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【リーンハルト:11歳】
第553話 団らん
クリス兄上が戻ってくると聞いたおじい様たちも新街から戻って来て、久しぶりに家族全員が揃った夕食後の団らんで、父上が大げさにため息をつく。
「ハルト、お前はまたとんでもないことを引き受けて来て・・・・」
さっそく新街への王太子夫妻のお忍び旅行の件でお小言が始まった。
「もし父上が依頼されていたらお断りできたのですか?」
「それはだな・・・・」
「ご自身ができないことで、私ができるわけがありません」
私が言い返すと父上は顔を歪めただけだった。
「父上、今回の件はハルトが原因ではないですし、それくらいで・・・・」
ジェラ兄上がフォローしてくれたから、私もそれにのる。
「そうです。今回の原因はクリス兄上です。それなのに王太子殿下から私に依頼がきたのです」
「私が?」
クリス兄上が少しだけ首を傾げた。
「王家の家族だけでの食事会で、クリス兄上とリナルーナ王女殿下の仲の良さにあてられたと言っていましたよ」
私は王太子殿下から聞いたことを家族に暴露した。
家族全員がクリス兄上に注目する。
「ウエストランドでの今のようなことをしていただけですよ」
クリス兄上の話だと、食事会が昼食時なら食後にリナルーナ王女殿下と庭へ散策に、夕食なら食後に別室でお茶を飲みながら話をしていたそうだ。
「納得したわ」
母上が話に加わってきた。
なんでも今回の王都訪問時に王妃殿下からお礼を言われたらしく、私が王都の展覧会に協力した件にしては今更という感じでおかしく思っていたそうだ。
「最近国王夫妻が、お2人で庭の散策やお茶を短時間だけれど、よくされていると聞いたのよ」
なるほど、国王陛下はクリス兄上に触発されて、王妃殿下を誘っていたわけだ。
それに対して出遅れたのが王太子殿下ということかな。
「アルフレット、決まったことだ。王太子殿下ご夫妻はお忍びとはいえ、対策を考えねばなるまい」
お祖父様が時間もないから動かねばと促した。
「ハルト、新街にいるヘンリーや政務官たちにお前から説明しなさい。それとエミニーラの工場建設は黒ソースでいくのだな」
やっぱり、そうなるよね。
「わかりました。黒ソースの材料増産依頼は父上にお願いしたいです」
父上もそのつもりでいたようで了承してくれた。
私は工場内の魔導具準備だ。
マリアとナナリーにお願いしなくてはいけない。
あと王太子ご夫妻のおもてなし企画は私とリアで考えるとしても、ホテルの支配人はヘンリーだし、ホテル料理長は元王城の副料理長のオリバーだから大丈夫だ。
オープン前の準備の追い込み時期なのに、同時進行で準備することになったから苦言を呈されそうだ。
翌日、クリス兄上と私は屋敷内の教会で、サンドリア公爵領の特産料理をこれでもかとたくさんテーブルに並べて、一緒に跪く。
「神々様、クリス兄上の領地の特産品で作った料理とお菓子です。どうぞお納めください」
私が話した後、クリス兄上が口を開く。
「この度はハルトの加護である温泉を、我がサンドリア公爵領にも認めていただいたこと感謝いたします。ウエストランド同様、永遠に領民が楽しめる温泉街にしていきます」
すると料理が一瞬で消えた。
クリス兄上が私に話しかけてくる。
「いつ見ても慣れないよ」
「そうですか?少しお供えの期間が空くと、催促が来ますしね」
「それがすごいことなんだよ」
さらに翌日、世界樹を訪問する。クリス兄上は世界樹へお礼とお供えをしている。
お供え前にアルラウネたち用に取り分けしたものを、アルラウネたち、リプカやビアンカの家族が嬉しそうに食べていた。
なぜかそれに交じってアトレやルーカスたち、セシリアも交ざって食べていた。
君たちはさんざんサンドリア公爵領で食べたでしょと言いたかったが、争いになってはいけないから黙っていた。
料理を食べ終わり、お腹がすごく膨れているアルラウネに、私が育てている世界樹の若木の成長が止まっているので見てもらった。
「大丈夫よ。葉っぱも元気だし、木の幹が太くなってしっかりしている」
言われてみれば、成長した時はポキッと折れそうな若木だったが、今は直径2センチほどのしっかりした幹になっている。
「どこかでまた急に伸び出すはずよ」
アルラウネは励ましなのか、ただ単に事実を言っているのは不明だが、まだ若木のお世話が続くようだ。
神様からの課題はいつ終わるのだろう。
そして恒例のスケルトンフラワー討伐にクリス兄上も久々に参加している。
