【完結】フィクション

犀川稔

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27話 勘違いとお互いの課題

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 夏休みの話題で溢れかえる教室に足を踏み入れると赤城はもう来ていて友達と楽しそうに話をしていた。恋が来たことに気がつくと友達のそばを離れ恋に近づいた。
「おはよう。今日来るの遅かったね。」
「うんっ、まだいけるってアラーム鳴っても布団で粘ってたらこんな時間になった。」
 笑って恋が答えると予鈴が鳴って二人は席についた。
 1ヶ月ぶりに見る制服姿の赤城はやっぱり格好良くてどれだけ見ていても見飽きない。
 横顔ですらこんなに綺麗なんて罪な男だなぁ...。
 恋の熱い視線に気づいた赤城が恋を見ると慌てて恋は目を逸らした。

「......って事で、文化祭のクラスの出し物を決めていきまーす!」
 二学期が始まって二週間が経った時、高校行事の大イベントである文化祭の準備が徐々に始まろうとしていた。先週まで休み明けのテストがあり、重苦しい雰囲気だったクラスが一気に垢抜け明るく晴々とした雰囲気に包まれた。
 色々な案が出されるなか、結局ドーナツを売ることに固まりだったらついでに飲み物も、と言うことで後付けのような感じでドーナツ屋兼喫茶店をやることになった。
 ...文化祭。赤城と回りたいけど...。赤城人気だし絶対約束あるよな。
 ぼーっと考えていると気づいたらお昼になっており仲川に購買に行こうと誘われた。

「文化祭赤城と回るっしょ?」
 パンを買い終えて上の空で歩く恋に仲川が聞いた。
「え、僕?」
「お前以外誰がいるんだよ。」
「確かに...いや、特に何も決めてない...でも赤城は多分佐々木くんたちと回るんじゃない?知らないけど。」
 恋がそう答えると後ろから佐々木が恋の肩をポンっと叩いた。
「俺がなんだって~?」
 吃驚して大きな声を出して座り込む恋に佐々木が大笑いし仲川は他人のフリをするように素早く二人から離れた。
「この絵面オモロ。圧倒的に俺が芦野くんいじめてるっぽく見えるやつじゃん。」
「あ、ごめん!!そんなつもりじゃ!」
 焦って恋が立ち上がると「じゃさっきの話~」と佐々木が話を戻した。教室に向かいながら文化祭の話を恋が佐々木にした。
「そう言うことね~!俺らまだなんも決めてないけど、気になるなら聞いてみりゃいいじゃん。芦野くんが可愛く一緒に回ろ?って言えばあいつ喜んでノると思うよ。」
 佐々木がニヤニヤして言うと恋は思い悩んだ表情をして「やってみる。」と首を縦に振った。

 一方その頃、先に教室に戻った仲川は珍しく相馬と赤城が話しているのを見た。
「...すげぇ珍しい組み合わせだな。」
「あー、仲川おかえり~。寝坊して今きたら二人とも居なくて暇してたら赤城が声かけてくれた。スパダリイケメン~!」
 ふわっと笑って話す相馬に仲川は赤城の顔を見て「...そうでもなくね?」と真顔で言うと「ガチめに消えてほしい。」と赤城が冷静にいいみんなして笑った。
 友達の元に帰ろうとする赤城を仲川が呼び止めて聞いた。
「文化祭、芦野と回んないんすか?」
「え、なに急に。まだなんも決めてないけど。」
 お互い消極的になりなかなか誘おうとしない二人に呆れて仲川が口を出した。
「芦野が赤城と回りたがってましたよ。...ってなんで俺がここまでこのカップルの世話しないといけないんだか。」
「え、あの子が言ってたの?ちょいそれ詳しく。できるだけ細かくどんな顔して言ってたかも加えて頼むわ。」
「...まじでもう世話するのやめますよ?」
 仲川の発言に「冗談じゃん。」と嘲笑うように赤城が言った。その時また友達に呼ばれ、赤城は急いで友達の元に戻って行った。
 屋上へご飯を食べに行こうと友達と廊下を歩いていると前から佐々木と恋が歩いてきた。恋は赤城に微笑みかけたけど赤城はそれをスルーして歩いて行ってしまった。その反応に傷ついて呆然と立ち尽くす恋を心配しつつ佐々木は赤城たちの後を追って屋上に向かった。

