射精感を我慢出来そうもなく、シアンは思わず腰を引く。
「っまて、待てって、出る、出るから」
「…うん……」
「うん、じゃなく……って、おい……っ、く、ぅ……うっ……、う、う、くそっ」
呆気なく絞り取られることへの悔しさと、女を虜にする男が自分の陰茎を舐めていることの喜びと、それが他でもない恋する男であるという快感が、入り混じってもう、どうにもらなかった。
混乱の果てに、シアンはぐい、と腰を引いて、ロベルトの口から自分の陰茎を引き抜いた。その口からちゅぱ、と間抜けでいやらしい音が立って、シアンは耐えきれずに射精した。
ビュクッ、ビュクッ、と勢いよく、シアンの精液がロベルトの顔にかかる。咄嗟に目を閉じたロベルトの、額から顎、そしてそのまま胸元まで汚して、シアンは劣情と情けなさの狭間で、荒い息を吐き出していた。
「わ、り……」
どうにかそれだけ吐き出して、震える腰を叱咤しつつ、息を整える。
ロベルトはぼんやりとした顔をしていた。そうして、ペタリ、と自分の顔についた精液を手に擦り付けた。
シアンはこの夜が台無しになる覚悟をした。調子に乗ってわざと顔に掛けたと思われても仕方がない。だから酔いも覚めて、ロベルトの言葉を待った。
シアンの覚悟をよそに、ロベルトはうっとりと笑って、自らの手のひらについたシアンの精液を舐め取って、呟いた。
「……血じゃない」
ぺろぺろと舐めとるロベルトの視線が定まらない。何の話を、と思ったシアンの脳裏に、魔竜討伐の時のロベルトの姿が蘇る。
シアンの血を頭から被って、何時間もそのままでいた。任務の時には魔物の血や肉片を被ることも多かったから、シアンも隊員も、怪我がないと分かればロベルトのその姿を気にも留めていなかった。
ふと思い出す。
魔竜討伐直後、落ち着いてから心理的外傷の傷が開くこともありますから、と治癒術師は、死にかけた経験をしたシアンに向けてそう忠告した。けれど、本当にその忠告が必要だったのは、もしや。
「ロベルト、俺は生きてる。元気が有り余りすぎて、あんたにザーメン絞り取られてんだよ俺は」
「はは……そうだな……」
ロベルトは笑って、自分の手のひらから視線と唇を離して、いくらか柔らかくなった、だが芯の残るシアンの陰茎にキスをした。
「口でされるの、好きそうだな。もう一回してやろうか?」
「あー……また今度やってくれ。今日はもう、あんたの股開かせてぇ」
全部全部気持ち良くして、何も考えられなくしてやりたかった。
ロベルトの乾燥した髪を梳く。最近は随分と風呂の回数が増えたと思っていた。それが何かを洗い流そうとしていたのだと、いま理解して、全部全部、性の匂いで上書きしてやろうと思った。
「元気だなぁ、お前」
「おー。元気すぎて、あんたの足腰ガックガクにして股閉めれないようにしてやるからな。覚悟しろよ」
「っふ、ははっ、は、まあもう処女じゃないし、好きにしろよ。お前が開発したケツだしな」
そう笑うロベルトの顔に陰はない。
だからシアンは遠慮なく、ロベルトを自分のベッドに連れ込んで、幸せに壊してやることにした。
それから三時間ほど後のことである。
弓騎士隊の宴会は様々な意味で多いに盛り上がった。シアンとロベルトに当てられて俺だって恋人作るぞと盛り上がるもの、ロベルトに向けた淡い思慕を破壊されて泣く者、男同士で気持ち悪ぃなと悪態を吐く者、そういう輩と本気で殴り合いの喧嘩をしてケツ掘られてようがウチの隊長の強さには変わりねぇぞなどと叫ぶ者。
それは時を深めててんやわんやの事態となり、食堂の管理人にいい加減にしろと追い出されての今である。
「いや~今日はめちゃくちゃだったな……マジでおっ始めるかと思って焦ったわ」
ロベルトとシアンとは旧知の中堅騎士たちが寮の廊下を歩いていた。歴が長ければ長いほど寮の自室は奥側となり、その内の一人はシアンとは隣室であった。
「つーか隊長、ほんとにマジで今まで何も気付いてなかったんだな。シアン、かわいそうすぎだろ」
「いやでも口説いてあんなゲロ甘になってくれんなら報われたろ。あ~すげぇセックスしてそ」
「この時間まで飲んでて正解だな」
ワハハ、と笑い合って、中堅騎士たちはそれぞれの部屋に戻った。なんだかんだで祝福はしているのである。生々しい現場を見せられそうになって焦りはしたものの。
