世にも甘い自白調書

端本 やこ

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東京編

仲直り(下)

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 期待以上の奉仕に、徹の怒張が限界に昇り詰める。
 エロ可愛くて巧いだなんて最高だ。
 橙子が嫌がらず欲求に応えるだろうとわかっていたものの、どうしても行為で示させ、安心したかった。扱きを助けるように腰が動くのを止められない。

「くっ、、、」

 橙子の髪を掻き分け支えた頭を押さえ込んで、徹は欲を放った。
 俺の全部を飲み干せ。
 徹の願いを聞き入れるかのように、橙子はどくんどくんと注ぎ込む体液を喉に流す。徹の耳の奥でべたべたに愛していると言った橙子の声が蘇る。橙子の喉から伝わる振動が重なって、徹を過敏に反応させる。橙子の口内で綿密に浄められているうちに、再度熱が籠りはじめた。本番にじゅうぶんなまでに復活させたところで引き抜いた。

「そう物欲しそうな顔するな」

 徹の声に橙子の子宮が収縮する。一心に嘗め回していたものが取り上げられ、自分の口元と徹を繋ぐ細い銀糸がひどく頼りなく見えた。
 欲しい。
 早くあなたで満たして、乱して。
 急いた橙子が徹に手を伸ばす。

「もう待てない」

 愛する女に求められる。
 その事実に、徹も早く貫きたい欲望を押さえきれない。橙子から伸ばされた手にしっかり指を絡めた。自分の中に湧き上がる激しい愛欲に打つ手がなく、奥歯を噛み締め最奥を目指して腰を沈める。
 狭い中は自我を持った生き物の動きをする。橙子の襞が濃密に徹に纏わりついて、徹の体が悦びに震える。
 組敷いた橙子を見下ろせば、息苦しそうに悶えていた。

「苦しいか?」
「ぅうん。大、丈夫。すごぃ気持ちいい」

 橙子の甘美を滲ませた顔を見て、さっきまでの激しい欲望が麻酔のような恍惚感に変わる。
 徹は思わず橙子を抱きしめた。

「あふぅ、、っく!」

 全身隙間なく抱きすくめられて、橙子の下腹部の圧迫感が最高潮に達した。挿入時に息苦しさを覚えるのは毎回のことで、それは徹自身の大きさによるものだった。徹は橙子の体が馴染むまで待ってくれる。橙子はこの愛情で心が満たされる時間が好きだ。このまま死んでもいいとさえ思うほど、文字通り心も体も溶かされる。

「動くぞ」

 言い終る前に結合部がぎちぎちと擦れはじめた。すぐに橙子の耳がぬちぬちと卑猥な音を捉えた。相性がいいということなのだろう。徹の大きなものの張りは確実に橙子の弱い部部を引っ掻き高めていく。

「そこっ。やあっ。んあぁっ!」

 徹は耳元で橙子の甘ったるい嬌声を堪能する。声、匂い、表情、汗、身体も刺激も、橙子の全部に夢中にさせられる。五感全ての機能を征服されると冷静でいられない。我慢も辛抱も無用の長物だ。堪え性をかなぐり捨てて腰を打ちつけた。

「平気か?」

 熱い行為の後でも徹の気遣いは橙子を幸せにする。徹にしがみついて喘ぐしかできなかった恥ずかさで「ん」と小さく頷いた。

「もうちょっとだけ、くっついてていい?」

 恥ずかしさあれど離れたくはない。
 徹は仕方ないとでも言いたげに柔らかく息を吐きつつも、そっと抱き寄せてくれる。
 甘い。
 優しい。
 温かい。
 愛しすぎてつらい。
 徹のぬくもりが橙子の頭をぼんやりさせる。

「贅沢だな」

 徹が口走る。汗ばんだ体を摺り寄せてくるのを抱き留めると、愛しくてたまらない。
 橙子と出会う前の徹は淡泊でドライだと自負していた。恋焦がれ渇望して止まない相手に巡りあうだなんて思ってもみなかった。
 
「え?」
「なんでもない」

 不思議そうに徹を伺いみる橙子に、精一杯の愛を囁いて口づける。

「っ!」

 嘘。
 徹さんが、、、まさかでしょ。
 口下手な徹が死んでも言いそうにない台詞を口にした。

「ぷっ。その顔。やっぱ面白い」
「もう一回!」
「オバサンも元気じゃねーか。明日に響いても知らんぞ」
「ちっがーう! そうじゃなくて。もう一回聴かせて?」

 驚く橙子も、あたふたする橙子も、もう一度と強請る橙子も、どれも俺のものだと、徹はようやく精神の平静を取り戻した。

「元気だな」

 揶揄って遊ぶ余裕も生まれた。
 甘くて、楽しくて、幸せだ。
 つまらん喧嘩もしてみるもんだと結論づける。

「それじゃない!」
「ったくうるせぇな」

 徹はほくそ笑んで、再び橙子に覆いかぶさった。
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