23 / 45
二十二話 審議会の前準備1(ソフィア視点)
しおりを挟む
「リズ様。急な要請に尽力いただき恐縮です。いかがなさいますか?もう一度、ベクター弁護士から主張と要望の話を伺いますか?」
「っ!」
意地悪く提案すると、ベクター弁護士が面白いくらい体を跳ねさせた。
本当、こういう瞬間は楽しいわ。
悪党の鼻を明かすのは。
さっきまで死ぬ思いをしてきたから、これくらいは許されるでしょう。
◇◇◇
事態が急変したのは、リリーシアに貴族間異議申立審議会申請の書類に、サインしてもらったあとだった。
アジトに帰るとリーガル公爵家の使いが待っていたのだ。師匠が調べると言っていたピエール・バシュの情報が手に入り、共有しに来たのかと思ったが、師匠の右腕で、元凄腕暗殺者の従者が使いに出されたことで、師匠の方で『面倒なこと』が発生しているとすぐにわかった。
アジトの貴重品すべてを運び出して、師匠の元に行けば、お忍びで王妃様がいるのだから大体想像がついた。
案の定、親子鑑定書不正作成の件に加わりたいと言われた。
ジロリと師匠を見たら、目をそらされた。
親子鑑定書不正作成を公にすれば、ローゼンタール伯爵が死ぬ可能性があるから、慎重にことを運ぶ手筈だったのに、よりにもよって王妃様に漏らすなんて……。
十中八九国王様の耳にも入っているだろう。
断頭台に首を押し込まれる伯爵と、絶望の涙を流すリリーシアの顔が想像できた。
「はぁ……。一つ条件があります」
「何かしら?」
「万が一、ローゼンタール伯爵を罪に問わなければならなくなった場合、人知れずにお願いします。それこそ、事故死、病死で」
「あらっ」
上座に座る王妃様は、扇を開いてこちらを覗き見た。優しげな目の形をしているが、ビリビリと威圧感を思わせる。
だが、ここで引いたら女が廃るわ。
「刑罰に意見しようとは、己が羽虫だと理解できていないのかしら?」
王妃様の目が細められた。
背中がゾクゾクする。
おそらく『お前など簡単に殺せるぞ』と言っているのだろう。
「羽虫でも、蜂には猛毒の針がございます」
――返り討ちにしてやるぞ。
「ホホホ。あの小さな針ね」
――小娘の攻撃など目じゃないってことね。
「フフフ。あんな小さな針でも、泣き所に刺さればたまったものではありませんけどね。誰にでも泣き所はありますから」
――侮っていると急所を狙うぞ。
王妃様の笑顔が深まった。
「ほう……。泣き所……」
「えぇ。例えば、駆け込み教会の本当の役割とか」
「……」
「実は、ずっと前からおかしいと思っていたんですよ。あの場所を支援しているのは王妃様だとすぐに調べがつきました。あの場所に表だってちょっかいを出せば王妃様に喧嘩を売る行為と捉えられるため、貴族たちは暗黙のルールで教会自体に攻撃はしない。しかし、中を探ろうと密偵くらい潜り込ませようとするだろうに、それもしていない。なぜか?してないのではなく、できないから。シスター・ハンナは王妃様の忠実な部下ですね。それから、他のシスターたちはもちろん、定期的にあそこに出入りする商人、雑用係の男性、教会に礼拝しにくる老夫婦、他にもちらほら」
「……」
王妃様は何も言わないが、目で『根拠は?』と聞かれた気がした。
「ときどきですが、足音がしないんですよ。隙だらけなのに、どこから攻めてよいかわからない不気味さがある。まるで、師匠の従者のように」
私を迎えに来た元凄腕暗殺者の従者のことだ。
「彼らをそこに配置する理由。市井調査のためかと考えましたが、守りの堅さから『重要な拠点』だと思いました。王都の端に位置し、密偵を入れない堅い守り、王妃様の忠実な部下が配置されている。あの教会は王城から脱出する道の出口、ですよね」
王妃様の雰囲気が一気に冷たくなった。
「ご安心ください。蜂は相手が自分の縄張りに入ったり、攻撃しなければ襲いません。そんなに警戒することはありませんよ」
王妃様が攻撃してこないのなら、こちらに争う意思はないと伝えると、「はぁ~」とため息をつかれた。
「エルヴィス殿……。弟子にどんな教育をしているのですか?」
「はて。別段特別なことはしていませんな」
「度胸といい、洞察力といい、推理力といい。部下にしたいわ」
