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飛空の章
第十九話 新・織田家臣団
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「皆の衆、よくぞ参られた。昨年は早々に朝鮮へ発たねばならなかった故、機を逸してしまったが、改めて皆で顔を合わせと評定を行わせていただく」
綱家の宣言に、皆が頭を下げる。
集まった者は十名だった。
「ではまず、我らが殿よりご挨拶を」
「――ああ。よく皆集まってくれた。そしてこの一年、この城と美濃の地を守ってくれた事、感謝する。私が織田家当主、そして岐阜城主となった織田三郎秀信だ。よろしく頼む」
俺の挨拶に、皆が黙して頭を下げる。どうにも朝鮮に居た時とは勝手が違い、妙な感じだ。
「では次に私が。当主・織田三郎秀信の異母弟、織田秀則です。若輩ですが、よろしくお願いします」
秀則が頭を下げると皆の雰囲気がどこか柔らかくなったようで、既に慕われているのが分かる。
「筆頭家老として配された、百々綱家と申す。朝鮮に居た折り、皆よく支えてくれた」
「同じく筆頭家老の一人、木造長政だ。これからは殿を盛り立てる所存でござる!」
綱家、長政の二人はよく見知っている。だが、ここから先は馴染みのない顔ばかりだった。
「代官を任じられた、斎藤元忠と申します。この岐阜の地の政務を司っております」
次に口を開いた男は初老と言ってもよい年齢で、五十代ほどだろうか。細身で皺が深い面持ちで、落ち着いた佇まいをしている。
「そこのは倅でございます。親子共々よろしくお頼み申します、殿」
「斎藤徳元です。墨俣城を与かっております。よろしくお願いいたします」
徳元と名乗った方は、長政と同じ頃に見える。四十になるかならないかだろう。やはり細身であり、どこか京人のような趣を感じられた。
「お二方は、かの斎藤道三殿の血を引いておられます。美濃という地故に、織田とも関わりの深い間柄でござる」
長政の補足に、なるほどと思う。
お祖父様と斎藤家と言えば、縁とも因縁ともつかぬ相手。この岐阜城こと旧稲葉山城も、お祖父様が陥とした城なのだから。
織田に臣従してからも斎藤家は脈々と美濃の地に根付き、こうして名門として残っているのだろう。
二人の雅な装いからも、その誇りが失われていない事は、よく分かる。
「信長の孫である私とは、深い縁のある間柄かもしれない。だが、元忠殿は元忠殿、徳元殿は徳元殿として向き合わせてもらいたい。政務については知識が乏しい故に、頼らせてもらう」
「はっ」
二人の返事が重なり頭を下げる。二人とも年配故に、扱いが少し心配ではありそうだ。
「では次は私が。杉浦重勝と申す。竹ヶ鼻城を与かっております。先々代、信長様にお仕えし、その後太閤殿下に仕えておりました。この度木曽川の治水を任され、秀信様にお仕えさせていただくこととなりました」
丁寧な物言いではあるが、歴戦の将故の落ち着きであろう。四十と秀則には聞いていたが、先の斎藤徳玄とは雰囲気が違う。
こちらは戦場上がりの叩き上げといった風情だ。
「治水の難しさは学んだが、具体的なことは何も分からぬ。頼んだぞ。再び織田に仕えてくれること、嬉しく思う」
「ありがたきお言葉!」
実直そうな男だ。秀則も信頼できると言っていた。
「私は佐藤方政と申します。本来であれば父・秀方が参じる予定でございましたが、病が篤く、私が名代として参りました。鉈尾山城を与かっております」
まだ若い。二十過ぎだろうか。
言葉遣いは丁寧だが少し暗い男のように見えた。声が小さい。
「鉈尾山城は岐阜城に最も近い支城。緊密に連携していきたい。お父上にも、病が癒える事を祈っているとくれぐれもお伝えして欲しい」
「はい」
やはり伏し目がちで、あまりこちらを見ていないのが分かる。しかし、彼よりも父親と繋がりを持てればよいだろう。
「ここからは城仕えとなる者たちですな。わしが鍛えております故!」
長政が大きな声で笑い、三名が頭を下げる。
「和田信盛と申します。元は六角家に仕えておりました」
「武藤助十郎でございます。家は織田家の譜代でありました」
「橋本太兵衛です」
「この者らは侍大将として使えるように仕込んでおりまする! 戦の時は殿の手足となりましょうな!」
三名とも二十半ばから三十ぐらいだろうか。ここの者たちの中では若いが、俺からするとずっと年上の者たちだ。
――そこで一人、気になる者がいた。
「橋本太兵衛といったか? 貴殿の首から提げている物は……」
「はい、これは十字架でございます」
「という事は切支丹か」
「ええ。私の父の代からでございます。殿は、切支丹はお嫌いでございますか?」
ぶら下げた十字の飾りを掲げる橋本。
「いや、そういうわけではないのだが。太閤殿下が伴天連追放を行っているのに、こうも堂々としていて大丈夫なのか?」
「太閤殿下は、信じる者たちについては特に何もしておりません。ただ、急速な神への信仰の広がりを危惧したのでしょう。ただでさえ近頃は寺院の反乱が多かったですからな。……まあこれは、父からの受け売りでございますが」
そういう事か。確かに、秀吉は南蛮の珍品は好んで取り寄せていたし、伴天連を近づけていないだけで貿易自体はしている。
寺院が力を持ったのと同じように、信仰の力で人をまとめる、新たな勢力の誕生を畏れての措置……そう言う事か。
「兄上、そこの入江左近も切支丹です。城下、それに美濃は、お祖父様の影響もあってか信徒が多いのですよ」
傍に控える小姓の一人を指す秀則。確かに、首に紐のようなものが見えている。
「話を聞くになかなか面白いですよ」
「そうか。いや、己の見識がまだまだ狭いのだなと思っただけだ。お三方、よろしく頼む」
「精進いたします」
「はい」
「はっ」
三人が頭を下げ、これで全員の紹介が済んだ。
「他に池尻城主になる予定の飯沼長実殿がおるが、今も朝鮮に留め置かれており、戻れておりませぬ。ひと先ずは、主だった者たちの顔はここまででございます」
綱家が締め括り、長い紹介の時間が終わったので、ほっとした。
全員が全員を今、憶えられてはいないが、話をしていく内に馴染むだろう。
「さて、皆が思う通り、私……いや、俺は、まだ十四の駆け出しだ。それに一年近くここを空けてしまった事もあり、把握できていないことが多い。各々が思う事、抱えている問題があれば、気兼ねなく言って欲しい。若いというのは未熟であるが、未熟であるのは変幻自在でもある。如何様にも型に嵌らず、変化できる事が強みであると、俺は思っている。この美濃は新しくなる。その新しい美濃を作るのは、貴殿らだ。その自覚を持って、発言してくれ」
言い切ると、皆が呆けたような表情を浮かべてこちらを見ていた。
何事か、と思っていると綱家だけがいつもの顔だ。
「皆の衆、これが我らが殿だ! どうだ、面白くなりそうであろう?」
綱家の問いに、それぞれが頷き、手を叩く者も現れる。
「よぉし! 殿の仰るように、この美濃に新たな風を吹かせようぞ!」
長政が立ち上がり、扇子で大きく煽ぎ出した。
――よかった、のだろうか。
少しばかり釈然としないが、場の空気が明るくなったのを感じ、口々に話始める家臣団の言葉に耳を傾けるのだった。
綱家の宣言に、皆が頭を下げる。
集まった者は十名だった。
「ではまず、我らが殿よりご挨拶を」
「――ああ。よく皆集まってくれた。そしてこの一年、この城と美濃の地を守ってくれた事、感謝する。私が織田家当主、そして岐阜城主となった織田三郎秀信だ。よろしく頼む」
俺の挨拶に、皆が黙して頭を下げる。どうにも朝鮮に居た時とは勝手が違い、妙な感じだ。
「では次に私が。当主・織田三郎秀信の異母弟、織田秀則です。若輩ですが、よろしくお願いします」
秀則が頭を下げると皆の雰囲気がどこか柔らかくなったようで、既に慕われているのが分かる。
「筆頭家老として配された、百々綱家と申す。朝鮮に居た折り、皆よく支えてくれた」
「同じく筆頭家老の一人、木造長政だ。これからは殿を盛り立てる所存でござる!」
綱家、長政の二人はよく見知っている。だが、ここから先は馴染みのない顔ばかりだった。
「代官を任じられた、斎藤元忠と申します。この岐阜の地の政務を司っております」
次に口を開いた男は初老と言ってもよい年齢で、五十代ほどだろうか。細身で皺が深い面持ちで、落ち着いた佇まいをしている。
「そこのは倅でございます。親子共々よろしくお頼み申します、殿」
「斎藤徳元です。墨俣城を与かっております。よろしくお願いいたします」
徳元と名乗った方は、長政と同じ頃に見える。四十になるかならないかだろう。やはり細身であり、どこか京人のような趣を感じられた。
「お二方は、かの斎藤道三殿の血を引いておられます。美濃という地故に、織田とも関わりの深い間柄でござる」
長政の補足に、なるほどと思う。
お祖父様と斎藤家と言えば、縁とも因縁ともつかぬ相手。この岐阜城こと旧稲葉山城も、お祖父様が陥とした城なのだから。
織田に臣従してからも斎藤家は脈々と美濃の地に根付き、こうして名門として残っているのだろう。
二人の雅な装いからも、その誇りが失われていない事は、よく分かる。
「信長の孫である私とは、深い縁のある間柄かもしれない。だが、元忠殿は元忠殿、徳元殿は徳元殿として向き合わせてもらいたい。政務については知識が乏しい故に、頼らせてもらう」
