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花咲我らの生くる道!
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「鈴頼むで候!輿入れしてちょーだいくれで候(頼むよ!結婚してくれよ)!」
村を歩く、ブロンドの短い髪の、一度見たら頭に残る蠱惑的な美貌の19歳の女、愛道鈴に付き纏うのは、30代前半程の、黒髪の痩せ型の男であり、彼女を見付けるとしつこく追いかけ回すストーカー的存在。
「止めたまへ!其方には妻とわらはおはせむ?我に付きな纏ひそ(止めて下さい!あなたには奥さんと子供がいらっしゃるでしょう?私に付き纏わないで下さい)!」
立ち止まり、キッと睨みつけてそう口にした。この男と関係を持った事はないし、何なら名前も知らない。
「鈴!左様な事申すなで候!貴様をひとたび見た時、貴様の面がひとたびとはいえ頭から離れたでござる事はござらん(そんな事言うなよ!お前を一度見た時、お前の顔が一度でも頭から離れた事無いんだよ)!」
それは、奥さんと子供と一緒に村を歩いていた時、たまたま買い物に来ていた『愛道鈴』と言う存在に出会った。その一瞬で、この男の心は、彼女に奪われてしまった。
「さる事知らず!妻と子を思はぬ人に、好かるる筋合ひはあらず(そんな事知りません!奥さんと子を愛さない人に、好かれる筋合いはありません)!」
そう言い、走って逃げたのだ。
「鈴待たれよ(待てよ)!鈴!」
だが、男はしつこく追い掛ける。
「!」
しつこい!
すると、川を繋ぐ橋で人が集っていた。そこに鈴は逃げ込む事が出来、逃れる事が出来た。
「ふぅ」
ホッと一息付いたのも束の間
「鈴!人助けなり(人助けだ)!」
「えっ?」
すると、華奢なくびれた手首を掴んで来たのは、一緒に住んでいる朧月夢だ。鮮やかな水色の着物を身に付け、水色の長い髪をツインテールに、あどけない可愛い顔をしているのだが、目付きがキッとしている15歳の女だ。彼女は走り出すと、橋の下へと向かう。
「夢(夢ちゃん)!」
騒つく村人たち。と言うのも、橋の下で体育座りする女2人の姿を見に来ていた。その女たちの足元には、大きな風呂敷があり、何やら荷物が包まれているようだった。草が生い茂る土手を走って下り、橋の下へ行き夢は躊躇わずに声を掛けた。
「安穏(大丈夫)!?」
ふと、左側に座る緑色が掛かった長い黒髪を一つで高めの位置に結えて、その髪が片方の目を覆い隠し、可愛い顔をした唇に紅をさした女が顔を向けた。
「あら美しき(可愛い)女の子」
「!!!!!!!!!!?」
その時、二人は立ち止まって目を見張り、瞳を揺らす。
「あらまこと。美しき女子なり事(あら本当。可愛い女の子だ事)」
もう一人も顔を向けると、長い黒髪を下ろして唇にさした紅が良く似合う、上品な顔立ちをしているが目付きがキッとしている女もそう口にした。だが、この2人に過剰な違和感を覚える。と言うのも、見た目は女だが、声は諸男だったからだ。2人は立ち上がると、その体格の良さは、女ではないのを確信させてくれた。
「あらあからさまに(ちょっと)この子」
その時、目付きがキッとしている方の女が、鈴のアゴを掴んで来たのだ。その手はまるっきり男の手をしている。
「!!!!!!!!!?」
「美人ぞ。見たる極みと化粧したらぬ心地ぞ?天然にかく美人なる?ともしよ(美人だわ。見てる限りだとお化粧してない感じね?天然でこんなに美人なの?羨ましいわ)」
「あら其方好みの女子ならず(あらあなた好みの女の子じゃない)!」
隣に立つ夢は、もはや言葉を失って見ており、彼女は下唇を噛み締めて震えてしまう。
「うたてしこの子怯えたりよ蝶子(いやだこの子怯えてるわよ蝶子さん)」
緑色が掛かった長い黒髪の女は『蝶子』と言う名前らしいが、いずれにしても偽名であろう。
「んふふふふふ!其方の事の畏きぞ。初対面にアゴすずろに掴みぬれば(あなたの事が怖いのよ。初対面でアゴなんか掴んじゃうから)」
「んっふ~ん。しか畏きやは(そんなに怖いかしら)?」
怖いと言うか何と言うか、ここまで来ると感情が分からない。
「何故なんぢらはここに膝を抱へたりけりや(あなたたちはここで膝を抱えていたんですか)?」
鈴は、興味を示したと言うかは気になり聞くと、蝶子はこう口にした。
「男に捨てられしぞ。まこと!男こそたのめべからね(男に捨てられたのよ。本当!男は信頼出来ないわ)!」
「絶えてよね!男は女を泣かする以外になにうと言ふ(全くよね!男は女を泣かせる以外になにが出来るって言うのよ)!」
無茶苦茶二人とも怒っているが、第一、この村では見掛けた事の無い二人だが、いずれにしても付き合っていた男性が居たようだ。そして、捨てられたと言う。
「あら蒼子たらしか怒りにて。お化粧こそ取れぬれよ(蒼子さんたらそんなに怒っちゃって。お化粧が取れちゃうわよ)?」
「うたてし(嫌だ)!」
バッとアゴを離すなり、女は背を向けて両手で頬を包むように触れる。
「すっぴんの我見られまほしく無し!かたはらいたし(私を見られたく無い!恥ずかしい)!」
「我白鳥蝶子。本名はな聞きそ(私白鳥蝶子。本名は聞かないでね)?」
「我山本蒼子。本名はさらに聞かば無用よ。聞きしにはきみの肌を剥がして我が顔に貼り付けぬれば(私山本蒼子。本名は絶対に聞いちゃダメよ。聞いた時にはあなたの皮膚を剥がして私の顔に貼り付けちゃうから)」
とんでもなく、驚く程に凄いことを口にする山本蒼子さん。
「!!!!!!!!!?」
夢は、咄嗟に彼女の手首を掴み、鈴は自分を盾にして前に行き、背に腕を回して抱き締める。
「うたてししか警戒せで(やだそんなに警戒しないで)!」
すると蒼子は彼女の華奢なくびれた両手首を掴むと夢から引き離し
「!!!!!!!!!!?」
後ろから抱き締める。
「すは蒼子!なんぢがさる事言へば怖がらせにけらぬ(ほら蒼子さん!あなたがそんな事言うから怖がらせちゃったじゃないの)」
すると、蝶子は彼女の前に来てアゴを掴み見詰める。
「いいいいいぃ!」
肌に粟が生じ、ピーン!とつま先が立ち硬直してしまう。
「くっふっふっふっふっ。蒼子反省」
話し掛けるべき相手だったのか、話し掛けてはいけないべきだったのか、出会ってしまった思わぬ人たち。
「なし。なんぢらに頼ままほしき事があれど、良きやは(ねえ。あなたたちに頼みたい事があるんだけど、良いかしら)?」
蝶子はそう言うと、鈴は顔を向けた。
「なにならむ(なんでしょう)?」
すると彼女は、子供のように無邪気な笑みを浮かべてこう、口にした。
「今晩泊めたまふ(泊めて下さる)?」
「うたてし(やだ)!」
戸を開けると、白鳥と山本を招いた。夢は全力で拒否したが、『人助け』と言って掛けたのは紛れもなく彼女であり、なら人助けを最後までやり通す必要がある。そこで、鈴は家に招いた。
「自在に使ひたまへ。室も多ければ(自由にお使い下さい。部屋も多いですから)」
「あら嬉し(嬉しい)~!」
「今晩外に寝で済みきよ(外で寝なくて済んだわ)」
違う村からこの村に来たのは間違いないが、行く当てもなくただただ来て、途方に暮れていたようだ。
「家無き(家無いの)?」
ふと、夢は攻めた質問をすると、蒼子は顔を向けこう言った。
「んっふっふっ。追ひいださるれば無きぞ(追い出されたから無いのよ)」
彼女の瞳が揺れ、口を紡いでしまう。聞いてはいけない事を聞いてしまったと思い、夢は反省して口を紡いだのだ。『ごめん』と謝ったら、この二人の傷口を抉るとも思った。自分の持ってる好奇心が、人を傷付ける事もあると、勉強が出来た。
「あたらなればお風呂いかで(せっかくなのでお風呂どうぞ)?」
鈴は、草履を脱いで囲炉裏に上がり
「あら助かるよ(助かるわ)」
蝶子は、取り敢えず囲炉裏に荷物を置いた。
「されど、覗かば無用よ?お化粧取るべければ(けど、覗いたらダメよ?お化粧取らないといけないから)」
どうしても蒼子はすっぴんを見られるのが嫌らしく、そう言った。
「覗かず。さる嗜みなし。では先ず、お室より案内たてまつらむや?その方が気が楽ならむ(覗きません。そんな趣味ありません。では先ず、お部屋から案内致しましょうか?その方が気が楽でしょう)?」
「あら気立の良き子(気立の良い子)」
「蒼子其方。まことかく言ふ子好きなれば(蒼子さんあなた。本当こう言う子好きなんだから)」
「男に懲るるとぞ、女にもいくべきぞ(懲りるとね、女でもいけるのよ)」
なんだか、頭が痛くなってきた。とくにこめかみの部分。
「いかで(どうぞ)」
すると2人は草履を脱いで上がり、荷物を持って部屋に案内される。まるで宿泊施設のように。2人は仲が良い事に同じ部屋に泊まる事にし、お風呂に直行した。
「ふぅ」
化粧を取り、五右衛門風呂に浸かる蝶子は、性的魅力に溢れた40代前半程の男であり、筋肉で引き締まった裸体を晒し、一方で髪の毛を洗う蒼子は、筋肉で引き締まった実年齢である51とは思えない程の肉体美を晒し、すっぴんを見られるのを拒絶していたが、イケメンの風貌をしており、彼女の前では顔を晒すのは拒まない。
「かの子ども、良き子にてありぬべかりきよかし(あの子たち、良い子で良かったわね)?」
「良き子どもに恵まれきよ(良い子たちに恵まれたわよ)」
やがて湯殿から上がり、部屋に戻った。その間、食事の準備をしていた鈴と夢は、お膳立てを手にして部屋へと運ぶ。
「お食、持ちたてまつりき(お食事、お持ちしました)」
まるで料亭だ。
「開くよ(開けるわよ)?」
彼女はそう言い、お膳立てを床に置いて襖を開けようとしたので
「無用(ダメ)!」
蒼子は、全力で拒否したのだ。
「すっぴんなる!さらにな開けそ(すっぴんなの!絶対に開けないで)!」
「なんぢらげにねんごろにしかたじけなし。嬉し(あなたたち本当に親切にしてくれてありがとう。嬉しいし)」
その時、襖が開かれた。
「助かるよ(助かるわ)」
「!!!!!!!!!?」
蝶子、であろうこの男を前に、2人とも、目を疑った。
「誰!?」
やはり夢は素直だ。思った事を直ぐに言葉にしてしまう。
「いやなき蝶子よ。化粧したらずと分からで負ふ?かたじけなく持ち来て。あら旨からむ(いやぁねぇ蝶子よ。お化粧してないと分からないでしょう?ありがとう持って来てくれて。あら美味しそう)」
お膳立てを手にして畳の上に置き、そしてもう一つのお膳立ても手にして畳の上に置いた。
「給ふよかし(頂くわね)」
そして、襖を閉めた。
「さしも美男子なれどなどか(あんなにイケメンなのになんで)!?」
「夢!人には人のよしのあるなり!なにも言はで我らも食はむ(夢ちゃん!人には人の事情があるんです!なにも言わずに私たちも食べましょう)!」
鈴も動揺しているのか、声が大きくなってしまう。
「なんとなればかかる美男子なるぞ!?かかる事はあり!?化粧したらぬこそむちゃくちゃ良きにいかで(だってあんなイケメンなんだよ!?こんな事ってある!?化粧してない方がむちゃくちゃ良いのにどうして)!?」
「夢!行くぞ?我らも食はむ(夢ちゃん!行きますよ?私たちも食べましょう)!」
そう言い、手首を掴んで囲炉裏へと向かう。全部筒抜け。
「んっふっふっふっふっ。まこと、夢たらなほしかし(本当、夢ちゃんたら素直ね)?」
背を向けて座っていた蒼子は振り返りそう口にした。
「我は其方と違ってすっぴんに対してなにも無ければ見せらるるぞ。いで、給へむ(私はあなたと違ってすっぴんに対してなにも無いから見せられるのよ。さぁ、頂きましょう)」