ロベルトとシアンとは、長い付き合い故に、ほとんど兄弟のような感覚である。だから、男同士がどうとか言うよりも、身内のそういう現場はさすがに気まずいんだよなぁ、という思いがあった。
だから、シアンの隣室の騎士は、部屋に戻り、寝台に横になった瞬間、飛び起きたのである。
はっきりと聞こえるわけではないが、ほとんど等間隔で律動を刻む軋む音を優れた弓騎士の聴覚が捉えた。そして何より。
「…っぁ、あっ…あ"……ッ!……、シア…っ、むり、も、……ッ」
切羽詰まった、上官の甲高い声。常人では言葉の形まで聞こえることはなかっただろうに、獲物を捕らえる優れた狩人である弓騎士の耳には聞こえてしまった。無理、などと弱音を吐いたことのない上官の、本当に懇願するような声。本当にすげぇセックスしとんのかい。
早めに終わるよう、中堅騎士は祈った。
祈りが通じたのか、軋む音が止む。上官の善がり声も。そしてほんの少し、安心したのもつかの間。
再び律動が始まり、中堅騎士は寝台から飛び起きた。
「まだヤんのかい……ッ!!」
そして自室を放棄した。翌朝にはシアンに文句を言ってやると決めて、先ほど笑い合っていた同僚の元へ逃げ込むことにした。
ほぼ同時刻のことである。
ゼファーは懊悩していた。十代の頃以来である。
ロベルトがあんなことを言うからいけない。あの山葡萄と野苺と、微かに柑橘の匂いのする飲み物が、クロード自身の匂いに似ているなどと。
言われてみれば確かにそうで、クロードから届いた手紙には、わずかにその香りがした。
そうと分かって、意識せぬほど泰然とはしていなかった。元々頓着していなかったとはいえ、精力自体は持て余すことの多いゼファーである。
眠りにつくことができず、ゼファーは諦めて体を起こし、机の引き出しから一通の手紙を手に取った。
そうして、もう何度も読み返した手紙を開く。ゼファーが成人の祝いと共に預けた、当たり障りのない手紙への返答だ。クロードもそれほど踏み込んだことは書いてこず、ただただ誠実と聡明ばかりが伝わってくる。
だというのに、その書き記された言葉が、あまりにクロードらしいもので、その文字を追うだけで、あの掠れた少年の声が聞こえるようだった。
青年に差し掛かった、落ち着いた声が、文字に合わせてゼファーを呼ぶ。陛下。それは繰り返し思い出せば思い出すほど、ゼファーの願望が混じって熱を持ち始める。
ゼファー。
一度だけ名で呼ばれたその声が、願望で歪んで閨のものになる。あの時、ほんの少し、舌を絡ませたあの時の響きで。
「……くそ……」
らしくもなく、ゼファーは虚空に悪態を吐き出した。すっかり昂り猛った陰茎はもはやそびえ立つように天を向き、恋しい相手を乞い願っていた。
だがここにクロードはいない。ならば想像の上で自分のものにするしかなかった。
あの高潔の青年を想像の上で汚す、そのことに背徳の興奮と、心底からの罪悪感が葛藤する。だが、罪悪感で止まれるほどの肉欲ならば、元より懊悩してはいない。
ゼファーは手紙をそっと閉じ、机の引き出しにしまい込んだ。恥ずべき悪徳から、純白を隠すように。
そうして、ゼファーは再び寝台へと戻り腰掛けた。そうして大きく息を吐き出し、自身の反り立った陰茎に手を伸ばす。自身で慰めるなど、本当に精通して間もなくの頃以来だった。
誰かに執着していたわけではなかったから、性欲が溜まれば誰か呼び発散していればよかった。
しかしこれは、クロードに、あの青年に触れたい欲だ。他の誰に満たせる欲ではなかった。
陛下。
想像のクロードがゼファーを呼んだ。そうしてクロードの手が触れる。実際には自分の手だと分かっているのに、そう想像するだけで満たされた。
そうして思い出す、クロードの顔、声、手、そして、あまつさえ、あの癒炎剣を抜いた日、全身の火傷を奇跡の癒しの炎で治して見せた日の、病衣から見えた白い足。それを想像して、掴んで、股を開かせたなら。
陛下。
お慕いしております。
出発の日、淡い光の中でそう告げた、高潔の男を想像で汚している。その言葉を、劣情で汚して、善がり声で言わせたいと。
とろり、と想像のクロードの顔が溶ける。あの時キスだけで柔く溶けた顔を、妄想で歪めて善がらせている。酷い悪徳で、酷い誘惑だった。
善がるクロードがぼろぼろと涙を零す。ゼファーの本来知っているクロードの泣き顔は、恐怖と苦痛のものだったというのに、想像で歪めて快感で泣かせている。
