28 / 28
討伐後の夜
しおりを挟む
サラサラと沢の水が流れていく。
それを聴きながら私はウトウトと眠りについた。
夜の気怠げな暑さも沢が私を寒くもせず暖かくもせず、程よい気温にし不快にはさせなかった。
朝に私は狩りに出向かなければいけない。出来る限り体を休めなければ。私はこの辺りの主、飢えるなんてあってはならない。
「いたぞ……」
フクロウの鳴き声が私をウトウトさせていた時、微かにだが音が聞こえた。
「あれが目当ての……」
音の方向は変わらず、ずっと一人だけだった。
どうやら向こう見ずな奴らが私を狩りに来たらしい。馬鹿馬鹿しい私を狩れる物などいるはずがない。
「いいか俺が囮になる」
音の主はまだ何か言っているが無視をする。しばらくして襲って来てもしたらすぐに捕食してやる。
「あんなやつ大したことない」
そこでようやく異様な空気を感じ取り鎌首を持ち上げた。
バッと草むらから頭を下げる音が聞こえる。
バン!
そこに向けて私は尻尾を叩きつける。その衝撃で周りの木々がバキバキと音を立てて崩れるが、
バン!バン!バン!バン!
私は続け様に尻尾を叩きつける。その度に木々が倒れる音と共にグシャ、グシャと肉を潰し血が混ざる音がする。
それでもそこから気配が消えることがない。
「さすが白銀以上の冒険者が狩れない蛇型の魔獣だわ」
後ろから声がする。
バシン!
すぐさまそこを薙ぎ払うようにするとすぐに尻尾があたりそいつを木にぶつけた。
そいつもグシャ!飛ばされる。
こいつだ。さっきまで私が潰してたやつはこいつに話していたんだ。
「おい」
木にぶつけたあいつがまだ話す。
「いつまでミンチになってんだ」
しかし、私には話していない。
「うるさいな」
そう言ってジュク……ジュク……と変な音を立てて私の尻尾にこびりついていた肉が形を変える。
(!!)
私は驚き、それを投げるように振り回した。
ベシャと地面に肉片が落ちる。
「そのままお前がやればいい」
しかし、肉片は再生を止めずにいて既に顔が出来上がっている。
「なぁ魔獣……」
バン!と再度尻尾を叩きつける。しかし、今度は手応えさえなかった。
「アオムグリ」
上から声がする。いや上からとかそんなもんじゃない私の鼻先に立っている。
こいつらははなから私なんかよりも格段に強かったのだ。
こんなこと……
シャアアア!
「うぉ⁉︎」
あってはならない!
「急に怒るじゃないか」
そう言って目の前のやつは私の下に向かうとそのまま首に向かって何かを刺した。
見てみるとそれは白い何かが、いやこれは私を見たことがある、狩りをしたものなら絶対に、しかし頭が回らなくなる。
「俺の骨さ」
その声が聞こえたのが私の最後だった。
ーーー
「よくやったわ」
私は相方に声をかける。
「少しは助けてくれても良かったんじゃないか?」
「あなたも私も簡単には死なないでしょ?」
「そうだけどよ」
「やりなおす体を手に入れたのよ存分に使いましょ」
それを聴きながら私はウトウトと眠りについた。
夜の気怠げな暑さも沢が私を寒くもせず暖かくもせず、程よい気温にし不快にはさせなかった。
朝に私は狩りに出向かなければいけない。出来る限り体を休めなければ。私はこの辺りの主、飢えるなんてあってはならない。
「いたぞ……」
フクロウの鳴き声が私をウトウトさせていた時、微かにだが音が聞こえた。
「あれが目当ての……」
音の方向は変わらず、ずっと一人だけだった。
どうやら向こう見ずな奴らが私を狩りに来たらしい。馬鹿馬鹿しい私を狩れる物などいるはずがない。
「いいか俺が囮になる」
音の主はまだ何か言っているが無視をする。しばらくして襲って来てもしたらすぐに捕食してやる。
「あんなやつ大したことない」
そこでようやく異様な空気を感じ取り鎌首を持ち上げた。
バッと草むらから頭を下げる音が聞こえる。
バン!
そこに向けて私は尻尾を叩きつける。その衝撃で周りの木々がバキバキと音を立てて崩れるが、
バン!バン!バン!バン!
私は続け様に尻尾を叩きつける。その度に木々が倒れる音と共にグシャ、グシャと肉を潰し血が混ざる音がする。
それでもそこから気配が消えることがない。
「さすが白銀以上の冒険者が狩れない蛇型の魔獣だわ」
後ろから声がする。
バシン!
すぐさまそこを薙ぎ払うようにするとすぐに尻尾があたりそいつを木にぶつけた。
そいつもグシャ!飛ばされる。
こいつだ。さっきまで私が潰してたやつはこいつに話していたんだ。
「おい」
木にぶつけたあいつがまだ話す。
「いつまでミンチになってんだ」
しかし、私には話していない。
「うるさいな」
そう言ってジュク……ジュク……と変な音を立てて私の尻尾にこびりついていた肉が形を変える。
(!!)
私は驚き、それを投げるように振り回した。
ベシャと地面に肉片が落ちる。
「そのままお前がやればいい」
しかし、肉片は再生を止めずにいて既に顔が出来上がっている。
「なぁ魔獣……」
バン!と再度尻尾を叩きつける。しかし、今度は手応えさえなかった。
「アオムグリ」
上から声がする。いや上からとかそんなもんじゃない私の鼻先に立っている。
こいつらははなから私なんかよりも格段に強かったのだ。
こんなこと……
シャアアア!
「うぉ⁉︎」
あってはならない!
「急に怒るじゃないか」
そう言って目の前のやつは私の下に向かうとそのまま首に向かって何かを刺した。
見てみるとそれは白い何かが、いやこれは私を見たことがある、狩りをしたものなら絶対に、しかし頭が回らなくなる。
「俺の骨さ」
その声が聞こえたのが私の最後だった。
ーーー
「よくやったわ」
私は相方に声をかける。
「少しは助けてくれても良かったんじゃないか?」
「あなたも私も簡単には死なないでしょ?」
「そうだけどよ」
「やりなおす体を手に入れたのよ存分に使いましょ」
0
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する
ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。
きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。
私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。
この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない?
私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?!
映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。
設定はゆるいです
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
おもしろい!
お気に入りに登録しました~
ありがとうございます😭
「マスターな」になってますよー!!
見つけました!誤字のご報告ありがとうございます!