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一
9話 新山さんの優しさ
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コンビニから戻ると千隼くんは眠っていた。一度起こそうか迷ったけど、とても気持ちよさそうに眠っているから起こすのはやめてしばらくの間寝顔を眺めていた。
「本当に可愛い顔...。」
新山がボソッと呟いた言葉を聞いて千隼は目を覚ました。
「ん...は?えっ、何...近いって。」
目を開けた瞬間、目の前にあった新山の顔を見て千隼は声をあげた。
「ごめんごめん。つい寝顔見入ってた。スポーツ飲料とお茶と千隼くんが好きなバナナオレ買ってきたけどどれがい?あとプリンとゼリーとサンドイッチとうどんも買ってきたけどそっちは冷蔵庫入れてきたよ。兄貴に食われる前に食べてね。」
「いや、買ってきすぎだよ。...まぁ...あり、がと。」
呆れたようにそう言い放った後、千隼は薄く笑ってお礼を言った。
「俺そういうの世話すんの得意なの。だから任して、他にほしいものあったらなんでも言って。」
ベットサイドに座りながら新山が微笑んで言うと千隼は唇を強く噛んだ。
「......そーやって...今までの人にもしてきたの?」
「え...、なに?ごめん聞こえなかった。」
小さな声で話す千隼の声に耳を傾けるように新山が顔を近づけると反射的に千隼は新山を突き離した。
「あっ......えっと。」
咄嗟の出来事に動揺している千隼を他所に新山は暗い顔を見せた後パッと取り繕うように明るい顔つきに戻して口を開いた。
「ごめん俺居たら気遣って休もうにも休めんよな。今日はもう帰ることにするよ。体調が心配だからまたできる時でいいからL◯NEで教えて?」
そう言い残すと立ち上がって部屋から出ていった。
千隼は静まり返った部屋の中で一人ぽつんと座り込むと今起こった出来事を考える直した。
......360度どっからどう見ても何回考えてもおれが元凶じゃん。いやでもさ...明らかに女の陰匂わす向こうも悪いでしょ。あの時から俺のことずっと好きだったとか言ってる割にちゃんと付き合ってたやついるし、看病得意とか絶対恋人の家に行ってやってたやつだしそれをおれにもしようとしてる感出してんのが腹立つわ。...かと言っておれも何人も付き合ってきたしなんならこの前別れたくらいだから人のこと言えないのが余計癪だわ。
「...つかさっきのトークの相手誰だよ。」
ため息を吐いてベットに横になるとそのまま瞑想した。
なんとなくお腹が空いた気がして買ってきてくれた飲み物を持ってリビングに降りると兄貴がソファで横になっていた。
「おー、体調よくなったかー?新山が終始お前のこと心配だって言ってたぞ。」
「え、おれの部屋出てからそのまま帰ったんじゃなかったの?」
「いんやー?その後もしばらく下居たよ。親から連絡入って帰ったけどそん時お前に一言言ってから帰ろうかなって言ってたけど悩んでてキモかったから早く帰れって締め出した。」
佐々木の話を聞いて寂しそうに「そう。」と返す千隼を見て佐々木は千隼が持っていたコンビニ袋を漁った。
「ちょっ、何すんの!?」
「んー?ちょっとねー...おっ、あったあった。」
そう言って袋の中から一枚の紙を取り出すとそれを千隼に見せた。
「あいつが気づいてくれるかわかんねぇけど~って言いながらお前の部屋戻る前に書いてた紙、いらないなら代わりに捨てといてやるけど?」
「...いらないなんて一言も言ってない。」
千隼は佐々木の手から強引に紙を奪い取ると書かれていたものを見て首を傾げた。
家の住所...?とバイト先の名前。それからシフト制?...って何。その下に書いてある名前は......女の子の名前?