お膳立てを持って行き、互いの前に置いて座る。焼いた秋刀魚に雑炊に大根の煮付け。バランスが採れている食事だ。
「なし。いつまで置きおく(ねぇ。いつまで置いておくの)?」
パチパチと、囲炉裏に焚べた薪が燃え、雑炊が入った鉄鍋が煮え続ける。向き合って座っていた夢は、雑炊を食べていた手が止まりそう口にすると
「家の見付かるまでなり(家が見付かるまでです)」
秋刀魚の身を解しながらそう答えた。彼女の心は、人助けで燃えていた。食事を済ませ、美しく、生命感に溢れ、清潔で、セクシーな裸体姿になって五右衛門風呂に浸かる鈴は一人、寛いでいた。先に夢を入らせ、自分は食器を片付け、直ぐに寝れるように歯を磨いてからその後に入ったので、少し遅くなってしまった。
「………………………………………」
とは言へ(え)。
ふと、先ほど夢に言われた事が脳裏に響く。
『夢より人助けと言へば夢にも責めはあれど、男は男なればぞ?いつ豹変するや分からず(夢から人助けって言ったから夢にも責任はあるけど、男は男だからね?いつ豹変するか分からない)』
食べ終えた食器を手に台所へ行き、風呂場へ向かった。
おのれよりも若き子に(自分よりも若い子に)。
妥当なる事言はれにけり(妥当な事言われちゃった)。
翌日。
鈴は、洗濯物を桶に入れ、洗濯板を持って草履を履くなり
「はやく鈴(おはよう鈴ちゃん)」
「?」
顔を向けると、自分の近くに立つ蒼子の姿が。ばっちりと化粧をしており、自分の『素顔』を隠し切っている。
「はやくさうらふ(おはようございます)」
「あした早くよりおどろきて、偉しよかし(朝早くから起きて、偉いわね)?」
囲炉裏の端に座ると、彼女も釣られて座った。
「洗濯は、一回にはえねば幾度も水を汲むべければ、とくおどろきて井戸端に行かずと遅くなりぬ(一回では出来ないので何度も水を汲まないといけないから、早く起きて井戸端に行かないと遅くなっちゃう)」
洗濯をしに行く井戸端は決まっている。何度も水を汲まないと着物が吸ってしまうので、一回で洗濯は出来ない。それに、自分以外の村の女たちも来るので、水は争奪戦に変わる。
「我こそ行け(私が行くは)」
「えっ?」
「我も(私も)」
すると、蝶子も来るなり蒼子の後ろに行って座り、後ろから抱きしめる。
「お世話になるままと我らの性に合はずよ(お世話になりっぱなしだと私たちの性に合わないわ)」
「さるぞかし蒼子。働かぬものが家に居る免許は無し(そうよね蒼子さん。働かないものが家に居る資格は無し)」
彼女のアゴを掴んで顔を向けさせるなり、白鳥の頬に触れて互いに見詰め合う。
「では、願ひたてまつる(お願いします)」
「任して!」
「我ら、家事上手ぞ(私たち、家事得意なのよ)」
蒼子はとてもノリノリであり、蝶子は鈴に顔を向けてそう言った。
「あははははは!」
井戸端で洗濯をする栗色のソバージュが毛先に掛けられた唇にさしている紅が良く似合う高身長の女、奈良和美嘉と、あどけない愛らしい顔をしたスタイルの良い女、大原芽衣。そして、冴えないと言うか、大人しい、清楚系、だが、顔に対しての悪い印象はなく、どちらかと言えば美人系な顔をしている安藤雪は、仲良し同い年組で洗濯をしていた。
「なし(ねぇ)」
「?」
ふと、雪は何かに気づき呼び掛けると、二人は顔を向けた。この村では見掛けた事のないガタイの良い女たちが。
「いづこの人どもかな(どこの人たちかな)?」
「余所者か?」
小さな村で見知らぬ顔の人が歩いているだけで毛嫌いをする。それはごく一般の事であり、警戒心があるのは良い事だ。
「はやくさうらふ(おはようございます)」
挨拶された時、3人は、固まった。姿は女だが、声は男そのものだったからだ。
「あっ!は、はやくさうらふ(お、おはようございます)!」
一応、安藤は動揺しつつも挨拶をし
「はやくさうらふ(おはようございます)!」
芽衣も動揺はしていたが何度も頭を下げて挨拶する。
「………………………………………」
奈良和は、開いた口が閉じない。
「やあかしい。女子が口開けすずろなり(やぁねえ。女の子が口を開けてはしたない)」
「お口はさすものよ(お口は閉じるものよ)?」
蝶子は腕を伸ばすと両手でその頬を包むようにして触れると、彼女の肌に粟が生じ、身震いしてしまう。
「す、すまず(すみません)!」
「んふふ。(良い子ねぇ)」
「蝶子。我水汲めばきみは洗濯したまへ(蝶子さん。私水汲むからあなたは洗濯してちょうだい)」
「任せて」
井戸の水を汲む際に丈夫な縄に繋げられたその縄を引いて桶を掬い、桶の中に水を汲めば、蝶子は桶を地面に置いて洗濯板で洗い出す。
「うたてしよこのころの水いとなみは(やだわこの時期の水仕事は)」
師走の朝はとにかく冷える。なら井戸水は尚更。手が悴み、真っ赤になってしまう。
「くくく。なればきみに任せしぞ。我冷え性なれば手が悴まばいと(だからあなたに任せたのよ。私冷え性だから手が悴んだら大変)」
だから率先して肉体労働であっても水汲みの方を自分は選び、悴みたくないので蝶子に洗濯をさせたようだ。
「やいてめえ!その為に水汲み選びやがったな!根性無し!」
「何奴に向かとは口聞ゐておるんじゃ貴様!素直にそれがしに聞きゆえにゐらば良きじゃ(誰に向かって口聞いているんだ貴様!素直に俺に聞き従っていれば良いんだ)!」
「男なら拳にてやり合おうでないか(男なら拳でやり合おうじゃねえか)!」
「口先のみにてござらんのを証明してちょーだいみろ(口先だけで無いのを証明してみろ)!」
「おう上等じゃ証明致し候(おう上等だ証明してやんよ)!」
「掛かとは来られよこの単細胞の大ぼけ下郎が!少しは頭が使ゑるきゃつであると思とはおりきが、やはり期待外れでござった!貴様の内臓から食ゐ尽く致し候!今宵はご馳走が食ゑる(掛かって来いやこの単細胞の大ボケ野郎が!少しは頭が使える奴だと思っていたが、やはり期待外れだった!貴様の内臓から食い尽くしてやる!今晩はご馳走が食える)!」
唾液を垂れ流し、前髪から覗くその目は狂気に満ちていた。その時、冷静になったのか2人は女たちに顔を向けると避難しており、3人は、水が汲まれた桶をぶん投げる準備をしていた。大迫力。もはやあの女っぽさはどこへ行ってしまったのか。
「止めたまへ蒼子。さるすずろなるお言葉を使ふは(止めなさい蒼子さん。そんなはしたないお言葉を使うのは)」
「うたてしかしい。我ばかりの責めには無しよ。それより、お化粧が取ればいかがせむ(いやぁねぇ。私だけの責任じゃ無いわよ。それより、お化粧が取れたらどうしましょう)」
「平気よ。なんぢの化粧は壁のごときものなれば(あんたの化粧は壁みたいなものなんだから)」
その時、彼女はピクッと反応した。
「さりかし。我が化粧は『壁』のごときものなればかし?なれば、蝶子。仲良しがてらもろともにお洗濯せむ(そうね。私の化粧は『壁』みたいなものだものね?じゃあ、蝶子さん。仲良しがてら一緒にお洗濯しましょう)?」
「さりかし。もろともにせばとく終はる(そうね。一緒にすれば早く終わるし)」
互いに座り込み、洗濯板で洗い出す。
「なき蒼子。ありつる続きなれど(ねぇ蒼子さん。さっきの続きなんだけど)」
「あらなにかしら?」
「単細胞は本意には無からむ(単細胞って本心じゃ無いでしょう)?」
「ついぽろっといでにて(出ちゃって)」
すると、蝶子は顔を向けるとムッとしており、蒼子は口のあたりに意地の悪い笑みを彫りつけたように浮かべていた。
「それより蝶子。我が化粧の事『壁』と言へるされど、それいかが言ふ心(それより蝶子さん。私の化粧の事『壁』って言ってたけど、それどう言う意味)?」
「ぼろぼろになりし壁は修補えむ?それと同じくきみも修補うれば良しよかしとて心よ(ぼろぼろになった壁は修補出来るでしょう?それと同じであなたも修補出来るから良いわねって意味よ)」
蒼子はふと顔を向けると
「んっふっふっふっふっ」
「くっくっくっくっくっ」
互いにわざとらしい笑みを浮かべ、同じタイミングで髪の毛の引っ張り合いが始まる。
「なにが壁じゃ(だ)!」
「なにが単細胞じゃ(だ)!」
また始まった。すると蒼子は口の中に手を突っ込んできたのだ。
「ぐえええええぇ!」
「心の臓引き摺り出致し候(心臓引き摺り出してやる)」
彼女は笑っており
「あ……………………ッ…が……!」
蝶子は白目を剥いて唾液を垂れ流し、体がビクンビクン痙攣して今にも死んでしまいそうだ。
「あからさまに、悪しく無しや(ちょっと、不味く無いか)?」
美嘉はそう言うも、手も足も出させない。
「化粧取る(化粧が取れる)!」
「うたてし(いやぁ)!」
その言葉に反応して腕を抜くと、彼女は喉を抑えて唾液を吐き出し
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
酸素を求めて口が開き、肺がおおげさに上下する。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
「遅ければなにしたるやと思はば、殺さむとすや(遅いからなにしてるのかと思えば、殺す気ですか)?」
鈴は、蒼子の肩を掴んで顔を向けさせた。
「ただ戯れあへるばかりよ(戯れあってただけよ)」
「例の(いつもの)はぁはぁ戯れあいよはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
これが戯れあい!?芽衣たちはずっと固まっていた。と言うか、彼女がこの2人に話し掛けて体に触れていると言う事自体が驚くべき所だが、大迫力のあまり蒼子のした行為に『人間味』は全く感じられない。
「睦まじく洗濯したまへ(仲良く洗濯して下さい)!」
「我らこれより上睦まじくならば(私たちこれ以上仲良くなったら)」
蒼子は顔を向けると
「いまあひかしら(もう結婚かしら)?」
蝶子はそう口にした。
「んっふっふっふっ!」
「くっくっくっくっくっ」
仲良しと言うか殺意と言うか、不気味だ。すると彼女は離れると
「鈴!」
あの村人が、声を掛けたのだ。
「!」
「鈴。正室と不縁(ふえん)するぞよ。じゃからそれがしと、輿入れしてちょーだいくれ(妻と離婚するよ。だから俺と、結婚してくれ)!」
その時、蝶子と蒼子は顔を向けた。
「かれ、妻子の居るに鈴にさ言ひてあひを迫るなり(あいつ、妻子が居るのに鈴にそう言って結婚を迫るんだ)」
美嘉は2人の間に入って座り、そう言った。
「そのようかし(そのようね)?」
「これなれば男は(これだから男は)」
蒼子の目付きがどんどんと鋭くなっていき、蝶子の額に徐々に血管が浮き上がる。
「いかがす(どうする)蒼子」
「定まるらむ?さ言ふ男は、お仕置きする(決まってるでしょう?そう言う男は、お仕置きするの)」
そう言って直ぐに立ち上がったの山本であり、彼女はニヤッとして立ち上がる。
「しつこし!妻子の居る身にてありぬべくさる事を言ふべしかし!?さるは人前に!きみのごとき人、我は憎し!今すなはち我が視界より消えたまへ(しつこいです!妻子が居る身で良くそんな事を言えますね!?しかも人前で!あなたのような人、私は大嫌いです!今直ぐに私の視界から消えて下さい)!」
「鈴頼むで候!それがしの事受け入れてくれで候(頼むよ!俺の事受け入れてくれよ)!」
その時、蒼子は鈴の前に来て守ったのだ。
「!!!!!!!!!!?」
蒼子(蒼子さん)!
