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第1章 召喚

12話 特殊技能

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「それで、ネルのその固有能力…そっちでいやぁ特殊技能か。
その鑑定では、何が出来るんだ?」

ギルドマスターは、彼女にそう聞いたが、実際、この世界では生と死が常に隣り合わせで、少しの情報が時に運命を左右してしまう。

「んー…それ、本当に言わないといけないの?
いくら、ここの責任者とはいえ…信用はしてないんだけど」

判断材料が少ないんだよねぇ…とりあえず、戦闘好きなのと、考えるより先に動いてしまうこと…ここら辺くらいしかまだ分かっていない。
こんな、何も分からない世界に来てしまった以上、そこら辺はしっかりと見極めないと…

「…どうやったら信用してくれる?」

「信用なんて、指示に従ってつくるもんじゃないよ。
もし、本当に私に信用してほしいなら…そうね、その頭でも使って何したら良いか考えてみたら?
それと、他の人から情報取ろうとしたら…それこそ、信用なんて出来ないからね。
じゃ、やり方は教えたんだし、あとは自力で開拓していってね。
来たる厄災に備えよ、英雄よ」

「!?お、おい!待て!厄災ってのどういうことだよ!何が起きる!」

「はぁ…少しは自分で考えなよ」

「ギルドマスター、お呼びでしょうか?」

「それじゃ、私はこれで」


「…彼女は?」

「あ、ああ…ネルって名乗っていた、Fランクの冒険者だ」

「ほぉ…ギルドマスターがそのように興味を示すのは珍しいですね」

そう、彼は彼女が去っていった後、何故か無意識の内にニヤけていた。

「あー…強かった。と言うより、手のひらで遊ばれてた感覚だ…」

「…はぁ!?ギルドマスターがですか!?
そ、そんな強者が何故Fランクに…」

「いや、攻撃自体多分…出来なかったんだと思う。
だが、その代わりこっちの本気の攻撃を全て回避されたんだ…」

「…回避特化、斥候ですか?」

斥候というのは、隠密重視の役割を持っていて、偵察隊と同じく先鋒で相手の戦力等を先に確認し、自分たちを有利な状況に持っていく役割を持っている者達のことだ。
だが、彼女は恐らく…ソロプレイヤー…
それもオールラウンダーである可能性が高い。
それに…炎騎士と謳われた彼の固有も、俺の雷をも吸収した化け物だ…
恐らく、今後も数多くの知識、技術、能力をどんどんと吸収していくことだろう…

「あ、そういやさっき言われたんだが…
来たる災厄に備えよ
ってどういう意味だ?」

「はい来たる厄災…
ああ、それは隠語ですね。
まぁ、簡単に言えば…

平和な時ほど、緊急時には動けなくなるから、その分普段からももっと精進して、どんな時でも万全を期して動けるようにしておくように。

といった感じでしょうか」

「…つまり?」

「あー…そうですね。ギルドマスターでも分かりやすく言えば…

どんな時でも、戦闘出来るように」

「…なんだ、それならそうといやぁ良いのに…
つまりあれだろ?身体が鈍らねぇようにしろってことだろ?」

「まぁ…あながち間違いではないですね」

「ふーん…まぁ、いい。それと、勇者についてだが…一切贔屓はしなくていい。
もちろん、冒険者ギルドの権力無効は続けるように。
なんなら、実力行使で黙らせても良い」

「わかりました。他の者にもそう伝えておきましょう」

「(異邦人の化け物、ねぇ…勇者がどれくらいなのかは分からねぇが…
興味が湧くのは断然…)
…もっかい鍛え直すかぁ」
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