王妃様は扇を閉じて、ニッコリ笑った。
「ハハハ、お戯れを。王妃様には優秀な部下が多数いるではないか。セレス教会のシスター・ハンナは優秀な人材ですよ」
師匠は優雅に紅茶を飲んでいる。
やはりシスター・ハンナは王家の『影』か。
王家お抱えの暗躍部隊といえばいいのかな。噂では表にできない諜報・裏工作・暗殺まで、王家のために働く裏騎士と言われている。
「エルヴィス殿」
「ソフィアは私の弟子です」
「……はぁ。本題に戻りましょう」
王妃様がまっすぐこちらを見た。
「ローゼンタール伯爵の刑罰の件は善処しましょう。他に要望は?」
「ローゼンタール伯爵夫人の娘アリアと、護衛騎士オーウェン・シャンドリーの親子鑑定書が欲しいです。また、夫人を安全な場所にかくまっていただきたい。最後に、離婚後、夫人が安心して暮らせるようご助力下さい」
「……それだけ?」
「と言いますと?」
「貴女の望みはないのかしら?」
「私の、ですか……」
聞かれて、別段欲しいものもないなと思った。
師匠のように有名な弁護士になりたいのかと聞かれたら、答えは否である。
大口裁判。もとい貴族間の裁判に興味はない。
私は弱い立場の人に寄り添う弁護士になりたいと思っている。まぁ、もう少し知名度を上げないと依頼人が私と出会えないんだけど……。
それは平民街でコツコツ仕事をしていけば、自ずと知名度も上がるし、今回の審議会でより知名度も上がるだろうから、望みを聞かれても思い付かないのだ。
「では、貸し一つでお願いします」
「貸し?」
「はい。現状、私自身で王妃様に願いたい望みはありません。ですが、人生何があるかわかりませんから。助けていただきたいとき、改めてお願いにあがります」
呆れと驚きでか、王妃様がぽかんとした顔をした。そして、徐々に肩を震わせて「ハハハハ!」と大声で笑い出した。
「なんて豪胆なの!面白いわ。ねぇ、やっぱりわたくしの部下にならない?貴女のような度胸のある女性は大好きなの」
「部下はご遠慮します。ただ、仕事の御依頼なら考えさせていただきます」
「ぷっ。わたくしに向かって考えるって、アハハハ!いいわ。楽しい」
笑いが収まらないのか、しばらく王妃様は笑っていた。
「仕方ないわね。勧誘はまたの機会に」
王妃様から提案されたのは、セレス教会へ繋がっている秘密ルートを使って、リリーシアとオーウェンを王城に招いて、そこでオーウェンとアリアの親子鑑定を行う案だった。
それから、リリーシアとアリアは、そのまま王城で匿えば安全が確保できる。
離婚後は王妃様が領地改革を進める港町に住み、子育て支援を受けられるように手配してくれると約束してくれたのだった。
ただ、親子鑑定書不正作成の証拠や調査資料の開示・提出程度では割りに合わない。黒幕を追い詰めるために『囮役』をすることを交渉された。
さすが王族と少々呆れた。
「審議会の日、ローゼンタール伯爵夫人が教会から王城に行かないと、敵は不審に思うでしょう。もしかしたら、秘密ルートの存在を知られてしまうかもしれないわ。そんなリスクは犯せないのよね。ソフィアがやってくれないなら、王城で彼女を匿う訳にはいかないわ。まぁ、王城で匿わなくても、教会内での安全は保証するわ。ただ、王城に来るまでの道のりが心配ね。赤子を連れたひ弱な女性を護衛しながら連れて来るのは大変だと思うわ。足手まといがいるよりは、手練れだけで迎え撃つ方が断然楽でしょうね~」
コロコロと無邪気に笑いながら、こちらが断れないように話を詰められた。
結局、王妃様の手の上で踊ったように思えた。
貴族間異議申立書を提出すれば、私にも危険が及ぶだろう。それなら、リリーシアのフリをして教会で安全に過ごす方がマシだし、王妃様の影が全面協力してくれると言うことで、私は危険な囮役をすることになった。
影の人がオーウェンに変装するという話も出たが、それに関してはオーウェンに決めてもらうよう話をすすめた。
まぁ、あいつは進んで囮役になるお人好しだから、いらない気遣いだろうけど、リリーシアと離れることをどう考えるかわからないから、念のための処置だ。
「審議会当日が楽しみね」
黒幕は必ず当日に動く。
