81 / 96
カボチャは馬車より煮物が好み1
しおりを挟む
「BLイベント! 大賞は、納得の結果だったよねっ」
「そうだな」
「不器用な年下攻めを、年上ならではの包容力で癒す受け! 書籍化されたら絶対、買うんだーっ」
「……あの話、途中から年齢制限かかったよな」
俺がそう言うと、部屋の共有スペースで力説していた一茶はウッと言葉に詰まった。
そう、サイトの規約で性描写や極度な暴力描写が入る場合、専用タグをつけて未成年に見られないようにすることになってるんだ。
「書籍化される頃は、俺、十八歳だから大丈夫!」
「はいはい」
「……って言うか、出灰! ちゃんと聞いてよっ」
高校生なのはOKなんだろうか、いや、ボーイズラブってそもそも(店によるらしいけど)年齢確認入らないか――そんなことを、ソファに寝転がって考えていた俺に、一茶からのお叱りの声が飛ぶ。とは言え、卒業式と入学式が終わってやっと一段落なんだ。休みの日くらい、のんびりさせろ。
……ちなみに、ソファに懐いてる俺の書いた話は書籍化されなかった。
と言うか年末に完結はさせたけど、途中で応募要項が変わった関係で、書籍化作家の俺はそもそもイベント参加が出来なかったんだ。
「ラスト、クリスマスパーティーで、独占欲丸出しで出灰の腰に手回すキング、良かったよなー。サイトで読んではいるけど、本屋さんに並ぶのも見たかったなー」
「いや、お前、実際に見ただろ?」
そもそも、イベントに参加したからって書籍化する確約はないんだが。まだ、見たいって言うか読みたいのか……読みたいんだろうな。
残念そうに言う一茶の気持ちも解らなくはないが、俺にだって言い分はある。
「お前はともかく、平凡がイチャイチャするのって、別に見たくないだろ?」
「問題ないよ! むしろ、俺が編集・製本するから『灰かぶり君』同人誌にしない!?」
「しない」
相手をするのが面倒になってきたので、ちょっと早いけどコンビニに買い物に行くことにした。そろそろ苺も終わりだから、買ってきてジャムでも作ろうと思ってる。
「ちぇー……でも、同人誌はともかく。続編とか番外編って書かないの?」
「……ワンコ×腐男子、スピンオフで書いたら反響ありそうだな」
「行ってらっしゃい!」
尚もねばる一茶にそう言うと、流石にやばいと思ったらしく個人ルームに逃げ込んだ。
それにやれやれと思い、財布と携帯を持って俺は部屋を後にした。
正直、長い(一ページの文字数が少ないが)話なので一茶が言うように、続編とか番外編は特に求められていないと思うし――これはサイトに掲載している以上、今更なんだが。
(イチャイチャしてるのとか、そう言う時の刃金さんを……これ以上は、広めたくないし)
なんて、我ながら頭が悪いと言うか、独占欲全開なことを考えながら、俺は寮長室の前を通りかかった。
「出灰、買い物?」
寮長室から、顔を出したのは――女将ではなく、元Sクラス委員長の藤郎だった。今は猫達を連れて卒業した女将の代わりに、迫るチワワ達を笑顔でかわしながら寮長を務めている。
「ああ、コンビニまで……何か買ってくるか?」
「良いの? じゃあ、コーラ……」
「それくらいなら、差し入れる」
「ありがとう」
「いや」
財布を出そうとした藤郎に言うと、爽やかな笑顔で返された。それに返事をして、俺は寮を出た。
……一茶に、藤郎や岡田さん、あと女将や橙司先生との仲を勘ぐられたことがある。
俺としては、本人達から別に何も言われていないので「ないだろ」と言ったけど――鈍感、なんだろうか? 一茶だけじゃなく、サイトのコメントでも言われたんで流石にちょっと気になるけど。
(今までのことを考えると、ないとは言えないけど……自惚れはいけないよな、うん)
そう結論づけて、俺はそれ以上考えるのをやめた。
「そうだな」
「不器用な年下攻めを、年上ならではの包容力で癒す受け! 書籍化されたら絶対、買うんだーっ」
「……あの話、途中から年齢制限かかったよな」
