【完結】フィクション

犀川稔

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45.5話 赤城が帰った後〜恋side〜

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 角を曲がった赤城の背中を見送ると恋は家に戻った。
 リビングに入ると美鈴と母親がニヤニヤして恋のことを見ていた。
「......な、に?」
「ちゃ~んとラブラブなんだな~と...ね?美鈴ちゃん。」
「うんうん!てか聞いてよ、ママ!赤城くんめっちゃいい男でね!私と初めて電話で話した時も会った時もすっごい礼儀正しくて最高だったしカフェまでれんれんの事迎え来てくれちゃうしれんれんを見る目がも最っっっっ高に甘々で...」
「ちょ、ちょっと待って待って!!!」
 恋に気にせず永遠に語り出す美鈴とそれを満更でも無さそうに聞く母親に恋は顔を赤くし慌てて割って入った。
「なんでそんな打ち解けてるの。受け入れてもらえたのはナチュラルに嬉しいけど、馴染むの光の速度すぎるって...!」
「だって恋ちゃんの彼氏さんの事でしょ、知っておきたいじゃない~!」
 そう笑って話す母親の事を見てまた美鈴が話し出すと「僕だけなの。」と恋が呟いた。
 その言葉を聞き逃す事なく二人が恋を注視すると恋は真っ赤に染めた顔を手で隠しながら小さな声で言った。
「ぼ...僕だけでいいの、赤城のいいところ知ってるの。...姉ちゃんと母さんでもダメなの......だ、だれにも赤城はあげない...。」
 恥ずかしそうに話す我が子が可愛すぎて母親は言葉を失い美鈴は笑い、宥めるように「そうだね~、赤城くんはれんれんのかれちだもんね~!」と弟の頭を撫でた。
 恋は我に返って発言を思い出しあたふたしてそのまま何も言わずに急いで自分の部屋に戻って行った。
 その数分後、美鈴の携帯に恋からL◯NEが入り
「さっきのは忘れてください。」
 と来たのを美鈴は母親に見せまた二人は恋が尊すぎて頭を抱えた。
「...初心すぎる息子が可愛すぎて寿命が縮んだ気がするわ......。」
「これに毎度付き合ってる赤城くん、相当心臓強くなりそうだよねママ...。」
 二人はしばらくそのままリビングで語り合った後、一緒に夕飯の買い出しに向かった。

「家族 恋人 嫉妬 で検索......って、何してるんだ僕は...。」
 自問自答する恋は冷めた態度でベットに座りテーブルに飾ってあるドライフラワーを見た。
 携帯を見るとまだ赤城からの連絡は無い。いつもは駅に着くと連絡が一度来て、その後家に着くなり友達と合流するとまた都度連絡が来たりしているのもありソワソワしてしまった。
「そろそろ駅着く頃かなぁ~...あー、赤城昨日あー言ってくれたけど絶対引いてたよな...バイト先で先輩に相談したら否定される前にラブラブアピールして引き下がらない雰囲気作れって言われたからしてみたけどどう考えても赤城のこと母さんウェルカムだったし絶対僕やる必要なかったやつだよね......。」
 ゆっくりとドライフラワーに近づき優しく触れてそっと花を撫でるとまた思い出してため息吐いた。そしてその流れで昨日のあの夜の出来事も思い出した。
 そういえば昨日もそういう雰囲気の時赤城が言ってくれたけど...僕の気持ちの整理がついたらって、いつなんだ......?正直僕は現時点で赤城に何されてもいいって思ってるし昨日も赤城の...んんっ!...赤城の赤城をズボンの上から触ったけど全然嫌じゃなかったし、むしろ......?むしろ?むしろなんなんだ僕!何を言おうとしたんだ今!?やばいこれじゃあまるで僕が赤城にセクハラしたいみたいじゃんか~......。そもそも男同士ってどう事を進めていくものなの...。こういうのってやっぱりもしもの時のために調べておいた方がいいのかな、いやでも赤城がきっと教えてくれるだろうし...っていつまでも甘えてるから俺はアマチュアなんだよ...男を見せろ芦野恋!お前は強い男だ。いつまでも流れに身を任せるようなそんな柔なやつじゃないはずだ!.....よし、いざ。Boogle先生にお任せを...!
 恋は部屋の中をぐるぐると歩き回りながら意思を固めて決心して携帯を開き調べようとした時部屋のドアを勢いよく美鈴が開けた。
「れんれん、ちょっと今いい~?......って、何してるの...?」
 驚いて床に突っ伏す恋を見て狐疑するようにじーっと見た。
「べっ...別に何も...ベットと間違えただけ。」
「間違えるにも程があるって...」
 あたふする恋を見て不思議そうに言うと「そうそう。」と美鈴は話を変えた。
「赤城くんのこと!わかってもらえて良かったねれんれん。私れんれんに許可なくこの前ママに話しちゃったからさ。あれのせいで逆に上手くいかなかったらどうしようって思ってたから本当に良かった。」
 安堵の表情を浮かべて美鈴が話すとそれを見た恋が立ち上がって真面目な顔をして美鈴の前に立った。
「あ...姉ちゃん。ありがと...ね。多分、姉ちゃんがフォローしてくれてなかったらこんな上手に話通らなかっただろうしほんと...ありがとう。」
 真面目に話す恋を見て美鈴が笑って頷くと美鈴恋の手を取って続けて話をした。
「私ね、もう少ししたら今付き合ってる彼氏と同棲始めるの。そしたらたまにしか家には帰って来れなくなっちゃうけどいつでも話聞くから!もし何かあったらL◯NEでもなんでもして!その時はお姉ちゃん飛んで帰ってくるんだからね!」
「そう...だったんだ......。ありがと、うん。L◯NEする。姉ちゃんも彼氏さんと喧嘩しちゃダメだよ!」
「もう~!それママにも言われた!しないよ。だかられんれんも赤城くんと仲良くね?」
 少し心配そうに優しい声で話す美鈴の言葉に恋は笑って「うん。」と返した。そして美鈴が出ていくとベットに座ってぼーっと考え込んだ。
 ......やっぱり調べなくていい...かな。今度二人きりになった時、直接赤城にもう整理できたって伝えて赤城に聞けばいいんだから...。赤城は教えてくれるって言ってたし...うん、そうしよう。
 なんとなく気持ちがまとまりそのままベットに寝転ぶといつの間にか眠ってしまっていた。慌てて携帯を見ると昼を過ぎていて、お昼を食べようと立ち上がった時まだ赤城から連絡が来ていないのに気がついた。何かあったのかと思って電話をかけると赤城は電話中で繋がらなかった。また後で時間が経ってからかけようと思いリビングに降りてご飯を食べた。食べ終えてまた自分の部屋に戻った時に電話をかけると繋がってその後少し長めに赤城と話をした。
 たわいもない話ばかりだったけどとても楽しくて、何度聞いても赤城の声は永久保存しておきたいほどに耳触りのいい声をしている。
 1時間以上も話に付き合わせてしまって申し訳なかったのに赤城は嫌な雰囲気を一切出さずにずっと話をしてくれた。
 電話を終えてからも例の如く、毎度お馴染みのクソキモ長文を送ってしまったのに赤城は丁重に返事を返してくれた。顔も性格もいいパーフェクトな恋人に今日も励まされ、僕は素敵な休日を終えることができた。
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