そこを一網打尽にするのよ。
「っ!」
意地悪く提案すると、ベクター弁護士が面白いくらい体を跳ねさせた。
本当、こういう瞬間は楽しいわ。
悪党の鼻を明かすのは。
さっきまで死ぬ思いをしてきたから、これくらいは許されるでしょう。
◇◇◇
事態が急変したのは、リリーシアに貴族間異議申立審議会申請の書類に、サインしてもらったあとだった。
アジトに帰るとリーガル公爵家の使いが待っていたのだ。師匠が調べると言っていたピエール・バシュの情報が手に入り、共有しに来たのかと思ったが、師匠の右腕で、元凄腕暗殺者の従者が使いに出されたことで、師匠の方で『面倒なこと』が発生しているとすぐにわかった。
アジトの貴重品すべてを運び出して、師匠の元に行けば、お忍びで王妃様がいるのだから大体想像がついた。
案の定、親子鑑定書不正作成の件に加わりたいと言われた。
ジロリと師匠を見たら、目をそらされた。
親子鑑定書不正作成を公にすれば、ローゼンタール伯爵が死ぬ可能性があるから、慎重にことを運ぶ手筈だったのに、よりにもよって王妃様に漏らすなんて……。
十中八九国王様の耳にも入っているだろう。
断頭台に首を押し込まれる伯爵と、絶望の涙を流すリリーシアの顔が想像できた。
「はぁ……。一つ条件があります」
「何かしら?」
「万が一、ローゼンタール伯爵を罪に問わなければならなくなった場合、人知れずにお願いします。それこそ、事故死、病死で」
「あらっ」
上座に座る王妃様は、扇を開いてこちらを覗き見た。優しげな目の形をしているが、ビリビリと威圧感を思わせる。
だが、ここで引いたら女が廃るわ。
「刑罰に意見しようとは、己が羽虫だと理解できていないのかしら?」
王妃様の目が細められた。
背中がゾクゾクする。
おそらく『お前など簡単に殺せるぞ』と言っているのだろう。
「羽虫でも、蜂には猛毒の針がございます」
――返り討ちにしてやるぞ。
「ホホホ。あの小さな針ね」
――小娘の攻撃など目じゃないってことね。
「フフフ。あんな小さな針でも、泣き所に刺さればたまったものではありませんけどね。誰にでも泣き所はありますから」
――侮っていると急所を狙うぞ。
王妃様の笑顔が深まった。
「ほう……。泣き所……」
「えぇ。例えば、駆け込み教会の本当の役割とか」
「……」
「実は、ずっと前からおかしいと思っていたんですよ。あの場所を支援しているのは王妃様だとすぐに調べがつきました。あの場所に表だってちょっかいを出せば王妃様に喧嘩を売る行為と捉えられるため、貴族たちは暗黙のルールで教会自体に攻撃はしない。しかし、中を探ろうと密偵くらい潜り込ませようとするだろうに、それもしていない。なぜか?してないのではなく、できないから。シスター・ハンナは王妃様の忠実な部下ですね。それから、他のシスターたちはもちろん、定期的にあそこに出入りする商人、雑用係の男性、教会に礼拝しにくる老夫婦、他にもちらほら」
「……」
王妃様は何も言わないが、目で『根拠は?』と聞かれた気がした。
「ときどきですが、足音がしないんですよ。隙だらけなのに、どこから攻めてよいかわからない不気味さがある。まるで、師匠の従者のように」
私を迎えに来た元凄腕暗殺者の従者のことだ。
「彼らをそこに配置する理由。市井調査のためかと考えましたが、守りの堅さから『重要な拠点』だと思いました。王都の端に位置し、密偵を入れない堅い守り、王妃様の忠実な部下が配置されている。あの教会は王城から脱出する道の出口、ですよね」
王妃様の雰囲気が一気に冷たくなった。
「ご安心ください。蜂は相手が自分の縄張りに入ったり、攻撃しなければ襲いません。そんなに警戒することはありませんよ」
王妃様が攻撃してこないのなら、こちらに争う意思はないと伝えると、「はぁ~」とため息をつかれた。
「エルヴィス殿……。弟子にどんな教育をしているのですか?」
「はて。別段特別なことはしていませんな」
「度胸といい、洞察力といい、推理力といい。部下にしたいわ」
王妃様は扇を閉じて、ニッコリ笑った。
「ハハハ、お戯れを。王妃様には優秀な部下が多数いるではないか。セレス教会のシスター・ハンナは優秀な人材ですよ」