瞳が揺れ、一歩下がる。
「止めたまへ。妻子の居るに女を求めば無用よ(止めなさい。妻子が居るのに女を求めたらダメよ)」
「ひい人の女も愛せなゐ下郎が、輿入れじゃの愛じゃの口にするでござるな(一人の女も愛せねえ野郎が、結婚だの愛だの口にしてんじゃねえぞ)!」
蝶子のその迫力に彼女はビクッとし、村人はこの女が男だと分かり
「お、男!?」
咄嗟に、後退りしてしまう。
「さればなにゆえ申すんじゃ(だったらなんだと言うんだ)!」
蒼子も蒼子で男である事を全面に表し、自分よりも小柄で、身長の低い女の子を守り抜く。
「うぅうわあああぁ!」
まるで化け物でも見たかのように叫び、村人は走って逃げて行ったのだ。だが、馬の蹄とは違った、追い掛けて来る脚音。
「?」
振り返ると、蒼子が裾を捲ってドダダダダダダダダダダ!と、走って来ていたのだ。
「待ちたまへ(待ちなさ~い)!」
「ぎゃああああああぁ!」
化け物だ。化け物に襲われているかのように叫びながら走って逃げる。
「んっふっふっふっふっ。うたてし蒼子たら。お化粧取れぬよ(やだ蒼子さんたら。お化粧取れちゃうわよ)?」
すると鈴は、割と細いがしっかりとした手首を掴むと
「?」
「か、かたじけなし(あ、ありがとう)」
彼女は、瞳を揺らし、そう口にしたのだ。
「かの人ぞ。せちぞ(あの人ね。一途なのよ)」
そう言いしゃがむと、洗濯の続きをする。
「………………………………………」
鈴はふと顔を向けた。だが、蒼子と男の姿は既に無かった。やがて、家に帰って来た。
「蒼子(蒼子さん)」
「なめし(失礼)!」
囲炉裏に座っていた彼女は話し掛けるも、顔を着物の袖で覆い隠して早速部屋に戻った。
「んっふっふっふっふっ。なほ化粧取れき(やっぱり化粧取れた)」
夢と紙風船で遊んでいた蝶子はそう口にした。
「………………………………………」
「されど蝶子のすっぴんなるごく美男子なれば、蒼子も美男子ならむ(でも蝶子のすっぴんすごくイケメンだったから、蒼子もイケメンでしょう)?」
「いやあかしい。体は男にあふとも、心は女なる。さる事言はるとぞわびしくなる(いやぁねえ。体は男であっても、心は女なの。そんな事言われると悲しくなるわ)」
彼女は、頬を膨らませて口を紡いだ。また余計な事を言ってしまった。
その夜。皆が寝静まったその夜更けに、囲炉裏で日本酒を嗜んでいた鈴は、そのまま眠ってしまったのだ。そこへ、すっぴんの蒼子が入って来たのだ。
「!!!!!!!!!!?」
寝たれば良しや(寝てるから良いか)。
台所の方に行くなり、視線を感じた彼女は顔を向けると、鈴と目が、合ったのだ。彼女の目に映るのは、イケメンの風貌をした男だった。そして再び、目を瞑った。
「かたじけなし。我を守りて。げにかの人、しつこければ。妻子の居るに我に付き纏ひて、をこのごとし(ありがとう。私を守ってくれて。本当にあの人、しつこいから。妻子が居るのに私に付き纏って、馬鹿みたい)…」
「男も女も、同じよ。欲しきものうつろふとすなはち心変わりしぬれば(欲しいものが変わると直ぐに心変わりしちゃうんだから)」
すると蒼子は近付くと、鈴をお姫様抱っこして囲炉裏から出た。
「室はいづこ(部屋はどこ)?」
「奥を曲がりし所(奥を曲がった所)」
指定された部屋へ行き、襖を開けて布団の上に仰向けにさせた。すると、彼女の袖を掴み、こう口にした。
「いかでおのれの名を捨てし(どうして自分の名前を捨てたの)?」
「懲りしぞ。女にて生くる事を定むれど、女にもなり切れず。体は男のまま。化粧しいつはるとも、男ぞかし(懲りたのよ。女として生きる事を決めたけど、女にもなり切れない。体は男のまま。化粧をして誤魔化しても、男なのよね)」
「女の体、触りしためしあり(触った事ある)?」
鈴は、酔っていた。ひどく酔っていた。だからこそ、大胆な事を口にしてしまう。
「ありよ。されど、久しく触りたらずよ(あるわよ。けど、久しく触ってないわ)」
瞳を揺らし、そう口にした。女性と何が合ったかは分からないが、彼が何故女として生きているのか、良く分からなかった。
「なら触りて。我は、傷付かねば(触って。私は、傷付かないから)」
いつになく、大胆だ。それは本当に、酔っているからだけなのだろうか。それとも…。
「をこな言ひそ。試さむとせで(バカ言わないで頂戴。試そうとしないで)」
立ち上がろうとした際、蒼子の手首を掴んでこう、口にした。
「お願ひ。抱きて、たまへ(お願い。抱いて、下さい)」
蒼子は、黙り込んだままだった。酔っ払いの言う戯言に過ぎない。だが心は女であっても、体は男。自然に逆らう事が、出来なかった。
「後悔しめてやる(後悔させてやる)」
後頭部に腕を回して抱き、唇に唇を、押し当てた。雨が、絶え間なく村を包むように降る。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
美しく、生命感に溢れ、清潔で、セクシーな裸体姿になり、仰向けになる鈴の上に覆い被さる蒼子は、膣に中指を差し込んでGスポットに触れて刺激をさせていた。
「んっ!ん、はぁ!」
指を締め付け、腰を痙攣させて軽く達せば、トロォッ♡と愛液が糸を引く。蒼子は、彼女の艶やかなその美しい姿に、翻弄されてしまう。
「はぁ」
綺麗じゃ(だ)。
なぞ美しき女じゃ(なんて美しい女だ)。
この世に。
かようにも美しき女が存在するでござるとは(こんなにも美しい女が存在するとは)。
親指で陰核を、円を描くように触れたり、人差し指を使って捏ねくり回したりと快感を与えさせる。
「あぁっ!あっ!そこ!そこ!恋し!心地良し(好き!気持ち良い)!」
ガクガクと腰を痙攣させて軽く達し続ける。触れられるだけでも、気持ち良くて気持ち良くて仕方が無い。
「壱発、達しめてやらふ(1発、達させてやろう)」
集中的にGスポットを攻められ
「あぁっ!ん、はぁ!」
ブシュッ!と愛液が飛び散り、ブルッと、身震いする。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
「後悔しめてやると拙者申した。最後まで致し候(後悔させてやると俺は言った。最後までするぞ)?」
「待ち、て(待、てっ)!」
唾液を垂れ流してゆるんで少し開いた唇と、エロチックな視線とが射るように圧迫させて言うも、説得力が無い。男としての性が諸溢れ出し、裾を捲り、大きい陰茎を手にして膣に差し込んだのだ。
「あぁ……………………ッ…!!」
メリメリメリメリメリと膣壁が広がっていくのを感じ、激痛が走り、プシュッ!と尿を漏らす。
「あぁ!く、あああぁ!」
大きな声を出さなければ痛みに打ち勝てない。
「か、はぁ!」
処女膜が切れ、どくどくと血が流れ、あまりの激痛に唾液を吐き出し、白目を剥く。
「は………………………ッ…あぁ!」
一瞬だが、意識が吹っ飛び、ハッと正気に戻った時には、奥まで差し込まれていた。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
ぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し
「がはぁ!」
唾液を吐き出した。
「は、あぁ!あ…………………ッ…」
彼は、華奢なくびれた両手首を掴んで押さえ付け、出し入れさせた。
「あぁっ!あっ!ん、あぁ!」
唾液を垂れ流し、この上ない快感にブルッと身震いをし、下唇を噛み締めて男として彼を感じる。
「んぅ!」
最初は痛かったが、身体は素直に聞き従い、求める。
「はぁはぁ」
蒼子の額から一筋の汗を流し、突き昇ってくる熱の魅力に抗えず、欲望を燃え上がらせどくどくと全身の血が滾り、太く猛々しくそびえ、びくんびくんと脈打つ陰茎から我慢汁がビュクビュクと溢れる。
久方ぶりに、女を抱おりき(久々に、女を抱いた)。
この快感。
懐かしき(懐かしい)。
低ラインで腰を振り、子宮を何度もバコッ!バコッ!バコッ!バコッ!バコッ!と突き上げる。
「ん、あぁ!アァッ!あっ!あっ!あっ!あぁ!」
快楽の海に溺れて這い上がる事が出来ず、体がバラバラになるほど愛され、一度からだにこびりついた快感はどこにも出ていかない。
「あっ!あっ!あぁ……………ッ…はぁ!」
元々が、誰もが満足の行く大きさであり、それが興奮して勃起する事によって更に人間離れした大きさになる。それで突き上げられているので、大いに体が満足する。
「(気持ち、良い!気持ち良い)!」
この上ない快感にぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し、腰になかなかお目に掛かれない綺麗な形のほっそりした脚を回し、自らも腰を振る。
「立つぞ?」
両膝に腕を回して抱き寄せるなり、そのまま立ち上がれば彼女は抱き締めて自分を支え、蒼子は何度も子宮を突き上げる。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あああぁ!あぁ!あぁん!んあぁ!あぁ!」
腰がビクビクと痙攣して軽く達し、愛液がパタパタと糸を引く。
「あん!あっ!あっ!あっあっあっあっあっ!あああああぁ!」
唾液を垂れ流し、出した時に鈴の腰も引いており、バコッ!と突き上げられれば必然的に彼女の腰も前に出、勢いが増す。
心地良く(気持ち良くて)!
