【完結】フィクション

犀川稔

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6.5話 送った後の赤城と佐々木家

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 芦野を送ってから携帯を見ると佐々木から連絡が入っていた。
「お前何時に来るー?」
 ...あー、良かった。普通に軽く八つ当たりしたけど全然こいつ気にしてなかったわ。佐々木に「そのうち」と連絡を返し携帯をしまった。

 言うつもりはなかったんだよな...。愛されキャラって言うのはすげぇわかるんだけど、目の前で芦野が触れられてんの見るの嫌だしだからと言って、今日あのタイミングで言うのは俺さすがにズルかったよなー...。あーやらかした。
 日に日に悪化する自分の嫉妬深さに引くわ......。
 いつもは音楽を聴く電車で何も聞かずただずっと今日の事を思い返していた。
「はぁー。」とため息を吐いていると携帯が鳴った。見ると芦野からだった。

「今日は多大なるご迷惑をお掛けし大変申し訳なく思っております。めんどくさいのにたくさん話聞いてくれてありがとう!あと全部細かく説明してくれてありがとう!確かに僕も他の人が赤城と距離近かったら嫌だって思ってるだろうしそれを自分はしちゃってたから本当ごめん。赤城の気持ち教えてくれてありがとう!あの後お風呂で色々考えたんだけどやっぱり僕赤城のことめっちゃ好きっぽいのね!でもさ、赤城は恋愛上級者のパーフェクトイケイケボーイだけど、僕は初心者マークの凡人だからこれからもわからないことめちゃめちゃあるかもで、またわけわかんない事言っちゃうかもだけど、僕は赤城と色んなことしたいって思ってるのね!ほんとに!だからもっと恋人っぽくなれるように努力していくから温かく見守ってくれると嬉しい。揉めたりすると毎回クソなが長文送ってごめん!これ以上書くとさらにキモくなるからここでやめとく!!今日もありがとう!いい夢みてね。おやそみ!」

 ......いや待て。なんだ?えっとー...。
 とりあえず引いてなくて良かっただけどさ。可愛すぎね?保護したいレベルだわ。色んなことしたいって......。え、俺の認識で合ってるやつかこれ。やべー、難問すぎるわ。
 今度芦野に聞いてみるか。可愛いんだよなー毎回。お風呂で俺のこと考えてんだー、やばーー。
 恋のL◯NEに「ありがと、おやそみ。」と赤城は返した。

「うーっす。」
 佐々木の家に着いて呑気にゲームをしてる佐々木たちに声をかけた。
「お、赤城じゃん~!おつー。」
 新山も赤城の少し後に家に来た。2人でダラダラ話してると佐々木が近くまで来て赤城に話しかけた。
「お前今日機嫌悪かったべ?」
「あ?あー、帰りん時?」
「そーそ。」
「まあね、元カノ関連で色々あった。」
 佐々木と赤城の会話を横で聞いていた新山が口を出す。
「何それ、なにがあったん?長いのだるいから簡潔によろー。」
「元カノが復縁求めてきた。」
「今新しいやつできたの知ってんの?」
「知った上で戻れだとさ。」
「いかれてんな。」
 他人事のように笑う新山を赤城は軽く足で蹴った。
「で、それでイラついた赤城にサンドバッグくらったのが芦野くんか。」
「......。」
「芦野くん?」
 飲み物を取りに行きながら話す佐々木に新山が聞いた。
「そうそう。今日一緒に帰る約束してたんだとさー。とんだとばっちりだわな、芦野くん。」
 自由気ままに話す佐々木に「へぇー。」と言いながら赤城を見る新山。
「お前らいつの間に仲良くなったの。自販一緒に行ったりしてるけど。」
「...委員会。一緒だしそれで成り行きで~かな。」
「なるほどね。」
 話をしてると玄関の方からガチャッと音がした。
「我が弟が帰還したわ。」
 佐々木の弟はリビングに入ってくる事なく2階に向かった。
「なんだあいつも機嫌悪いなこれは。今日みんなどうした?どうした?」
 佐々木が笑いながら黙り込む新山を見た。
「......ほっとけ。」
「やっぱお前絡みかよ、うけるわ。」
 新山が佐々木の飲んでいたバナナオレをぶん取り飲み切って空の牛乳パックを返した。
「おいお前!まだ開けたばっか!」
「...なんのことだか~。まあ優しいから仲直りがてら千隼ちはやくん誘って買ってきてやるよ。」
 新山が舌を出しながら笑って佐々木に言った。
「お前な~。それが恋人の兄貴にする事かー?お前からもなんか言ってやれよ。」
 佐々木が赤城の肩を組んでため息を吐いた。
「ついでに俺の炭酸も頼むわ、種類はセンスでー。」
「あいよー。」
 赤城の言葉に後ろを向いたまま手を振って、新山は2階に上がって行った。
「マジどう思うよ、あれ。」
「......まぁ、仲直りできんならいいんじゃね。兄としても多めに見てやれよ。」
「友達が自分の弟の恋人ってだけでもなかなかキショいポジの俺なのに、バナナオレまで飲まれる俺の気持ちよ。」
「そこに足を踏み入れたくないから俺はノーコメで。」
 話から逃げ携帯ゲームを始める赤城に佐々木がのしかかった。
「......賭けようぜ、喧嘩の内容。負けた方明日の昼奢りな。」
 勝手に賭けを持ち掛けた佐々木を無視して赤城はゲームをした。