俺がそう言うと、部屋の共有スペースで力説していた一茶はウッと言葉に詰まった。
そう、サイトの規約で性描写や極度な暴力描写が入る場合、専用タグをつけて未成年に見られないようにすることになってるんだ。
「書籍化される頃は、俺、十八歳だから大丈夫!」
「はいはい」
「……って言うか、出灰! ちゃんと聞いてよっ」
高校生なのはOKなんだろうか、いや、ボーイズラブってそもそも(店によるらしいけど)年齢確認入らないか――そんなことを、ソファに寝転がって考えていた俺に、一茶からのお叱りの声が飛ぶ。とは言え、卒業式と入学式が終わってやっと一段落なんだ。休みの日くらい、のんびりさせろ。
……ちなみに、ソファに懐いてる俺の書いた話は書籍化されなかった。
と言うか年末に完結はさせたけど、途中で応募要項が変わった関係で、書籍化作家の俺はそもそもイベント参加が出来なかったんだ。
「ラスト、クリスマスパーティーで、独占欲丸出しで出灰の腰に手回すキング、良かったよなー。サイトで読んではいるけど、本屋さんに並ぶのも見たかったなー」
「いや、お前、実際に見ただろ?」
そもそも、イベントに参加したからって書籍化する確約はないんだが。まだ、見たいって言うか読みたいのか……読みたいんだろうな。
残念そうに言う一茶の気持ちも解らなくはないが、俺にだって言い分はある。
「お前はともかく、平凡がイチャイチャするのって、別に見たくないだろ?」
「問題ないよ! むしろ、俺が編集・製本するから『灰かぶり君』同人誌にしない!?」
「しない」
相手をするのが面倒になってきたので、ちょっと早いけどコンビニに買い物に行くことにした。そろそろ苺も終わりだから、買ってきてジャムでも作ろうと思ってる。
「ちぇー……でも、同人誌はともかく。続編とか番外編って書かないの?」
「……ワンコ×腐男子、スピンオフで書いたら反響ありそうだな」
「行ってらっしゃい!」
尚もねばる一茶にそう言うと、流石にやばいと思ったらしく個人ルームに逃げ込んだ。
それにやれやれと思い、財布と携帯を持って俺は部屋を後にした。
正直、長い(一ページの文字数が少ないが)話なので一茶が言うように、続編とか番外編は特に求められていないと思うし――これはサイトに掲載している以上、今更なんだが。
(イチャイチャしてるのとか、そう言う時の刃金さんを……これ以上は、広めたくないし)
なんて、我ながら頭が悪いと言うか、独占欲全開なことを考えながら、俺は寮長室の前を通りかかった。
「出灰、買い物?」
寮長室から、顔を出したのは――女将ではなく、元Sクラス委員長の藤郎だった。今は猫達を連れて卒業した女将の代わりに、迫るチワワ達を笑顔でかわしながら寮長を務めている。
「ああ、コンビニまで……何か買ってくるか?」
「良いの? じゃあ、コーラ……」
「それくらいなら、差し入れる」
「ありがとう」
「いや」
財布を出そうとした藤郎に言うと、爽やかな笑顔で返された。それに返事をして、俺は寮を出た。
……一茶に、藤郎や岡田さん、あと女将や橙司先生との仲を勘ぐられたことがある。
俺としては、本人達から別に何も言われていないので「ないだろ」と言ったけど――鈍感、なんだろうか? 一茶だけじゃなく、サイトのコメントでも言われたんで流石にちょっと気になるけど。
(今までのことを考えると、ないとは言えないけど……自惚れはいけないよな、うん)
そう結論づけて、俺はそれ以上考えるのをやめた。
11
あなたにおすすめの小説
悪の策士のうまくいかなかった計画
迷路を跳ぶ狐
BL
いつか必ず返り咲く。それだけを目標に、俺はこの学園に戻ってきた。過去に、破壊と使役の魔法を研究したとして、退学になったこの学園に。
今こそ、復活の時だ。俺を切り捨てた者たちに目に物見せ、研究所を再興する。
そのために、王子と伯爵の息子を利用することを考えた俺は、長く温めた策を決行し、学園に潜り込んだ。
これから俺を陥れた連中を、騙して嵌めて蹂躙するっ! ……はず、だった……のに??
