【完結】フィクション

犀川稔

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45話 甦る過去〜赤城side〜

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「すみません。突然お邪魔した上に一晩居させて頂いて...。」
「全然いいのよ!また遊びに来てね...もちろん、泊まりでも大歓迎よ!」
「ありがとうございます。お礼も兼ねてまた来ます!」
 十時過ぎに恋の家を出た赤城は、家の外まで見送ってくれた恋と別れるとそのまま駅前のファミレスに向かい仲川が来るのを待った。
 昨日あの後、歯止めが効かなくなるのを恐れた俺は眠くなったと言って床に就いた。そして恋が眠りにつくのを待ってから携帯を出して仲川に連絡を入れた。

 数十分後に仲川は店に着くと赤城を見つけて対面のソファに腰を下ろし「で。緊急事態ってなんですか。」と深刻そうな面持ちでいる赤城に真面目な顔をして言った。
「......困る。」
「...は?あ、すみません。聞こえなかったんでもう一回言ってもらってもいいですか?」
「......恋人が可愛すぎて困る。」
 真剣な顔でそう話す赤城に「帰っていいですか?」と仲川は呆れたように言い放った。
「いや違うんだよ。まじの方で困ってるんだよ、これはふざけてるわけでも悪質な惚気でもなくてまじで助けてほしいんだって。」
 赤城は大きなため息を吐いた後、聞かれた訳でもないけどペラペラと昨日の出来事を話した。
「あ、え?あいつの母親付き合うの許したんすか?マジか。すげぇ~!絶対ダメって言うと思ってたのに...人の心って移り行くものだわ。関心関心。」
「いや関心してる場合じゃなくてさ。問題はその後よ。」
「正味、その先の話はクソどうでもいいと思いました。」
 辛口な仲川の言葉に嘆息した赤城は通知の鳴る携帯の画面を見て開く事なくまたすぐ携帯を端に置いた。それの様子を横目で見ていた仲川は「開かないんですか?」と聞いた。
「うん...返したくない人だからね。」
「...と言うと?」
 さっきまで興味なさそうにしていた仲川が意味ありげな赤城の回答に食いついた。赤城はバツが悪そうに頭を掻くと「元カノ。」と言った。そこからはこの話にあまり触れてほしくない赤城の気持ちを汲み、仲川は聞きたくもない昨日の夜の話をその後永遠に聞かされた。

 家に帰ってリビングのソファに腰掛けると何度もかけてくるその電話に出た。
「...何。」
「あ...っ、でてく...れた。嬉しい...。L◯NE返信くれないから本電聞いてかけてて...。」
「うん、ブロックしてるからね。で、内容は?電話終わったら着拒するから早めに済ませて。」
「冷たい...前はそんなんじゃなかった......っ。私ね、やっぱりより戻したいなって思って...学校だと全然話す時間ないしそれに...」
「そう言う話なら何度も言ってるけど無理。わかったらもう二度とかけて来ないで。じゃーね。」
 そう言うと赤城は一方的に電話を切った。上を向いて疲れたようにため息を吐くとその視界に誓が入ってきた。
「よ!昨日帰って来なかったけどもしかして恋くんのとこ?」
「さぁね、どうだか。」
「あー!さては浮気だな。恋くん可哀想...今度家来た時言ってやろ!」
 近くでピーピー騒ぐ誓を適当に遇らい、赤城は自分の部屋に向かった。静かな環境になると目を瞑り、ふと過去の記憶を辿った。

 確かにあの頃の俺は考えが幼かった。あの日は特に機嫌が悪くて俺はしょうもない小さなことにもイライラしていた。
「恋愛自体が好きじゃないしめんどくさい。」
 そう答えるいつもと変わらない俺への誰かの返しにもきっといつもなら適当に流すこともできたはずだ。ただあの時は売り言葉に買い言葉で「じゃ次に告白されたらそん時は付き合うよ。」
 そう答えた事を後になって後悔した。
 次の日も朝いつも通り登校すると下駄箱に手紙が添えられていて、行くと中庭で松井が待っていた。普段の癖で告白に対して断りを入れた俺に松井はなかなか引きながらなかった。そして俺も前の日に言った自分の言葉を思い出し諦めてその松井に話を受け入ることにした。
 それ後も松井に対して特に何か特別な感情が湧くこともなくただ「彼氏」で居続けた。
 何度も何を考えているかわからないとかそれ以外にも散々な暴言を吐かれた。それ自体はどうでもよくて俺的にはそんなことじゃなく、喧嘩をする度に「もう死ぬ。」と言われたことが一番苦痛だった。
 そんな話を佐々木だけに相談をしていてあいつはそれを笑うことなく聞いてくれた。そんな佐々木は松井と別れた後も俺のアフターケアをしつつも、もう恋人を作る気のない俺に暗い話にならないように馬鹿な事をしたり言ったり笑わせてくれた。なんとなく直感であいつも似たような経験があるんだろうなとは思ったけど、それを聞くことも今思い出すまでの間とっくに忘れていた。
 そして恋と付き合ってから一度接触してきた時は正直焦ったけどもうそこで終わったものだと思っていた。今になってまた連絡を取ろうとしてきたのには驚いたし、やっと最近恋が正直に思っている事を言ってくれるようになった側からあまり厄介事を作りたくないからできればそっとしておいてほしいものなんだけどな...。

 ぼーっと考え込んでいると電話が鳴り、またかけてきたのかと億劫になり携帯を見ると恋からだった。
「もしもし...どうした?」
「あっ、赤城!んーん特に用はないんだけど帰ったって連絡なかったからどうしたかな~って...思って電話しちゃった。ごめん...ウザかった?」
 電話でもわかるあたふたした恋の声を聞いて赤城は優しく微笑んだ。
「ううん、全然うざくないよ。ごめんね、帰ってきて家のことしてたから連絡できてなかった。あの後帰りに仲川とちょい喋ってから家に帰って来たよ。」
「え!仲川と会ってたの!?いいなぁ~仲川、僕も赤城ともっと一緒にいたかった...。」
 嫌味も他意もないそのまっすぐな気持ちをストレートに話す恋に愛くるしさを覚えて安心して俺は肩の力を抜いた。
 そこからは特に内容のない話をダラダラとし気づけば1時間以上も話をしていた。
「いきなりかけたのに長々と付き合わせちゃってごめん!昨日といい今もめっちゃ楽しかった。また明日学校で!!」
「全然いいよ、俺も楽しかったありがとう。......あのさ、恋。」
「ん?どした~?」
 咄嗟にかけた言葉に反応する恋の声が甘く優しくて、俺はその後の言葉をどう切り出していいのか分からなくなってしまった。
「......いや、なんでもないよ。...お姉さんとお母さんによろしく伝えておいてほしい。また明日ね。」
「うんわかった!また明日ね!赤城大好き~。」
 電話が切れると俺は深く息を吐いてベットに寝転んだ。
「...もっかいちゃんと話すか。」
 そう言ってL◯NEを開くと一通の連絡を入れた。
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