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序
紅い衝撃 (後編)
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フワフワする。飛んでいるような感覚だ。俺、どうしたんだっけ?確か全体総会で親父が来て挨拶してて。んん~…それからどうしたんだっけか?
「あれは親父?」
真っ白に広がる不思議な、終わりの見えない空間の中、眼下に手を振る親父がいる。吸い寄せられるように俺の体は段々と親父の方へ。近づくにつれて姿がはっきりとしてくる。
「お・ね・ぼ・う・さ・ん、うふ。」
「ふぉうあああぁぁぁーーー!!」
夢でよかったが目覚めわるっ!あのまま抱きしめられそうな勢いだったわ。それにしても少し体が痺れているような感覚がある。針?おでこに刺さったんだっけ。
「あら、大きな声だしてぇびっくりしたわぁ。元気でよかったわん。」
俺が寝ているベッドの真横に親父がいてヒラヒラと手を振って話しかけてきた。
「そのしゃべり方やめろ!このクソ親父!それになんなんだその格好!恥を知れ恥を!」
親父はきょとんとした顔を見せすぐにニヤリと笑った。
「恥とかひでぇなぁ。俺はこれで飯食ってんだぞぉ?お前の為に頑張って働いてんだ。感謝しろや。」
その手のお仕事だとは知りませんでしたけど!俺の為とか嘘だな。つうか口調戻ったのはいいけどそれはそれで気持ち悪いッ!
「それよりどうだ?とうちゃん特製の麻痺毒はよく効くだろう?はっはっはっ!」
息子に毒盛るとはなんだこの親。俺用に調整したから大丈夫!とかそういう問題じゃない。他の方法は絶対にあったはずだ。とりあえず順を追って説明しろと親父を睨むと、はいはいとやる気のない返事をして話始めた。
まずは問題の女装だ。
「これはちゃんと意味があるぞ。俺が婿養子なのは知ってるだろ?加宮家の持つ能力が仕事上、真砂家に必要でな。そうそう!その時ついていった俺がたまたま見かけたお前のかあちゃんに一目惚れしちゃってさーへへっ。そんでな、両家にとって有益だーってんでくっついたんだけど加宮家の能力ってのが女性にだけ継承されるもんでよ。俺が使えないのはまずいもんだからダメ元でこの格好して継承の儀式やたら何とかなっちまってさー?うけるよな。加宮家のご先祖にもいたのかね?まぁ、この格好してなきゃ使えないから制限はあるんだがな…。」
某2丁目じゃなくてよかったと思えばいいのか。母親の記憶ないから出会いはなんとも言えないけど。それにしてもちゃんとした意味なのかなこれ?親父の実家、大分適当だが大丈夫か?
「あぁ、今こうしてんのは先生が親なのは嫌かと思ってお前の為に親バレしないようにしてんだぞ。」
…親バレとか余計な気を回さないで欲しかったわ。今、まさに、親バレしたくないと強く思ってるよ。
んじゃ次。
「なんでこの学校か?そりゃ依頼人がここの理事長だからだな。これは秘密だぞ?内容もな。あ、あとお前にドッキリ仕掛けたかったからもあるけど壱弥と沙織里が喋っちゃったんだよな、残念だわぁ。」
あーだから先生たちは何も反応しなかった、出来ないわな。なるほど、一部の先生の目が死んでたのはそのせいか。ドッキリは成功してるから喜べ親父。
あぁそうだ!と親父が話を振ってきた。
「そういえばお前、【不視】なんだって?やるじゃーん?」
合宿の時とかに壱弥から聞いてるはずだろうけどいたずらに笑いながら言う素振りはやっぱり、駄能力としてなのも知ってるんだ。
「よくねぇよ!中途半端に発現したせいで自分の身を滅ぼしてるようなもんだし…。」
くそー改めて自分で言うと悲しくなる。しょんぼりと項垂れた俺の頭を親父がぽんぽんと叩く。えぇー優しいの気持ち悪い。
「そんな顔するなって。ほれ。これ、結緋ちゃんにもらったんだろ?使ったのか?」
いつ持ってきたのか。かばんにいれてたはずの結緋さんがくれた巾着袋を親父が持っている。使うってあれを?
「おー流石結緋ちゃん。良いもの作るね。センスが古いのは治らないみてぇだなぁ、はははは!」
中身を取り出してじっくり見てから、俺にそっと、あの瓶底メガネさんを掛けた。
「…に、似合ってる、じゃないか。ぶっふっ!」
笑ってますよね?わかってたけどさ?これ見たかっただけだろ。俺は親父の白衣の襟を掴み、プルプルと震えながら瓶底メガネ越しに睨んだ。
「まぁまぁ…ぷふっ。そろそろ効果出てきてるんじゃないか?」
はぁー面白かったと俺の手を軽く払いのけ、どかっとイスに座り足を組み、俺の様子をみている。ナニかが見えそうです。
「あっ…?熱いっ!あっつ!うぁっ!あっちぃぃいい!!」
目が鬼のように熱くなって来た。ヤバイ、これはかなりヤバイ!目が焼ける…!!メガネを取ろうにも癒着してるように張り付いて取れないし!結緋さーん!これはどういうことですかぁーー!目の前が真っ白だよー?!