 赤城だけが残りほかの友達はみんな帰って行った。ダラダラ佐々木と赤城が話していると新山と千隼が帰ってきた。
「うーっす。」
 リビングに入ってきた二人が仲良く手を繋いてるのを見た佐々木が「滅べ。」と言い、みんなで笑った。

「んじゃ補導時間なるし、俺帰るわー。」
 赤城が立ち上がると「俺もー。」と新山が立ち上がった。千隼の頬にキスをして「またね。」と笑って言った。
「......一生やってろ。」と言う佐々木と寂しそうにしている千隼を置いて赤城と新山は佐々木家を出た。

「......で、喧嘩原因は?」
 一緒に駅まで帰る新山に赤城が聞いた。
「それ聞いちゃう?」
「お前もさっき元カノの聞いてきたじゃん。フェアじゃなくね?」
「......まあ確かに。...いやー...、佐々木んち、人の出入り多いからまあわからんくはないけどさ。個人的に俺がいない時誰かが千隼の部屋入るの嫌なんだわ。お前と佐々木は付き合ってんの知ってるけど他の奴らは知らないからさ。しょうがないことではあるけど、やめてほしいって向こうに言ってんのにこの前家着いてあいつの部屋行ったら絡まれてんのにヘラヘラして話してんの見たら、まーそれはそれはイラついたんだわ。」
「あーね、...そんで?」
「で、ムカついて千隼のこと放置してあいつらと遊んでたら拗ねて丸一日連絡返して来なかった。まだ俺の中で解決できてないけどこのままってわけにもいかないし話し合って和解ってことになったわ。」
「へぇー。」と返した赤城に新山が聞いた。
「てかお前の恋人同じ学校?」
「......なんで?」
「いや、さっきの話。元カノそんな感じならこれからもしばらく復縁持ち掛けてくるっしょ。同じ学校なら絶対耳に入るし、自分の恋人そんな感じなら大丈夫だってわかってても不安なるわ。」
 新山にそう言われて「...そっすね。」と小さい声で赤城が言った。

 そこからお互い思い詰めたようにため息を吐いた。駅に着いてそれぞれホームに向かうために別れると、赤城は携帯を出し恋からのL◯NEを見返した。
 ......あー、ゲロ可愛いな。しかもこの子俺のらしいし、俺だけのって。...やばー嬉しい。癒されるわ。早く会いたいな。
 そう思いながら電車に乗り込み家に帰った。
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