「......どう言うこと?」
千隼が理解できずにいると佐々木が隣に寄ってきて一緒に紙を見た。
「へぇ~あいつの家の住所とバ先と...あ?これあいつの元カノたちの名前じゃん。何これおもろ、写メっていい?」
「無理やめて......え?これ新山さんの元カノの名前?」
「は~?もったいね、他の奴らに見したら爆笑もん間違いなしだったのに。そーだよ、しかもご丁寧に付き合った順もその通り~。」
「......じゃ、じゃあこのシフト制って言うのはどう言うこと?」
食い気味に聞いてくる千隼を怠そうに遇らうと佐々木は冷蔵庫にあったサンドイッチを持って自分の部屋に帰っていった。
一人になった千隼はソファに座りシフト制の意味を調べた。
...つまり週によってバイトの日が変わるってことか。でもなんでこんなこと急に......。
「あっ...。」
千隼は今日、新山が自分の部屋でしていた話を思い出した。そしてこの紙を残していったワケを理解して深く息を吐いた。
「クソ真面目に答えすぎだよ......てか字、...綺麗だなぁ。」
そう呟いて紙をもう一度見ると、笑みを浮かべた。大事そうにポケットに仕舞うと携帯を取り出し新山にL◯NEを送った。
そして佐々木が勝手にサンドイッチを持っていったことを思い出し、階段を駆け上がると勢いよく佐々木の部屋のドアを開けた。
「ねぇ、それおれが買ってもらったやつ!」
「可愛くねぇマセガキだな。いいじゃんあんなに買ってもらったんだから。それにさっき大事なこと教えてやったじゃん、情報料だよ。」
佐々木は最後の一口を食べ切ると、入っていた包装紙のゴミを千隼に渡した。
「いらないんだけど。おれはゴミ箱じゃない。」
不服そうにそう話す千隼を見て佐々木は面白可笑しく笑って口を開いた。
「んじゃー捨ててもらう代わりにもう一個いい情報教えてやるよ。...あいつお前と出会ったあの日から付き合った相手と遣ってないよ。それどころか付き合っても全く相手に熱意なかったし。ま、それだけお前に対して本気だってことじゃね?知らんけど。」
佐々木はそう伝えると「さぁ帰った帰った。」と千隼を部屋から追い出した。部屋を出た千隼は顔を赤くして廊下にしゃがみ込んだ。そして新山からの返事を見る前になんとなく声が聞きたい気がして電話をかけた。
「本当に可愛い顔...。」
新山がボソッと呟いた言葉を聞いて千隼は目を覚ました。
「ん...は?えっ、何...近いって。」
目を開けた瞬間、目の前にあった新山の顔を見て千隼は声をあげた。
「ごめんごめん。つい寝顔見入ってた。スポーツ飲料とお茶と千隼くんが好きなバナナオレ買ってきたけどどれがい?あとプリンとゼリーとサンドイッチとうどんも買ってきたけどそっちは冷蔵庫入れてきたよ。兄貴に食われる前に食べてね。」
「いや、買ってきすぎだよ。...まぁ...あり、がと。」
呆れたようにそう言い放った後、千隼は薄く笑ってお礼を言った。
「俺そういうの世話すんの得意なの。だから任して、他にほしいものあったらなんでも言って。」
ベットサイドに座りながら新山が微笑んで言うと千隼は唇を強く噛んだ。
「......そーやって...今までの人にもしてきたの?」
「え...、なに?ごめん聞こえなかった。」
小さな声で話す千隼の声に耳を傾けるように新山が顔を近づけると反射的に千隼は新山を突き離した。
「あっ......えっと。」
咄嗟の出来事に動揺している千隼を他所に新山は暗い顔を見せた後パッと取り繕うように明るい顔つきに戻して口を開いた。
「ごめん俺居たら気遣って休もうにも休めんよな。今日はもう帰ることにするよ。体調が心配だからまたできる時でいいからL◯NEで教えて?」
そう言い残すと立ち上がって部屋から出ていった。
千隼は静まり返った部屋の中で一人ぽつんと座り込むと今起こった出来事を考える直した。