師匠は優雅に紅茶を飲んでいる。
やはりシスター・ハンナは王家の『影』か。
王家お抱えの暗躍部隊といえばいいのかな。噂では表にできない諜報・裏工作・暗殺まで、王家のために働く裏騎士と言われている。
「エルヴィス殿」
「ソフィアは私の弟子です」
「……はぁ。本題に戻りましょう」
王妃様がまっすぐこちらを見た。
「ローゼンタール伯爵の刑罰の件は善処しましょう。他に要望は?」
「ローゼンタール伯爵夫人の娘アリアと、護衛騎士オーウェン・シャンドリーの親子鑑定書が欲しいです。また、夫人を安全な場所にかくまっていただきたい。最後に、離婚後、夫人が安心して暮らせるようご助力下さい」
「……それだけ?」
「と言いますと?」
「貴女の望みはないのかしら?」
「私の、ですか……」
聞かれて、別段欲しいものもないなと思った。
師匠のように有名な弁護士になりたいのかと聞かれたら、答えは否である。
大口裁判。もとい貴族間の裁判に興味はない。
私は弱い立場の人に寄り添う弁護士になりたいと思っている。まぁ、もう少し知名度を上げないと依頼人が私と出会えないんだけど……。
それは平民街でコツコツ仕事をしていけば、自ずと知名度も上がるし、今回の審議会でより知名度も上がるだろうから、望みを聞かれても思い付かないのだ。
「では、貸し一つでお願いします」
「貸し?」
「はい。現状、私自身で王妃様に願いたい望みはありません。ですが、人生何があるかわかりませんから。助けていただきたいとき、改めてお願いにあがります」
呆れと驚きでか、王妃様がぽかんとした顔をした。そして、徐々に肩を震わせて「ハハハハ!」と大声で笑い出した。
「なんて豪胆なの!面白いわ。ねぇ、やっぱりわたくしの部下にならない?貴女のような度胸のある女性は大好きなの」
「部下はご遠慮します。ただ、仕事の御依頼なら考えさせていただきます」
「ぷっ。わたくしに向かって考えるって、アハハハ!いいわ。楽しい」
笑いが収まらないのか、しばらく王妃様は笑っていた。
「仕方ないわね。勧誘はまたの機会に」
王妃様から提案されたのは、セレス教会へ繋がっている秘密ルートを使って、リリーシアとオーウェンを王城に招いて、そこでオーウェンとアリアの親子鑑定を行う案だった。
それから、リリーシアとアリアは、そのまま王城で匿えば安全が確保できる。
離婚後は王妃様が領地改革を進める港町に住み、子育て支援を受けられるように手配してくれると約束してくれたのだった。
ただ、親子鑑定書不正作成の証拠や調査資料の開示・提出程度では割りに合わない。黒幕を追い詰めるために『囮役』をすることを交渉された。
さすが王族と少々呆れた。
「審議会の日、ローゼンタール伯爵夫人が教会から王城に行かないと、敵は不審に思うでしょう。もしかしたら、秘密ルートの存在を知られてしまうかもしれないわ。そんなリスクは犯せないのよね。ソフィアがやってくれないなら、王城で彼女を匿う訳にはいかないわ。まぁ、王城で匿わなくても、教会内での安全は保証するわ。ただ、王城に来るまでの道のりが心配ね。赤子を連れたひ弱な女性を護衛しながら連れて来るのは大変だと思うわ。足手まといがいるよりは、手練れだけで迎え撃つ方が断然楽でしょうね~」
コロコロと無邪気に笑いながら、こちらが断れないように話を詰められた。
結局、王妃様の手の上で踊ったように思えた。
貴族間異議申立書を提出すれば、私にも危険が及ぶだろう。それなら、リリーシアのフリをして教会で安全に過ごす方がマシだし、王妃様の影が全面協力してくれると言うことで、私は危険な囮役をすることになった。
影の人がオーウェンに変装するという話も出たが、それに関してはオーウェンに決めてもらうよう話をすすめた。
まぁ、あいつは進んで囮役になるお人好しだから、いらない気遣いだろうけど、リリーシアと離れることをどう考えるかわからないから、念のための処置だ。
「審議会当日が楽しみね」
黒幕は必ず当日に動く。
そこを一網打尽にするのよ。
3,226
あなたにおすすめの小説
お姉様、今度は貴方の恋人をもらいますわ。何でも奪っていく妹はそう言っていますが、その方は私の恋人ではありませんよ?