「おうおう!順調だねぇ。よかったなぁあきひくん。」
この状態のどこがそう見えるんだ!助けろよ…!
「くっ…うん?あれ、熱くない…?俺の目…ある?」
ふっと熱さが消えた。うん、目あるな。親父の姿がしっかり見えるしな。それに何体か妖怪の姿が見え…え?
「どうだ?見えるようになったろ?」
【不視】がなくなった?いやいやいやいいんだけど良くはない。出来れば妖怪の類いから離れられるようにして欲しかったのだけど。
「そりゃお前、うちの跡取りなんだから能力消すわけにはいかないしよ、正常な気の流れに戻しただけだ。それにいくら結緋ちゃんでも真砂家の血の力は消すことは出来ないだろ。あの子は真砂家そのものみたいなもんだしなぁ。」
そうか。俺がちゃんと消してほしいと意思表示したわけでもないし、そもそも真砂家の人間が作ったものだ。俺に気持ちに優位に働く訳はない、か。
「んー…でもお前、ハイブリッドだからこの効果も一時的なものだろなぁ。いつまで持つかはわからんがそれまでにちゃんと【不視】能力、制御できるように修業するんだな。」
あ、完全に戻ってるわけじゃないのか。確かに少しぶれて見えるような気もする。
「待て。修業?俺はそんなことするつもりは…!」
「無いんだろ?じゃあまた駄能力に戻って、まわりの人間に迷惑かけて、困らせてろ。それで勝手に死ね。自分でどうにか出来んなら話は別だがな。」
…言葉に詰まる。
壱弥は何度も俺の部屋に不法侵入する。きっと心配させてたんだろう。沙織里は会話にいつも大丈夫?と付けて言ってくる。結緋さんは俺の為に贈り物作ってくれた。センスはともかくとして。
…あの茨木も俺を助けて、駄能力【不視】を分かってて見るな、とも言った。助けたのは俺の為じゃないにしてもだ。
あーあ。やっぱり親の言葉に、生まれに、逆らえないのか。どちらにせよ迷惑かけて生きてても俺の望むつつましい生活は程遠いってことかな。
「何したらいいんだ…。」
親父は俺の言葉を待っていたかのように再びニヤリと笑い言葉を返す。
「何をすればいいのか教えてください、だろぅ?」
言い返せないのをいいことにこの親父は…!
「教えて…くださいっ…!でもな!【筒師】の修業はやらないぞ!【不視】の制御だけだからな!」
「はははははっ!」と笑う親父から目をそらし、俺は静かに拳を握り、決意を固める。
散々逃げてきたがこうなりゃ仕方ない、やってやるよ。俺のつつましくも平穏な人生のためにな!
「あれは親父?」
真っ白に広がる不思議な、終わりの見えない空間の中、眼下に手を振る親父がいる。吸い寄せられるように俺の体は段々と親父の方へ。近づくにつれて姿がはっきりとしてくる。
「お・ね・ぼ・う・さ・ん、うふ。」
「ふぉうあああぁぁぁーーー!!」
夢でよかったが目覚めわるっ!あのまま抱きしめられそうな勢いだったわ。それにしても少し体が痺れているような感覚がある。針?おでこに刺さったんだっけ。
「あら、大きな声だしてぇびっくりしたわぁ。元気でよかったわん。」
俺が寝ているベッドの真横に親父がいてヒラヒラと手を振って話しかけてきた。
「そのしゃべり方やめろ!このクソ親父!それになんなんだその格好!恥を知れ恥を!」
親父はきょとんとした顔を見せすぐにニヤリと笑った。
「恥とかひでぇなぁ。俺はこれで飯食ってんだぞぉ?お前の為に頑張って働いてんだ。感謝しろや。」
その手のお仕事だとは知りませんでしたけど!俺の為とか嘘だな。つうか口調戻ったのはいいけどそれはそれで気持ち悪いッ!
「それよりどうだ?とうちゃん特製の麻痺毒はよく効くだろう?はっはっはっ!」
息子に毒盛るとはなんだこの親。俺用に調整したから大丈夫!とかそういう問題じゃない。他の方法は絶対にあったはずだ。とりあえず順を追って説明しろと親父を睨むと、はいはいとやる気のない返事をして話始めた。
まずは問題の女装だ。
「これはちゃんと意味があるぞ。俺が婿養子なのは知ってるだろ?加宮家の持つ能力が仕事上、真砂家に必要でな。そうそう!その時ついていった俺がたまたま見かけたお前のかあちゃんに一目惚れしちゃってさーへへっ。そんでな、両家にとって有益だーってんでくっついたんだけど加宮家の能力ってのが女性にだけ継承されるもんでよ。俺が使えないのはまずいもんだからダメ元でこの格好して継承の儀式やたら何とかなっちまってさー?うけるよな。加宮家のご先祖にもいたのかね?まぁ、この格好してなきゃ使えないから制限はあるんだがな…。」
某2丁目じゃなくてよかったと思えばいいのか。母親の記憶ないから出会いはなんとも言えないけど。それにしてもちゃんとした意味なのかなこれ?親父の実家、大分適当だが大丈夫か?
