【完結】フィクション

犀川稔

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7.5話 恋人の特権

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「今芦野の家の前にきてるんだけど出て来れる?」

 赤城からL◯NEが入ってベットから飛び起きた。今日はあれからずっと上の空で何もやる気になれなくて気づいたらベットに寝転がってた。どう自分の中で消化していけばいいものか悩んでいた時にまさか赤城が来るとは思わなかった。
 急いで家から出て、会いに行った。
 外に出ると赤城が恋に気がついて手を振った。
「なんで...!来てくれたの?」
「うん。今日あんま顔見れなかったし、それで土日挟むのはあんまりだわ。」
 ......イケメンすぎないか。僕の恋人。パーフェクトすぎるって。
 少し歩いて近くの公園に入った。
 ベンチに座って嬉しくてニコニコしている恋に赤城が気になっていた話を持ち出した。
「......あのさ、なにがあったの?...今日なんかあったでしょ。」
「...え。」
 顔が引き攣る恋に赤城が「うーん。」と悩んだ。
「言いたくないとかなら全然無理強いしないけど、また気を遣って言わないでいるとかなら...話して欲しいかな。」
 赤城の顔を見て、恋は少し考え込んでから赤城の手を握った。
「あのさ、好きって。言ってほしい。」
「好きだよ。すごい好き。」
 即答する赤城の顔を見て恋は声を出して笑った。そんな恋を見て赤城は困惑して「え?」と言った。
 笑いがおさまってから「ふぅー。」と息を吐いて恋が話した。
「いや、大丈夫。これは本当に大丈夫な方ね!......あのね、僕ね。ちょっと不安になったの。すごいめんどくさいやつなんだけどさ、ちょっと周りが赤城といい感じだとかそういう雰囲気ある感じに見えるとすぐマイナス思考になるって言うか。全然僕自身の問題だから赤城はなんも悪くないからね。それで今日松井まついさんが赤城と復縁できそうって話してるの聞いちゃって。それでなんか僕の知らないところで話進んでる?って焦っちゃってさ。ごめんそもそも僕の知らなところでなに話してようが赤城の勝手なのに知らない事があるのが嫌だって思っちゃったんだよね。めっちゃ幼稚でごめんあとダラダラ長く話してごめんね。僕説明下手かも伝わったかな。」
 泣くのを堪えてるのか震えた声で話し続ける恋にずっと頷いて赤城は聞いていた。恋が全部話し切るのを待ってから口を開いた。
「松井とは本当になんもないから安心してほしい。思い当たるのだと学校の自販機で当たり出て一本他のやつにあげたんだけど、そいつが面白半分で松井に赤城からって言って渡しといたって言われて多分それのことだと思う。まじで直で話してないしこれからもする気はない...のと、俺芦野に隠し事とかなんもしてないし知らないでほしいことも何もないよ。なんなら全部知ってほしいって思ってるよ。あんまりダサいと思って出さない努力はしてるけど芦野が考えてるより結構重いし、正直誰も触れるなって思ってるよ。友達でさえね。だから本気で俺芦野以外どうも思ってないし眼中にないから心配無用だわ。......って、俺も熱弁してみたけど伝わった?」
 赤城は真剣に恋を見つめて話した。
 恋はボロボロ涙を溢して泣いた。赤城がハンカチで恋の涙を拭った。
「...ハンカチ持ち歩いてるのポイント高くね。さすがイケメン。」
「いや、泣きながら言う事じゃなくない?」
 恋が泣きながら笑った。

「いやでもほんとごめん。普通に心配になるようなタネ撒いたの俺だから。仲川に今日聞いてさ。不安になって来たんだよね。」
 恋が落ち着いてきてから赤城が話した。
「仲川?」
「うん。俺全然気づけなくてさ。仲川が教えてくれたんだよね。さすがに自分が情けないわ。」
 ため息を吐いて下を向く赤城の手を恋が繋いだ。
「でもここまできてくれた。」
「そりゃ来るでしょ。俺芦野が呼んだらどこに居ても来るよ。」
「それは言い過ぎ。」と恋が笑った。
「あ......。でもごめん。さっきあんなに語ったけど言ってないこと一個あるわ。」
「え、なに?」
 少し間を空けてから、気まずそうに赤城が佐々木に付き合ってる事を遠回しに言ったことを話した。