......360度どっからどう見ても何回考えてもおれが元凶じゃん。いやでもさ...明らかに女の陰匂わす向こうも悪いでしょ。あの時から俺のことずっと好きだったとか言ってる割にちゃんと付き合ってたやついるし、看病得意とか絶対恋人の家に行ってやってたやつだしそれをおれにもしようとしてる感出してんのが腹立つわ。...かと言っておれも何人も付き合ってきたしなんならこの前別れたくらいだから人のこと言えないのが余計癪だわ。
「...つかさっきのトークの相手誰だよ。」
ため息を吐いてベットに横になるとそのまま瞑想した。
なんとなくお腹が空いた気がして買ってきてくれた飲み物を持ってリビングに降りると兄貴がソファで横になっていた。
「おー、体調よくなったかー?新山が終始お前のこと心配だって言ってたぞ。」
「え、おれの部屋出てからそのまま帰ったんじゃなかったの?」
「いんやー?その後もしばらく下居たよ。親から連絡入って帰ったけどそん時お前に一言言ってから帰ろうかなって言ってたけど悩んでてキモかったから早く帰れって締め出した。」
佐々木の話を聞いて寂しそうに「そう。」と返す千隼を見て佐々木は千隼が持っていたコンビニ袋を漁った。
「ちょっ、何すんの!?」
「んー?ちょっとねー...おっ、あったあった。」
そう言って袋の中から一枚の紙を取り出すとそれを千隼に見せた。
「あいつが気づいてくれるかわかんねぇけど~って言いながらお前の部屋戻る前に書いてた紙、いらないなら代わりに捨てといてやるけど?」
「...いらないなんて一言も言ってない。」
千隼は佐々木の手から強引に紙を奪い取ると書かれていたものを見て首を傾げた。
家の住所...?とバイト先の名前。それからシフト制?...って何。その下に書いてある名前は......女の子の名前?
「......どう言うこと?」
千隼が理解できずにいると佐々木が隣に寄ってきて一緒に紙を見た。
「へぇ~あいつの家の住所とバ先と...あ?これあいつの元カノたちの名前じゃん。何これおもろ、写メっていい?」
「無理やめて......え?これ新山さんの元カノの名前?」
「は~?もったいね、他の奴らに見したら爆笑もん間違いなしだったのに。そーだよ、しかもご丁寧に付き合った順もその通り~。」
「......じゃ、じゃあこのシフト制って言うのはどう言うこと?」
食い気味に聞いてくる千隼を怠そうに遇らうと佐々木は冷蔵庫にあったサンドイッチを持って自分の部屋に帰っていった。
一人になった千隼はソファに座りシフト制の意味を調べた。
...つまり週によってバイトの日が変わるってことか。でもなんでこんなこと急に......。
「あっ...。」
千隼は今日、新山が自分の部屋でしていた話を思い出した。そしてこの紙を残していったワケを理解して深く息を吐いた。
「クソ真面目に答えすぎだよ......てか字、...綺麗だなぁ。」
そう呟いて紙をもう一度見ると、笑みを浮かべた。大事そうにポケットに仕舞うと携帯を取り出し新山にL◯NEを送った。
そして佐々木が勝手にサンドイッチを持っていったことを思い出し、階段を駆け上がると勢いよく佐々木の部屋のドアを開けた。
「ねぇ、それおれが買ってもらったやつ!」
「可愛くねぇマセガキだな。いいじゃんあんなに買ってもらったんだから。それにさっき大事なこと教えてやったじゃん、情報料だよ。」
佐々木は最後の一口を食べ切ると、入っていた包装紙のゴミを千隼に渡した。
「いらないんだけど。おれはゴミ箱じゃない。」
不服そうにそう話す千隼を見て佐々木は面白可笑しく笑って口を開いた。
「んじゃー捨ててもらう代わりにもう一個いい情報教えてやるよ。...あいつお前と出会ったあの日から付き合った相手と遣ってないよ。それどころか付き合っても全く相手に熱意なかったし。ま、それだけお前に対して本気だってことじゃね?知らんけど。」
佐々木はそう伝えると「さぁ帰った帰った。」と千隼を部屋から追い出した。部屋を出た千隼は顔を赤くして廊下にしゃがみ込んだ。そして新山からの返事を見る前になんとなく声が聞きたい気がして電話をかけた。
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