13 / 20
13◆夏目視点
しおりを挟む
中学の頃に初めてみた日から、時雨が好きだった。
奏に向ける愛を、僕に向けてほしかった。
一番簡単に近付くには、同い年の奏と仲良くなるのが一番だった。
時雨と仲良くなりたくて、奏と同じ学校を選んだ。
………だけど。
時雨はずっと奏が好きで、僕をみてはくれない。
難しいことは、最初からわかりきっていたけどね。
………でも、時雨が好き。
そんな時、僕は誘拐された。
あの変質者組織[ピンクの誘惑]にだ。
変態の素質があるなんて言われても、僕は変態ではないから入団を断った。
………けれど、思ってしまったんだ。
僕も変態になったら、時雨は僕をみてくれるかなって………。
そして、常識が必要ないこの組織の考え通りに常識を捨てたら………。
手段を選ばなければ、時雨を手に入れられるかなって………。
そんなことを考えてしまった結果、僕は悪魔の囁きを受け入れた。
どうしても、時雨がほしかったから………。
「よくやったな。夏目 時雨を拐えて素晴らしいぞ」
「ふふ、奏の友達だったから楽勝だったんよ。約束通り、時雨は僕にくれるんよね?」
ボスは、僕に約束してくれていた。
僕が時雨を拐えたら、時雨を僕にくれるって。
だから、僕は笑顔で時雨と奏を差し出した。
しかし。
ボスは笑顔で約束は無効だと言った。
「兄も拐ったからプラスマイナス0だ」
「そんな!!」
「まぁ、地道に口説きなさい」
「うぅ……あんまりなんよ………」
時雨をくれると約束してくれたから楽しみにしていたのに、奏も拐ったからくれないなんて酷い。
こんなことなら、奏は置いてくるかどこかに監禁してしまえば良かった。
もう友達だった関係には戻れない。
最初から利用していただけだった。
けれど………。
「意外と……三人でいるのは楽しかったんよ………」
僕の恋心は変わらないけど、奏は奏で好きだったよ。
だから……ごめんね………。
好きだったけど、時雨は僕のものにする。
聞かせるつもりのない謝罪を、一人心の中で呟いた。
奏に向ける愛を、僕に向けてほしかった。
一番簡単に近付くには、同い年の奏と仲良くなるのが一番だった。
時雨と仲良くなりたくて、奏と同じ学校を選んだ。
………だけど。
時雨はずっと奏が好きで、僕をみてはくれない。
難しいことは、最初からわかりきっていたけどね。
………でも、時雨が好き。
そんな時、僕は誘拐された。
あの変質者組織[ピンクの誘惑]にだ。
変態の素質があるなんて言われても、僕は変態ではないから入団を断った。
………けれど、思ってしまったんだ。
僕も変態になったら、時雨は僕をみてくれるかなって………。
そして、常識が必要ないこの組織の考え通りに常識を捨てたら………。
手段を選ばなければ、時雨を手に入れられるかなって………。
そんなことを考えてしまった結果、僕は悪魔の囁きを受け入れた。
どうしても、時雨がほしかったから………。
「よくやったな。夏目 時雨を拐えて素晴らしいぞ」
「ふふ、奏の友達だったから楽勝だったんよ。約束通り、時雨は僕にくれるんよね?」
ボスは、僕に約束してくれていた。
僕が時雨を拐えたら、時雨を僕にくれるって。
だから、僕は笑顔で時雨と奏を差し出した。
しかし。
ボスは笑顔で約束は無効だと言った。
「兄も拐ったからプラスマイナス0だ」
「そんな!!」
「まぁ、地道に口説きなさい」
「うぅ……あんまりなんよ………」
時雨をくれると約束してくれたから楽しみにしていたのに、奏も拐ったからくれないなんて酷い。
こんなことなら、奏は置いてくるかどこかに監禁してしまえば良かった。
もう友達だった関係には戻れない。
最初から利用していただけだった。
けれど………。
「意外と……三人でいるのは楽しかったんよ………」
僕の恋心は変わらないけど、奏は奏で好きだったよ。
だから……ごめんね………。
好きだったけど、時雨は僕のものにする。
聞かせるつもりのない謝罪を、一人心の中で呟いた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
30
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる