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始まりは突然に
愛おしい彼女に付きまとう影
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目の前の金髪の美青年には、頭の上にハッキリとにえの文字があった。愛おしい彼女の名前……忘れもしない。8月に命を失った彼女の名だ。俺は駆け寄り、思わず両手で抱きしめた。
「にえ……にえ……!」
前世で死んだ彼女が、今目の前にいる。容姿は全く異なるが、そんなことは関係なかった。ただ彼女が自分の目の前にいてくれているだけで、自然と嬉しさで涙が溢れた。第1王子は俺の肩を持ち、優しく距離をはなすと、困ったような笑顔でこちらを見ていた。
「パープル嬢。あなたが人前で男性に抱擁をするなど、無礼な事をしてはなりません。私はこう見えても一応この国の次期王の候補なのですから」
淡々と話す彼女に俺は被せるように声を上乗せる。
「にえ!何言ってるんだよ!俺たち前世でこうして何度もだきあっただろ!?覚えてないのか?」
第1王子は少し顔をあからめると、咳払いをした。
「パープル嬢。とても申し訳ないのですが、私は貴方様のように選ばれた物ではないのですよ。ですからあなたの想い人であった記憶は私にはございません」
俺はその言葉を聞いても噛み付く勢いで勢いに任せ声をかけた
「なら思い出せるように一緒に頑張るから!だから、これからも俺のそばで笑ってくれ!」
第1王子は眉間に皺を寄せ、目線を下に向ける。
「パープル嬢……まさか貴方が私を婚約者に選んだのは、そのにえという女性に想いを寄せておられるからですか……?」
落ち込む第1王子を見て俺は畳み掛けるように声を張り上げる。
「婚約者かどうかは知らねぇけど、俺はにえが好きだ!これからもずっと!」
第1王子はその言葉を聞いて目を大きく見開き、後ろに振り返った。
「パープル嬢……私はてっきり私を気に入り、婚約を申し込んでくれたのだとばかり思っていましたが、どうやら私の思い込みだったようですね……」
俺の手を振り払い、第1王子はそっと部屋を後にした。その横顔には涙が流れていた。
「なんで……あいつ、泣いていたんだ……?」
談話室は静まり返った。執事は俺を見るなり、膝を曲げ、俺の目線までしゃがみ込んだ。
「パープル様、流石に先程のお言葉はあまりにも自分勝手ではございませんか?」
俺は執事の顔を見て首を傾げた。
「にえに好きと伝えただけなのに、何で俺が悪いみたいな流れになっているんだ」
執事は首を横に振ると強い目線で俺の瞳を見つめた。
「パープル様。パープル様にとってのマーティス王子は、にえという女性に見えるのかもしれません。ですが、マーティス王子はマーティス王子としての人生を歩んでおられます。そんな大事なこともお忘れですか?」
俺は執事の強い眼差しに吸い込まれてしまうようだった。言葉が頭の奥深くで刺さる。あの第1王子はにえであってにえじゃないと言われたようで納得出来ない自分と、人の歩んでいる人生を踏みつぶしたと言う推測が戦い始めた。それでも俺は頑なに頑固になってしまった。にえはにえだ。死んだにえの生まれ変わりには変わりない。執事から逃げるようにその場を立ち去った。
テラスに向かうと、そこには薔薇園の真ん中で、小さな身体を震わせ涙する第1王子の姿があった。俺は気まずさも感じながら、目を逸らして歩き出そうとすると、黒い声が聞こえた。
「どーしたの?マーティス王子様」
俺は声の主に目をやる。そこには可愛らしいお人形さんのような女の子が立っていた。このゲームの主人公と容姿がそっくりだった。可愛い女の子なら問題ない……問題は頭の上の名前だった。
「澤田……康弘……!」
忘れもしない。やつは前世で彼女を殺した張本人だ。澤田はマーティスの頭を撫でながら、優しい声で話しかける。
「よしよし。泣かないで……?」
マーティスは我慢していた涙が滝のように溢れ流れていた。澤田の胸に飛びつき、服を濡らしているマーティスを、頭を撫でて慰めている。しかしその顔は優しい穏やかな女性とは全く違い、怪しい笑みを浮かべていた。口角をあげて目を見開き、眼光には光が一筋も入っていない。俺は身体中から悪寒がした。その目線の先は明らかにマーティスではなく俺に向けられていた。
「今日はお話を聞きたいですが、そちらに邪魔がいますので、またの機会に」
マーティスの耳元でそう呟くと、澤田は俺の元まで駆け寄った。
「こんにちは。パステル嬢。私はパステリア大樹の次期巫女候補。パステリア・フローレンスと言います。」
俺は固唾を飲んだ。怒りのあまり拳を握る。飄々とした澤田はニコリと笑いながら話しかける。
「お互い思う所はあるでしょう。少し離れた場所でお話しませんか?」
澤田の顔は笑顔にもかかわらず、目が死んでいる……俺は唸る右手を押えながら縦に首を振った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
屋敷を出て近くの小屋に案内された。それは次期巫女とは思えないほどオンボロな家だった。その隣にはその地帯を守る大樹が光を放っている。のどかな自然に恵まれた環境とは打って変わり、部屋の中は荒らされたあとのように散らかっていた。足元には臭いオイルのような匂いと腐敗臭が漂っている。俺は足を踏み入れ、近くの椅子に腰かけてた。お茶を入れる澤田を見て、苦虫を噛み潰したような顔をうかべた。澤田は俺の前に古びた木のコップの中にお茶を入れた。
「まぁまずはゆっくりそれを飲みながら話をしよう」
俺は渡された茶を一口飲むと、何やら苦いような鉄臭いような味がした。
「変わったお茶だな」
「あぁ。今日の朝採れた新鮮なお茶だからね」
澤田は自分の目の前にお茶を置き、口を開いた。
「改めまして初めまして……いや、2度目かな?佐藤 誠くん」
俺は体の芯から寒気がした。思わず立ち上がった。
「澤田……!お前は記憶があるんだな……?」
「えぇ、ハッキリと。にしてもあなたにも同じ能力があるようですね。巫女には相手の過去が見える……とても都合のいい能力でした。おかげでにえちゃんを見つける手間が少なくてすんだ」
俺は歯を食いしばった。
「お前どーして……どーしてにえを殺した!なんで生まれ変わってまでにえに付きまとってくんだよ!!」
澤田は俺の言葉を聞いて先程までの怪しい笑みはきえた。死んだような目でこちらを見つめ、冷たい声が部屋を凍らせる。
「何を言ってるんだ。付きまとってきたのは君だろ?」
「は……?」
「僕はねぇ……君が彼女と付き合うずっと前から彼女の事を好きだった……!食を失い、生きる意味をなくした俺に、彼女は優しく声をかけてくれたんだ……!俺はその日から影ながらずっと彼女を愛していた……!学校の行き帰りは僕が後ろから着いて行ってあげていたし、時には悪い虫を何人も何人も何人も潰してやったさ……!」
狂っている……気持ち悪い程の愛情に吐き気がした。澤田は恨みを込めたどす黒い声で俺を指さした。
「なのに……君だよ君……!!いつの間にか彼女のそばに居て、気づいた時には彼氏……?ふざけるな!!俺がどんな思いで他の虫共を潰してきたと思ってるんだ!俺には彼女に想いを伝える事は愚か、話す事すら許されないんだぞ……なのにお前は俺の目を盗んで彼女を手に入れた……!許さない……許されない!!」
俺は奴の気持ち悪い発言に怒りが収まらず、胸ぐらを掴んだ。
「なんだよ……じゃあお前は俺が憎いんだろ……?俺をあの日殺せば良かったじゃないか!!なんでにえを殺した!!」
澤田は狂った笑みを浮かべ、静かに答えた。
「俺のものにならないからだよ……」
「は……?」
「お前とあの日、7月31日ににえちゃんは花火大会に行った……俺はにえちゃんに想いを伝える事にした……お前よりも俺はずっとにえちゃんを守ってきたんだ。想いを伝えたら、もしかしたらにえちゃんは俺を選んでくれるかもしれない。そう思っていたのに……振られた。お前が好きだからってね……だから、俺のものにならないくらいなら……殺して一からやり直そうと思ったんだ……」
「一からやり直すってなんだよ……生き変えって巡り会えるなんて保証一つもないだろ?」
「そんなことは無いさ。僕の思いは叶う。そう信じていたからね……現に今彼女の好きだったゲームの攻略王子に彼女が。そして俺が攻略する側のヒロインに生まれ変わったろ?」
俺は澤田の顔に拳で殴りつけた。そして声をふるわせた。
「なんだよそれ……ふざけるな!!人の人生をゲームの様に考えやがって……一からやり直す為に殺して……んで何だ……?ゲームの攻略キャラだ?あいつはゲームじゃない!!人間だ!!お前みたいなクソ野郎ににえをわたすもんか……絶対に!」
「あぁ、いいよ?別に僕は彼女と結ばれるだけの生ぬるい関係なんて欲しくない」
澤田はニヤリと笑った。
「僕は彼女の命まで喰らいつくしたいほどにほしい……!!」
俺は体から力が抜け、その場に倒れた。
「……なん、だよ……これ……!!」
「あぁ、言い忘れてた……」
澤田は俺の目の前に白い粉をの入ったパケをおとした。
「実は睡眠薬を入れて置いたんだよ……邪魔な奴らを消す為にね……」
真っ赤な液体が油と交わる床に倒れ、奴らという言葉を聞き、部屋の隅を見ると、ベッドに横たわる女性と床に寝そべる男性に気がついた。2人は胸元から血が流れ落ち、地面を真っ赤にしていた。
「澤田……!!」
澤田は床に火を放つと、扉を開け、こちらを振り返った。
「まぁせいぜいあの世で指をくわえてみている事だな。18歳の成人式の夜、僕と彼女が心中する様を……」
俺は意識が途絶える中、扉を閉める澤田の背中に訴えかけた。
「澤田……!お前だけには……にえを殺したお前だけには絶対渡さない!!二度と殺させるもんか……!!」
俺はそのまま深い眠りについた。炎は瞬く間に小屋を燃やし、黒い煙を上げた。
「にえ……にえ……!」
前世で死んだ彼女が、今目の前にいる。容姿は全く異なるが、そんなことは関係なかった。ただ彼女が自分の目の前にいてくれているだけで、自然と嬉しさで涙が溢れた。第1王子は俺の肩を持ち、優しく距離をはなすと、困ったような笑顔でこちらを見ていた。
「パープル嬢。あなたが人前で男性に抱擁をするなど、無礼な事をしてはなりません。私はこう見えても一応この国の次期王の候補なのですから」
淡々と話す彼女に俺は被せるように声を上乗せる。
「にえ!何言ってるんだよ!俺たち前世でこうして何度もだきあっただろ!?覚えてないのか?」
第1王子は少し顔をあからめると、咳払いをした。
「パープル嬢。とても申し訳ないのですが、私は貴方様のように選ばれた物ではないのですよ。ですからあなたの想い人であった記憶は私にはございません」
俺はその言葉を聞いても噛み付く勢いで勢いに任せ声をかけた
「なら思い出せるように一緒に頑張るから!だから、これからも俺のそばで笑ってくれ!」
第1王子は眉間に皺を寄せ、目線を下に向ける。
「パープル嬢……まさか貴方が私を婚約者に選んだのは、そのにえという女性に想いを寄せておられるからですか……?」
落ち込む第1王子を見て俺は畳み掛けるように声を張り上げる。
「婚約者かどうかは知らねぇけど、俺はにえが好きだ!これからもずっと!」
第1王子はその言葉を聞いて目を大きく見開き、後ろに振り返った。
「パープル嬢……私はてっきり私を気に入り、婚約を申し込んでくれたのだとばかり思っていましたが、どうやら私の思い込みだったようですね……」
俺の手を振り払い、第1王子はそっと部屋を後にした。その横顔には涙が流れていた。
「なんで……あいつ、泣いていたんだ……?」
談話室は静まり返った。執事は俺を見るなり、膝を曲げ、俺の目線までしゃがみ込んだ。
「パープル様、流石に先程のお言葉はあまりにも自分勝手ではございませんか?」
俺は執事の顔を見て首を傾げた。
「にえに好きと伝えただけなのに、何で俺が悪いみたいな流れになっているんだ」
執事は首を横に振ると強い目線で俺の瞳を見つめた。
「パープル様。パープル様にとってのマーティス王子は、にえという女性に見えるのかもしれません。ですが、マーティス王子はマーティス王子としての人生を歩んでおられます。そんな大事なこともお忘れですか?」
俺は執事の強い眼差しに吸い込まれてしまうようだった。言葉が頭の奥深くで刺さる。あの第1王子はにえであってにえじゃないと言われたようで納得出来ない自分と、人の歩んでいる人生を踏みつぶしたと言う推測が戦い始めた。それでも俺は頑なに頑固になってしまった。にえはにえだ。死んだにえの生まれ変わりには変わりない。執事から逃げるようにその場を立ち去った。
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「どーしたの?マーティス王子様」
俺は声の主に目をやる。そこには可愛らしいお人形さんのような女の子が立っていた。このゲームの主人公と容姿がそっくりだった。可愛い女の子なら問題ない……問題は頭の上の名前だった。
「澤田……康弘……!」
忘れもしない。やつは前世で彼女を殺した張本人だ。澤田はマーティスの頭を撫でながら、優しい声で話しかける。
「よしよし。泣かないで……?」
マーティスは我慢していた涙が滝のように溢れ流れていた。澤田の胸に飛びつき、服を濡らしているマーティスを、頭を撫でて慰めている。しかしその顔は優しい穏やかな女性とは全く違い、怪しい笑みを浮かべていた。口角をあげて目を見開き、眼光には光が一筋も入っていない。俺は身体中から悪寒がした。その目線の先は明らかにマーティスではなく俺に向けられていた。
「今日はお話を聞きたいですが、そちらに邪魔がいますので、またの機会に」
マーティスの耳元でそう呟くと、澤田は俺の元まで駆け寄った。
「こんにちは。パステル嬢。私はパステリア大樹の次期巫女候補。パステリア・フローレンスと言います。」
俺は固唾を飲んだ。怒りのあまり拳を握る。飄々とした澤田はニコリと笑いながら話しかける。