「あぁ、今こうしてんのは先生が親なのは嫌かと思ってお前の為に親バレしないようにしてんだぞ。」
…親バレとか余計な気を回さないで欲しかったわ。今、まさに、親バレしたくないと強く思ってるよ。
んじゃ次。
「なんでこの学校か?そりゃ依頼人がここの理事長だからだな。これは秘密だぞ?内容もな。あ、あとお前にドッキリ仕掛けたかったからもあるけど壱弥と沙織里が喋っちゃったんだよな、残念だわぁ。」
あーだから先生たちは何も反応しなかった、出来ないわな。なるほど、一部の先生の目が死んでたのはそのせいか。ドッキリは成功してるから喜べ親父。
あぁそうだ!と親父が話を振ってきた。
「そういえばお前、【不視】なんだって?やるじゃーん?」
合宿の時とかに壱弥から聞いてるはずだろうけどいたずらに笑いながら言う素振りはやっぱり、駄能力としてなのも知ってるんだ。
「よくねぇよ!中途半端に発現したせいで自分の身を滅ぼしてるようなもんだし…。」
くそー改めて自分で言うと悲しくなる。しょんぼりと項垂れた俺の頭を親父がぽんぽんと叩く。えぇー優しいの気持ち悪い。
「そんな顔するなって。ほれ。これ、結緋ちゃんにもらったんだろ?使ったのか?」
いつ持ってきたのか。かばんにいれてたはずの結緋さんがくれた巾着袋を親父が持っている。使うってあれを?
「おー流石結緋ちゃん。良いもの作るね。センスが古いのは治らないみてぇだなぁ、はははは!」
中身を取り出してじっくり見てから、俺にそっと、あの瓶底メガネさんを掛けた。
「…に、似合ってる、じゃないか。ぶっふっ!」
笑ってますよね?わかってたけどさ?これ見たかっただけだろ。俺は親父の白衣の襟を掴み、プルプルと震えながら瓶底メガネ越しに睨んだ。
「まぁまぁ…ぷふっ。そろそろ効果出てきてるんじゃないか?」
はぁー面白かったと俺の手を軽く払いのけ、どかっとイスに座り足を組み、俺の様子をみている。ナニかが見えそうです。
「あっ…?熱いっ!あっつ!うぁっ!あっちぃぃいい!!」
目が鬼のように熱くなって来た。ヤバイ、これはかなりヤバイ!目が焼ける…!!メガネを取ろうにも癒着してるように張り付いて取れないし!結緋さーん!これはどういうことですかぁーー!目の前が真っ白だよー?!
「おうおう!順調だねぇ。よかったなぁあきひくん。」
この状態のどこがそう見えるんだ!助けろよ…!
「くっ…うん?あれ、熱くない…?俺の目…ある?」
ふっと熱さが消えた。うん、目あるな。親父の姿がしっかり見えるしな。それに何体か妖怪の姿が見え…え?
「どうだ?見えるようになったろ?」
【不視】がなくなった?いやいやいやいいんだけど良くはない。出来れば妖怪の類いから離れられるようにして欲しかったのだけど。
「そりゃお前、うちの跡取りなんだから能力消すわけにはいかないしよ、正常な気の流れに戻しただけだ。それにいくら結緋ちゃんでも真砂家の血の力は消すことは出来ないだろ。あの子は真砂家そのものみたいなもんだしなぁ。」
そうか。俺がちゃんと消してほしいと意思表示したわけでもないし、そもそも真砂家の人間が作ったものだ。俺に気持ちに優位に働く訳はない、か。
「んー…でもお前、ハイブリッドだからこの効果も一時的なものだろなぁ。いつまで持つかはわからんがそれまでにちゃんと【不視】能力、制御できるように修業するんだな。」
あ、完全に戻ってるわけじゃないのか。確かに少しぶれて見えるような気もする。
「待て。修業?俺はそんなことするつもりは…!」
「無いんだろ?じゃあまた駄能力に戻って、まわりの人間に迷惑かけて、困らせてろ。それで勝手に死ね。自分でどうにか出来んなら話は別だがな。」
…言葉に詰まる。
壱弥は何度も俺の部屋に不法侵入する。きっと心配させてたんだろう。沙織里は会話にいつも大丈夫?と付けて言ってくる。結緋さんは俺の為に贈り物作ってくれた。センスはともかくとして。
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あーあ。やっぱり親の言葉に、生まれに、逆らえないのか。どちらにせよ迷惑かけて生きてても俺の望むつつましい生活は程遠いってことかな。
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親父は俺の言葉を待っていたかのように再びニヤリと笑い言葉を返す。
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