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ノるの? ノらないの? 7※弱R18指定で
しおりを挟む~小林side~
頭の先まで、ほわほわした感じで満たされる。
たった数滴のラム酒のせいじゃない。
(この人、キスがめちゃくちゃ上手いんじゃ……?)
そこまでキスの経験があるわけじゃないけど、今…キスに酔うという感覚を味わされている。多分。
そんな気がする。
ふわふわしたままで水無瀬さんを見つめれば、すこし余裕のある表情で「ふ…」と笑われた。
「で?」
と切り出されたものの、何に対してだ?
首をかしげる俺に、また目を細めて微笑んでから。
「童貞の小林くんは、卒業してみたい? っていっても、俺が相手だけど。それでもいいなら…」
そういいながら俺の手を取って、自分の唇にあてて、チュッ…とキスをした。
BLでもそれ以外のでも読んだことがある。
手のひらへのキスのようなその行為の意味を、そのまま受け取っていいのか戸惑う。
目の前の人がそれを知っているのか。知らずに、そこに唇をあてたのか。
(……いや。でも、水無瀬さんに俺へのそんな気持ちがあるわけが……)
相手への懇願や愛情を示すモノ。言い方を変えれば、求愛を示すと説明しているサイトもある。
無言で水無瀬さんを見つめる俺から目をそらさず、手のひらへのキスをやめてその手を自分の頬にあてる。
そのままで首をかしげて、囁くような声で俺に告げた。
「寝てみたいなら、相手するけど? ヤる方? ヤられる方? どっちにしとく?」
童貞の卒業と言っておきながら、選択肢を増やしてきた。
そしてそのセリフは、俺からすれば意外なもの。
普段の水無瀬さんの印象を塗り替えることが出来ない。
酔っぱらった水無瀬さんを見て、新しい一面だなと思ったものの、たった今、自分に選択肢を突きつけてきたそれを飲み込めないでいる。
言っていることはまるで、ビッチな発言じゃないか。
体の関係ってものは、そんなに軽い口調で言えるモノなのか? 安易に決めていいコトなのか?
見た目だけでいえば、どちらかといえばお堅い印象の方が多い水無瀬さん。
「俺はどっちの経験もあるから、どっちでもいいよ? 童貞卒業するのにビビってたら、ヤられる方でもいいし。どっちだって相手になれるよ? ……それとも、今夜はそんな気分になれなさそうかい?」
そんなことをしてしまうと想定しても、同じ会社の人間相手にその手の提案をしてしまって、その後の付き合いに支障は出ないのか?
「あ。ちなみに、俺ってバイだから。それと、今はフリーね? だから、あまりいろんなこと気にしないでいいよ」
いやいや、俺が気にしているのはそこだけじゃない。
「……それとも、俺じゃ…役立たず? キス、気持ちよくさせられなかった?」
水無瀬さんがさっきしてきたキスのことでそう呟いたのを聞いて、反射的に俺は声をあげた。
「まさか! あんなキス、初めてだ……った」
勢いつけて声をあげて、その最中に自分が何を言っているんだ? と恥ずかしくなって声が小さくなっていった。
顔を赤くしてうつむいた俺に、水無瀬さんがクックック…と声を殺すようにして笑っているのが聞こえる。
「笑わなくてもいいじゃないですか」
恥ずかしくて、目をそらしたままそう呟けば、水無瀬さんはまだ笑いをこらえたようにして。
「喜んでもらえてなによりだよ」
と、続けた。
「喜んで…なん、て」
言葉にされると、恥ずかしさがよりリアルになる。
水無瀬さんに背を向けて、顔のほてりがおさまるのを待っていると首元に柔らかい感触。
ちゅ…というリップ音とともに、水無瀬さんがそこに何度もキスを落としている。
なまじな知識で知っていることが、脳内で俺を困惑させていく。
首や首筋へのキスの意味は、相手への執着。仲がよい同僚程度じゃしないキス…とか書いてあったような。
「無防備すぎるよ? 小林くん」
そう囁いては、いくつもキスを落としていく。
首筋に沿うように触れていく唇が、耳へと上がった瞬間、俺の心臓がバクバクと激しく鳴りだした。
それまでだって動揺したように、とくとくと心音は鳴り響いていたのに、耳に唇が触れた瞬間。
(…う、わっ。これって、本気で誘ってる?)