「お互い思う所はあるでしょう。少し離れた場所でお話しませんか?」
澤田の顔は笑顔にもかかわらず、目が死んでいる……俺は唸る右手を押えながら縦に首を振った。
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屋敷を出て近くの小屋に案内された。それは次期巫女とは思えないほどオンボロな家だった。その隣にはその地帯を守る大樹が光を放っている。のどかな自然に恵まれた環境とは打って変わり、部屋の中は荒らされたあとのように散らかっていた。足元には臭いオイルのような匂いと腐敗臭が漂っている。俺は足を踏み入れ、近くの椅子に腰かけてた。お茶を入れる澤田を見て、苦虫を噛み潰したような顔をうかべた。澤田は俺の前に古びた木のコップの中にお茶を入れた。
「まぁまずはゆっくりそれを飲みながら話をしよう」
俺は渡された茶を一口飲むと、何やら苦いような鉄臭いような味がした。
「変わったお茶だな」
「あぁ。今日の朝採れた新鮮なお茶だからね」
澤田は自分の目の前にお茶を置き、口を開いた。
「改めまして初めまして……いや、2度目かな?佐藤 誠くん」
俺は体の芯から寒気がした。思わず立ち上がった。
「澤田……!お前は記憶があるんだな……?」
「えぇ、ハッキリと。にしてもあなたにも同じ能力があるようですね。巫女には相手の過去が見える……とても都合のいい能力でした。おかげでにえちゃんを見つける手間が少なくてすんだ」
俺は歯を食いしばった。
「お前どーして……どーしてにえを殺した!なんで生まれ変わってまでにえに付きまとってくんだよ!!」
澤田は俺の言葉を聞いて先程までの怪しい笑みはきえた。死んだような目でこちらを見つめ、冷たい声が部屋を凍らせる。
「何を言ってるんだ。付きまとってきたのは君だろ?」
「は……?」
「僕はねぇ……君が彼女と付き合うずっと前から彼女の事を好きだった……!食を失い、生きる意味をなくした俺に、彼女は優しく声をかけてくれたんだ……!俺はその日から影ながらずっと彼女を愛していた……!学校の行き帰りは僕が後ろから着いて行ってあげていたし、時には悪い虫を何人も何人も何人も潰してやったさ……!」
狂っている……気持ち悪い程の愛情に吐き気がした。澤田は恨みを込めたどす黒い声で俺を指さした。
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俺は奴の気持ち悪い発言に怒りが収まらず、胸ぐらを掴んだ。
「なんだよ……じゃあお前は俺が憎いんだろ……?俺をあの日殺せば良かったじゃないか!!なんでにえを殺した!!」
澤田は狂った笑みを浮かべ、静かに答えた。
「俺のものにならないからだよ……」
「は……?」
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「一からやり直すってなんだよ……生き変えって巡り会えるなんて保証一つもないだろ?」
「そんなことは無いさ。僕の思いは叶う。そう信じていたからね……現に今彼女の好きだったゲームの攻略王子に彼女が。そして俺が攻略する側のヒロインに生まれ変わったろ?」
俺は澤田の顔に拳で殴りつけた。そして声をふるわせた。
「なんだよそれ……ふざけるな!!人の人生をゲームの様に考えやがって……一からやり直す為に殺して……んで何だ……?ゲームの攻略キャラだ?あいつはゲームじゃない!!人間だ!!お前みたいなクソ野郎ににえをわたすもんか……絶対に!」
「あぁ、いいよ?別に僕は彼女と結ばれるだけの生ぬるい関係なんて欲しくない」
澤田はニヤリと笑った。
「僕は彼女の命まで喰らいつくしたいほどにほしい……!!」
俺は体から力が抜け、その場に倒れた。
「……なん、だよ……これ……!!」
「あぁ、言い忘れてた……」
澤田は俺の目の前に白い粉をの入ったパケをおとした。
「実は睡眠薬を入れて置いたんだよ……邪魔な奴らを消す為にね……」
真っ赤な液体が油と交わる床に倒れ、奴らという言葉を聞き、部屋の隅を見ると、ベッドに横たわる女性と床に寝そべる男性に気がついた。2人は胸元から血が流れ落ち、地面を真っ赤にしていた。
「澤田……!!」
澤田は床に火を放つと、扉を開け、こちらを振り返った。
「まぁせいぜいあの世で指をくわえてみている事だな。18歳の成人式の夜、僕と彼女が心中する様を……」
俺は意識が途絶える中、扉を閉める澤田の背中に訴えかけた。
「澤田……!お前だけには……にえを殺したお前だけには絶対渡さない!!二度と殺させるもんか……!!」
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