陛下、陛下。
泣く顔まで歪めるとは、なんと下劣な。理性ではそう思うのに、その誘惑に逆らうことが出来なかった。
想像の恋しい青年の痴態に、ゼファーの男根は赤黒い血管を浮き上がらせ、ダラダラと溢れ出る先走りの汁がぐちぐち音を立てて、その劣情を解放したがっていた。
「……っクロード、クロード……っ」
たまらずゼファーは恋しい青年の名を呼んだ。答えはないと分かっているのに、呼ばずには耐えられなかった。
クロードの答えはない。
ただただ、想像のクロードは、眉を下げて笑って、ゼファーを許した。
「……っふ、……」
ドクドクと痙攣して、粘りのある精液が溢れ出る。想いばかりが募る射精は長く長く続き、ただただゼファーを恋に狂って下劣な想像で高潔な青年を汚したという事実を叩きつけた。
何とも情けないことだ。どこにも辿り着けずに流れ落ちる精液を見ながら自嘲して、それでも抱えきれぬ恋慕を劣情で吐き出せば、いくらか気が晴れたことに安堵して。
早く帰ってこい、とゼファーは思った。
この私を、これほど情けない男にしたのだぞ、お前は。ゼファーはそう思いながら、自ら吐き出した精液を拭き取った。
ゼファーにそのような想いを抱かせているなど知らないクロードだったが、クロードはクロードで苦労していたのである。
巡礼の旅に出たクロード一行の、宿の部屋割はいつもクロードが一人部屋であった。身分のこともあったが、長年ユーノヴェルト家に仕えた老執事が、『年頃』のクロードに気を使った部分は多くあった。
気を使わなくていいのに、と思ったのは、心底からのことであった。言えば余計に、説き伏せられてしまうと分かっていたし、遠慮の意味以外での真意を言うのは憚られて、結局クロードは黙った。
一人でいれば、ふとした時に王への恋慕が顔を出して、若い体はすぐに反応した。そのことにクロードは困っていた。
元より精通も遅く、性への関心も薄かったクロードである。十五から十七の頃に至ってはそれどころではなかったのだから、ほとんど一人遊びなどしたこともなかった。
要するに、自慰が、壊滅的に下手なのである。
「……っぅ、うー……う、う」
まるで困難な問題に立ち向かうようなうめき声をあげて、クロードは自身の性器に触れていた。
慣れぬ快感に手の動きは乱れ、不慣れな手は必要以上に力強く陰茎を握っている。
ぼろぼろとクロードは涙を零していた。世の男性はこんな辛い思いをして射精をしているのか。実際は全くそんなことはないのだが、さしもの聡明の辺境伯とは言え、性器を握っていればその頭脳も鈍るものであった。
「っはぁ、はっ……は……」
中々射精まで辿り着けず、クロードは一度手を離し、途中休憩とした。
そんな体たらくと言うのに、年頃の青年である。こういう夜は度々あった。
最初はあの出発の日。王に舌の絡むキスまで授けられて、クロードの恋情はとてもではないが耐えきれなかった。
その日始めて明確に誰かを思って自慰をして、クロードは罪悪感で潰れそうになった。こんな不敬を、あんな風に送り出して頂いた後で。
その日を思い出すと、クロードは今だに申し訳なさでいっぱいになる。そう思うのに、ああすれば一番楽に射精まで到達出来ると知ってしまったから、恋しい人の手を、唇を、思い出すのをやめられない。
陛下。
声に出すのは憚られて、クロードは内心で恋しい人の尊称を呼ぶ。そうして、半端に高められた陰茎に再び手を伸ばす。
そうして擦りながら、唇で空いた方の手の指を食む。唇には、何度か触れてもらえた。唇で、指先で。それを思い出して、自分の指先に唇を押しつける。
クロード。
そう呼ぶ低い声を思い出せば、背筋に痺れが走って腰が揺れる。ぼろ、とまた涙が出た。もう楽になりたい。楽になりたいのに、ちゃんと気持ちよくなれない。
いきなり手技が巧みになるわけではないから、クロードは精神的なところで快感を極めなければならなかった。だから、思い出す。
クロード。
そうやって呼ぶ声。抱きしめられた時の体温、力強い腕、厚い胸板。指先で、唇を、額を、触れられたこと。
そうして初めて出会った時。刺すような王の鋭い目。顰められた眼差しと、冷えた声。
「ーーっぁ、う、ぁ、あ!」
一人のベッドの上、ぎゅう、と身を縮めてクロードは絶頂した。思わず自身の指先を噛んで堪えて、ガクガクと腰が揺れるままに任せて射精する。