体が、壊る(身体が、壊れる)!
無用(ダメ)!
え抗はず(抗えない)!
「あぁ……………………ッ…ん、はぁ……!あっ!あ……………っ…あぁ!」
あぁ!
脳が、とろく(とろける)!
膣が、熱し(あそこが、熱い)!
「ふぐぅ!あああぁ!んっ!んっ!んっ!んっ!んはぁ!あぁ!あっ!あん!ああぁ!あぁ!はんううぅ!」
俯き、ギリッと歯を食い縛って締め付けて離ささず
「ん、あぁ!あ……………ッ…!あぁ!あっ!」
また天井に顔を向け、舌を出す。
「恋し!恋し!恋、し(好き!好き!好、き)!ん、はああぁ!!」
失神しそうな程のエクスタシーが体を駆け抜け、ビクビクと腰を痙攣させてブッシューーーーーーーーーッ!と、何メートルとも潮を吹き出し
「ーーーーーーーーーーーーーッ!」
彼も腰を痙攣させ、年甲斐も無く多量の精を放つ。射精は力強く、雄々しく、精液はどこまでも濃密だった。きっとそれは子宮の奥まで到達したはずだ。あるいは更にその奥まで。それは実に非の打ち所のない射精。膣に射精された精子が駆け抜け、子宮へと到達する。そして、卵管を通り卵子を待つ。卵巣から排卵が起こる。精子と排卵をした卵子が、卵管膨大部で出会い、受精をする。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を通り、子宮内へ移動する。子宮に到達した受精卵は、子宮内膜に着床し、妊娠が成立する。
「あぁ……………………ッ…!」
その際に、余分の脂肪の無い痩せて凹んだ腹部がボコッ!と膨れ上がり、子宮に熱湯が注がれたように熱くなり
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
すべてが終わったとき、次第に遠のいていく恍惚の中で女がブルッと、身震いをし、停電したようにプッツリと、意識を失なってしまう。
「はぁはぁ」
失神しめてしもうたか(させてしまったか)。
座ると、女を仰向けにさせ、ふっくらとした形の綺麗な大きな胸を両手で鷲掴み、転がすようにして揉みながら、出し入れさせる。
「ん………………………ッ…あぁ……はぁ」
失神していながらもビクビクと腰を痙攣させた状態で自分の意思ではないのに定期的に潮を吹く。
「はぁはぁ」
まだ、彼が『山本蒼子』になる前まで遡る。
『んっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あぁ!』
長い黒髪はバサッと解されてあり、凛としていて目鼻立ちのきりっとした高身長の女、八坂薌は、眩しいばかりに白く研ぎ澄まされた女体を晒しており、膣に差し込んで突き上げていた。
『はぁ!仁導!仁導ぉ!』
『ゔ、あぁ!はぁ』
額から一筋の汗を流し、締め付けられるその快感にブルッと、身震いをする。
『好いておる(好きだ)。薌』
その時だった。布団に隠していた包丁を手に、薌は背中に、突き刺した。
『!!!!!!!!!?』
『男は、本気にならば、終はりぞかし(男は、本気になったら、終わりさね)。仁導』
すると彼は、包丁を抜き
『えっ?』
腹部を突き刺した。
『がはぁ!』
上体を起こし、何度も何度も、突き刺した。
『謀反者めが!汚ゐ雌豚が!それがしを殺しめるととはいえ思とはおりきとか(裏切りおって!汚い雌豚が!俺を殺せるとでも思っていたのか)!』
血を浴び、両手で腹部を裂き、片方の手を腹の中に差し込んだ。
『ああああああぁ。こころもちが良き。なぞ、こころもちが良き(気持ちが良い。なんて、気持ちが良いんだ)』
彼は唾液を垂れ流し、目眩に似た恍惚感が訪れブルッと、身震いする。
『ふふふふふ。ふふふふふふふふ』
自分の目に映る女は、失神し続けていた。
「我は素顔を見らるるが憎きぞ。いかがせむやは?殺さむやは(私は素顔を見られるのが嫌いなのよ。どうしようかしら?殺そうかしら)」
蒼子は、首を締め付けた。
翌日。
鈴は、目を覚ました。
「!!!!!!!!!!?」
ガバッと上体を起こすと、自分は裸のままであり、瞳が揺れる。
「………………………………………」
着物を身に付け、自分は桶と洗濯板を手にして井戸端へ向かうと、走って来る脚音が。
「んんっ!!」
突然後ろから口を塞がれ、抵抗をして身を捩るも、ギュッと抱き締められてしまい、身を拘束されてしまう。
「かくなりゃ力尽くにて貴様を物に致し候(こうなりゃ力尽くでお前を物にしてやる)!」
それはあの村人の男であり、彼女をその場で押し倒すと、裾を捲ったのだ。
「!!!!!!!!!!?」
「鈴!貴様をお慕い垂き!それがしの愛を受け取とはくれ(お前を愛してる!俺の愛を受け取ってくれ)!鈴!」
体を押さえ付け、無理に差し込もうとグリッ!と、亀頭を差し込んで来たのだ。
「んんんんん!」
うたてし(いやっ)!
うたてし!うたてし(いやっ!嫌ああぁ)!
その時だった。バキッ!!脇腹を、蹴り上げた。
「がはぁ!」
男は唾液を吐き出し、真横に倒れたのだ。
「!!!!!!!!!!?」
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
バッと顔を向けると、脚を地に付けた蒼子と、額に欠陥を浮かせている蝶子の姿が。
「歩む芥掃除し上げきよ(歩くゴミを掃除して上げたわ)」
「あらなんぢ地に優し(あなた地球に優しい)」
すると男は立ち上がると、小刀を抜いた。
「邪魔しおって!殺致し候!貴様を殺致し候(邪魔しやがって!殺してやる!お前を殺してやる)!」
意気込んでいるが、刀の先が震えている。
「武士の魂の先が震ゑておる。いかがそれがしを仕留めてくれるのでござろうか、楽しみじゃ(刀の先が震えている。どう俺を仕留めてくれるのか、楽しみだ)」
ニヤッとし、前髪から覗くその片方の目は、楽しんでいた。
「舐めるなああぁ~!」
斬り掛かろうとしたその男の手首を掴むと、蒼子は腹部を蹴り付けた。体がくの字に曲がり、白目を剥いてドサッと倒れた。
「ここは、女を泣かする料なるものならぬ。思ふ女一人の料に使ふものよ。闇雲に差し込むにはぬ(泣かせる為にあるものじゃないの。愛する女一人の為に使うものよ。闇雲に差し込んでじゃねえよ)!」
滅多に怒らない彼女が、額に欠陥を浮かせて男に激怒した。
「くっくっくっくっくっ蝶子たら。きみ本気になりにて。うたてしーかしー。ときじく我らは、軽やかに、あてなる言の葉を使ふものよ(蝶子さんたら。あなた本気になっちゃって。やーねー。いつでも私たちは、軽やかで、上品な言葉を使うものよ)」
男から奪った小刀を手にするなり
「斬り落してちょーだいやらふか(切り落してやろうかあぁ)!!」
大迫力よ。鈴は目を見張り、開いた口が閉じず
「!!!!!!!!!?」
男は、脳が痺れる程の気迫に腰を抜かしてしまう。
「うたてし蒼子たら。きみも全力ならず(いやだ蒼子さんたら。あなたも全力じゃない)」
「あらうたてし覚えず(やだうっかり)」
しゃがみ込むと、喉に軽く刀の先を突き刺した。
「鈴は、それがしが頂戴つかまつる(俺が頂戴致す)」
鈴は、グッと下唇を噛み締め、瞳が揺れる。
「うわああああぁ~!」
村人は、ダッと走り逃げて行ったのだ。
「これなれば男はたのむべからぬぞ(だから男は信頼出来ないのよ)」
「我らもたのむべからねど(私たちも信頼出来ないけど)」
「それもまこと(それも本当)。あははははは!」
「くふふふふふふふ」
すると彼女は四つん這いになって近付き、蒼子は顔を向けると、鈴はムチュッと、キスをしたのだ。
「!」
蝶子は口を開け、ニヤッとした。
『………………………………………』
唇に紅をさし、着物を身に付けて風呂敷に詰めた自分の荷物をまとめ、家から出て行った。
早う致さぬと(早くしねえと)。
捕まとはしまう(捕まっちまう)。
行く宛もない。これから自分は、どこに行くのだろうか。脚が向くまま走り続ける。その時、髪の長い風呂敷を持った、自分と同じような匂いのする女の姿が。
『あからさまに(ちょっと)』
ふと、躊躇いもなく話し掛けた。
『?』
立ち止まり見ると、同じ匂いがする風呂敷を持った女が。
『いづこ行く(どこ行くの)?』
『行く宛すずろに無しよ。ただ、脚の行くまま、逆らはで進む。我ばかりの道をぞ(行く宛なんか無いわ。ただ、脚が行くまま、逆らわずに進むの。私だけの道をね)?』
『あらめでたし。はや我もなのよ(素敵。実は私もなのよ)』
『あぁ同じ匂ひせりとぞ思ひし(同じ匂いがしたと思ったわ)』
『んっふっふっ。この村に居場所の無くなりしぞ(この村に居場所が無くなったのよ)』
『あら奇遇ぞ。我もなのよ(奇遇ね。私もなのよ)』
遺体を残し、自分は家を飛び出した。なんて、言えない。
『んふふ。なんぢも詐欺し居場所無くなりし(あなたも詐欺して居場所無くなったの)?』
この人はなんらかの詐欺をしたようで、自分がした事に対して居場所を失ってしまったようだ。
『なんぢともろともにせで!ゆゆしく心うし!かたへと覚えまほしく無しよ!消えたまへ(あなたと一緒にしないで!とんでもなく不愉快!仲間だと思われたく無いわ!消えなさい)!』
『同志なれば睦まじくせむぞ(同志なんだから仲良くしましょうよ)!』
彼女の腕を腕で組み同士を見付けられてとても嬉しく、是が非でも離さない為に話して仲良くしようと頑張る。
『我白鳥蝶子。なんぢは(私白鳥蝶子。あなたは)?』
そう言えば、言われるまで名前など全く考えていなかった。自分の名前を全て捨てる為には、名前の要素から全て遠ざかる必要がある。すると、彼女はこう口にした。
『山本蒼子』
そして、村から村へ、2人で旅をした。
「お腹空きき(空いた)~!」
家に帰ると、囲炉裏に立って夢はそう訴えたのだ。起きたら誰も居ないしお腹は空いてるしで、彼女はずっと待っていたのだ。囲炉裏でゴロゴロしながら。
「あぁ御免かし夢。すなはち朝がれひ作れば(ごめんね夢ちゃん。直ぐに朝ごはん作るから)」
そんな中、蒼子と蝶子は、部屋の中に居て向き合って胡座をかいていた。お互い化粧を取っており、素顔を見せ合う。
「我は、生くる道えき(私は、生きる道が出来た)」
「我(私)も」
「取り敢えず、別れたてまつらむ(お別れしましょう)」
さらばじゃ(だ)!
「さりかし。別れたてまつらむ(そうね。お別れしましょう)」
ではな!今のそれがし(じゃあな!今の私)!
長い髪を束ねて掴むと、互いに小刀で髪の毛を、切った。
よくぞお帰りになられた!しかして只今もどった!白鳥ながれ(おかえり!そしてただいま!白鳥ナガレ)!
鬼賀乃仁導!只今戻った!
村を歩く、ブロンドの短い髪の、一度見たら頭に残る蠱惑的な美貌の19歳の女、愛道鈴に付き纏うのは、30代前半程の、黒髪の痩せ型の男であり、彼女を見付けるとしつこく追いかけ回すストーカー的存在。
「止めたまへ!其方には妻とわらはおはせむ?我に付きな纏ひそ(止めて下さい!あなたには奥さんと子供がいらっしゃるでしょう?私に付き纏わないで下さい)!」
立ち止まり、キッと睨みつけてそう口にした。この男と関係を持った事はないし、何なら名前も知らない。
「鈴!左様な事申すなで候!貴様をひとたび見た時、貴様の面がひとたびとはいえ頭から離れたでござる事はござらん(そんな事言うなよ!お前を一度見た時、お前の顔が一度でも頭から離れた事無いんだよ)!」
それは、奥さんと子供と一緒に村を歩いていた時、たまたま買い物に来ていた『愛道鈴』と言う存在に出会った。その一瞬で、この男の心は、彼女に奪われてしまった。
「さる事知らず!妻と子を思はぬ人に、好かるる筋合ひはあらず(そんな事知りません!奥さんと子を愛さない人に、好かれる筋合いはありません)!」
そう言い、走って逃げたのだ。
「鈴待たれよ(待てよ)!鈴!」
だが、男はしつこく追い掛ける。
「!」
しつこい!
すると、川を繋ぐ橋で人が集っていた。そこに鈴は逃げ込む事が出来、逃れる事が出来た。
「ふぅ」
ホッと一息付いたのも束の間
「鈴!人助けなり(人助けだ)!」
「えっ?」
すると、華奢なくびれた手首を掴んで来たのは、一緒に住んでいる朧月夢だ。鮮やかな水色の着物を身に付け、水色の長い髪をツインテールに、あどけない可愛い顔をしているのだが、目付きがキッとしている15歳の女だ。彼女は走り出すと、橋の下へと向かう。
「夢(夢ちゃん)!」
騒つく村人たち。と言うのも、橋の下で体育座りする女2人の姿を見に来ていた。その女たちの足元には、大きな風呂敷があり、何やら荷物が包まれているようだった。草が生い茂る土手を走って下り、橋の下へ行き夢は躊躇わずに声を掛けた。
「安穏(大丈夫)!?」
ふと、左側に座る緑色が掛かった長い黒髪を一つで高めの位置に結えて、その髪が片方の目を覆い隠し、可愛い顔をした唇に紅をさした女が顔を向けた。
「あら美しき(可愛い)女の子」
「!!!!!!!!!!?」
その時、二人は立ち止まって目を見張り、瞳を揺らす。
「あらまこと。美しき女子なり事(あら本当。可愛い女の子だ事)」
もう一人も顔を向けると、長い黒髪を下ろして唇にさした紅が良く似合う、上品な顔立ちをしているが目付きがキッとしている女もそう口にした。だが、この2人に過剰な違和感を覚える。と言うのも、見た目は女だが、声は諸男だったからだ。2人は立ち上がると、その体格の良さは、女ではないのを確信させてくれた。
「あらあからさまに(ちょっと)この子」
その時、目付きがキッとしている方の女が、鈴のアゴを掴んで来たのだ。その手はまるっきり男の手をしている。
「!!!!!!!!!?」
「美人ぞ。見たる極みと化粧したらぬ心地ぞ?天然にかく美人なる?ともしよ(美人だわ。見てる限りだとお化粧してない感じね?天然でこんなに美人なの?羨ましいわ)」
「あら其方好みの女子ならず(あらあなた好みの女の子じゃない)!」
隣に立つ夢は、もはや言葉を失って見ており、彼女は下唇を噛み締めて震えてしまう。
「うたてしこの子怯えたりよ蝶子(いやだこの子怯えてるわよ蝶子さん)」
緑色が掛かった長い黒髪の女は『蝶子』と言う名前らしいが、いずれにしても偽名であろう。
「んふふふふふ!其方の事の畏きぞ。初対面にアゴすずろに掴みぬれば(あなたの事が怖いのよ。初対面でアゴなんか掴んじゃうから)」
「んっふ~ん。しか畏きやは(そんなに怖いかしら)?」
怖いと言うか何と言うか、ここまで来ると感情が分からない。
「何故なんぢらはここに膝を抱へたりけりや(あなたたちはここで膝を抱えていたんですか)?」
鈴は、興味を示したと言うかは気になり聞くと、蝶子はこう口にした。
「男に捨てられしぞ。まこと!男こそたのめべからね(男に捨てられたのよ。本当!男は信頼出来ないわ)!」
「絶えてよね!男は女を泣かする以外になにうと言ふ(全くよね!男は女を泣かせる以外になにが出来るって言うのよ)!」
無茶苦茶二人とも怒っているが、第一、この村では見掛けた事の無い二人だが、いずれにしても付き合っていた男性が居たようだ。そして、捨てられたと言う。
「あら蒼子たらしか怒りにて。お化粧こそ取れぬれよ(蒼子さんたらそんなに怒っちゃって。お化粧が取れちゃうわよ)?」
「うたてし(嫌だ)!」
バッとアゴを離すなり、女は背を向けて両手で頬を包むように触れる。
「すっぴんの我見られまほしく無し!かたはらいたし(私を見られたく無い!恥ずかしい)!」
「我白鳥蝶子。本名はな聞きそ(私白鳥蝶子。本名は聞かないでね)?」
「我山本蒼子。本名はさらに聞かば無用よ。聞きしにはきみの肌を剥がして我が顔に貼り付けぬれば(私山本蒼子。本名は絶対に聞いちゃダメよ。聞いた時にはあなたの皮膚を剥がして私の顔に貼り付けちゃうから)」
とんでもなく、驚く程に凄いことを口にする山本蒼子さん。
「!!!!!!!!!?」
夢は、咄嗟に彼女の手首を掴み、鈴は自分を盾にして前に行き、背に腕を回して抱き締める。
「うたてししか警戒せで(やだそんなに警戒しないで)!」
すると蒼子は彼女の華奢なくびれた両手首を掴むと夢から引き離し
「!!!!!!!!!!?」
後ろから抱き締める。
「すは蒼子!なんぢがさる事言へば怖がらせにけらぬ(ほら蒼子さん!あなたがそんな事言うから怖がらせちゃったじゃないの)」
すると、蝶子は彼女の前に来てアゴを掴み見詰める。
「いいいいいぃ!」
肌に粟が生じ、ピーン!とつま先が立ち硬直してしまう。
「くっふっふっふっふっ。蒼子反省」
話し掛けるべき相手だったのか、話し掛けてはいけないべきだったのか、出会ってしまった思わぬ人たち。
「なし。なんぢらに頼ままほしき事があれど、良きやは(ねえ。あなたたちに頼みたい事があるんだけど、良いかしら)?」
蝶子はそう言うと、鈴は顔を向けた。
「なにならむ(なんでしょう)?」
すると彼女は、子供のように無邪気な笑みを浮かべてこう、口にした。
「今晩泊めたまふ(泊めて下さる)?」
「うたてし(やだ)!」
戸を開けると、白鳥と山本を招いた。夢は全力で拒否したが、『人助け』と言って掛けたのは紛れもなく彼女であり、なら人助けを最後までやり通す必要がある。そこで、鈴は家に招いた。
「自在に使ひたまへ。室も多ければ(自由にお使い下さい。部屋も多いですから)」
「あら嬉し(嬉しい)~!」
「今晩外に寝で済みきよ(外で寝なくて済んだわ)」
違う村からこの村に来たのは間違いないが、行く当てもなくただただ来て、途方に暮れていたようだ。
「家無き(家無いの)?」
ふと、夢は攻めた質問をすると、蒼子は顔を向けこう言った。
「んっふっふっ。追ひいださるれば無きぞ(追い出されたから無いのよ)」
彼女の瞳が揺れ、口を紡いでしまう。聞いてはいけない事を聞いてしまったと思い、夢は反省して口を紡いだのだ。『ごめん』と謝ったら、この二人の傷口を抉るとも思った。自分の持ってる好奇心が、人を傷付ける事もあると、勉強が出来た。
「あたらなればお風呂いかで(せっかくなのでお風呂どうぞ)?」
鈴は、草履を脱いで囲炉裏に上がり
「あら助かるよ(助かるわ)」
蝶子は、取り敢えず囲炉裏に荷物を置いた。
「されど、覗かば無用よ?お化粧取るべければ(けど、覗いたらダメよ?お化粧取らないといけないから)」
どうしても蒼子はすっぴんを見られるのが嫌らしく、そう言った。
「覗かず。さる嗜みなし。では先ず、お室より案内たてまつらむや?その方が気が楽ならむ(覗きません。そんな趣味ありません。では先ず、お部屋から案内致しましょうか?その方が気が楽でしょう)?」
「あら気立の良き子(気立の良い子)」
「蒼子其方。まことかく言ふ子好きなれば(蒼子さんあなた。本当こう言う子好きなんだから)」
「男に懲るるとぞ、女にもいくべきぞ(懲りるとね、女でもいけるのよ)」
なんだか、頭が痛くなってきた。とくにこめかみの部分。
「いかで(どうぞ)」
すると2人は草履を脱いで上がり、荷物を持って部屋に案内される。まるで宿泊施設のように。2人は仲が良い事に同じ部屋に泊まる事にし、お風呂に直行した。
「ふぅ」
化粧を取り、五右衛門風呂に浸かる蝶子は、性的魅力に溢れた40代前半程の男であり、筋肉で引き締まった裸体を晒し、一方で髪の毛を洗う蒼子は、筋肉で引き締まった実年齢である51とは思えない程の肉体美を晒し、すっぴんを見られるのを拒絶していたが、イケメンの風貌をしており、彼女の前では顔を晒すのは拒まない。
「かの子ども、良き子にてありぬべかりきよかし(あの子たち、良い子で良かったわね)?」
「良き子どもに恵まれきよ(良い子たちに恵まれたわよ)」
やがて湯殿から上がり、部屋に戻った。その間、食事の準備をしていた鈴と夢は、お膳立てを手にして部屋へと運ぶ。
「お食、持ちたてまつりき(お食事、お持ちしました)」
まるで料亭だ。
「開くよ(開けるわよ)?」
彼女はそう言い、お膳立てを床に置いて襖を開けようとしたので
「無用(ダメ)!」
蒼子は、全力で拒否したのだ。
「すっぴんなる!さらにな開けそ(すっぴんなの!絶対に開けないで)!」
「なんぢらげにねんごろにしかたじけなし。嬉し(あなたたち本当に親切にしてくれてありがとう。嬉しいし)」
その時、襖が開かれた。
「助かるよ(助かるわ)」
「!!!!!!!!!?」
蝶子、であろうこの男を前に、2人とも、目を疑った。
「誰!?」
やはり夢は素直だ。思った事を直ぐに言葉にしてしまう。
「いやなき蝶子よ。化粧したらずと分からで負ふ?かたじけなく持ち来て。あら旨からむ(いやぁねぇ蝶子よ。お化粧してないと分からないでしょう?ありがとう持って来てくれて。あら美味しそう)」
お膳立てを手にして畳の上に置き、そしてもう一つのお膳立ても手にして畳の上に置いた。
「給ふよかし(頂くわね)」
そして、襖を閉めた。
「さしも美男子なれどなどか(あんなにイケメンなのになんで)!?」
「夢!人には人のよしのあるなり!なにも言はで我らも食はむ(夢ちゃん!人には人の事情があるんです!なにも言わずに私たちも食べましょう)!」
鈴も動揺しているのか、声が大きくなってしまう。
「なんとなればかかる美男子なるぞ!?かかる事はあり!?化粧したらぬこそむちゃくちゃ良きにいかで(だってあんなイケメンなんだよ!?こんな事ってある!?化粧してない方がむちゃくちゃ良いのにどうして)!?」
「夢!行くぞ?我らも食はむ(夢ちゃん!行きますよ?私たちも食べましょう)!」
そう言い、手首を掴んで囲炉裏へと向かう。全部筒抜け。
「んっふっふっふっふっ。まこと、夢たらなほしかし(本当、夢ちゃんたら素直ね)?」
背を向けて座っていた蒼子は振り返りそう口にした。
「我は其方と違ってすっぴんに対してなにも無ければ見せらるるぞ。いで、給へむ(私はあなたと違ってすっぴんに対してなにも無いから見せられるのよ。さぁ、頂きましょう)」
