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2◆テイガー視点
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エドワードとは、我が父にしてこの国の王アルフレッド・フォン・アルテミーリアの決めた婚約者だった。
父上は何故かエドワードをとても可愛いがっていて、王太子になりたいならエドワードを娶れと言ったんだ。
エドワードは、正直に言うと地味だ。
とにかく地味なんだ。
そばかすだらけの顔、瞳も髪も平民に多い茶色。
性格はおとなしくて、読書ばかりする根暗だ。
基本的に無口な奴だった。
王太子になるため、我慢して婚約した。
ちなみに、子供は兄弟のうちの誰かの子供をもらうから王太子は子供を作らなくてもいいと父上は言っていた。
父上は何度も私に言い聞かせていたことがある。
絶対にエドワードを大切にしろ。
エドワードを怒らせてはならない。
エドワードを泣かせてはならない。
エドワードを蔑ろにしては絶対にならない。
命をかけてでもエドワードを守れ。
口を開けばエドワードエドワードと、聡明な父上が何故エドワードに拘るのかはわからない。
だが、私の前にシンシアが現れた。
彼女は誰もが振り向く美しい少女だ。
彼女の前ではエドワードはどぶねずみにしかみえない。
彼女はおしとやかで、謙虚で、成績も上位だ。
エドワードはいつも平均値ぐらいだな。
ギリギリ追試にはならない成績だ。
私の妻には、彼女のような女性こそが相応しい。
彼女と私なら、優秀な子供が作れるはずだ。
そう思っていたある日、彼女が泣いていた。
隠れるようにひっそりと、何かを抱えて。
テイガー「どうしたんだい?」
声をかけると、美しい顔を涙でぐちゃぐちゃにして私を見上げた。
なんでもないと言うが、どうみてもなんでもなくはない。
私が引き下がらないのがわかったのか、か細い声で教えてくれた。
シンシア「実は、私はだいぶ前からエドワード様にいじめを受けてますの。今日も、おやつに友人の皆様と食べようと手作りの菓子を持ってきたのですが、エドワード様が何を勘違いしたのか私が殿方に菓子を配って男性にチヤホヤされたいんだろ!と、訳のわからないことを言って菓子の袋を踏みつけたのです。エドワード様は、いつも周りにはバレないように私をいじめますの。でも、私にはいじめられる理由などないのに……」
私の中に、深い怒りが芽生えた瞬間だった。
きっと、エドワードはシンシアが全てにおいて素晴らしいからいじめなど愚かなことをしたに違いない。
容姿も、性格も、成績も、エドワードはシンシアに何も勝てない。
きっと、父上はエドワードの猫被りに騙されているんだ。
泣いているシンシアに私は微笑みをみせて、シンシアを慰めた。
私は決めた。
エドワードと婚約破棄をしようと。
そして、王妃に相応しいシンシアを娶るのだと。
父上は何故かエドワードをとても可愛いがっていて、王太子になりたいならエドワードを娶れと言ったんだ。
エドワードは、正直に言うと地味だ。
とにかく地味なんだ。
そばかすだらけの顔、瞳も髪も平民に多い茶色。
性格はおとなしくて、読書ばかりする根暗だ。
基本的に無口な奴だった。
王太子になるため、我慢して婚約した。
ちなみに、子供は兄弟のうちの誰かの子供をもらうから王太子は子供を作らなくてもいいと父上は言っていた。
父上は何度も私に言い聞かせていたことがある。
絶対にエドワードを大切にしろ。
エドワードを怒らせてはならない。
エドワードを泣かせてはならない。
エドワードを蔑ろにしては絶対にならない。
命をかけてでもエドワードを守れ。
口を開けばエドワードエドワードと、聡明な父上が何故エドワードに拘るのかはわからない。
だが、私の前にシンシアが現れた。
彼女は誰もが振り向く美しい少女だ。
彼女の前ではエドワードはどぶねずみにしかみえない。
彼女はおしとやかで、謙虚で、成績も上位だ。
エドワードはいつも平均値ぐらいだな。
ギリギリ追試にはならない成績だ。
私の妻には、彼女のような女性こそが相応しい。
彼女と私なら、優秀な子供が作れるはずだ。
そう思っていたある日、彼女が泣いていた。
隠れるようにひっそりと、何かを抱えて。
テイガー「どうしたんだい?」
声をかけると、美しい顔を涙でぐちゃぐちゃにして私を見上げた。
なんでもないと言うが、どうみてもなんでもなくはない。
私が引き下がらないのがわかったのか、か細い声で教えてくれた。
シンシア「実は、私はだいぶ前からエドワード様にいじめを受けてますの。今日も、おやつに友人の皆様と食べようと手作りの菓子を持ってきたのですが、エドワード様が何を勘違いしたのか私が殿方に菓子を配って男性にチヤホヤされたいんだろ!と、訳のわからないことを言って菓子の袋を踏みつけたのです。エドワード様は、いつも周りにはバレないように私をいじめますの。でも、私にはいじめられる理由などないのに……」
私の中に、深い怒りが芽生えた瞬間だった。
きっと、エドワードはシンシアが全てにおいて素晴らしいからいじめなど愚かなことをしたに違いない。
容姿も、性格も、成績も、エドワードはシンシアに何も勝てない。
きっと、父上はエドワードの猫被りに騙されているんだ。
泣いているシンシアに私は微笑みをみせて、シンシアを慰めた。
私は決めた。
エドワードと婚約破棄をしようと。
そして、王妃に相応しいシンシアを娶るのだと。
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