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序
舞い降りた…(前編)
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「あーちゃん、大丈夫?」
「ぅーなんとかなぁ…。」
月曜日、俺は自分の机に伏せていた。
ものすごく体調が悪い。ひどく熱が出た時の風邪の体のダルさに近い状態だ。熱は平熱だったのだが、よく学校までこれたと思う。まぁいろんな事が重なりすぎて一気に疲れが出たのだろう…無理もない…無理もないよほんとに。俺はただつつましくも穏やかな普通の高校生生活をするはずだったのに。週末からのGW明けには一大イベントの親父が襲来するし。平穏はやってこない…。
「うぅぉあぁぁ~…。」
「ねぇ、壱弥くん…本当に大丈夫かなぁ?あーちゃんの顔の怖さがいつもの3倍だよっ!」
動きはいつもの3倍遅いがなー。顔も怖くていいよもう。
「沙織里さん、これは大変だよ。今日どうにかしないと死ぬよ秋緋。」
「えぇー?!」と慌てる沙織里。そんなこと信じるなよ。こういう冗談言う時のあいつの顔は…あれ?よく知ってる顔じゃない。壱弥の表情が真顔すぎる。
え?俺、死ぬの?まじ?
「ここは沙織里さんの出番かもね。秋緋、お昼休みまで意識飛ばさないように頑張って。」
壱弥はそう言うと教室の隅で沙織里とコソコソと話をし始めた。
話終わったのか沙織里が俺のところへ戻ってきた。
「あーちゃん!わたしが癒してあげる!お昼は一緒に過ごすんだよっ!ふたりっきりで!」
声が、でかいわっ!教室全体がざわついてるよっ!
ところどころで「天使ちゃんがまさか…」とか「俺の天使ちゃんがぁ!」とか聞こえてくる。少し前から沙織里は容姿、人当たり嫌味のない天然さも相まって男女問わず学校内で注目の的。
実家が教会の沙織里は祖先に外国人の血が混ざっているせいか、少し日本人離れしている顔立ちと色素の薄い髪。綺麗な緑色の瞳。まぁ、あとはふくよかな?―もあるけど。とにかく!美少女で細かい気遣いと、どんな生徒にも優しいまさに【天使】として浸透しつつあるのだ。
【天使】なんてうまいことあだ名をつけられたものだと感心するわ。壱弥の入れ知恵であんな発言したのだろうけど、視線がいたい。体も痛い。最悪だよ。とりあえず生きることに集中してお昼まで意識を保とう。この時俺は気付かなかった。一際鋭い視線を送っているクラスメイトがいたことに。
*****
何度目かのチャイムが鳴った。お昼、やっとお昼だ。
午前中の授業は何一つ頭に入っていない。移動教室も体育もない日でよかったと心底おもう。保健室に行けばいいと思うだろうが勉強が遅れてしまうのを懸念して無理して残ってみた。結果無駄な努力だったけど。
「あーちゃん、さ!いこ!」
元気よく沙織里が声をかけてきて引きずるように俺を連れていく。何処へ連れてかれているのだろうか。階段をやっとのことで登りながら歩くこと数分。どうやらここは屋上のようだ。風が気持ちいい。
「よーし始めるよっ!横になってね!」
言われるがまま成すがままに、俺は横になる。
「かおりちゃん、お願いね!」
胸元からネックレスにしている細長い綺麗な細工のされたガラスの香水瓶を取りだし、蓋をあけて呼び出したのはこれまた綺麗なアメリカンショートヘアの子猫…じゃないんだよな、うん。
えーと確か「かおりちゃん」てのは…金細工の綺麗な手持ちの香炉を持った下半身が霧というか霞がかっている着物の女の子の妖怪だったかな…ちゃんとした名前は【霞香姫】。
「うん、そうなの。それで取り除いてついでにリラックスさせてあげてほしいいの。うん!」
何かしゃべってるなぁ。俺には子猫が俺の顔の匂い嗅いだり体の上に上り歩き回ってる。あ、なんかいい匂いがしてきた。癒されるわ…。
「ちゃんと間違えないで出来たみたい!よかったー!」
間違えてたらどうなっていたのか説明を願いたいわ。恐ろしい。沙織里いわく後15分くらいこの状態でいたら大丈夫になるらしい。「お昼買ってきてあげる!」と二人きり?にされた。ふたりっきりでってこういうことだったの?沙織里はアホだけど少し気にしてくれてもいいんだけどなぁとか…って何考えてるんだ俺は。
…
……普通に動けるようになったが、沙織里が帰ってこない。
15分はとっくに過ぎ、0分以上は経っている。購買が混んでいるのかと思ったがこね…霞香姫の様子がおかしい。慌てる様子で屋上の扉をすり抜けて行った。何だろう?俺は思い出した。あの時のあの視線。なんかヤバイ奴がいたと。
俺は違う意味で目立つが、沙織里もまた目立つ存在になっている。女子慣れしていない男子がひょんなことで優しくされて勘違いして…狂信的に沙織里を慕うようになっていたら…今日のあの発言はかなり危険な発言になる。仕方ない。
俺も後を追うように屋上から出ることにした。
「ぅーなんとかなぁ…。」
月曜日、俺は自分の机に伏せていた。
ものすごく体調が悪い。ひどく熱が出た時の風邪の体のダルさに近い状態だ。熱は平熱だったのだが、よく学校までこれたと思う。まぁいろんな事が重なりすぎて一気に疲れが出たのだろう…無理もない…無理もないよほんとに。俺はただつつましくも穏やかな普通の高校生生活をするはずだったのに。週末からのGW明けには一大イベントの親父が襲来するし。平穏はやってこない…。
「うぅぉあぁぁ~…。」
「ねぇ、壱弥くん…本当に大丈夫かなぁ?あーちゃんの顔の怖さがいつもの3倍だよっ!」
動きはいつもの3倍遅いがなー。顔も怖くていいよもう。
「沙織里さん、これは大変だよ。今日どうにかしないと死ぬよ秋緋。」
「えぇー?!」と慌てる沙織里。そんなこと信じるなよ。こういう冗談言う時のあいつの顔は…あれ?よく知ってる顔じゃない。壱弥の表情が真顔すぎる。
え?俺、死ぬの?まじ?