お膳立てを持って行き、互いの前に置いて座る。焼いた秋刀魚に雑炊に大根の煮付け。バランスが採れている食事だ。
「なし。いつまで置きおく(ねぇ。いつまで置いておくの)?」
パチパチと、囲炉裏に焚べた薪が燃え、雑炊が入った鉄鍋が煮え続ける。向き合って座っていた夢は、雑炊を食べていた手が止まりそう口にすると
「家の見付かるまでなり(家が見付かるまでです)」
秋刀魚の身を解しながらそう答えた。彼女の心は、人助けで燃えていた。食事を済ませ、美しく、生命感に溢れ、清潔で、セクシーな裸体姿になって五右衛門風呂に浸かる鈴は一人、寛いでいた。先に夢を入らせ、自分は食器を片付け、直ぐに寝れるように歯を磨いてからその後に入ったので、少し遅くなってしまった。
「………………………………………」
とは言へ(え)。
ふと、先ほど夢に言われた事が脳裏に響く。
『夢より人助けと言へば夢にも責めはあれど、男は男なればぞ?いつ豹変するや分からず(夢から人助けって言ったから夢にも責任はあるけど、男は男だからね?いつ豹変するか分からない)』
食べ終えた食器を手に台所へ行き、風呂場へ向かった。
おのれよりも若き子に(自分よりも若い子に)。
妥当なる事言はれにけり(妥当な事言われちゃった)。
翌日。
鈴は、洗濯物を桶に入れ、洗濯板を持って草履を履くなり
「はやく鈴(おはよう鈴ちゃん)」
「?」
顔を向けると、自分の近くに立つ蒼子の姿が。ばっちりと化粧をしており、自分の『素顔』を隠し切っている。
「はやくさうらふ(おはようございます)」
「あした早くよりおどろきて、偉しよかし(朝早くから起きて、偉いわね)?」
囲炉裏の端に座ると、彼女も釣られて座った。
「洗濯は、一回にはえねば幾度も水を汲むべければ、とくおどろきて井戸端に行かずと遅くなりぬ(一回では出来ないので何度も水を汲まないといけないから、早く起きて井戸端に行かないと遅くなっちゃう)」
洗濯をしに行く井戸端は決まっている。何度も水を汲まないと着物が吸ってしまうので、一回で洗濯は出来ない。それに、自分以外の村の女たちも来るので、水は争奪戦に変わる。
「我こそ行け(私が行くは)」
「えっ?」
「我も(私も)」
すると、蝶子も来るなり蒼子の後ろに行って座り、後ろから抱きしめる。
「お世話になるままと我らの性に合はずよ(お世話になりっぱなしだと私たちの性に合わないわ)」
「さるぞかし蒼子。働かぬものが家に居る免許は無し(そうよね蒼子さん。働かないものが家に居る資格は無し)」
彼女のアゴを掴んで顔を向けさせるなり、白鳥の頬に触れて互いに見詰め合う。
「では、願ひたてまつる(お願いします)」
「任して!」
「我ら、家事上手ぞ(私たち、家事得意なのよ)」
蒼子はとてもノリノリであり、蝶子は鈴に顔を向けてそう言った。
「あははははは!」
井戸端で洗濯をする栗色のソバージュが毛先に掛けられた唇にさしている紅が良く似合う高身長の女、奈良和美嘉と、あどけない愛らしい顔をしたスタイルの良い女、大原芽衣。そして、冴えないと言うか、大人しい、清楚系、だが、顔に対しての悪い印象はなく、どちらかと言えば美人系な顔をしている安藤雪は、仲良し同い年組で洗濯をしていた。
「なし(ねぇ)」
「?」
ふと、雪は何かに気づき呼び掛けると、二人は顔を向けた。この村では見掛けた事のないガタイの良い女たちが。
「いづこの人どもかな(どこの人たちかな)?」
「余所者か?」
小さな村で見知らぬ顔の人が歩いているだけで毛嫌いをする。それはごく一般の事であり、警戒心があるのは良い事だ。
「はやくさうらふ(おはようございます)」
挨拶された時、3人は、固まった。姿は女だが、声は男そのものだったからだ。
「あっ!は、はやくさうらふ(お、おはようございます)!」
一応、安藤は動揺しつつも挨拶をし
「はやくさうらふ(おはようございます)!」
芽衣も動揺はしていたが何度も頭を下げて挨拶する。
「………………………………………」
奈良和は、開いた口が閉じない。
「やあかしい。女子が口開けすずろなり(やぁねえ。女の子が口を開けてはしたない)」
「お口はさすものよ(お口は閉じるものよ)?」
蝶子は腕を伸ばすと両手でその頬を包むようにして触れると、彼女の肌に粟が生じ、身震いしてしまう。
「す、すまず(すみません)!」
「んふふ。(良い子ねぇ)」
「蝶子。我水汲めばきみは洗濯したまへ(蝶子さん。私水汲むからあなたは洗濯してちょうだい)」
「任せて」
井戸の水を汲む際に丈夫な縄に繋げられたその縄を引いて桶を掬い、桶の中に水を汲めば、蝶子は桶を地面に置いて洗濯板で洗い出す。
「うたてしよこのころの水いとなみは(やだわこの時期の水仕事は)」
師走の朝はとにかく冷える。なら井戸水は尚更。手が悴み、真っ赤になってしまう。
「くくく。なればきみに任せしぞ。我冷え性なれば手が悴まばいと(だからあなたに任せたのよ。私冷え性だから手が悴んだら大変)」
だから率先して肉体労働であっても水汲みの方を自分は選び、悴みたくないので蝶子に洗濯をさせたようだ。
「やいてめえ!その為に水汲み選びやがったな!根性無し!」
「何奴に向かとは口聞ゐておるんじゃ貴様!素直にそれがしに聞きゆえにゐらば良きじゃ(誰に向かって口聞いているんだ貴様!素直に俺に聞き従っていれば良いんだ)!」
「男なら拳にてやり合おうでないか(男なら拳でやり合おうじゃねえか)!」
「口先のみにてござらんのを証明してちょーだいみろ(口先だけで無いのを証明してみろ)!」
「おう上等じゃ証明致し候(おう上等だ証明してやんよ)!」
「掛かとは来られよこの単細胞の大ぼけ下郎が!少しは頭が使ゑるきゃつであると思とはおりきが、やはり期待外れでござった!貴様の内臓から食ゐ尽く致し候!今宵はご馳走が食ゑる(掛かって来いやこの単細胞の大ボケ野郎が!少しは頭が使える奴だと思っていたが、やはり期待外れだった!貴様の内臓から食い尽くしてやる!今晩はご馳走が食える)!」
唾液を垂れ流し、前髪から覗くその目は狂気に満ちていた。その時、冷静になったのか2人は女たちに顔を向けると避難しており、3人は、水が汲まれた桶をぶん投げる準備をしていた。大迫力。もはやあの女っぽさはどこへ行ってしまったのか。
「止めたまへ蒼子。さるすずろなるお言葉を使ふは(止めなさい蒼子さん。そんなはしたないお言葉を使うのは)」
「うたてしかしい。我ばかりの責めには無しよ。それより、お化粧が取ればいかがせむ(いやぁねぇ。私だけの責任じゃ無いわよ。それより、お化粧が取れたらどうしましょう)」
「平気よ。なんぢの化粧は壁のごときものなれば(あんたの化粧は壁みたいなものなんだから)」
その時、彼女はピクッと反応した。
「さりかし。我が化粧は『壁』のごときものなればかし?なれば、蝶子。仲良しがてらもろともにお洗濯せむ(そうね。私の化粧は『壁』みたいなものだものね?じゃあ、蝶子さん。仲良しがてら一緒にお洗濯しましょう)?」
「さりかし。もろともにせばとく終はる(そうね。一緒にすれば早く終わるし)」
互いに座り込み、洗濯板で洗い出す。
「なき蒼子。ありつる続きなれど(ねぇ蒼子さん。さっきの続きなんだけど)」
「あらなにかしら?」
「単細胞は本意には無からむ(単細胞って本心じゃ無いでしょう)?」
「ついぽろっといでにて(出ちゃって)」
すると、蝶子は顔を向けるとムッとしており、蒼子は口のあたりに意地の悪い笑みを彫りつけたように浮かべていた。
「それより蝶子。我が化粧の事『壁』と言へるされど、それいかが言ふ心(それより蝶子さん。私の化粧の事『壁』って言ってたけど、それどう言う意味)?」
「ぼろぼろになりし壁は修補えむ?それと同じくきみも修補うれば良しよかしとて心よ(ぼろぼろになった壁は修補出来るでしょう?それと同じであなたも修補出来るから良いわねって意味よ)」
蒼子はふと顔を向けると
「んっふっふっふっふっ」
「くっくっくっくっくっ」
互いにわざとらしい笑みを浮かべ、同じタイミングで髪の毛の引っ張り合いが始まる。
「なにが壁じゃ(だ)!」
「なにが単細胞じゃ(だ)!」
また始まった。すると蒼子は口の中に手を突っ込んできたのだ。
「ぐえええええぇ!」
「心の臓引き摺り出致し候(心臓引き摺り出してやる)」
彼女は笑っており
「あ……………………ッ…が……!」
蝶子は白目を剥いて唾液を垂れ流し、体がビクンビクン痙攣して今にも死んでしまいそうだ。
「あからさまに、悪しく無しや(ちょっと、不味く無いか)?」
美嘉はそう言うも、手も足も出させない。
「化粧取る(化粧が取れる)!」
「うたてし(いやぁ)!」
その言葉に反応して腕を抜くと、彼女は喉を抑えて唾液を吐き出し
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
酸素を求めて口が開き、肺がおおげさに上下する。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
「遅ければなにしたるやと思はば、殺さむとすや(遅いからなにしてるのかと思えば、殺す気ですか)?」
鈴は、蒼子の肩を掴んで顔を向けさせた。
「ただ戯れあへるばかりよ(戯れあってただけよ)」
「例の(いつもの)はぁはぁ戯れあいよはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
これが戯れあい!?芽衣たちはずっと固まっていた。と言うか、彼女がこの2人に話し掛けて体に触れていると言う事自体が驚くべき所だが、大迫力のあまり蒼子のした行為に『人間味』は全く感じられない。
「睦まじく洗濯したまへ(仲良く洗濯して下さい)!」
「我らこれより上睦まじくならば(私たちこれ以上仲良くなったら)」
蒼子は顔を向けると
「いまあひかしら(もう結婚かしら)?」
蝶子はそう口にした。
「んっふっふっふっ!」
「くっくっくっくっくっ」
仲良しと言うか殺意と言うか、不気味だ。すると彼女は離れると
「鈴!」
あの村人が、声を掛けたのだ。
「!」
「鈴。正室と不縁(ふえん)するぞよ。じゃからそれがしと、輿入れしてちょーだいくれ(妻と離婚するよ。だから俺と、結婚してくれ)!」
その時、蝶子と蒼子は顔を向けた。
「かれ、妻子の居るに鈴にさ言ひてあひを迫るなり(あいつ、妻子が居るのに鈴にそう言って結婚を迫るんだ)」
美嘉は2人の間に入って座り、そう言った。
「そのようかし(そのようね)?」
「これなれば男は(これだから男は)」
蒼子の目付きがどんどんと鋭くなっていき、蝶子の額に徐々に血管が浮き上がる。
「いかがす(どうする)蒼子」
「定まるらむ?さ言ふ男は、お仕置きする(決まってるでしょう?そう言う男は、お仕置きするの)」
そう言って直ぐに立ち上がったの山本であり、彼女はニヤッとして立ち上がる。
「しつこし!妻子の居る身にてありぬべくさる事を言ふべしかし!?さるは人前に!きみのごとき人、我は憎し!今すなはち我が視界より消えたまへ(しつこいです!妻子が居る身で良くそんな事を言えますね!?しかも人前で!あなたのような人、私は大嫌いです!今直ぐに私の視界から消えて下さい)!」
「鈴頼むで候!それがしの事受け入れてくれで候(頼むよ!俺の事受け入れてくれよ)!」
その時、蒼子は鈴の前に来て守ったのだ。
「!!!!!!!!!!?」
蒼子(蒼子さん)!