下手な自慰は、ほとんど自分で焦らせたのと同じことで、長く焦らされた体は、ようやく解放されたとばかりに勢いよく射精をした後、ゆっくりと小さな漏らすような射精を繰り返した。
「……はっ、……はぁ、は……っ」
そうしてようやく射精が終わっても、じっとりとまとわりつく快感は止まらなかった。
それはクロードの絶頂がただの射精ではなく、脳イキと言われるものに近いせいだったのだが、性の知識の薄いクロードにはまだわからぬことだった。
後年、クロードのこの癖を知ったゼファーがその名を寝台で教え、大層に喜んでクロードの体を散々に翻弄することになる。
今この時のクロードはそれを知らぬまま、この旅路の中で迂闊にも自ら才能を発展させて、何度も罪悪感で頭を抱える羽目になるのだった。
そうして、朝。
軍都騎士団寮である。
「……あんなとこでヤッていいわけねーだろ」
寝起き一番、ロベルトが言った言葉にシアンは呆れた。食堂で人を勃起させておきやがってこいつ。
「自分に言えや。焦ったろ」
「いや、昨日はなんかいいかと思って……」
「いいかと思ったんかい」
いいわけねーだろ。シアンはロベルトの言葉をそのままなぞった。公共の施設で人前である。いい理由が一つもない。
「酔っぱらいの判断こええな」
はは、と笑ったロベルトが、ベッドから抜け出ようとして、そのままベッドから落ちる。
シアンより背の高い、鍛えられた男がベッドから落ちれば、それなりに派手な音がした。
「……大丈夫か?」
「お前……ほんとに人の足腰ガックガクにするやつがいるかよ……」
床に寝転んだまま、ロベルトが恨めしげに言った。その尻がベトベトにシアンの精液で濡れている。エロいな。散々交わった後だというのに、シアンは劣情を朝から一つ溜めた。
「するっつったろ」
「言って出来るもんなのかよ」
「あんたの尻の才能がすげぇからじゃねぇか?最後の方、尻だけでイッてる時なかったか?」
「いや……なんか全然覚えてねーんだけど……お前のチンコしゃぶった後ぐらいから」
「ほとんど全部じゃねーか」
血じゃない、と言ったあの言葉を覚えているのだろうか。シアンは疑問に思ったが、聞かないことにした。少なくとも、昨夜は本当に、ロベルトのことを壊してしまえたようだったので。
「酔っぱらいに記憶力期待すんな。いろいろ雑用あんだけど、どうするかな……」
「大事な用事なら変わってやる」
「おお……気が利くな」
「彼氏なんで」
「彼氏ではねぇだろ」
ロベルトの答えは早かった。だが丸め込むチャンスと思ったシアンは追撃をした。
「昨日のこと覚えてねーんだろ」
「覚えてねーけど、付き合うって言わなかったのはわかる」
「チッ」
「このクソガキ」
シアンの舌打ちに、ロベルトは呆れて言った。
「クソガキなんで、大事な用事もご褒美もらわないとやりたくないね。彼氏でもないらしいんで」
「お前が悪いんだろうが。いいからベッドに戻してくれ」
「もう少し甘えて言えよ」
「はぁ~?」
ロベルトが思い切り嫌そうな顔をした。さすがにこれ以上のおふざけは怒らせるか、と判断してシアンは黙ってロベルトをベッドに引き上げた。
「……俺の股閉まんなくさせといて、ひどいんじゃないか?シアン」
「エロいこと言えとは言ってない」
「いや単なる事実。敬礼の姿勢出来る気がしねえんだよな」
「エロいこと言えとは言ってねぇ!!つかあんた、ほんとに忘れてんのかよ!!」
ムラムラと劣情が溜まる。ロベルトは笑う。
「忘れてる忘れてる、シアンのチンコ気持ちいい♡とか言わされてんのも忘れてる」
「覚えてんじゃねーか!!」
「ハハ、お前結構えげつない下ネタ好きだよな」
「……素面で言わすぞ今度……………」
昨夜調子に乗って、言って言わせた淫語の数々を思い出して、シアンはムラつきとイラつきの狭間で言い放った。
「別にいいぞ。またシアンのおちんぽミルク飲ましてくれるんだろ♡」
ロベルトの言葉にシアンの動きが止まる。ロベルトが素面で言うと破壊力がすごすぎる。というか、それ以前に。
「それは言わせてねぇだろ!!!!!!!カスの嘘つくな!!!!!!!!!!!!」
「ダッハハハハ!!!!!」
大爆笑したロベルトが腰を痛めてヒイヒイと泣いて笑うので、シアンはもう一度渾身のカス!!!!!!を言い放った。
