【完結】フィクション

犀川稔

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19話 仲直りのあとの優しい時間

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 先にラーメンを食べ終えた赤城が電話に出ると言ってからなかなか帰ってこず心配になって恋は荷物を全部持って席を立った。
 店を出ると店の横で赤城が座り込んでいた。
「...赤城?」
 その声に反応して赤城は暗い顔を取り繕い、微笑みかけた。
「ごめんちょい考え事してた。もう食べ終わったの......って、荷物持ってきてくれたの?ごめん俺戻るの遅かったね。」
 そう言って恋から自分の荷物を受け取った。恋は不安そうな顔をして少し躊躇ってから赤城に聞いた。
「......っと...電話終わった...?」
「うん、終わったよ。あー...佐々木だよ、相手。」
 そう言って恋に近づいて「行こっか。」と声をかけた。歩きながらチラチラと赤城の顔を見る恋に赤城が笑ってどうしたのか聞いた。
「どうかしたの?...さっき思い詰めた顔してた。」
「あー...うん、ちょっとね。あんまいい話じゃなかったから気持ちが落ちてた。顔に出てた?ごめんごめん。」
 赤城が謝ると恋は首を横に振った。そして駅に着いて恋を家に送ろうとホームに向かう赤城の手を引いた。
「あ、のさ。今日、赤城んち遊びいっちゃだめ?」
「え”...。」
 突然の恋の質問に焦って赤城は図太い声を出した。
「あ、待ってごめん!今の無し!!図々しかったよね。」
「え、なんで。きてよ。」
 自分の発言を撤回しようとする恋に赤城が食い気味に返した。少し悩んでから嬉しそうに「...いいの?」と恋が言うと優しく笑って手を握った。
「しかも今日なら二日目のカレー付きだよ。親いるけどいい?」
 赤城が電車に乗りながら恋に言うと吃驚したように赤城を見た。
「...そんな遅くまで居ていいの?」
「うん、てか泊まってってよ。その時間から返すのは気が引けるわ。」
「ありがとう!家族に言っておく!」
 恋が目を輝かせて話した。
 可愛すぎるな、と緩んだ顔で恋を見る赤城は、恋が視線に気づいてこっちを見ると平然とした顔を装った。
「そういえばさ、赤城って学校ではマスクしてること多いけど僕といる時外してくれること多いよね。」
「うん...マスクつけてた方がいい?」
「んーん、マスクつけててもつけてなくてもイケメンに変わらん!でもつけてないと顔がよく見れるからいい!!」
 ピースをしながら笑って話す恋に赤城が悶絶した。そして最寄りに駅に着き電車を降りると、赤城が恋の方を振り返った。
「ま、恋といる時マスクつけないのはちゃんと意味あるけどね。」
 そう言って恋に近づき耳元で囁いた。
「キスする時マスクあると邪魔でしょ。」
 一気に顔が赤くなる恋の頬を撫でて悪戯に笑った。恋は「わぁぁぁ!」とパニックになって、前を30mくらい走り出しそのあと振り返って赤城の元までまた走って帰ってきた。
「...おかえり、マラソンお疲れ。」
「お、おう!...じゃなくて、それはずるいわ......名前呼びだけでも結構心臓バクバクなのに...僕で遊ばないでよ...。」
「可愛い。なんなら今してくれてもいいんだよ?」
 動揺しまくる恋に追い打ちをかけるように赤城は笑いながら言った。そんな赤城に恋は「馬鹿!」と返して赤城の手を掴み引っ張って家に向かった。