瞳が揺れ、一歩下がる。
「止めたまへ。妻子の居るに女を求めば無用よ(止めなさい。妻子が居るのに女を求めたらダメよ)」
「ひい人の女も愛せなゐ下郎が、輿入れじゃの愛じゃの口にするでござるな(一人の女も愛せねえ野郎が、結婚だの愛だの口にしてんじゃねえぞ)!」
蝶子のその迫力に彼女はビクッとし、村人はこの女が男だと分かり
「お、男!?」
咄嗟に、後退りしてしまう。
「さればなにゆえ申すんじゃ(だったらなんだと言うんだ)!」
蒼子も蒼子で男である事を全面に表し、自分よりも小柄で、身長の低い女の子を守り抜く。
「うぅうわあああぁ!」
まるで化け物でも見たかのように叫び、村人は走って逃げて行ったのだ。だが、馬の蹄とは違った、追い掛けて来る脚音。
「?」
振り返ると、蒼子が裾を捲ってドダダダダダダダダダダ!と、走って来ていたのだ。
「待ちたまへ(待ちなさ~い)!」
「ぎゃああああああぁ!」
化け物だ。化け物に襲われているかのように叫びながら走って逃げる。
「んっふっふっふっふっ。うたてし蒼子たら。お化粧取れぬよ(やだ蒼子さんたら。お化粧取れちゃうわよ)?」
すると鈴は、割と細いがしっかりとした手首を掴むと
「?」
「か、かたじけなし(あ、ありがとう)」
彼女は、瞳を揺らし、そう口にしたのだ。
「かの人ぞ。せちぞ(あの人ね。一途なのよ)」
そう言いしゃがむと、洗濯の続きをする。
「………………………………………」
鈴はふと顔を向けた。だが、蒼子と男の姿は既に無かった。やがて、家に帰って来た。
「蒼子(蒼子さん)」
「なめし(失礼)!」
囲炉裏に座っていた彼女は話し掛けるも、顔を着物の袖で覆い隠して早速部屋に戻った。
「んっふっふっふっふっ。なほ化粧取れき(やっぱり化粧取れた)」
夢と紙風船で遊んでいた蝶子はそう口にした。
「………………………………………」
「されど蝶子のすっぴんなるごく美男子なれば、蒼子も美男子ならむ(でも蝶子のすっぴんすごくイケメンだったから、蒼子もイケメンでしょう)?」
「いやあかしい。体は男にあふとも、心は女なる。さる事言はるとぞわびしくなる(いやぁねえ。体は男であっても、心は女なの。そんな事言われると悲しくなるわ)」
彼女は、頬を膨らませて口を紡いだ。また余計な事を言ってしまった。
その夜。皆が寝静まったその夜更けに、囲炉裏で日本酒を嗜んでいた鈴は、そのまま眠ってしまったのだ。そこへ、すっぴんの蒼子が入って来たのだ。
「!!!!!!!!!!?」
寝たれば良しや(寝てるから良いか)。
台所の方に行くなり、視線を感じた彼女は顔を向けると、鈴と目が、合ったのだ。彼女の目に映るのは、イケメンの風貌をした男だった。そして再び、目を瞑った。
「かたじけなし。我を守りて。げにかの人、しつこければ。妻子の居るに我に付き纏ひて、をこのごとし(ありがとう。私を守ってくれて。本当にあの人、しつこいから。妻子が居るのに私に付き纏って、馬鹿みたい)…」
「男も女も、同じよ。欲しきものうつろふとすなはち心変わりしぬれば(欲しいものが変わると直ぐに心変わりしちゃうんだから)」
すると蒼子は近付くと、鈴をお姫様抱っこして囲炉裏から出た。
「室はいづこ(部屋はどこ)?」
「奥を曲がりし所(奥を曲がった所)」
指定された部屋へ行き、襖を開けて布団の上に仰向けにさせた。すると、彼女の袖を掴み、こう口にした。
「いかでおのれの名を捨てし(どうして自分の名前を捨てたの)?」
「懲りしぞ。女にて生くる事を定むれど、女にもなり切れず。体は男のまま。化粧しいつはるとも、男ぞかし(懲りたのよ。女として生きる事を決めたけど、女にもなり切れない。体は男のまま。化粧をして誤魔化しても、男なのよね)」
「女の体、触りしためしあり(触った事ある)?」
鈴は、酔っていた。ひどく酔っていた。だからこそ、大胆な事を口にしてしまう。
「ありよ。されど、久しく触りたらずよ(あるわよ。けど、久しく触ってないわ)」
瞳を揺らし、そう口にした。女性と何が合ったかは分からないが、彼が何故女として生きているのか、良く分からなかった。
「なら触りて。我は、傷付かねば(触って。私は、傷付かないから)」
いつになく、大胆だ。それは本当に、酔っているからだけなのだろうか。それとも…。
「をこな言ひそ。試さむとせで(バカ言わないで頂戴。試そうとしないで)」
立ち上がろうとした際、蒼子の手首を掴んでこう、口にした。
「お願ひ。抱きて、たまへ(お願い。抱いて、下さい)」
蒼子は、黙り込んだままだった。酔っ払いの言う戯言に過ぎない。だが心は女であっても、体は男。自然に逆らう事が、出来なかった。
「後悔しめてやる(後悔させてやる)」
後頭部に腕を回して抱き、唇に唇を、押し当てた。雨が、絶え間なく村を包むように降る。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
美しく、生命感に溢れ、清潔で、セクシーな裸体姿になり、仰向けになる鈴の上に覆い被さる蒼子は、膣に中指を差し込んでGスポットに触れて刺激をさせていた。
「んっ!ん、はぁ!」
指を締め付け、腰を痙攣させて軽く達せば、トロォッ♡と愛液が糸を引く。蒼子は、彼女の艶やかなその美しい姿に、翻弄されてしまう。
「はぁ」
綺麗じゃ(だ)。
なぞ美しき女じゃ(なんて美しい女だ)。
この世に。
かようにも美しき女が存在するでござるとは(こんなにも美しい女が存在するとは)。
親指で陰核を、円を描くように触れたり、人差し指を使って捏ねくり回したりと快感を与えさせる。
「あぁっ!あっ!そこ!そこ!恋し!心地良し(好き!気持ち良い)!」
ガクガクと腰を痙攣させて軽く達し続ける。触れられるだけでも、気持ち良くて気持ち良くて仕方が無い。
「壱発、達しめてやらふ(1発、達させてやろう)」
集中的にGスポットを攻められ
「あぁっ!ん、はぁ!」
ブシュッ!と愛液が飛び散り、ブルッと、身震いする。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
「後悔しめてやると拙者申した。最後まで致し候(後悔させてやると俺は言った。最後までするぞ)?」
「待ち、て(待、てっ)!」
唾液を垂れ流してゆるんで少し開いた唇と、エロチックな視線とが射るように圧迫させて言うも、説得力が無い。男としての性が諸溢れ出し、裾を捲り、大きい陰茎を手にして膣に差し込んだのだ。
「あぁ……………………ッ…!!」
メリメリメリメリメリと膣壁が広がっていくのを感じ、激痛が走り、プシュッ!と尿を漏らす。
「あぁ!く、あああぁ!」
大きな声を出さなければ痛みに打ち勝てない。
「か、はぁ!」
処女膜が切れ、どくどくと血が流れ、あまりの激痛に唾液を吐き出し、白目を剥く。
「は………………………ッ…あぁ!」
一瞬だが、意識が吹っ飛び、ハッと正気に戻った時には、奥まで差し込まれていた。
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
ぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し
「がはぁ!」
唾液を吐き出した。
「は、あぁ!あ…………………ッ…」
彼は、華奢なくびれた両手首を掴んで押さえ付け、出し入れさせた。
「あぁっ!あっ!ん、あぁ!」
唾液を垂れ流し、この上ない快感にブルッと身震いをし、下唇を噛み締めて男として彼を感じる。
「んぅ!」
最初は痛かったが、身体は素直に聞き従い、求める。
「はぁはぁ」
蒼子の額から一筋の汗を流し、突き昇ってくる熱の魅力に抗えず、欲望を燃え上がらせどくどくと全身の血が滾り、太く猛々しくそびえ、びくんびくんと脈打つ陰茎から我慢汁がビュクビュクと溢れる。
久方ぶりに、女を抱おりき(久々に、女を抱いた)。
この快感。
懐かしき(懐かしい)。
低ラインで腰を振り、子宮を何度もバコッ!バコッ!バコッ!バコッ!バコッ!と突き上げる。
「ん、あぁ!アァッ!あっ!あっ!あっ!あぁ!」
快楽の海に溺れて這い上がる事が出来ず、体がバラバラになるほど愛され、一度からだにこびりついた快感はどこにも出ていかない。
「あっ!あっ!あぁ……………ッ…はぁ!」
元々が、誰もが満足の行く大きさであり、それが興奮して勃起する事によって更に人間離れした大きさになる。それで突き上げられているので、大いに体が満足する。
「(気持ち、良い!気持ち良い)!」
この上ない快感にぼろぼろと大きい雨粒のような涙を流し、腰になかなかお目に掛かれない綺麗な形のほっそりした脚を回し、自らも腰を振る。
「立つぞ?」
両膝に腕を回して抱き寄せるなり、そのまま立ち上がれば彼女は抱き締めて自分を支え、蒼子は何度も子宮を突き上げる。
「あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あああぁ!あぁ!あぁん!んあぁ!あぁ!」
腰がビクビクと痙攣して軽く達し、愛液がパタパタと糸を引く。
「あん!あっ!あっ!あっあっあっあっあっ!あああああぁ!」
唾液を垂れ流し、出した時に鈴の腰も引いており、バコッ!と突き上げられれば必然的に彼女の腰も前に出、勢いが増す。
心地良く(気持ち良くて)!