柚木ゆず
恋愛
「すでに気付いているんですのよ。わたくしやお父様やお母様に隠れて、交際を行っていることに」
「ダーファルズ伯爵家のエドモン様は、雄々しく素敵な御方。お顔も財力も最上級な方で、興味を持ちましたの。好きに、なってしまいましたの」
私のものを何でも欲しがる、妹のニネット。今度は物ではなく人を欲しがり始め、エドモン様をもらうと言い出しました。
確かに私は、家族に隠れて交際を行っているのですが――。その方は、私にしつこく言い寄ってきていた人。恋人はエドモン様ではなく、エズラル侯爵家のフレデリク様なのです。
どうやらニネットは大きな勘違いをしているらしく、自身を溺愛するお父様とお母様の力を借りて、そんなエドモン様にアプローチをしてゆくみたいです。
皆さん、覚悟してくださいね?
柚木ゆず
恋愛
わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。
さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。
……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。
※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。
婚約者と妹が運命的な恋をしたそうなので、お望み通り2人で過ごせるように別れることにしました
柚木ゆず
恋愛
※4月3日、本編完結いたしました。4月5日(恐らく夕方ごろ)より、番外編の投稿を始めさせていただきます。
「ヴィクトリア。君との婚約を白紙にしたい」
「おねぇちゃん。実はオスカーさんの運命の人だった、妹のメリッサです……っ」
私の婚約者オスカーは真に愛すべき人を見つけたそうなので、妹のメリッサと結婚できるように婚約を解消してあげることにしました。
そうして2人は呆れる私の前でイチャイチャしたあと、同棲を宣言。幸せな毎日になると喜びながら、仲良く去っていきました。
でも――。そんな毎日になるとは、思わない。
2人はとある理由で、いずれ婚約を解消することになる。
私は破局を確信しながら、元婚約者と妹が乗る馬車を眺めたのでした。
婚約者が妹と婚約したいと言い出しましたが、わたしに妹はいないのですが?
柚木ゆず
恋愛
婚約者であるアスユト子爵家の嫡男マティウス様が、わたしとの関係を解消して妹のルナと婚約をしたいと言い出しました。
わたしには、妹なんていないのに。
お姉様。ずっと隠していたことをお伝えしますね ~私は不幸ではなく幸せですよ~
柚木ゆず
恋愛
今日は私が、ラファオール伯爵家に嫁ぐ日。ついにハーオット子爵邸を出られる時が訪れましたので、これまで隠していたことをお伝えします。
お姉様たちは私を苦しめるために、私が苦手にしていたクロード様と政略結婚をさせましたよね?
ですがそれは大きな間違いで、私はずっとクロード様のことが――
格上の言うことには、従わなければならないのですか? でしたら、わたしの言うことに従っていただきましょう
柚木ゆず
恋愛
「アルマ・レンザ―、光栄に思え。次期侯爵様は、お前をいたく気に入っているんだ。大人しく僕のものになれ。いいな?」
最初は柔らかな物腰で交際を提案されていた、リエズン侯爵家の嫡男・バチスタ様。ですがご自身の思い通りにならないと分かるや、その態度は一変しました。
……そうなのですね。格下は格上の命令に従わないといけない、そんなルールがあると仰るのですね。
分かりました。
ではそのルールに則り、わたしの命令に従っていただきましょう。
婚約者と家族に裏切られたので小さな反撃をしたら、大変なことになったみたいです
柚木ゆず
恋愛
コストール子爵令嬢マドゥレーヌ。彼女はある日、実父、継母、腹違いの妹、そして婚約者に裏切られ、コストール家を追放されることとなってしまいました。
ですがその際にマドゥレーヌが咄嗟に口にした『ある言葉』によって、マドゥレーヌが去ったあとのコストール家では大変なことが起きるのでした――。
隣にある古い空き家に引っ越してきた人達は、10年前に縁を切った家族でした
柚木ゆず
恋愛
10年前――まだわたしが男爵令嬢リーリスだった頃のこと。お父様、お母様、妹は自分達が散財した穴埋めのため、当時住み込みで働いていた旧友の忘れ形見・オルズくんを悪趣味な貴族に高値で売ろうとしていました。
偶然それを知ったわたしはオルズくんを連れてお屋敷を去り、ジュリエットとガスパールと名を変え新たな人生を歩み始めたのでした。
そんなわたし達はその後ガスパールくんの努力のおかげで充実した日々を過ごしており、今日は新生活が10年目を迎えたお祝いをしていたのですが――その最中にお隣に引っ越してこられた人達が挨拶に来てくださり、そこで信じられない再会を果たすこととなるのでした。
「まだ気付かないのか!? 我々はお前の父であり母であり妹だ!!」
初対面だと思っていた方々は、かつてわたしの家族だった人達だったのです。
しかもそんな3人は、わたし達が気付けない程に老けてやつれてしまっていて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる