灰かぶり君

渡里あずま

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カボチャは馬車より煮物が好み2

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 さて、先輩連中が卒業し、三年に進級した俺は進路を考える時期になった。
 三回忌、両親の墓参りをした時は『就職に有利なように進学』って考えてたけど。
 ……今の俺には、やりたいことがあって。
 結果としては進学なんだけど、それはやりたいことを実現させる為だったりする。

 やりたいことが出来たのは、卒業して刃金さんの紹介で就職したFクラスの面々に、さしいれを持っていった時だった。

「坊主の作る飯は、本当に美味いな」

 多めにおにぎりやらおかずを持っていってたんで、会社の他の人達にも食べて貰ったんだけど――現社長(刃金さん卒業後、代替わり予定)に褒めて貰えた。
 そこまでなら社交辞令だと思うけど、続けられた言葉に俺は驚くことになる。

「金は払うから、また作ってきて貰う訳にはいかんか?」
「えっ……」
「カミさんがいる奴は、弁当持参だが……独り身の奴は、仕事だけで精一杯だし。そうなると、コンビニとかになるからな」

 出来合いの弁当だと、どうしても飽きるんだよ。
 そう持ちかけられたのに、少し考えて――隔週の土曜日なのと、個人経営とは言え十数人は従業員がいるんで丸々弁当じゃなく、今のさしいれレベルで良ければ、と了承を貰った。
 そんな訳で、用意した食べ物を会社に届けるようになったけど――今更だけど気づいたのは、俺は『誰かの為に何かをする』ことが嫌いじゃないってことだ。
 料理やお菓子作りしかり、あと小説を書くこともしかりで。
 小説みたいに、今やってることを続けていく為にはどうすれば――そう考えた俺にある方法を提案してくれたのは、チワワ達から相談を受けた元ファンクラブ隊長、詩桜さんだった。

「一から店を開くとなると、大変かもだけど……ワゴン車で、お弁当屋さんとかって言うのはどう?」

 そう言って、詩桜さんは開業するのならと必要な資格――運転免許や、必須ではないが調理師免許について教えてくれた。

「調理師免許は専門学校でも取れるし、飲食業で二年間、決まった時間働けば試験も受けられるわ……も、もし本気なら、うちの喫茶店紹介してあげても良いけどっ」

 相変わらず可愛らしい詩桜さんに和みつつ、気持ちだけ受け取ることにした。紅河さんや紫苑さん達からの申し出を断ったのに、詩桜さんに甘えるのは気がひける。
 ただ、教えて貰った専門学校について調べてみると――特待生制度や、デュアル制度(昼は紹介先でバイト、夜は夜間部で勉強)があって。
 資金を貯められるのと最悪、開業出来なくても何らかの形で調理に関われると思った。運転免許は、十八歳になったら取りに行く予定だ。

「オレ、出灰が弁当屋になったら毎日、買いに行くからな!」
「ありがとうな、真白」
「俺、毎日萌えを拝みに行くから!」
「一茶、そのうち安来先輩に怒られるよ」

 俺の卒業後の進路について話したら、真白達からとっても『らしい』コメントを貰った。
 一茶のは、かー君達からも真白と同じことを言われたからだけど。
(うん、洒落にならないからあんまり刃金さんを刺激しないで欲しい)
 ちょっと不安はあるけど、それぞれの道に進んでもこいつらとは続いていく気がする。

 ……いや、ちょっと違うか。
 勿論、刃金さんの隣にいる為にも頑張るけど。
 白月ここで知り合った面々と、何らかの形で繋がっていたいのは俺だもんな。

 ドレスなんて着ない。
 ガラスの靴は割れそうだから、スニーカーで。
 馬車だと公道は走れないから、ワゴン車を。
 そうなるとカボチャの出番はなくなるから、美味しい煮物にでもなって貰おうか。

(我ながら、お姫様要素ゼロだよな)

 だけど王子のサポートとか、魔法使いのフォローが仮になくても――シンデレラが『めでたしめでたし』だったのは、理解って言うか実感した。



本編完結。ここまでのお付き合い、ありがとうございました。
今後は、不定期に番外編を載せていきたいと思います。また見かけたら、よろしくお願いしますm(__)m
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