孤独な屋敷の主人について

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みずいらず

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「あっ、でちゃ、っ、むくち、く、……でちゃう……!」

 指だけで達する彼も見たかったが、それより挿れてしまいたいという欲が勝ってしまった。指を引き抜き、自分の下半身の衣類を脱ぐ。強度を増した性器は脈を打ち、先端から液体を漏らしていた。実兄に入りたいという欲が、こうさせているのである。なんともまぁ、いびつな愛だろうか。
 口角を歪め笑っていると、兄がぼんやりとした表情のまま手を伸ばす。その手に近づくと、彼が首に腕を絡めてきた。引き寄せられ、胸が高鳴る。どうも、兄に甘えられるとうぶな少女のように身が硬直してしまうのだ。

「……わっ……硬くて、熱いね」

 体を密着させたことにより、必然的に性器が彼の肌に触れる。張り詰めたそれに、カルベルが心配そうな声をあげた。同時に、放たれた言葉が無意識なものだと察し、耳の先まで赤くなる。
 彼は自覚も無しに、男を悦ばせる台詞を吐いたのだ。その事実だけで思わず達してしまいそうになった。
 俺は体を離し、性急に後孔にそれを擦り寄せた。期待に満ちたような表情を浮かべ、兄が切なげに声を漏らす。先端を入れ込むと、背中が弓形に撓った。熱と畝る内部に刺激され、声を漏らしそうになる。唇を噛み締め、彼の腰を掴んだ。引き寄せ、先端を奥にまで到達させる。

「あ゛ッ────」

 兄が下品な声を出した。初めて聞くその音に、目を見開く。痙攣する体と、腹に散る白い白濁液に何も言えないまま固まった。そこでようやく、彼が挿れただけで達したのだと気づき、脂汗が滲んだ。興奮で眩暈さえ覚える。

「はっ、はっ、……ぅ、うぅ……」

 カルベルは顔を真っ赤にさせ、浅く呼吸を繰り返していた。動いて良いものかと悩み、しかし、達した後の震える内部に刺激され、制御が効かなくなる。ゆるゆると動かし、奥を叩くと、足がピンと張った。あぁ、と悲鳴のような声を出す兄が愛しくなり、前のめりになって唇を塞ぐ。

「っ、……! っ、ん゛、んー!」

 腹を押し上げるように性器を捩じ込み、兄を甚振る。兄を好きなようにできるのは紛れもなく弟である自分だと主張したくて、今度は耳に舌を捩じ込んだ。音を立て舐めると、兄の体が震える。

「あぅ、あっー……ひっ、ぅ゛、む、むくち、く」

 彼の言葉で我に返る。自分は弟としてではなく、無口くんとして兄を抱いているのだ。何故かその逃れようのない真実に嫉妬してしまう。
 ────本気で兄を愛し、溺れさせたいと願っているのは弟である俺なのに。
 そんなチグハグな感情が渦を巻き、彼の腰を思い切り掴んだ。白い肌に指が食い込む。ぼやっとした瞳が俺を見つめた。いつまで経っても交わらない曖昧な視線に欲を駆り立てられ、ガツガツと腰を打ちつける。奥をこじ開けるために激しく動くと、兄が声もなく喘いだ。

「ーッ! っ、ー!」

 シーツを握りしめたまま顔を逸らせ、胸を晒す彼が愛しい。もっと内部へ侵入したくて、俺はピッタリと腰を密着させる。ぐぐ、と入り込んだ性器に、兄がキツく目を瞑ったまま唇を噛み締めた。これ以上は入らないと言いたげに内部が拒絶するような動きをする。それが気に入らなくて、意地になって腰を掴む手に力を込める。
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