 友達の話に聞く耳を持たずに手すりに寄りかかってお昼を食べる赤城に佐々木が話しかけた。
「な~に機嫌悪いの?」
「...別に。」
「クソ悪いじゃん~!」
 笑って赤城の肩を叩く佐々木に便乗して新山が話しかけた。
「恋人と喧嘩でもしたのカナ?」
 その言葉に顔色を変える赤城に「ビンゴ!」と周りが揶揄った。
「まじで全員くたばれよ。」
 ガチトーンで言う赤城に佐々木と新山は声を出して笑って煽るようにさらに茶化した。それに呆れて赤城は「はいはい」と雑に流した。
 ...あーやっちゃった。恋悲しい顔してたな、完全に八つ当たりだわ...。最悪。いやでもさ、マジでなんで佐々木なんかと二人で昼前一緒にいたんだよ。距離近かったしさ。別に一緒にいるなとは言わないし俺と居ろよとか言わないけど...言わないしけどさ、いや俺と居ろよ。あー佐々木うぜー、恋に絡むヤツ全員うぜー。
 赤城は屋上から教室で仲川と相馬と話す恋を見つめながら考えていた。
「てか、赤城の恋人って同じ学校?」
 話しに屋上に来た女子が赤城に聞いた。
「...なんで?言わないけど。」
「いやだって絶対同じ学校だったら相手可哀想じゃん~。女絡み多いし、友達とばっかいて全然構ってなさそうだし。私だったらそんなの目の前で見たくない~!」
 その女子の話に数人の女子が賛同して話が盛り上がっていた。赤城は意味がわからず驚いた顔をして佐々木を見ると佐々木は赤城を見て頷いた。そして隣に来て小さな声で言った。
「まぁあれよね、さっき向こう側にも念押して言ったことではあるけどさ。お前ももっとあいつに構ってあげなよ。いいタイミングで文化祭もあるじゃん?不安になって暴走する前にさ、お前だけだよすきすき愛してるってしてやれって。」
「......え、待って。もしかしてさっき一緒にいたの...それ?」
「は?そうだけど、何...?あ、お前もしかして嫉t...」
 赤城は佐々木の足を踏み潰すと離れてベンチに座った。
「お前やば!そんなんでさっきキレてたの?ダルおもろ!!!」
「え、なになに、なんの話してんの?」
「佐々木とりあえずお前は黙れ。新山は興味持つな、うるさい。」
 赤城は頭を抱えて下を向いた。それを見て大笑いすると満足したように佐々木が先に屋上から出て行った。

「芦野~?どうした?」
 さっきからメロンパンを食べずに固まる恋の顔の前で手を振るも無反応な恋に相馬が不思議そうな顔をして見ていた。
「なんかあったっぽいからそっとしておこうぜ。」
 仲川が気を遣ってあまり触れずに過ごしていると恋が「あ“ー。」と太い声をあげて机に突っ伏した。相馬が恋の頭を撫でると恋は「ありがとう。」と小さな声で言った。
 空き教室で丸くなって一人で思い耽けているとそこにカップルが入ってくていきなりキスをし出した。男子生徒が女子の制服の中に手を入れていかにもそう言う雰囲気になってきて恋は困惑した。その瞬間机にぶつかって慌てて寝ていたフリをした。その音に気づいたカップルが気まずそうに恋の方を見た。
「......やば、寝てたぁ~...あ、ごめんここの教室次使う、ますかね?すみません!」
 そう言って恋は急いで教室を出て行った。
 ......やばいやばい、あれが本物のカップルのイチャイチャか~。え、ってことはさ。もしかしてやっぱり僕らがしてることって...全然恋人っぽくないのでは...?やばいな、完全に赤城の言葉に甘えてたわ。やっぱり僕はセミプロなんかじゃないアマチュアなんだ......。
 恋は廊下で崩れ落ちるとそれを遠くから仲川が何してんだと言う顔で見ていた。そこに屋上から戻った佐々木が合流し仲川の視線の先を見て「芦野くん何してんのあれ。」と笑いを堪えて言った。
「きっと彼のなかで色々迷走してるんだと思います。触れないのが吉です。」と仲川が冷静に答える。それに我慢できずに笑い出す佐々木を気怠そうに仲川は見ていた。
「赤城といい芦野くんといいあの二人すれ違い散らかしてておもろいね。でもなぜか助けてあげたくなるよねー。あ、これが母性か...?」
 馬鹿なことを言い出す佐々木の話に「そうですね。」と適当に言い放ち仲川は教室に戻ろうとし佐々木もまた仲川の後を追うように戻った。

 赤城はその後考え込み佐々木の言葉を思い出した。
「もっと構う...か。」
 先ほどの自分の行動を後悔し携帯を出しL◯NEで話がある事と伝えようとしたけど途中で辞めて携帯をしまった。重い腰をあげて恋のところへ向かうべく、教室に足を運んだ。

 恋は顔をあげると自分の不審な行動周りが騒ついているのに気付き立ち上がって急いで退散した。そしてこちらもまた佐々木に言われた言葉を思い出して決心した。
「まずは何かしちゃったんだと思うからそれに対して謝って、それから可愛く...お願い......うん、よし!!」
 自分の中で気持ちを固めた恋は両頬を手で叩いて気合いを入れると教室に走って向かった。
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