Fragment-memory of secret garden-

黒乃

文字の大きさ
8 / 26

雪解け(下)

しおりを挟む
言葉責め/強姦/拘束/若干のNTR/シリアス
Fragment一部作目 第九十節閲覧後推奨

雪解け(上)の続き






















 ぴとり、と昂ぶった己をヒクつく秘所へ充てがう。上からはひゅ、と息を飲む悲鳴が聞こえた。ちらりと表情を一瞥すれば、そこには哀願の色が見て取れる。声には出さず許しを乞う。そんな彼に微笑んで、それでもヴァダースはゆっくりと腰を沈めていく。

「はぁア、あッ……!!」

 ヴァダースは急くことはなかった。じっくりと時間をかけ、存在をヤクに知らしめるように楔を押し込む。限界まで快楽という名の毒が回ったヤクの身体は、熱量のあるそれに大層ご満悦のようだ。肉襞が蠢いて、ヴァダースのモノをしっかりと咥え込む。脈動すら抱擁する体内の熱に、思わず甘い吐息が漏れる。ぐぐ、とさらに腰を推し進め、根元までを捩じ込んだ。
 背を弓なりに逸らし、快感の逃げ場を作ろうとするヤク。今すぐにでも、身体を巡る快楽を吐き出したい。しかし彼の陰茎は、その根元をヴァダースに握られている。もはや射精すら、ヤクには許されていなかった。

「ぅ……や、ァ……も、ゆるし、てぇ……」

 ぽろぽろと双眸から零れ落ちる、ヤクの懇願。眉目秀麗な彼は何処へやら。ヴァダースの目の前にいるヤク・ノーチェは今や、敵国の軍人ではない。自分という雄に身体を蹂躙される、一人の憐れな青年だった。それでも、そんな彼が愛おしい。にこりと笑い、冷酷に言い放つ。

「私たちは本来、敵同士ですよ?敵の願いを、簡単に許すわけないでしょう?」

 そしてヴァダースは己の肉竿で、ヤクの中を容赦なく抉り始めた。内腔をくまなく行き来し、柔肉を擦り上げるヴァダースの欲望。指とは比べものにならない重量感と熱量に、一度芽吹いた快楽の花は咲き乱れていった。

「ああ、や、ンぅ、あんッ」

 貫き、内壁を捲り上げて引き抜き、再び熱い蜜壺へ嵌めていく。その律動に合わせてヤクの喉から発せられる熱を帯びた嬌声が、実に心地良い。
 自らの欲を吐き出すことすら許されず、幼い頃から性暴力の英才教育を受け、完成させられた淫らな彼の身体。それは彼の心とは関係なしに、飛沫を上げてヴァダースの楔を迎え入れる。ひとたび内腔へ打ち込めば、蕩かされた肉襞がそれに粘液を纏いながら絡みついた。

「っ、ふふ……氷の術を得意とする貴方の中が、こんなにも熱いだなんて、ね。のぼせそうだ」
「やァ、や、あぅ……ッ」
「嫌?こんなにはしたなく、ここは涎を垂らしているのに?」

 ぐり、と一際強くヤクの雌を抉る。甲高い悲鳴にも似た嬌声が漏れた。その声がもっと聞きたくて、狙いを定めて何度も穿つ。もたらされる暴力的な快楽ですら、余すことなく拾い上げていくヤクの身体。握った竿の先端からは、我慢できずにちろちろと迸りが溢れている。

「ひ、ぃ!あひ、ァ!なん、でッ……」
「ん……?」

 痛いほどに内壁を擦り上げられているヤクから、言葉が漏れ出る。

「こ、なの……ヒッ、あぁん!おな、じなのに……ぃ、いま、までとぉ……!」

 その言葉で、ヴァダースの昂ぶっていた熱が少し下がる。ああ、彼の目には今、自分以外の人間が映っているのか。面白くない。
 ヤクの目に映る、自分以外のもの。それは、今まで彼自身を陵辱していた人間たちだろう。そんなものと一緒くたにされるのは、ヴァダースは願い下げだった。

 一度腰を止め、彼に夜の帳を下ろす。宵闇に浮かぶ月だけを見るように、視界を塞いだ。

「随分と酷い言い草ですね。私が、今まで貴方をいたぶってきた人間と同じだなんて」
「ちが、わない……!貴様、だて……ッ」
「違いますよ、大きくね。分からないのなら、教えて差し上げましょう。私と彼らとの、大きな差を」

 するり、酷く丁寧に。慈しむような手つきで、ヤクの濡れた頬に手を添わせる。

「彼らが貴方に一方的に与えたのは、痛みだけです。己の欲望をただ叩きつけ、嬲るだけの行為。そこに愛情なんてありません。ただの暴力行為です」
「ぅ……」
「ですが私は貴方に痛みではなく、快楽を与えたいと思っている。何故か分かりますか?」

 知らない、知りたくない、とヤクはかぶりを振る。彼の意思を、今だけは無視する。彼の鼓膜に焼き付けるように、囁く。

「私は、貴方を愛しています。愛する人を気持ち良くさせたいと思うのは、当然のことでしょう?」

 それだけ告げて離れる。ヤクの表情には混乱が浮かんでいた。言いたいことは分かる。ここまで自分を散々いたぶっておきながら、よくもそんな事をと。

 それでもいい。どう思われようとも。自分が彼を愛していることに、変わりはないのだから。

 止めていたピストンを再開する。忘れかけていた質量に、ヤクはわなないた。先程よりも更に遠慮なく、奥深くまで。竿を握っていた手を離し、ヤクの片足を肩に担ぐ。より奥まで、肉棒で蹂躙した。ぐじゅぐじゅと卑猥な音を立てて、悦を頬張る蕾。

「も、やぁ!やら、ィく、い、ぁアあッ」
「ええ、私も……もう我慢できません……!」

 ヴァダースは最奥を貫き、獣のように身体を震わせて愛欲を叩きつける。ヤクも溜まりに溜まった快感が、ようやく開放された。肉竿から蜜液が止まらず、強い絶頂に喉が震えている。やがて落ち着きを取り戻すが、余韻に浸らせる余裕をヴァダースは与えなかった。
 ずぐん、と質量が大きくなったことに気付いたのか、震える瞳でヤクは彼を見上げた。

「ひぐ、な……で、イッた、のにぃ」
「少しだけ、お仕置きです。さっき、私以外を見たのですから」
「そ、な……!おねが、ゆる、し……ンあ!」
「嫌です」

 密着させた腰を浮き上がらせるように、強く揺さぶる。未だ痙攣していた秘肉は、再びもたらされた硬度なそれを締め付けるのであった。

******

 二度目の絶頂を迎えたヤクは、意識を真っ白な快楽に手放した。ヴァダースをしゃぶり尽くしたヤクの身体は、まだ欲しいと強請ってはいるが。
 相手が反応しなければ意味がない、とヴァダースはゆっくりと秘肉からそれを引き抜いた。蜜口から飲みきれなかった白い欲望が、たらり溢れる。

 ぐったりとしたヤクの顔。涙で濡れている頬を再び撫でる。満足そうに微笑んでから、最後に優しく口付けを施す。

「ええ、ええ。いいのです。どうか私を憎みなさい。それで貴方の心が軽くなるのならね」

 聞こえてないだろうが、言わずにはいられなかった。この愚かしくも愛おしい魔術師に、自分がしてやれるのはそれだけなのだからと。
 空に浮かぶ朧月だけが、そんなヴァダースを見下ろしていたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

処理中です...