体が、壊る(身体が、壊れる)!
無用(ダメ)!
え抗はず(抗えない)!
「あぁ……………………ッ…ん、はぁ……!あっ!あ……………っ…あぁ!」
あぁ!
脳が、とろく(とろける)!
膣が、熱し(あそこが、熱い)!
「ふぐぅ!あああぁ!んっ!んっ!んっ!んっ!んはぁ!あぁ!あっ!あん!ああぁ!あぁ!はんううぅ!」
俯き、ギリッと歯を食い縛って締め付けて離ささず
「ん、あぁ!あ……………ッ…!あぁ!あっ!」
また天井に顔を向け、舌を出す。
「恋し!恋し!恋、し(好き!好き!好、き)!ん、はああぁ!!」
失神しそうな程のエクスタシーが体を駆け抜け、ビクビクと腰を痙攣させてブッシューーーーーーーーーッ!と、何メートルとも潮を吹き出し
「ーーーーーーーーーーーーーッ!」
彼も腰を痙攣させ、年甲斐も無く多量の精を放つ。射精は力強く、雄々しく、精液はどこまでも濃密だった。きっとそれは子宮の奥まで到達したはずだ。あるいは更にその奥まで。それは実に非の打ち所のない射精。膣に射精された精子が駆け抜け、子宮へと到達する。そして、卵管を通り卵子を待つ。卵巣から排卵が起こる。精子と排卵をした卵子が、卵管膨大部で出会い、受精をする。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら卵管を通り、子宮内へ移動する。子宮に到達した受精卵は、子宮内膜に着床し、妊娠が成立する。
「あぁ……………………ッ…!」
その際に、余分の脂肪の無い痩せて凹んだ腹部がボコッ!と膨れ上がり、子宮に熱湯が注がれたように熱くなり
「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」
すべてが終わったとき、次第に遠のいていく恍惚の中で女がブルッと、身震いをし、停電したようにプッツリと、意識を失なってしまう。
「はぁはぁ」
失神しめてしもうたか(させてしまったか)。
座ると、女を仰向けにさせ、ふっくらとした形の綺麗な大きな胸を両手で鷲掴み、転がすようにして揉みながら、出し入れさせる。
「ん………………………ッ…あぁ……はぁ」
失神していながらもビクビクと腰を痙攣させた状態で自分の意思ではないのに定期的に潮を吹く。
「はぁはぁ」
まだ、彼が『山本蒼子』になる前まで遡る。
『んっ!あっ!あっ!あっ!あっ!あぁ!』
長い黒髪はバサッと解されてあり、凛としていて目鼻立ちのきりっとした高身長の女、八坂薌は、眩しいばかりに白く研ぎ澄まされた女体を晒しており、膣に差し込んで突き上げていた。
『はぁ!仁導!仁導ぉ!』
『ゔ、あぁ!はぁ』
額から一筋の汗を流し、締め付けられるその快感にブルッと、身震いをする。
『好いておる(好きだ)。薌』
その時だった。布団に隠していた包丁を手に、薌は背中に、突き刺した。
『!!!!!!!!!?』
『男は、本気にならば、終はりぞかし(男は、本気になったら、終わりさね)。仁導』
すると彼は、包丁を抜き
『えっ?』
腹部を突き刺した。
『がはぁ!』
上体を起こし、何度も何度も、突き刺した。
『謀反者めが!汚ゐ雌豚が!それがしを殺しめるととはいえ思とはおりきとか(裏切りおって!汚い雌豚が!俺を殺せるとでも思っていたのか)!』
血を浴び、両手で腹部を裂き、片方の手を腹の中に差し込んだ。
『ああああああぁ。こころもちが良き。なぞ、こころもちが良き(気持ちが良い。なんて、気持ちが良いんだ)』
彼は唾液を垂れ流し、目眩に似た恍惚感が訪れブルッと、身震いする。
『ふふふふふ。ふふふふふふふふ』
自分の目に映る女は、失神し続けていた。
「我は素顔を見らるるが憎きぞ。いかがせむやは?殺さむやは(私は素顔を見られるのが嫌いなのよ。どうしようかしら?殺そうかしら)」
蒼子は、首を締め付けた。
翌日。
鈴は、目を覚ました。
「!!!!!!!!!!?」
ガバッと上体を起こすと、自分は裸のままであり、瞳が揺れる。
「………………………………………」
着物を身に付け、自分は桶と洗濯板を手にして井戸端へ向かうと、走って来る脚音が。
「んんっ!!」
突然後ろから口を塞がれ、抵抗をして身を捩るも、ギュッと抱き締められてしまい、身を拘束されてしまう。
「かくなりゃ力尽くにて貴様を物に致し候(こうなりゃ力尽くでお前を物にしてやる)!」
それはあの村人の男であり、彼女をその場で押し倒すと、裾を捲ったのだ。
「!!!!!!!!!!?」
「鈴!貴様をお慕い垂き!それがしの愛を受け取とはくれ(お前を愛してる!俺の愛を受け取ってくれ)!鈴!」
体を押さえ付け、無理に差し込もうとグリッ!と、亀頭を差し込んで来たのだ。
「んんんんん!」
うたてし(いやっ)!
うたてし!うたてし(いやっ!嫌ああぁ)!
その時だった。バキッ!!脇腹を、蹴り上げた。
「がはぁ!」
男は唾液を吐き出し、真横に倒れたのだ。
「!!!!!!!!!!?」
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!」
バッと顔を向けると、脚を地に付けた蒼子と、額に欠陥を浮かせている蝶子の姿が。
「歩む芥掃除し上げきよ(歩くゴミを掃除して上げたわ)」
「あらなんぢ地に優し(あなた地球に優しい)」
すると男は立ち上がると、小刀を抜いた。
「邪魔しおって!殺致し候!貴様を殺致し候(邪魔しやがって!殺してやる!お前を殺してやる)!」
意気込んでいるが、刀の先が震えている。
「武士の魂の先が震ゑておる。いかがそれがしを仕留めてくれるのでござろうか、楽しみじゃ(刀の先が震えている。どう俺を仕留めてくれるのか、楽しみだ)」
ニヤッとし、前髪から覗くその片方の目は、楽しんでいた。
「舐めるなああぁ~!」
斬り掛かろうとしたその男の手首を掴むと、蒼子は腹部を蹴り付けた。体がくの字に曲がり、白目を剥いてドサッと倒れた。
「ここは、女を泣かする料なるものならぬ。思ふ女一人の料に使ふものよ。闇雲に差し込むにはぬ(泣かせる為にあるものじゃないの。愛する女一人の為に使うものよ。闇雲に差し込んでじゃねえよ)!」
滅多に怒らない彼女が、額に欠陥を浮かせて男に激怒した。
「くっくっくっくっくっ蝶子たら。きみ本気になりにて。うたてしーかしー。ときじく我らは、軽やかに、あてなる言の葉を使ふものよ(蝶子さんたら。あなた本気になっちゃって。やーねー。いつでも私たちは、軽やかで、上品な言葉を使うものよ)」
男から奪った小刀を手にするなり
「斬り落してちょーだいやらふか(切り落してやろうかあぁ)!!」
大迫力よ。鈴は目を見張り、開いた口が閉じず
「!!!!!!!!!?」
男は、脳が痺れる程の気迫に腰を抜かしてしまう。
「うたてし蒼子たら。きみも全力ならず(いやだ蒼子さんたら。あなたも全力じゃない)」
「あらうたてし覚えず(やだうっかり)」
しゃがみ込むと、喉に軽く刀の先を突き刺した。
「鈴は、それがしが頂戴つかまつる(俺が頂戴致す)」
鈴は、グッと下唇を噛み締め、瞳が揺れる。
「うわああああぁ~!」
村人は、ダッと走り逃げて行ったのだ。
「これなれば男はたのむべからぬぞ(だから男は信頼出来ないのよ)」
「我らもたのむべからねど(私たちも信頼出来ないけど)」
「それもまこと(それも本当)。あははははは!」
「くふふふふふふふ」
すると彼女は四つん這いになって近付き、蒼子は顔を向けると、鈴はムチュッと、キスをしたのだ。
「!」
蝶子は口を開け、ニヤッとした。
『………………………………………』
唇に紅をさし、着物を身に付けて風呂敷に詰めた自分の荷物をまとめ、家から出て行った。
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『?』
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遺体を残し、自分は家を飛び出した。なんて、言えない。
『んふふ。なんぢも詐欺し居場所無くなりし(あなたも詐欺して居場所無くなったの)?』
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『同志なれば睦まじくせむぞ(同志なんだから仲良くしましょうよ)!』
彼女の腕を腕で組み同士を見付けられてとても嬉しく、是が非でも離さない為に話して仲良くしようと頑張る。
『我白鳥蝶子。なんぢは(私白鳥蝶子。あなたは)?』
そう言えば、言われるまで名前など全く考えていなかった。自分の名前を全て捨てる為には、名前の要素から全て遠ざかる必要がある。すると、彼女はこう口にした。
『山本蒼子』
そして、村から村へ、2人で旅をした。
「お腹空きき(空いた)~!」
家に帰ると、囲炉裏に立って夢はそう訴えたのだ。起きたら誰も居ないしお腹は空いてるしで、彼女はずっと待っていたのだ。囲炉裏でゴロゴロしながら。
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「さりかし。別れたてまつらむ(そうね。お別れしましょう)」
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