続・異世界温泉であったかどんぶりごはん

渡里あずま

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バッチリ目が合いました

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 それから、三日後。ロッコに、帝都から王子一行がやって来た。乗り合い馬車だと街の入り口で降りて歩くが、他国の王族だからか温泉のある広場までやって来て降り立った。
 途端に居合わせた面々がざわついたのに、客も我慢出来ずに店の外に出た。恵理も気になり、外に出ると――騎士や冒険者と、ルーベル。あとお付きらしい数人の男達に囲まれた、黒髪の男が見えた。
 年の頃は、二十五歳くらいだろうか?
 長い髪を首の後ろで束ね、左目に片眼鏡モノクルをかけている。切れ長の目をした端正な面差しは、日本人と言うよりは中国系だ。着物も日本のものではなく、ドラマで見た漢服のようである。
 容姿や格好のせいもあり、中国時代劇の俳優のようだと思いつつ、一方で背は高く体に厚みはあるが何となくティートに似ているとも思った。

(ティートがもう少し育つと、あんな感じになるのかしら?)

 そう思っていたら、不意にその黒い眼差しが上がって、こちらを見た。ような気がするではなく、バッチリ恵理と目が合った。
 時間にしたら、一瞬だった。日本人である恵理は周りの帝国人とは顔の系統が違うので、それで目についたのかもしれない。
 しれない、が――何となく嫌な感じがして、けれどどうしてそう感じたのか解らなくて、恵理は首を傾げた。



 王子一行は、二階の部屋に通された。そして頼んだ出前が届くまで、温泉を楽しむことにした。
 ニゲル国にも温泉はあるが、高い建物の場合はそのお湯を運んで入る。だから運ばれるのではなく、水のように蛇口から出るお湯に驚いた。そして蒸し風呂やマッサージを満喫しながら、王子は侍従の男達の話にあいづちを打っていた。

「帝都でも、驚きましたが……どこまで行っても、白い肌と色んな髪や目の色をしているんですね。アスファル帝国の民は」
「ああ、そうだな」
「あ、でも我らと同じ黒髪と、黒い瞳の女性がいましたね。逆に珍しいと思いましたが、ニゲル国の血を引いているんでしょうか?」
「かもしれんな。白い肌でもこちらの民とは違って、絹のようだった。皇宮で見た女性達も華やかだったが、やはり見慣れた容姿の方が美しいと思えるし安心出来る」
「ああ」

 モノクルを外した王子は、うつ伏せでマッサージを受けながら、侍従達の話を聞いていた。そして気持ち良さそうに目を閉じ、ぽつりと呟いた。

「確かに、懐かしかったな」
「国を出てから、そこまで日にちは経ってないですけどね」
「……違いない」

 王子の言葉に侍従が笑って言うと、王子は目を閉じたままそう答えて口の端を上げた。
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