「え、佐々木くんに言ったの!?」
「うん。勝手にごめん。全然言う気はなかったんだけど結構詰められたし、あいつの周りにも同性で付き合ってるやついるから抵抗ないのわかってたからさ。変に周りに聞いて回られるより話が早いかもなって思って。」
「そっか。」
「ごめんね。」と繰り返し言う赤城に恋が首を振った。
「違う違う。言ってほしくなかったんじゃないよ。僕だって仲川に無断で言っちゃったから前科あるし...ただ、僕なんかと付き合ってるって言っちゃっていいのかなって思って。赤城のことだから、松井さんみたいに可愛い子とか色々いるじゃん。だから何であいつなんだって思われないかなって......。」
 不安そうに話す恋を見て赤城が頭を掻いた。
「んー...。あのさ、なーんでそこに松井が出てくるのかわからん。あと俺の中で芦野は1番可愛いから。だから自分なんかってやつやめてほしいし俺が好きなのは芦野なの。それちゃんとわかってほしいんだけど。」
 ちょっと不服そうに言う赤城の頬に恋がキスをした。びっくりして赤城が恋を見た。
「ごめん......と、ありがとう、のキス?ってやつ...です。」
 恋はしてから、自分がした事に恥ずかしくなり外方を向いた。その様子を見た赤城が微笑んでこっちを向かせてキスをした。
「...っ、いきなりはだめ。」
「芦野が先したんじゃん。」
「そうだけど......。」
 赤くなる恋に赤城は頭を撫でた。
「恋人っぽい事してみたの?」
 悪戯に笑って恋を自分の膝上に乗せて向かい合わせにした。恋は前から見つめてくる赤城から顔を背けた。
「ねえ芦野?」
 ビクビクしながら赤城を見る恋に優しく声をかける。
「もっかいして?芦野からしてほしい。」
 そう言って赤城は目を閉じた。赤城の言葉に吃驚して恋は戸惑った素振りをしてからもう一度赤城にキスをした。それに赤城は満足そうに笑った。
「キス、好き?」
 真っ赤になる恋に赤城が聞いた。
「わかんない。......赤城が初めてだし、まだそんな慣れてないから。そんな事考えてる余裕がない。」
 あたふたする恋を愛おしそうに赤城が見つめた。
「この体勢地味に恥ずかしいし...何でそんな見てくるの。顔熱いし今絶対顔赤いからあんまり見ないで...ほしい。」
 目を合わせないように逸らして降りようとする恋を赤城は抱きしめた。
「だって他の奴はこんな近くでこんな可愛い顔してる芦野見れないでしょ。...恋人の特権、ってやつだよ。今日だけ...もうちょっとだけ。」
 そう言って赤城は恋を抱きしめた。恋も嬉しそうに微笑んで赤城を抱きしめた。

「......なんか最近僕すごい恥ずかしい事言ったりさせられてない?」
 恋の家の前まで帰っている時に恋が言った。
「そんな事ないよ。可愛いよ。それに恋人っぽい事できてるしいいじゃん。」
 恋は赤城の言葉に流されて「確かに。」と納得した。
「じゃ、俺は帰りますんで。家着いたらまたL◯NEしやす。」
「はい!わかった、ありがとう!気をつけてね。」
 赤城は手を離して歩き出した。
 少し離れた時にハッとして恋が赤城のところまで走って後ろから抱きついた。
「.......え。」
「赤城!本当に今日ありがと!あと言い忘れた。僕も好き。赤城の事大好き。おやすみ!」
 そう言って走って家の中に入って行った。

 角を曲がって恋の家が見えなくなると赤城は座り込んだ。
「......いや、生殺しすぎる...。」
 少し時間が経って我を取り戻し、赤城は家に帰った。

 まったり風呂に入って身体を癒し、そのあとゆっくり本を読む。心を落ち着かせ、一日を終える。それが俺の日課だ。今日は一軍共にえらい目にあった...が、忘れよう。今日は金曜日、日が空くしきっとあいつらも連絡先交換した事なんて忘れるだろう。
 そう考えながら仲川は本を読み始めた。気になるところで話が終わってしまった本の物語に心巡らせベットに入った。寝る前に携帯のアラームをセットし何気なくL◯NE通知を確認する。

 佐々木
「赤城のバカから聞いたけど補足説明頼むわ!」
 ......。
 赤城
「きょうあざした。あしのれんがかわいすぎる。」
 ......は?

 悪い夢だと思いたい。佐々木のはまぁまだいいとして、赤城に関してはこいつふざけてるだろ?存在ごと消してやりてぇわ...。
 俺の最高の休日前夜祭が......。
 仲川は笑いながら文句を言い布団に入った。

 この日は心なしかあまり熟睡できなかった。
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