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2022・初お泊まり
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しおりを挟む「大丈夫?」
「うん……遼平さん、すき…」
「うん、僕も…あずちゃん、ずっと、本当はこうしたかった…好きだよ、大好きだよ」
安心感を貰っては返して、じわじわと痛みが癒えて行く。擦れる感触はあるものの、内側から濡れて段々と中にゆとりが出来ている感じもある。
「血、出たのかな」
「どうだろう…止血してあげられないからごめんね」
「すぐ止まると思う…あったかい」
「うん…ここも触っておこう」
ぷにぷにと、遼平さんは私の胸で遊び出す。
ちなみに、彼は女性の体のパーツに拘りは薄いそうだ。強いて言うなら筋肉量を見てしまうそうで…それを聞くとぽよぽよの私によく惚れたものだなと思う。
「硬い方が良い?」
「んー、女性の体は柔らかいものだから、硬くなくても良いと思う。自分には無い箇所だから、特に有り難いと言うか…惹かれるね」
「そっか…ねぇ、エッチで鍛えられると思う?」
「…騎乗位とかなら、太ももとお尻に効くんじゃないかな」
繋がったままするにしては色気の無い会話、でも和かにほのぼのと時間が過ぎて行く。
そして彼が「僕はこの状態なら腕立て伏せが出来る」なんて言い出すものだから、痛みも消えたし動きを再開した。
「うん…あ、あ♡」
「可愛い声♡」
「やだ、」
「気持ち良い…この歳まで取っておいて良かったな、童貞」
「そかなッ…あ♡あ♡」
「あずちゃんの初めても、貰えて嬉しいッ…こんな幸福感、初めてだよ」
5分くらいか、少し動いて、彼は私を一層強く抱き締めてから果てた。情けなさそうに、裏声で、私の名を叫んで。
後で確認してみたが、シーツに少し茶色いシミが出来ていた。
「あ、血が垂れてる…ごめんなさい、汚しちゃって」
「良いよ、シャワーしておいで」
「でも」
「すぐにシミ抜きすれば大丈夫だよ。お尻、洗っておいで」
「うん…」
マットレスまで浸透していたらどうしよう、旅館の備品だし不衛生だし申し訳ない。
遼平さんの部屋のお風呂を借りてしっかり綺麗にして、戻ると魔法のようにシーツは元通りになっていた。
「え?」
「気にしないで」
「え?もうシミ抜きして、もう乾くもの?え?」
「これにはトリックがあってね」
遼平さんは、ドヤ顔で部屋の隅を指差す。そこには彼のバッグと、先ほどの汚れたシーツが転がっていた。
「…替えを貰ったの?」
「いいや、元々が僕の私物」
「は?」
どうやら、彼は自宅からマットレスに合うシーツを持参して張り替えていたらしい。そしてその下にはこれも自前のベッドパッドを敷いて、介護用の吸水シートも挟んでいたそうだ。
「僕、寝汗とかかくから替えはたくさん持っててね」
「…私を抱く準備、元々して来てたってこと?」
「…まぁ、ね…でも使うのは…可能性は低いと踏んでて…あずちゃんが嫌がるかもしれないし、何より僕がヘタレだからね」
「…コンドームも買ってたのに?」
「……用意は周到にしておかないと、あずちゃんだって困るだろ」
ちょっとだけ唇を尖らせる、これは照れ隠しか。
そうね、準備してくれていたから安心して抱かれることが出来た。欲を言えば同室にしてもらえていたら、もっと嬉しかったとは思うけど。
「次は、同じ部屋を取ろうね」
「うん…いや、僕も断られたら気まずいからさ、ふた部屋取ったんだよ」
「もったいなかったね」
「まぁ、リッチな気分でね、過ごせるから」
もう自分の部屋に戻るつもりは無かったのだが、お金を出してもらっているので使わねば無駄になる。たっぷり遼平さんを堪能してから部屋に帰ろう、彼の首に腕を巻いた。
「まだ…する?」
「あずちゃん…大丈夫?」
「私だって、覚悟して来たんだもん…エッチ、したかったから」
「…期待に応えよう」
遼平さんは私と共によいしょと立ち上がり、コソコソ準備をしてから私の尻に手を掛ける。
そして
「よっと、」
と対面で抱き上げ腰を低く構えた。
「え、え、」
「いわゆる駅弁、知ってる?」
「駅?なんで?へ?え……あッ♡」
担がれてそのまま一緒になって、私は自重のせいで余計に悶える。
ゆさゆさと揺さぶる遼平さんは筋トレ中みたいに生き生きとしており、これは何の興奮なんだと混乱した。
「絶対落とさないから、信用して」
「ふ、わああ♡」
「んー、これは…鍛え甲斐のある、体だなっ」
「やらぁ、降ろして、」
「これ、良いトレーニングになりそう」
「ばかぁ、やッ♡遼平さ、あ♡」
どこまで担ぐのが好きなんだろう、遼平さんは最後まで本当に楽しそうだった。私を落とさないようにベッドを背にして、でも部屋の中をウロチョロ歩いてみたりして。
そのくせ腰は腰でしっかり私を捉えていて…セックスにここまでフィジカルで対応する人ってどれくらいいるのかと白目を剥いて考えた。
その後、宣言通り私は自室へと戻って寝ることにした。
しかし足が立たず、這う訳にもいかず遼平さんに運んでもらうことになった。「お姫さま抱っこにしようね」と王子さまみたいに微笑む遼平さんはまだピンピンしていて、抱かれる私は「はいぃ…」と息も絶え絶えだった。
「おやすみ、あずちゃん」
「お、やすみなさい…」
挨拶をしたら室内をハイハイで歩き、もう風呂も良いやとベッドへ登頂し泥のように眠った。
なんで、受け身だった私ばかりこんなに疲労しているんだろう。
恥ずかしさと興奮で体に疲れが溜まってしまったのだろうか。
ぼーんやりそんなことを考えて、気が付いたら朝になっていた。
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