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そろそろ出かけようか
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「なぁアーク、聞きたいことがあるんだが?」
「うヘィ⁉︎なに⁉︎」
『何をそんなに驚くのですか?マスター?』
気絶の暗闇から抜け出した時、祖母は料理を作っていた。
その姿を見て、僕は「ぽや~」と過去のことを思い出していた。
祖母に教わった魔法、薬草の使い道、料理、食べられる野草、食べられる虫、などなど、後半からサバイバルじみたことも思い返していた。
……普通ならアレも良い思い出になるのだろうが、残念なことに僕の脳はそれを拒否した。
そんな中、ことの発端である祖母に話しかけられて驚くのは当たり前だ。
『はっ!ダメですよマスター⁉︎』
「何の勘違いをしてるの⁉︎怖いんだけど‼︎」
「喧嘩するなよぉ~ガキンチョども~」
そう言って、祖母が歴戦の暗殺者みたく包丁をグルグル廻している。
怖い怖い!
「『してないです‼︎』」
僕たちはそう元気よく返信をした。
「よろしい」
そう言うと祖母は包丁をまな板に刺した。
………何もよろしくねぇ‼︎怖いわ‼︎
「話を戻すけどねぇ」
「はっはい!」
僕は素早く正座になり、正面を祖母に向けた。
「お前さん達あとどれくらいいる?」
そう言って、祖母は包丁をまな板から外し、川魚を捌き始める。
「う~ん……」
僕はその言葉を聞いて少し悩んでしまった。
久しぶりの故郷が嬉しかったんだろう。
ここから離れるのは勇気がいる。
けど…………
「別に良いんだけどねぇ「いや」」
そう言う、祖母の言葉を遮り、僕は発言した。
「そろそろ、この村を出て行くよ」
「……そうかい」
そう言った、祖母の言葉は少し下がり気味だった様に感じた。
「なんでか聞いても良いかい?」
「うん、僕は色んな世界を見ていきたいんだ。学園にいた時、僕の世界はあまりに小さかった、それに……」
「それに?」
祖母の言葉を繰り返す。
少しワクワクしているようにも見える。
何故だろうか?
「僕はその世界に満足していた。甘んじていた」
いじめを受けても、諦めてそのまま受け止めてしまった。あれは僕が悪いわけではないのに戦えなかった……。
「もう僕はそんな自分が嫌だ。僕は自分を変えたい!」
「アーク!良く言った!」
そう言って、祖母は煮込み飯、天ぷら、唐揚げなどの川魚で出来たたくさんの料理を机に運んだ。
「けれどアークその他にも理由があるんじゃないのか?うん?」
そう言うと祖母はニヤリと笑った。
あっこれは悪い笑みだ。
「それは……そうだけど」
「何だい?それは?」
『マスター‼︎私も気になります!」
何とアイまでそちら側に⁉︎
「……いや」
「ほら」
『はやくはやく』
めっちゃくちゃいきいきしてるな!
「……せたい」
『「もう一度」』
「アイに……色んな……その……世界を見せたい」
『‼︎』
「あんら~」
祖母はニヤリと嬉しそうに笑い。アイはぼっと煙が出そうになるくらい暑くなっている。
それに僕もまぁ、顔は熱いよね。
「いいねいいね」
そう言って、祖母は酒を取り出してグビグビ飲んだ。
「やっぱり酒のおつまみに、丁度いいね!ほら~もっともっと」
『「やめて(ください)⁉︎」』
「まぁ冗談はさておき」
さておくの早いし、なんなら僕、すごく恥ずかしい思いをしたんですけど?
「お前が出て行くなら、私は止めない。しかし、持っていて欲しい物、そして聞いて欲しいことがある」
『持っていって欲しい物?』
「聞いて欲しいこと?」
「先ずは持っていって欲しい物だ“ガレージゲートオープン”」
そう言って、唱えた祖母の横にはどかっとでかい袋が落ちた。
ていうか、祖母の魔法久しぶりに見たな。
確かあれは物の保管を行う魔法だっけ。
「これはな、まぁお前の旅立ちの祝いの品だよ、村を出た後にでも確認するんだな」
「はい」
すごく気になるが、言うことを聞いておこう。
こう言うのは、守っておかないと殴られるし。
「そして2番目の聞いて欲しいことだが、これは謝罪だな」
「謝罪?」
全くわからない、祖母は確かにスパルタだし結構すごいこと教えるけど、間違っていたことはなかったと思う。
「お前の学園での扱いをついこの間知った、お前が行方不明になった後にだ」
「……それは」
それはおかしなことでもないし。
そこそこ離れるとお互いのことがわからないなんて当たり前のことだろう。
「私はお前がどうなっているのかもわからず、ただただお前との再開を心待ちにして過ごしていた」
「婆ちゃん……」
「すまなかった。お前は辛い思いをしていたのに助けてやれなくて」
「いやいや、気にしないで、僕もその手紙とか出さなかったし、婆ちゃんに悪い所なんてなかったよ」
僕はそう言って、婆ちゃんを見る。
婆ちゃんはいつも大きく見えていたのに、今はなんか小さく見えた。
「僕は婆ちゃんに感謝してるよ。婆ちゃんは僕を育ててくれたし、導いてくれたし、僕が歩んでいく道を応援してくれている、僕はそんな婆ちゃんが好きだから。気にしないで、そして元気だして」
「アー……グ」
『まずだぁ~』
僕の言葉に祖母は少し声が震えていて、アイは涙をポロポロ流していた。
いや、なんでアイがそんな泣くの……。
「アークとアイちゃん、今日が最後の晩餐になるのにしんみりさせて悪いねぇ」
「いや大丈夫だよ、それよりそろそろ元の婆ちゃんに戻って、年齢を言われただけですぐに怒る婆ちゃんに……グハァ‼︎」
僕の視界はまた、気絶による闇に支配されました。
「うヘィ⁉︎なに⁉︎」
『何をそんなに驚くのですか?マスター?』
気絶の暗闇から抜け出した時、祖母は料理を作っていた。
その姿を見て、僕は「ぽや~」と過去のことを思い出していた。
祖母に教わった魔法、薬草の使い道、料理、食べられる野草、食べられる虫、などなど、後半からサバイバルじみたことも思い返していた。
……普通ならアレも良い思い出になるのだろうが、残念なことに僕の脳はそれを拒否した。
そんな中、ことの発端である祖母に話しかけられて驚くのは当たり前だ。
『はっ!ダメですよマスター⁉︎』
「何の勘違いをしてるの⁉︎怖いんだけど‼︎」
「喧嘩するなよぉ~ガキンチョども~」
そう言って、祖母が歴戦の暗殺者みたく包丁をグルグル廻している。
怖い怖い!
「『してないです‼︎』」
僕たちはそう元気よく返信をした。
「よろしい」
そう言うと祖母は包丁をまな板に刺した。
………何もよろしくねぇ‼︎怖いわ‼︎
「話を戻すけどねぇ」
「はっはい!」
僕は素早く正座になり、正面を祖母に向けた。
「お前さん達あとどれくらいいる?」
そう言って、祖母は包丁をまな板から外し、川魚を捌き始める。
「う~ん……」
僕はその言葉を聞いて少し悩んでしまった。
久しぶりの故郷が嬉しかったんだろう。
ここから離れるのは勇気がいる。
けど…………
「別に良いんだけどねぇ「いや」」
そう言う、祖母の言葉を遮り、僕は発言した。
「そろそろ、この村を出て行くよ」
「……そうかい」
そう言った、祖母の言葉は少し下がり気味だった様に感じた。
「なんでか聞いても良いかい?」
「うん、僕は色んな世界を見ていきたいんだ。学園にいた時、僕の世界はあまりに小さかった、それに……」
「それに?」
祖母の言葉を繰り返す。
少しワクワクしているようにも見える。
何故だろうか?
「僕はその世界に満足していた。甘んじていた」
いじめを受けても、諦めてそのまま受け止めてしまった。あれは僕が悪いわけではないのに戦えなかった……。
「もう僕はそんな自分が嫌だ。僕は自分を変えたい!」
「アーク!良く言った!」
そう言って、祖母は煮込み飯、天ぷら、唐揚げなどの川魚で出来たたくさんの料理を机に運んだ。
「けれどアークその他にも理由があるんじゃないのか?うん?」
そう言うと祖母はニヤリと笑った。
あっこれは悪い笑みだ。
「それは……そうだけど」
「何だい?それは?」
『マスター‼︎私も気になります!」
何とアイまでそちら側に⁉︎
「……いや」
「ほら」
『はやくはやく』
めっちゃくちゃいきいきしてるな!
「……せたい」
『「もう一度」』
「アイに……色んな……その……世界を見せたい」
『‼︎』
「あんら~」
祖母はニヤリと嬉しそうに笑い。アイはぼっと煙が出そうになるくらい暑くなっている。
それに僕もまぁ、顔は熱いよね。
「いいねいいね」
そう言って、祖母は酒を取り出してグビグビ飲んだ。
「やっぱり酒のおつまみに、丁度いいね!ほら~もっともっと」
『「やめて(ください)⁉︎」』
「まぁ冗談はさておき」
さておくの早いし、なんなら僕、すごく恥ずかしい思いをしたんですけど?
「お前が出て行くなら、私は止めない。しかし、持っていて欲しい物、そして聞いて欲しいことがある」
『持っていって欲しい物?』
「聞いて欲しいこと?」
「先ずは持っていって欲しい物だ“ガレージゲートオープン”」
そう言って、唱えた祖母の横にはどかっとでかい袋が落ちた。
ていうか、祖母の魔法久しぶりに見たな。
確かあれは物の保管を行う魔法だっけ。
「これはな、まぁお前の旅立ちの祝いの品だよ、村を出た後にでも確認するんだな」
「はい」
すごく気になるが、言うことを聞いておこう。
こう言うのは、守っておかないと殴られるし。
「そして2番目の聞いて欲しいことだが、これは謝罪だな」
「謝罪?」
全くわからない、祖母は確かにスパルタだし結構すごいこと教えるけど、間違っていたことはなかったと思う。
「お前の学園での扱いをついこの間知った、お前が行方不明になった後にだ」
「……それは」
それはおかしなことでもないし。
そこそこ離れるとお互いのことがわからないなんて当たり前のことだろう。
「私はお前がどうなっているのかもわからず、ただただお前との再開を心待ちにして過ごしていた」
「婆ちゃん……」
「すまなかった。お前は辛い思いをしていたのに助けてやれなくて」
「いやいや、気にしないで、僕もその手紙とか出さなかったし、婆ちゃんに悪い所なんてなかったよ」
僕はそう言って、婆ちゃんを見る。
婆ちゃんはいつも大きく見えていたのに、今はなんか小さく見えた。
「僕は婆ちゃんに感謝してるよ。婆ちゃんは僕を育ててくれたし、導いてくれたし、僕が歩んでいく道を応援してくれている、僕はそんな婆ちゃんが好きだから。気にしないで、そして元気だして」
「アー……グ」
『まずだぁ~』
僕の言葉に祖母は少し声が震えていて、アイは涙をポロポロ流していた。
いや、なんでアイがそんな泣くの……。
「アークとアイちゃん、今日が最後の晩餐になるのにしんみりさせて悪いねぇ」
「いや大丈夫だよ、それよりそろそろ元の婆ちゃんに戻って、年齢を言われただけですぐに怒る婆ちゃんに……グハァ‼︎」
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