王子は跪き、俺に向かって言った。
「あなたの破壊の魔法をどうか教えてください。教えるまでこの部屋から出しません」と。
そして、伯爵の息子は俺の手をとって言った。
「ずっと好きだった」と。
…………どうなってるんだ?
君が僕を好きなことを知ってる
大天使ミコエル
BL
【完結】
ある日、亮太が友人から聞かされたのは、話したこともないクラスメイトの礼央が亮太を嫌っているという話だった。
けど、話してみると違和感がある。
これは、嫌っているっていうより……。
どうやら、れおくんは、俺のことが好きらしい。
ほのぼの青春BLです。
◇◇◇◇◇
全100話+あとがき
◇◇◇◇◇
天の求婚
紅林
BL
太平天帝国では5年ほど前から第一天子と第二天子によって帝位継承争いが勃発していた。
主人公、新田大貴子爵は第二天子派として広く活動していた亡き父の跡を継いで一年前に子爵家を継いだ。しかし、フィラデルフィア合衆国との講和条約を取り付けた第一天子の功績が認められ次期帝位継承者は第一天子となり、派閥争いに負けた第二天子派は継承順位を下げられ、それに付き従った者の中には爵位剥奪のうえ、帝都江流波から追放された華族もいた
そして大貴もその例に漏れず、邸宅にて謹慎を申し付けられ現在は華族用の豪華な護送車で大天族の居城へと向かっていた
即位したての政権が安定していない君主と没落寸前の血筋だけは立派な純血華族の複雑な結婚事情を描いた物語
【完結】ここで会ったが、十年目。
N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化)
我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。
(追記5/14 : お互いぶん回してますね。)
Special thanks
illustration by おのつく 様
X(旧Twitter) @__oc_t
※ご都合主義です。あしからず。
※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。
※◎は視点が変わります。
僕の部下がかわいくて仕方ない
まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?
【完結】恋愛初学者の僕、完璧すぎる幼馴染に「恋」を学ぶ
鳥羽ミワ
BL
志村春希は高校二年生で、同い年の幼馴染・須藤涼太のことが大好き。その仲良しぶりといったら、お互い「リョウちゃん」「ハルくん」と呼び合うほどだ。
勉強が好きな春希には、どうしてもひとつだけ、全く理解できないことがあった。それは、恋心。学年一位の天才でもある涼太にそのもどかしさを愚痴ったら、「恋」を教えようかと提案される。
仮初の恋人になる二人だけど、春希が恋を知ったら、幼馴染の友達同士のままではいられない。慌てる春希に「パラダイムシフトを起こそうよ」と提案する涼太。手を重ねて、耳元で囁く涼太。水族館デートに誘う涼太。あまあまに迫られて、恋愛初学者の春希が陥落しないはずもなく……。
恋を知ったら友達でいられない。でもこの思いは止められない。
葛藤する春希の隣で涼太だけが、この関係は両片思いだと知っていた。
幼馴染の溺愛恋愛ケーススタディ、開幕! 最後はもちろんハッピーエンド!
※アルファポリス、カクヨム、小説家になろうへ投稿しています
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
誰かの望んだ世界
日燈
BL
【完結】魔界の学園で二年目の学園生活を送るイオは、人知れず鶯色の本をめくる。そうすれば、必要な情報を得ることができた。
学園には、世界を構成するエネルギーが結晶化したといわれる四つの結晶石≪クォーツ≫を浄める、重要な家系の生徒が集っている。――遥か昔、世界を破滅に導いたとされる家系も。
彼らと過ごす学園生活は賑やかで、当たり前のようにあったのに、じわじわと雲行が怪しくなっていく。
過去との邂逅。胸に秘めた想い――。
二度目の今日はひっそりと始まり、やがて三度目の今日が訪れる。
五千年ほど前、世界が滅びそうになった、その時に。彼らの魂に刻まれた遺志。――たった一つの願い。
終末を迎えた、この時に。あなたの望みは叶うだろうか…?
――――
登場人物が多い、ストーリー重視の物語。学校行事から魔物狩り、わちゃわちゃした日常から終末まで。笑いあり涙あり。世界は終末に向かうけど、安定の主人公です。
2024/11/29完結。お読みいただき、ありがとうございました!執筆中に浮かんだ小話を番外編として収めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる