【完結】フィクション

犀川稔

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20話 影を照らしてくれたヒト

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 キスをしたあと目を開け恋を見ると、物欲しそうな顔をしてる恋に気付き赤城はもう一度キスをした。そして頬に当てた手をゆっくり恋の口元にずらし、指で口を少し開けさせた。赤城の突然の行動に驚き恋は唇離そうとすると「だめ、集中して。」と赤城が片手で頭を押さえた。赤城は自身の舌を伸ばし恋の口内に入れると、恋の舌に絡ませた。ビクビクしながら受け入れる恋がどうしたらいいのか固まっていると赤城が一度唇を離して甘い口調で言った。
「...恋も同じように俺にして?」
 その声に導かれるように頷くと恋は自分から赤城にキスをして小さく口を開けると赤城の口内に舌を入れた。赤城の舌を探していると赤城が手助けをするように舌を伸ばした。一生懸命に赤城の真似をするように恋は舌を絡めた。漏れる息がさらに荒くなり身体に緊張感が走っているの気が付いた赤城が微笑んで恋の頭を撫でた。唇が離れると恋は力が抜けたように赤城の胸の上にパタンと倒れ込んだ。
「......も、終わり...、しばらく頑張れない。」
 脱力する恋の姿を見て赤城は「うん。」と頷いて横に寝かせた。
「恋頑張ってた、えらいね。俺すごい嬉しかった。ありがと。」
 嬉しそうに笑って話す赤城を見て恋は少し悩んでから顔を赤城の服に埋めながら話した。
「......たまに...ほんとたまーになら、またしてもいい...よ。」
 恋の言葉に「よっしゃ!」と言った赤城に恋はふわっと笑って返した。

 一緒にゲームをしてから帰ってくるのが遅くなると言う赤城の母親を待たず、二人で先にカレーを食べた。赤城んちのカレーは僕の家のカレーよりも少しだけ辛くて大人の味がした。あまり入ったことのなかったリビングまで赤城の匂いがしてどこに居ても赤城に包まれている気持ちになった。キッチンに食べた食器を運んだときにふと飾ってあった写真に目が行き見ると、誓くんの修学旅行の時の写真と赤城の一年の体育祭の写真があった。佐々木くんに肩を組まれ、嫌そうに一緒にピースをする赤城の写真だった。じーっと見ていると横から赤城声をかけられた。
「うちの母親そうやって気分で写真飾るの好きなんだけど飽き性だからもう一年前で時間止まってるわ。ちなみにその写真の前は中一の時の写真だった。」
 赤城の話に笑いながら恋が答えた。
「それはなかなかの飽き性だわ!でもいいね、こうやって見えるところに写真飾ってるの。お母さんいい趣味してる。...佐々木くんっていつから仲良いの?中学一緒とか?」
「いや、バリバリに中学別だよ俺ら。高一のクラス同じで仲良くなったんだけど、向こうは俺のこと名前だけ知ってたらしい。」
 赤城の話に「へぇ~!」と興味津々に聞く恋に赤城が冷蔵庫からお茶のペットボトル二本出して「部屋戻ろう。」と言った。
「あー...そういや佐々木に今日行けなくなったの言わないとな。」
「え...今日約束あったの!?...ごめん俺めっちゃ邪魔しちゃった......」
 階段を上がりながら話す赤城に恋が申し訳なさそうに言った。
「いいよいいよ。俺にも一応優先順位ってのはあるし。恋以上の最優先はないっすね。」
 そう言ってから後ろを歩くをチラッと見て微笑んだ。
 恋が「ありがとう。」と言って笑ってみせると、赤城は自分の部屋に恋を入れた。
 部屋に着くとまだ先程の話が聞きたそうな恋に押しに負けた赤城が
「風呂押したから沸くまでね。」
 と言って話をした。

