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14話 電話
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部屋に戻るとぶぉーと言う音が聞こえてきたため、そちらに目を向けてみると、
先生が直君を手に取り、ドライヤーで乾かしてくれていた。
「あ、先生。直君…じゃなくてぬいぐるみを乾かしてくれてるんですね」
「ああ、秋山が元々大事してたものだし、何か…愛着があるみたいだしな」
『また衣沙菜のせいで妙な気持ちを抱かれたみたいだな…』
直君は不満を口にするが、ドライヤーで乾かしてもらって、
どこか気持ち良さそうだ。
って言うかちょっと表情が変わってる変わってる!
ぬいぐるみが表情を変えたらおかしいよ、直君!
とりあえず先生は気付いてないみたいだし、直君の方は大丈夫かな。
「ああ、秋山。花束ありがとな。泥とかも後で綺麗に取っておくから問題なしだ」
「ぬかるみで転んでしまって、ごめんなさい…」
そんなドジの私を「こんな天気だし、気にするな」と先生がフォローしてくれた。
それを聞いてほっとするが、やるべき事を思い出して、すぐに先生に声をかける。
「先生、喫茶店のマスターに無事ついた事を電話したので、
電話を借りてもいいですか?」
「ああ、もちろん。マスターも最近の雨続きで心配してるだろうし」
先生の了承を得て黒電話を借りると、喫茶店のマッチを手に取り、電話をかける。
コール音が流れて、早くマスターに無事先生に会えた事を早く伝えたい気持ちが
大きくなるが、コール音が流れるだけでなかなかマスターは電話にでてくれない。
『衣沙菜、どうした?』
「マスターが電話に出てくれないの……何かあったのかな?」
続くコール音に心配な気持ちが大きくなって来たところで
「もしもし」と言う声が電話口から聞こえてきた。
「もしもし、マスターですか!?」
「ああ、享か。悪いな、雨が酷くなってきたから、店の片づけをしてたんだよ」
マスターは続けて「大雨のたびにシャッターを下ろすのは腰にこたえるわい」と
冗談を交えて話してくれたので、私は少しほっとした。
「それで先生には無事会えたのか?」
「はい、マスターのメモのおかげで無事学校に着いて先生に会えました」
マスターに電話でそう伝えるが、少し間が開いて「それは良かった」と言う
返答が来る。
「マスター、忙しそうなのでまた後でかけましょうか?」
「いや、切らなくてもいいが、どこからかパラパラ…って
音が聞こえてくるのが気になってな。
シャッターを閉めてた時から聞こえてたんだが、何だろうな」
「パラパラって音が聞こえるんですか?」
何か私もその音はどこかで聞いた気がするが、思い出せない。
「秋山、どうかしたのか?」
マスターに言った言葉が先生も聞こえたようで、声をかけられる。
「マスターがパラパラって音がどこからか聞こえてくるって心配を……
ってそれ土砂崩れの前兆の音じゃ!?」
先生を迎えに西の道にを行った時に、直君と前兆の話をして実際に起きたんだった!
それに今考えると、この世界で目を覚ました時から喫茶店で
パラパラって音がしてた気もする!
「マスター! そこにいると土砂崩れに巻き込まれる可能性があります!」
「享、いきなりそんな事言われても外は大雨だし、出るに出られないぞ!」
確かに喫茶店の周辺には避難する建物もないし、西側の道は通れない。
東側の道は通れる可能性はあるが、この雨で出歩くのは困難だろう。
『衣沙菜! とりあえずマスターに山とは反対側でなるべく高いところに
避難してもらうように伝えるんだ!』
「直君、分かった! マスターにそう伝えるね!」
マスターに直君に言われた事を伝えると、喫茶店の逆側に屋根裏部屋があるらしく、
そこに隠れるとの事で電話を切った。
「秋山、マスターの様子は?」
「屋根裏部屋に隠れるって言ってましたが……大丈夫ですかね?」
「自然の事だからなんとも言えんが、山側を避けるのは懸命な判断だと思う…
って秋山、どうしたんだ!?」
天野先生がこちらに向かって叫ぶが、何の事を言われているのか分からない。
『衣沙菜、自分の体を見ろ!』
直君に言われて視線を下げると、なぜか体全体が半透明で、
今にも消えてしまいそうになっていた。
何が何だか分からずパニックになった私は直君に目を向ける。
すると直君の体、ぬいぐるみの姿も半透明になっている。
「直君、これってどう言う事!?」
『分からん! もしかしたらここで元の世界に戻されるって事かもしれん!』
「でも、まだマスターがどうなったか分からないし、
先生とも全然話をしてないよ!」
「秋山! 元の世界に戻されるってどう言う事なんだ!?」
天野先生もあまりにも現実離れした状況に気を取り乱している。
『俺達が消えても先生が無事なのは変わらないと思う!
ただマスターに関しては元の世界で確認してみないと何とも言えん!』
天野先生を救う事ができたのは幸いだけど、マスターが土砂崩れに
巻き込まれたと言う話は直君から聞いていない。
「もしかして……私達が未来を変えてしまったから?」
「未来を変えた!? 秋山、何の事を………」
先生が今も一生懸命何かを訴えかけてくるが、徐々に声が聞こえなくなってくる。
『衣沙菜! マスターに山側から避難するように話はしたし、きっと大丈夫だ!
今はマスターの無事を信じて………』
続いて、直君の言葉も途中で途絶えて、自分の体が光に包み込まれていく。
「天野先生、無事でほんと良かったです! マスターをよろしくお願いします!」
聞こえていないかもしれないと思いつつ、先生にお礼の言葉を告げると、
先生の表情が笑顔へと変わった。
最後に先生に伝わったのなら嬉しいなと思うのを最後に、
自身が完全に光に包み込まれて、私の意識は遠のいていった。
先生が直君を手に取り、ドライヤーで乾かしてくれていた。
「あ、先生。直君…じゃなくてぬいぐるみを乾かしてくれてるんですね」
「ああ、秋山が元々大事してたものだし、何か…愛着があるみたいだしな」
『また衣沙菜のせいで妙な気持ちを抱かれたみたいだな…』
直君は不満を口にするが、ドライヤーで乾かしてもらって、
どこか気持ち良さそうだ。
って言うかちょっと表情が変わってる変わってる!
ぬいぐるみが表情を変えたらおかしいよ、直君!
とりあえず先生は気付いてないみたいだし、直君の方は大丈夫かな。
「ああ、秋山。花束ありがとな。泥とかも後で綺麗に取っておくから問題なしだ」
「ぬかるみで転んでしまって、ごめんなさい…」
そんなドジの私を「こんな天気だし、気にするな」と先生がフォローしてくれた。
それを聞いてほっとするが、やるべき事を思い出して、すぐに先生に声をかける。
「先生、喫茶店のマスターに無事ついた事を電話したので、
電話を借りてもいいですか?」
「ああ、もちろん。マスターも最近の雨続きで心配してるだろうし」
先生の了承を得て黒電話を借りると、喫茶店のマッチを手に取り、電話をかける。
コール音が流れて、早くマスターに無事先生に会えた事を早く伝えたい気持ちが
大きくなるが、コール音が流れるだけでなかなかマスターは電話にでてくれない。
『衣沙菜、どうした?』
「マスターが電話に出てくれないの……何かあったのかな?」
続くコール音に心配な気持ちが大きくなって来たところで
「もしもし」と言う声が電話口から聞こえてきた。
「もしもし、マスターですか!?」
「ああ、享か。悪いな、雨が酷くなってきたから、店の片づけをしてたんだよ」
マスターは続けて「大雨のたびにシャッターを下ろすのは腰にこたえるわい」と
冗談を交えて話してくれたので、私は少しほっとした。
「それで先生には無事会えたのか?」
「はい、マスターのメモのおかげで無事学校に着いて先生に会えました」
マスターに電話でそう伝えるが、少し間が開いて「それは良かった」と言う
返答が来る。
「マスター、忙しそうなのでまた後でかけましょうか?」
「いや、切らなくてもいいが、どこからかパラパラ…って
音が聞こえてくるのが気になってな。
シャッターを閉めてた時から聞こえてたんだが、何だろうな」
「パラパラって音が聞こえるんですか?」
何か私もその音はどこかで聞いた気がするが、思い出せない。
「秋山、どうかしたのか?」
マスターに言った言葉が先生も聞こえたようで、声をかけられる。
「マスターがパラパラって音がどこからか聞こえてくるって心配を……
ってそれ土砂崩れの前兆の音じゃ!?」
先生を迎えに西の道にを行った時に、直君と前兆の話をして実際に起きたんだった!
それに今考えると、この世界で目を覚ました時から喫茶店で
パラパラって音がしてた気もする!
「マスター! そこにいると土砂崩れに巻き込まれる可能性があります!」
「享、いきなりそんな事言われても外は大雨だし、出るに出られないぞ!」
確かに喫茶店の周辺には避難する建物もないし、西側の道は通れない。
東側の道は通れる可能性はあるが、この雨で出歩くのは困難だろう。
『衣沙菜! とりあえずマスターに山とは反対側でなるべく高いところに
避難してもらうように伝えるんだ!』
「直君、分かった! マスターにそう伝えるね!」
マスターに直君に言われた事を伝えると、喫茶店の逆側に屋根裏部屋があるらしく、
そこに隠れるとの事で電話を切った。
「秋山、マスターの様子は?」
「屋根裏部屋に隠れるって言ってましたが……大丈夫ですかね?」
「自然の事だからなんとも言えんが、山側を避けるのは懸命な判断だと思う…
って秋山、どうしたんだ!?」
天野先生がこちらに向かって叫ぶが、何の事を言われているのか分からない。
『衣沙菜、自分の体を見ろ!』
直君に言われて視線を下げると、なぜか体全体が半透明で、
今にも消えてしまいそうになっていた。
何が何だか分からずパニックになった私は直君に目を向ける。
すると直君の体、ぬいぐるみの姿も半透明になっている。
「直君、これってどう言う事!?」
『分からん! もしかしたらここで元の世界に戻されるって事かもしれん!』
「でも、まだマスターがどうなったか分からないし、
先生とも全然話をしてないよ!」
「秋山! 元の世界に戻されるってどう言う事なんだ!?」
天野先生もあまりにも現実離れした状況に気を取り乱している。
『俺達が消えても先生が無事なのは変わらないと思う!
ただマスターに関しては元の世界で確認してみないと何とも言えん!』
天野先生を救う事ができたのは幸いだけど、マスターが土砂崩れに
巻き込まれたと言う話は直君から聞いていない。
「もしかして……私達が未来を変えてしまったから?」
「未来を変えた!? 秋山、何の事を………」
先生が今も一生懸命何かを訴えかけてくるが、徐々に声が聞こえなくなってくる。
『衣沙菜! マスターに山側から避難するように話はしたし、きっと大丈夫だ!
今はマスターの無事を信じて………』
続いて、直君の言葉も途中で途絶えて、自分の体が光に包み込まれていく。
「天野先生、無事でほんと良かったです! マスターをよろしくお願いします!」
聞こえていないかもしれないと思いつつ、先生にお礼の言葉を告げると、
先生の表情が笑顔へと変わった。
最後に先生に伝わったのなら嬉しいなと思うのを最後に、
自身が完全に光に包み込まれて、私の意識は遠のいていった。
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