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学園5年目
【閑話休題】後の無い人々
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「資金繰りはもう、大丈夫なようですね」
「ええ、何とか…。
エルム公、王家の世論操作をしている者達については、何か掴めましたか」
「…どうやらアイリス家の仕業ではないかと」
明らかな失態だ。
婚約ダービーに関わる全ての作戦を破綻させられたせいで、この一年間を金策で潰してしまった。
本来なら多くの国民に賭けで損をさせ、その不満を利用してこの婚約に異議を唱えさせ、王家への信頼を失わせることが出来るはずだったのに!
作戦に使った金を回収することすらできず、その上…
ああもう、全く、腹の立つ!!
何が口コミだ…そんな不確かなもので僕の作戦に対抗しただと!?
「婚約者ダービーの払い戻しを5倍に抑えましたので、各家に約束した分の払い戻しはこの1年で何とか。
ですが、福祉に充てる収益金分がまだ未納で…」
「だからそれはルース・ユーフォルビアの所為だと噂を撒いたのでしょう?」
「それが…国民の間ではほぼ、その噂が…受け入れられていないのです」
「…何ですって?」
そんな馬鹿な。
我が派閥の者に、茶会や夜会であれだけ吹聴して回らせたというのに?
貴族間で語られるそういう噂に、平民というのは貪欲なはずだ。
もちろんゴシップ雑誌にもタレコミを…!
「神殿が正式に否定をしたからです。
金に寄らない寄付で神殿に大きな貢献をしている彼が、そのようなことをするはずがない、と」
「なぜ寄付金で黙らせないのです!?」
「それが…10年前に大神官長に就任したオキザリス・ロメリアの改革により、貴族や富裕層からの大口寄付に頼らず、より多くの平民からの寄付を募る方向へ切り替えたことで、我々が金で言う事を聞かせるのは難しく…」
「金食い虫の孤児院ですら、今やいくらかの仕事を請け負い、多少の稼ぎがある、と…」
「何だって!?」
「そんな訳がない、うちの領の神殿は我が家にいつも寄付をタカリに…!?」
神殿の改革がそれほど早く成っていたとは…
まだ時間が掛かるものと、踏んでいたのに。
「他に各大学、教育機関でもその噂に否定的で…。
本人から全く金の匂いがしない、と…」
「…考えられんことに、どこの会合へ行くのも学園の制服で、だそうだ」
「そこを逆手に取れないのですか?
殿下から何の贈り物もない、愛が貰えない可哀想な婚約者…平民どもが好きそうな悲恋でしょう」
「…あの時と同じように、殿下のほうの評判を貶める、と?」
「そうだ、ルース・ユーフォルビアに下手に手を出すよりは成功率も高いだろう」
「前例もありますし、良いかもしれませんな」
もうあと1年しかない…
一気に仕掛けるしか、ない。
「敵は王家です。
ユーフォルビアを…高貴なる家を存続させるための苗床を、我々の手に取り戻さなければ」
もう回り道をする余裕は無い。
だが金策で、すでに空手形を切ってしまった。
ルースの苗床を使う権利を…売ったのだ。
奴を手に入れなければ、破綻だ。
だから、アルファードを殺してでも奪わなければならない。
そしてこの国を手に入れ、帝国の再建を目指す。
華やかだったあの時代に…。
この国には、それが許されるはずだ。
何のための軍事力、
何のための鉱山、
何のための肥沃な土地だと、思っている?
周りの国に恵んでやるためでは、無い。
援助する金だって、元は我々が納めてやった税だろう?
使い道に口を出して何が悪い。
他国への援助の代わりに、兵隊を送りこむ。
簡単なことじゃないか?
「ええ、何とか…。
エルム公、王家の世論操作をしている者達については、何か掴めましたか」
「…どうやらアイリス家の仕業ではないかと」
明らかな失態だ。
婚約ダービーに関わる全ての作戦を破綻させられたせいで、この一年間を金策で潰してしまった。
本来なら多くの国民に賭けで損をさせ、その不満を利用してこの婚約に異議を唱えさせ、王家への信頼を失わせることが出来るはずだったのに!
作戦に使った金を回収することすらできず、その上…
ああもう、全く、腹の立つ!!
何が口コミだ…そんな不確かなもので僕の作戦に対抗しただと!?
「婚約者ダービーの払い戻しを5倍に抑えましたので、各家に約束した分の払い戻しはこの1年で何とか。
ですが、福祉に充てる収益金分がまだ未納で…」
「だからそれはルース・ユーフォルビアの所為だと噂を撒いたのでしょう?」
「それが…国民の間ではほぼ、その噂が…受け入れられていないのです」
「…何ですって?」
そんな馬鹿な。
我が派閥の者に、茶会や夜会であれだけ吹聴して回らせたというのに?
貴族間で語られるそういう噂に、平民というのは貪欲なはずだ。
もちろんゴシップ雑誌にもタレコミを…!
「神殿が正式に否定をしたからです。
金に寄らない寄付で神殿に大きな貢献をしている彼が、そのようなことをするはずがない、と」
「なぜ寄付金で黙らせないのです!?」
「それが…10年前に大神官長に就任したオキザリス・ロメリアの改革により、貴族や富裕層からの大口寄付に頼らず、より多くの平民からの寄付を募る方向へ切り替えたことで、我々が金で言う事を聞かせるのは難しく…」
「金食い虫の孤児院ですら、今やいくらかの仕事を請け負い、多少の稼ぎがある、と…」
「何だって!?」
「そんな訳がない、うちの領の神殿は我が家にいつも寄付をタカリに…!?」
神殿の改革がそれほど早く成っていたとは…
まだ時間が掛かるものと、踏んでいたのに。
「他に各大学、教育機関でもその噂に否定的で…。
本人から全く金の匂いがしない、と…」
「…考えられんことに、どこの会合へ行くのも学園の制服で、だそうだ」
「そこを逆手に取れないのですか?
殿下から何の贈り物もない、愛が貰えない可哀想な婚約者…平民どもが好きそうな悲恋でしょう」
「…あの時と同じように、殿下のほうの評判を貶める、と?」
「そうだ、ルース・ユーフォルビアに下手に手を出すよりは成功率も高いだろう」
「前例もありますし、良いかもしれませんな」
もうあと1年しかない…
一気に仕掛けるしか、ない。
「敵は王家です。
ユーフォルビアを…高貴なる家を存続させるための苗床を、我々の手に取り戻さなければ」
もう回り道をする余裕は無い。
だが金策で、すでに空手形を切ってしまった。
ルースの苗床を使う権利を…売ったのだ。
奴を手に入れなければ、破綻だ。
だから、アルファードを殺してでも奪わなければならない。
そしてこの国を手に入れ、帝国の再建を目指す。
華やかだったあの時代に…。
この国には、それが許されるはずだ。
何のための軍事力、
何のための鉱山、
何のための肥沃な土地だと、思っている?
周りの国に恵んでやるためでは、無い。
援助する金だって、元は我々が納めてやった税だろう?
使い道に口を出して何が悪い。
他国への援助の代わりに、兵隊を送りこむ。
簡単なことじゃないか?
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