 赤城の部屋に着き、赤城が部屋着を取ってくると部屋を出ると恋は肩を下ろしながら息を吐いた。
 ......名前呼びは刺激が強すぎるて。しかも泊まり...。最近揉めてばっかりだったからゆっくり話せる時間できてよかったけど、僕の身がもたない...。
 恋はクッションを抱きしめながらベットに横になると、ベットの下に置きっぱなしになっていたトレーナーに目が入った。拾ってクッションと一緒に抱きしめた。
 ...赤城の匂いだ...、安心する。ずっと抱きしめてたいな......。
 考えているうちにスッと眠りについてしまった。
「...ごめんついでに少し小さめの部屋着見繕ってきたけ...ど......。」
 ベットに目を移しながら部屋に入ると寝ている恋に気づき赤城は喋るのを止めた。部屋の入り口で一度立ち止まり一回部屋を出てドアを閉め、落ち着いてから部屋に入り直した。
 ......いーや、は?待って可愛い過ぎねえか。寝顔かっっっわい...しかも俺の服抱えてね?何してくれてんの、え。耐えろ俺の理性、負けるな俺の中の俺。
 脳内で色々考えながら立ち尽くす赤城はとりあえず恋の写真を撮った。
 寝ている恋の足元で携帯を弄っていると恋の携帯に電話がかかってきた。目をやると浮かんできた名前は、今1番見たくはない名前だった。出ようか迷った赤城だったけど流石に人の携帯だから、と鳴り止まるのを待った。電話が切れるとすぐに数件L◯NEが入った。
 モヤモヤしているとモゾモゾと恋が起き上がった。
「...んぁ......あ、ごめん寝てた...。」
「うん、よく寝てたね。きっと疲れてたんだね、寝れて良かった。」
 目を擦りながら話す恋に赤城が優しく声をかけた。恋はゆっくり身体を起こすと自分の腕の中に抱えている物に目を移した。一瞬思考回路が停止してハッと赤城を見るとニヤニヤして恋を見ていた。
「違くて!これは...畳んでおこうかな...と思ったわけでして......、床にね?...この辺に床にぽぽんと置いてあってそれで、そう。手に取ってみようかな?みたいな?...決して他意はなく。......一応勘違いが無いようにお願いしたいのですが...。」
「......こう言う時って喋れば喋るほど真実味が薄れるって言うけど、そこらへんどー思う?」
 笑って赤城が恋に詰め寄って聞くと、恋は押しに負けたように縮こまった。
「...ノーコメントでお願いしたいかもです。」
 そう言ってベットにもう一度横になると壁側を向いて赤く染まった顔を隠した。その様子を愛らしくそうに見つめ、
「本体ここにあるんだけど。」
 と手を開いて恋を待った。
 そーっと振り向いてからクッションとトレーナーを放して赤城にぎゅーっと抱きついた。
「......気持ち悪いって思った...?」
「むしろ逆、可愛すぎた。」
 恋は赤城の言葉に安心したように微笑んだ。そんな恋に赤城は言おうと思ってたことを思い出して聞いた。
「そういえば珍しいよね、恋から家来たいって言ってくれるの。」
「あ、うん...。明日から学校休みになるし、赤城に毎日会えなくなるから少しでも長めに一緒に居たかったんだよね。」
 恋が赤城の胸から顔を上げながら赤城の顔を見て答えた。
 ......あーはい。結婚、マジで。...今日俺命日か。そう言うことなのか?...ってことでもう悔い残らないように襲っていい?今から始めても良さそう?
 一瞬そんな思いが過ぎった赤城だったけどすぐに切り替えて恋の頭を撫でた。
「そうだね、平日毎日会えてたからねー。それに比べれば確かに減るかも...まぁ、けどその分会える時は長く一緒にいればいいべ。」
「うん......。」
 いつもなら先に離れたり話題を逸らす恋がずっとくっついているのに不思議に思った赤城が恋から離れると悲しそうな表情を浮かべた。
「...恋?どうかしたの?」
「...今日は、キスとか......してくれないの?」
 下を向いて話す恋に赤城が驚いた。
「いつも赤城してくれるじゃん。もうしたくなくなった?...最近僕が赤城にたくさん怒らせちゃったから...?」
 不安そうな顔で聞いてくる恋に赤城が申し訳なさそうに歩み寄った。
「ごめんごめん、ちょい距離あったね。ごめんね。したくなくないよ、むしろ手出したいに決まってるじゃん。俺、恋と同じで一緒に色んなことしたいって思ってるよ、多分俺の頭の中知ったら引くくらいに。」
 話ながら赤城は顔を背けた。耳が赤くなってるのに気がついた恋は赤城の手を握って顔を近づけた。
「ね、赤城が照れてるの珍しい...?見たい!こっち向いて!」
 恋の言葉に迷いながらも顔を向けると照れくさそうに目を逸らした後、恋をじっと見つめた。その瞳にドキッとした恋も顔を赤くして目を離した。そんな恋の首に手を回した。
「......あ、かし...」
「...何?」
「...近い......かも。」
 緊張でテンパりながらオドオドする恋に赤城がクスッと笑って顔を近づける。
「そりゃそうでしょ。...キスするんだから。」
 そう言って恋にキスをした。恋はいきなりの赤城の行動に吃驚して、辿々しい様子で周りをキョロキョロした。
「そろそろキス慣れない?」
 笑いながら聞く赤城に恋が少し頬を膨らせて不貞腐れるように話した。
「前置きが欲しいです...呼吸を整える時間が作れないじゃん!」
「言ったじゃんキスするって。」
「言ってから、だよ!言ってから一呼吸空けてからのキスでお願いします。」
 赤城が愛おしそうに恋を見つめそのまま抱き寄せて、自分の上に恋をもたれさせるようにしてベットに倒れた。何が起こったのか理解できない恋が赤城を見ると微笑んで
「善処していきます...すんね?......」
 そう言って赤城が恋の頬に両手を当てキスをした。
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