そんなやりとりを知っている訳ではないが、ゼファーはロベルトの代わりに来ました、と言ってやってきたシアンをそうか、と特になんの感慨もなく受け入れた。
直接のやりとりを知っているわけではないが、二件ほどの苦情を、ロベルトとシアンの振る舞いのせいで受け取っていたので。
「シアン」
「なんです陛下、神妙な顔して」
「食堂ではやめろ」
ロベルトとシアンのことに、それほど口を出すつもりはなかったものの、公共の場での苦情となれば別だ。
シアンに釘を刺したほうが早いだろうと判断して、ゼファーは端的に言い放った。
「あ~……お耳がはやい。いやー禁欲してる人の前でほんとすいませんね」
「別に禁欲をしている訳ではない」
シアンまでが王の現状を知っていることに、王は咄嗟にロベルトに怨嗟を向けそうになる。
だが、弓騎士隊は王の私室の警備を担当することも多い。これは実際に王の私室に誰も尋ねてこない、という事実から十分に割り出せる推測だろう、とゼファーは怒りを鎮めた。
「そうですか?あの坊ちゃんのために身綺麗にしてんのかと思ったんですけど」
「それを禁欲と言うか?単に誰にでもその気にならなくなっただけだ」
「坊ちゃんでヌいてりゃ満足になったんすか」
あまりに的を得すぎている指摘に、さしものゼファーも一瞬黙った。気持ちが伴わぬ相手と体を重ねるより、クロードを思って自らを慰めるほうが、ずっと気持ちいいことに気づいてしまったから。
「言っていいことと悪いことの区別もつかないのか」
シアンがぎょっとした顔をした。冗談のつもりが、ゼファーから否定の言葉が出なかったことで、真相を突いてしまったことに気づいたのだろう。
「……いや、すんません。マジとは思わなくて……え、本当に?」
「シアン」
「う、わー……すごいな純愛……」
「本当にお前は好き勝手に言う」
重ねて問うてくるシアンに、ゼファーは抵抗を諦めた。
「陛下がずいぶんと隙だらけになったもんで?まあ、俺もこれから色々とめちゃくちゃやると思うんで、陛下も好き勝手言って頂いて」
「円満に収まった恋人同士に今更言うことがあるか」
ゼファーは心底羨んでいる。
心を通わせて、体も通わせて。シアンの顔色を見れば昨夜散々ロベルトがシアンを甘やかしたことなど語るまでもなく分かる。
「ハハ。合意でヤれてるだけでまだ付き合ってないんですよね。あいつ、俺が惚れてたのにも気付いてなかったんで」
「…は?」
何なんだあいつは。ゼファーは幼馴染のことを内心で罵倒した。王より弟弟子を優先しておいて、まだシアンのものになっていないつもりなのか。
「その反応なりますよね~。まあ、そんな訳でここから地道に口説いてくんで……」
「……十年掛けてそこからか?」
「このクソ冷血将軍!!!!やめろや!!!!マジで哀れむの!!!!」
シアンは本気で憤っている。ゼファーはシアンにも呆れた。自覚している感情など関係なく、シアンは十分にロベルトを独占している。
妬ましいな、と思った。そのような感情、今まで感じたこともないというのに、本当に恋というのは恐ろしい。
「お前が好き勝手言っていいと言ったのだろうが。……それに、私はそれほど必死に口説く必要があるとも思わんが」
「あるだろ……」
「人間関係のしがらみから距離を置きたがるロベルトが、身内のお前に体を許した。だから、もう答えは出ているだろう」
「はい?」
これほど言葉を尽くしても分からないというのだから、もう他人には手に負えないだろう。
それでも、理解は出来た。
ただただ、恋する相手からの、好きと、愛してると、そういう言葉を欲する気持ちは。
「気付いていようがいまいが関係ない。ロベルトは、お前をずっと『自分の中の特別の席』に置いている」
「……あの、もうちょっとわかりやすく言ってくれません?」
「さて、自分で考えろ。なにぶん禁欲している人間なのでな、狭量にもなる」
「根に持ってんじゃねーか!!」
喚いたシアンを煩そうにしながら、ゼファーはそれ以上の言葉を与えなかった。
本当に、恋に狂って狭量になっている。
羨ましく妬ましい。もう十分に独占しておいて。
いまだ唇以上を触れていない青年を思い出しつつ、ゼファーはシアンに過酷な用事を申し付けた。
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