「はっ」
二人の返事が重なり頭を下げる。二人とも年配故に、扱いが少し心配ではありそうだ。
「では次は私が。杉浦重勝と申す。竹ヶ鼻城を与かっております。先々代、信長様にお仕えし、その後太閤殿下に仕えておりました。この度木曽川の治水を任され、秀信様にお仕えさせていただくこととなりました」
丁寧な物言いではあるが、歴戦の将故の落ち着きであろう。四十と秀則には聞いていたが、先の斎藤徳玄とは雰囲気が違う。
こちらは戦場上がりの叩き上げといった風情だ。
「治水の難しさは学んだが、具体的なことは何も分からぬ。頼んだぞ。再び織田に仕えてくれること、嬉しく思う」
「ありがたきお言葉!」
実直そうな男だ。秀則も信頼できると言っていた。
「私は佐藤方政と申します。本来であれば父・秀方が参じる予定でございましたが、病が篤く、私が名代として参りました。鉈尾山城を与かっております」
まだ若い。二十過ぎだろうか。
言葉遣いは丁寧だが少し暗い男のように見えた。声が小さい。
「鉈尾山城は岐阜城に最も近い支城。緊密に連携していきたい。お父上にも、病が癒える事を祈っているとくれぐれもお伝えして欲しい」
「はい」
やはり伏し目がちで、あまりこちらを見ていないのが分かる。しかし、彼よりも父親と繋がりを持てればよいだろう。
「ここからは城仕えとなる者たちですな。わしが鍛えております故!」
長政が大きな声で笑い、三名が頭を下げる。
「和田信盛と申します。元は六角家に仕えておりました」
「武藤助十郎でございます。家は織田家の譜代でありました」
「橋本太兵衛です」
「この者らは侍大将として使えるように仕込んでおりまする! 戦の時は殿の手足となりましょうな!」
三名とも二十半ばから三十ぐらいだろうか。ここの者たちの中では若いが、俺からするとずっと年上の者たちだ。
――そこで一人、気になる者がいた。
「橋本太兵衛といったか? 貴殿の首から提げている物は……」
「はい、これは十字架でございます」
「という事は切支丹か」
「ええ。私の父の代からでございます。殿は、切支丹はお嫌いでございますか?」
ぶら下げた十字の飾りを掲げる橋本。
「いや、そういうわけではないのだが。太閤殿下が伴天連追放を行っているのに、こうも堂々としていて大丈夫なのか?」
「太閤殿下は、信じる者たちについては特に何もしておりません。ただ、急速な神への信仰の広がりを危惧したのでしょう。ただでさえ近頃は寺院の反乱が多かったですからな。……まあこれは、父からの受け売りでございますが」
そういう事か。確かに、秀吉は南蛮の珍品は好んで取り寄せていたし、伴天連を近づけていないだけで貿易自体はしている。
寺院が力を持ったのと同じように、信仰の力で人をまとめる、新たな勢力の誕生を畏れての措置……そう言う事か。
「兄上、そこの入江左近も切支丹です。城下、それに美濃は、お祖父様の影響もあってか信徒が多いのですよ」
傍に控える小姓の一人を指す秀則。確かに、首に紐のようなものが見えている。
「話を聞くになかなか面白いですよ」
「そうか。いや、己の見識がまだまだ狭いのだなと思っただけだ。お三方、よろしく頼む」
「精進いたします」
「はい」
「はっ」
三人が頭を下げ、これで全員の紹介が済んだ。
「他に池尻城主になる予定の飯沼長実殿がおるが、今も朝鮮に留め置かれており、戻れておりませぬ。ひと先ずは、主だった者たちの顔はここまででございます」
綱家が締め括り、長い紹介の時間が終わったので、ほっとした。
全員が全員を今、憶えられてはいないが、話をしていく内に馴染むだろう。
「さて、皆が思う通り、私……いや、俺は、まだ十四の駆け出しだ。それに一年近くここを空けてしまった事もあり、把握できていないことが多い。各々が思う事、抱えている問題があれば、気兼ねなく言って欲しい。若いというのは未熟であるが、未熟であるのは変幻自在でもある。如何様にも型に嵌らず、変化できる事が強みであると、俺は思っている。この美濃は新しくなる。その新しい美濃を作るのは、貴殿らだ。その自覚を持って、発言してくれ」
言い切ると、皆が呆けたような表情を浮かべてこちらを見ていた。
何事か、と思っていると綱家だけがいつもの顔だ。
「皆の衆、これが我らが殿だ! どうだ、面白くなりそうであろう?」
綱家の問いに、それぞれが頷き、手を叩く者も現れる。
「よぉし! 殿の仰るように、この美濃に新たな風を吹かせようぞ!」
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