ノンフィクション

犀川稔

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13.5話 すれ違い

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一人で中庭のベンチに座って考え込む新山の元に佐々木が後ろから声をかけた。
「よっ!この間はお熱い時間を過ごしたようで~!友達の弟を抱いた感想はどうよ?」
「悪いけど千隼くんにお前と同じ遺伝子が少しでも入ってると思いたくないから全く別の個体だって俺の中で認知してるからその設定で頼むわ。」
冷静に話す新山を見て佐々木が大笑いした。
「え、何。なんでそんな機嫌悪いん?普通なら余韻に浸って最高な気分のはずだろ。んだから自販奢って貰う気でいたのに。」
佐々木がそう言って自販機に近づき商品を選んでいた時、後ろから新山がお金を入れた。
「え、マジ!?太すぎだろ...感謝~!」
「......初体験の後に聞いた感想が、こんなもんかってどう言う意味だと思う?やっぱそんなよくなかったってことなんかね。」
真面目な顔をして問う新山を見て佐々木はぽかんと口を開けた。
「...それあいつに言われたん?」
「うん、言われたね。」
「...聞き間違えとかじゃなく?」
「はっきり言ってたね。」
淡々とため息を吐きながら答える新山になんと返そうか悩んだ佐々木は「解釈の違いじゃね?」と言った。
そこに偶然居合わせた赤城が合流すると話は流れそのまま教室に帰る形となった。

「佐々木弟の件で悩んでるってマ?」
女子との予定で先に帰った佐々木を抜いて赤城と昇降口抜けた時、赤城が新山に聞いた。
「えぐいほどあいつ口軽くね。一応口止めで飲み物奢ったんだけど俺。」
「いや新山が弟と色々あって悩んでるから相談聞いてやってって言われただけ。で何?」
「お節介なのか面倒だから赤城に投げたか微妙なラインだな。...まぁ迷える子羊なのは確かよ。」
「へぇー...一応言っておくと、俺も面倒だけどまぁ任されたからとりあえず聞いてもいいよ。口止めは牛丼かラーメンな。」
そう言って話を進める赤城に「お前もお前で容赦ねぇな。」と言って新山が詳しい話をし始めた。
「......ナルホド。つまりもっと佐々木弟を掘りまくってヤリたいってこと?」
「おい...お前の思考回路どうなってんだよ。何をどう解釈したら今の話でそう言う結論が出んだよ。」
サラッと最低なことを言う赤城に新山が呆れたように言い返した。
「いやそう言うことでしょうよ、よく考えてみ?初めてでしかも相手は同性。自分が入れられる立場で余裕ない状況で終わった後気持ちの整理もつかない時にどうだったかなんて聞かれたら普通にビビるっしょ。なんて答えても正解なんてわからないのに答えようがないし、後々根掘り葉掘り聞かれないために無難に相手が反応しずらいような返しすればいいかってなるよ。お前も今俺にそう言う解釈されて反応困ったっしょ?...それお前に聞かれたら時の佐々木弟の立場とほぼ同じよ。」
赤城に現実を叩きつけられた新山は返す言葉が出なかった。そんな新山を見て赤城ははっきり言いすぎたと反省して言葉を付け加えた。
「......まぁでもお前の気持ちも分からなくはないよ。向こうにとって自分が初めてで嬉しいから舞い上がって色々聞いちゃうのも共感できるけどまずは相手のメンタルケアでもしといた方がいいんじゃね。簡単なのだとすぐ2度目するとかじゃなくてスキンシップとってみるとかさ。したら向こうから動いたり聞いてきたりするかもだしそれまで待ってみるのもいいじゃないっすかね。」
「...お前ってそんな頼り甲斐あったっけ。最初から佐々木じゃなくてお前に相談すりゃよかったわ。」
「うん、お前の人選がクソなだけだわ。ま、俺今日はこの後バイトなんで。今度飯ゴチ~。」
その後電車に乗ってゲームをすると乗り換えの駅に着き、そこで赤城とか別れ電車を乗り換えた。目の前に千隼と同じ学校の制服を着た生徒を見かけて新山はふと頭に千隼の事が浮かんだ。
...赤城の言う通り、確かに千隼くんと進展できて勝手に一人で浮かれてたな。千隼くんにとっては初めてなんだからがっつかないでゆっくり慎重に...だよな。やっぱこの前の反応的に千隼くん引いたかなー...名誉挽回も兼ねて赤城が言ってたようにしばらく制御してすごさねぇとな。
新山はそう自分の中で気持ちをまとめ、千隼から来ていたL◯NE返信をした。
今日席替えをして窓際の席になったらしい。席から他クラスの人たちが校庭で体育をしてるのを見れるのが楽しいらしい。そのメッセージだけでも可愛いし愛おしいと思えてしまう。前までは自分ばかり話題提供していたのに対し最近は千隼くんが自分のことや学校のことを話してくれるそんなところがたまらないしずっと懐いてくれなかった猫がゴロゴロ喉を鳴らして近づいてきている気分になる。きっと千隼くんの中で少しは俺も気が置ける存在になりつつあるのかもしれない。
このままもっと俺のそばにきてほしい。もう俺の近くか離れていけないほどズブズブに嵌まってしまえば......。
「あぁ、そんなことを考えるから更に重たい男になるのだろうな。」
独り言のようにボソッと呟くと新山は笑みを浮かべて千隼に返信をした。

「今度千隼くんの学校まで迎えに行ってもいい?」
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