 俺はあまりいい恋愛をしてこなかったけど、付き合っては別れてを繰り返すせいか周りではいいように思わない人も多く、別れてから暴力を振るわれたとか女を弄んでるとか根も葉もない噂を流す人もいた。そのせいでそれを信じた人からは疎まれることも多かった。そもそもみんなで仲良くとかそう言うのが得意じゃない俺だったから別に良かったけどありもしないことを言われるのはまあまあいい気はしなかった。
 そんなこんなで高校に入って入学式の日、ゆっくり準備してたら遅刻して遅れて体育館前に行ったら俺と同じ理由で遅刻した人がもう一人いた。それが佐々木だった。クラスも偶然同じで名前を言った時、
「赤城?赤城ってあの赤城尊?」
 と言われなんのことだろうと思ったけど、
「よくわからないけど多分その赤城尊なんだと思う。」
 そう言うと佐々木は馬鹿みたいに笑って先生に怒られていた。
 変な奴だと思いながらも不思議なことにすげぇ話が合って、俺の触れてほしくないことには関与してこない。何も考えていないようで実は引くほど周りが見えてる佐々木に呆れるほど興味を持って気づいたら一緒にいるようになっていた。
 時が流れ一年の体育祭の日、俺に告白して振られたその相手が数時間後に佐々木にも告白をしてOKをもらっている現場に俺が居合わせた。気まずそうに退散しようとする俺にその女子が、俺に聞こえる声で話し出した。
「正直赤城くんもいいな~って思ってたの!浮気許しちゃう男だし変な噂流されてもキレないってめっちゃ優しくない?誰とも付き合ってないとOKするって聞いてたから告ったのに断るの有り得ないから~!佐々木にして正解!!」
 笑いながら話す女子に「まじでそれは有り得ないわ!」と賛同した佐々木。
 別にイライラしたわけじゃないけど結局女側か、とか思ってたら「でしょ?」と言う女子に顔色を変えて真顔で
「お前がだよ。」
 と、キレ口調で言った。焦る女子に佐々木は容赦なく淡々と話し始めた。
「赤城のこと噂で女を下に見てるって聞いてたからどんな奴だよって思ってたけど、会って話してみたら一瞬でパチってわかったわ。んでそんな優し~い赤城くんに甘えてクソ晒してるお前らみたいな女と噂を本気にしてまた陰で言ってる男が俺1番嫌いなんだわ。悪いけど付き合うのナシで。気分悪いから消えてくれる?」
 普段身栄えなく女子に優しくする佐々木が唯一キレるのを見た瞬間だった。珍しい佐々木の姿に焦って女子はその場を去っていった。その姿が見えなくなると佐々木はまた笑って俺の肩を強く掴んでそのまま組んだ。
「お前写真嫌いらしいけど今の恩って事であとで俺とツーショ撮れなー?両手でピースな!それでこの話はお互い忘れようぜ~!!」

「......ってことがあり、撮ったのがさっきの写真なわけよ。...お人好しなのか馬鹿なのか、ただこの時のこいつの気遣いがむず痒いくらい俺の中では効いてさ、こいつとなら...いや、こいつとこいつが選んだ友達となら仲良く友達やっていけるんだろうなって確信したわけよ。ま、恋の中学時代とか諸々前聞いたからね。軽く俺も話してみたって感じかな。あんま面白くなかったべ?」
 微笑んで恋の頭を撫でながら話す赤城が恋を見ると恋は目に涙を浮かべていた。
「え...、ちょなんで...ごめん。どうした?」
 恋の様子を見て焦る赤城に恋は首を横に振った。
「違う......僕ね、赤城は何しても全部全部慣れてるし、きっと色々経験してるからよなって思ってたんね?でもそれは...僕の中の色々って言うのは全部プラスなことだったんだけどそりゃ嫌なこともその分あったよなって、今やっと気づいて...だから...」
 恋は赤城を抱きしめた。
「だからこれからは嫌なこともあるかもだけど...いいことでいっぱいにできならいいなって思ってる...ます。」
 頑張って伝えようとしてる恋に驚きつつも嬉しそうな顔をして赤城が「そうね。」と言って抱きしめ返した。

 確かに俺の高校生活を大きく変えたウィークポイントは佐々木だ。俺は今まで何に関してものめり込まず周囲との距離もとってきた。あいつはそんな俺の敷居に土足で踏み込んできてどんどん周りに人を集めた。そのおかげか気づいたら俺の中学自体の噂が一掃され、今の環境がつくられた。面倒で厄介で全然俺を一人にしてくれない。でもその乱されるペースも大して嫌な気がしないからきっと俺も相当変わったんだろうな。そんな俺に恋を引き合わせてくれたのも、もしかしたらあいつなんだろうか。あいつが言っていた
「恋愛はお前が思ってるより悪いもんじゃない。」
 ほんとその通り過ぎて笑えるよ。こんなんで共感できちゃうなんて俺も相当馬鹿になったもんだわ。まぁでも...

 これからもこの、俺と言う名の湿った影に明るく差し込む日差しみたいなお前とは仲良く馬鹿やっていきたいと思うよ。
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