錯覚しそうになっては、自分を引き戻す。戻そうとするのに、そのたびに水無瀬さんのキスが俺を呼ぶ。
「ね……どっちにするのか決めてよ。こっちはもう…その気だよ?」
すこしだけ低く甘く囁く、誘惑の言葉。
一葉とは違うことを、ここでも理解する。
そして、もうひとつ。否が応にもわかってしまうのは、さっきからじんわりと体に熱が集まりはじめていること。
一葉へは抱かなかった感情が、確かに生まれつつあることを意識させられてしまう。
「水無…瀬さ、んっっ……」
呷らないでくれと願いたい気持ちを込めて、彼の名を呼んでも。
「ん……、可愛いね」
耳裏にふに…と触れた唇が、はむ…と耳たぶを咥えてしまう。そして、俺の願いを簡単に手折る。
背中から抱きついてきて、ゆるく絡みつくような格好で俺の胸の前で腕をクロスさせて、俺の左腕を彼の右手が握って離さない。
左から回された左腕は腰骨の少し上あたりを締めつけて、指先だけが徐々に腰骨をなぞるように下りてくる。
思わず腰がピクンと震えてしまって、それに気づかれたくなくて俺は声を殺す。
勝手に反応して、俺を戸惑わせていくその指先。
「ダメ…です、よ」
また会社で顔を合わせるだろう相手と出来ないと思うのに、水無瀬さんの指先は止まらない。
「ね……わかってるんでしょ? ココ、反応しはじめてるってこと」
触れるか触れないかの強さで、熱を帯び始めたそこをなぞられてしまう。
「あ……っ」
思わず漏れ出た自分の声に、驚きを隠せない。
「ね。答えてよ。…どっちでシたい? ヤる方? ヤられる方?」
ボーッとしてきた頭で、自分の意識外から俺の声で誰かが答える。
「ヤる方が…イイ」
と。
「イイよ。相手、してあげる。……じゃあ、準備してくるけど、待てるよね?」
急に背中がひんやりして、水無瀬さんが離れたんだと知る。
「へ…?」
何を聞かれているのかわかっていないまま、俺は曖昧にうなずく。
「ふ。……小林くんって、面白いね。この後が楽しみ。じゃあ…バスルーム行ってくるから」
そういいながら、バスルームへ向かいつつ、一枚また一枚と脱いでいく。その背中をぼんやりしながら俺は眺めていた。
フラッとして、そのまま床にへたりこんだ。
視線を上げると時計はとっくに深夜を示していて、明日が休みでよかったと思った。仕事だったなら、とてもじゃないけど集中出来ていたか自信がない。
遠くから聞こえ始めたシャワーの水音に、さっき水無瀬さんが言っていたことを辿りはじめた。
『バスルームへ行く』
『この後が楽しみ』
『準備』
『相手して
「は……? 相手、してあげる?」
思い出しかけて、脳内だけじゃなく思わず口からもれた。
そして、いまだに固さを保ったままの熱を帯びたモノ。
手のひらを額にあてて、うつむく。
「俺……なにやってんだよ。なに…シようとしてんだよ…」
これからの展開が容易に想像できる。
水無瀬瑞という男に、俺は喰われてしまうという未来を。
静かな部屋に、水音だけが響いていたはずなのに、その隙間にかすかにノイズのように艶めいた声が割り込んできた。
バスルームの方へと視線を向けても、その姿が見えるはずもないのに、そっちを向いてしまう。
熱を帯びたままのモノを持て余してしまう。
(俺は…男が好きなわけじゃない……はずなのに。どうして……こんな…)
迷っている気持ちを自覚しているのに、今ならこの場から逃げられるはずなのに、俺の足は玄関へは向かない。
ふらりと立ち上がり、吸い寄せられるようにバスルームへと歩き出す。
脱衣所を通り、すりガラスの向こうに見えている肌色の塊に目を奪われる。
ごくりと唾を飲み、手を取っ手へと伸ばした。
軽く力を込めただけで、ドアはかんたんに中へと押し開けられる。
「は…ぁ……っ」
湯気がこもるバスルームには、腰を突き出す格好ですこし体を捻りながら、これから使うだろう場所へ指を何度も出し入れしている水無瀬さんがいて。
「待てる…よね? って…、ンンッ…言った、のにっ」
俺が現れても、その指を止めることなく準備を繰り返していく。
「水無瀬…さん……」
引き締まった体が、ほんのり紅潮していて、シャワーでしっとり濡れた髪がやけに艶めかしい。
「待てない子は、手伝って…くれる、よね?」
くちゅりと指をそこから抜くと、誘うように俺へ手を差し出した。
「きてよ、ココに。これから自分を気持ちよくしてくれるトコ、…舐めてくれるよね?」
ふらふらと夢遊病者のように彼に近づき、突き出した格好のままの場所へと膝をつく。
ヒクヒクと小さく動き、ピンクに色づいて俺を待っているようにも見えるその孔に。
「あ……っっ」
顔を近づけて、舌先を突き出し尖らせて。
じゅる…っと鈍い音をさせながら、俺はソコに誘われるがままに愛撫を繰り返す。
舌先を躍らせ、時には抉るように深く突き刺し、キュッと舌先を締めつけられることすら自分を呷る材料の一つにして。
「うん……じょー……ず…ンッ、あ…っ、指も…使って?」
夢の中にいるような気持ちで、言われるがままにソコをほぐし続けていた。
その最中に、彼が一度だけ達してしまい。
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とか恨みごとを言われながら。
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