「ここは沙織里さんの出番かもね。秋緋、お昼休みまで意識飛ばさないように頑張って。」
壱弥はそう言うと教室の隅で沙織里とコソコソと話をし始めた。
話終わったのか沙織里が俺のところへ戻ってきた。
「あーちゃん!わたしが癒してあげる!お昼は一緒に過ごすんだよっ!ふたりっきりで!」
声が、でかいわっ!教室全体がざわついてるよっ!
ところどころで「天使ちゃんがまさか…」とか「俺の天使ちゃんがぁ!」とか聞こえてくる。少し前から沙織里は容姿、人当たり嫌味のない天然さも相まって男女問わず学校内で注目の的。
実家が教会の沙織里は祖先に外国人の血が混ざっているせいか、少し日本人離れしている顔立ちと色素の薄い髪。綺麗な緑色の瞳。まぁ、あとはふくよかな?―もあるけど。とにかく!美少女で細かい気遣いと、どんな生徒にも優しいまさに【天使】として浸透しつつあるのだ。
【天使】なんてうまいことあだ名をつけられたものだと感心するわ。壱弥の入れ知恵であんな発言したのだろうけど、視線がいたい。体も痛い。最悪だよ。とりあえず生きることに集中してお昼まで意識を保とう。この時俺は気付かなかった。一際鋭い視線を送っているクラスメイトがいたことに。
*****
何度目かのチャイムが鳴った。お昼、やっとお昼だ。
午前中の授業は何一つ頭に入っていない。移動教室も体育もない日でよかったと心底おもう。保健室に行けばいいと思うだろうが勉強が遅れてしまうのを懸念して無理して残ってみた。結果無駄な努力だったけど。
「あーちゃん、さ!いこ!」
元気よく沙織里が声をかけてきて引きずるように俺を連れていく。何処へ連れてかれているのだろうか。階段をやっとのことで登りながら歩くこと数分。どうやらここは屋上のようだ。風が気持ちいい。
「よーし始めるよっ!横になってね!」
言われるがまま成すがままに、俺は横になる。
「かおりちゃん、お願いね!」
胸元からネックレスにしている細長い綺麗な細工のされたガラスの香水瓶を取りだし、蓋をあけて呼び出したのはこれまた綺麗なアメリカンショートヘアの子猫…じゃないんだよな、うん。
えーと確か「かおりちゃん」てのは…金細工の綺麗な手持ちの香炉を持った下半身が霧というか霞がかっている着物の女の子の妖怪だったかな…ちゃんとした名前は【霞香姫】。
「うん、そうなの。それで取り除いてついでにリラックスさせてあげてほしいいの。うん!」
何かしゃべってるなぁ。俺には子猫が俺の顔の匂い嗅いだり体の上に上り歩き回ってる。あ、なんかいい匂いがしてきた。癒されるわ…。
「ちゃんと間違えないで出来たみたい!よかったー!」
間違えてたらどうなっていたのか説明を願いたいわ。恐ろしい。沙織里いわく後15分くらいこの状態でいたら大丈夫になるらしい。「お昼買ってきてあげる!」と二人きり?にされた。ふたりっきりでってこういうことだったの?沙織里はアホだけど少し気にしてくれてもいいんだけどなぁとか…って何考えてるんだ俺は。
…
……普通に動けるようになったが、沙織里が帰ってこない。
15分はとっくに過ぎ、0分以上は経っている。購買が混んでいるのかと思ったがこね…霞香姫の様子がおかしい。慌てる様子で屋上の扉をすり抜けて行った。何だろう?俺は思い出した。あの時のあの視線。なんかヤバイ奴がいたと。
俺は違う意味で目立つが、沙織里もまた目立つ存在になっている。女子慣れしていない男子がひょんなことで優しくされて勘違いして…狂信的に沙織里を慕うようになっていたら…今日のあの発言はかなり危険な発言になる。仕方ない。
俺も後を追うように屋上から出ることにした。
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