サンドリアではどうしても執務室にいることが多いらしく、いい気晴らしだと笑っていた。
サンドリア公爵家の護衛騎士たちは、政務官たちの護衛で新街に全員行っている。
政務官たちは少しでも多く見学したいと、疲れも見せずにウエストランドに着いた翌日には新街へ行っている。
私たち3兄弟も、世界樹から戻れば新街に移動だ。
「ハルト、お前はまたとんでもないことを引き受けて来て・・・・」
さっそく新街への王太子夫妻のお忍び旅行の件でお小言が始まった。
「もし父上が依頼されていたらお断りできたのですか?」
「それはだな・・・・」
「ご自身ができないことで、私ができるわけがありません」
私が言い返すと父上は顔を歪めただけだった。
「父上、今回の件はハルトが原因ではないですし、それくらいで・・・・」
ジェラ兄上がフォローしてくれたから、私もそれにのる。
「そうです。今回の原因はクリス兄上です。それなのに王太子殿下から私に依頼がきたのです」
「私が?」
クリス兄上が少しだけ首を傾げた。
「王家の家族だけでの食事会で、クリス兄上とリナルーナ王女殿下の仲の良さにあてられたと言っていましたよ」
私は王太子殿下から聞いたことを家族に暴露した。
家族全員がクリス兄上に注目する。
「ウエストランドでの今のようなことをしていただけですよ」
クリス兄上の話だと、食事会が昼食時なら食後にリナルーナ王女殿下と庭へ散策に、夕食なら食後に別室でお茶を飲みながら話をしていたそうだ。
「納得したわ」
母上が話に加わってきた。
なんでも今回の王都訪問時に王妃殿下からお礼を言われたらしく、私が王都の展覧会に協力した件にしては今更という感じでおかしく思っていたそうだ。
「最近国王夫妻が、お2人で庭の散策やお茶を短時間だけれど、よくされていると聞いたのよ」
なるほど、国王陛下はクリス兄上に触発されて、王妃殿下を誘っていたわけだ。
それに対して出遅れたのが王太子殿下ということかな。
「アルフレット、決まったことだ。王太子殿下ご夫妻はお忍びとはいえ、対策を考えねばなるまい」
お祖父様が時間もないから動かねばと促した。
「ハルト、新街にいるヘンリーや政務官たちにお前から説明しなさい。それとエミニーラの工場建設は黒ソースでいくのだな」
やっぱり、そうなるよね。
「わかりました。黒ソースの材料増産依頼は父上にお願いしたいです」
父上もそのつもりでいたようで了承してくれた。
私は工場内の魔導具準備だ。
マリアとナナリーにお願いしなくてはいけない。
あと王太子ご夫妻のおもてなし企画は私とリアで考えるとしても、ホテルの支配人はヘンリーだし、ホテル料理長は元王城の副料理長のオリバーだから大丈夫だ。
オープン前の準備の追い込み時期なのに、同時進行で準備することになったから苦言を呈されそうだ。
翌日、クリス兄上と私は屋敷内の教会で、サンドリア公爵領の特産料理をこれでもかとたくさんテーブルに並べて、一緒に跪く。
「神々様、クリス兄上の領地の特産品で作った料理とお菓子です。どうぞお納めください」
私が話した後、クリス兄上が口を開く。
「この度はハルトの加護である温泉を、我がサンドリア公爵領にも認めていただいたこと感謝いたします。ウエストランド同様、永遠に領民が楽しめる温泉街にしていきます」
すると料理が一瞬で消えた。
クリス兄上が私に話しかけてくる。
「いつ見ても慣れないよ」
「そうですか?少しお供えの期間が空くと、催促が来ますしね」
「それがすごいことなんだよ」
さらに翌日、世界樹を訪問する。クリス兄上は世界樹へお礼とお供えをしている。
お供え前にアルラウネたち用に取り分けしたものを、アルラウネたち、リプカやビアンカの家族が嬉しそうに食べていた。
なぜかそれに交じってアトレやルーカスたち、セシリアも交ざって食べていた。
君たちはさんざんサンドリア公爵領で食べたでしょと言いたかったが、争いになってはいけないから黙っていた。
料理を食べ終わり、お腹がすごく膨れているアルラウネに、私が育てている世界樹の若木の成長が止まっているので見てもらった。
「大丈夫よ。葉っぱも元気だし、木の幹が太くなってしっかりしている」
言われてみれば、成長した時はポキッと折れそうな若木だったが、今は直径2センチほどのしっかりした幹になっている。
「どこかでまた急に伸び出すはずよ」
アルラウネは励ましなのか、ただ単に事実を言っているのは不明だが、まだ若木のお世話が続くようだ。
神様からの課題はいつ終わるのだろう。
そして恒例のスケルトンフラワー討伐にクリス兄上も久々に参加している。
サンドリアではどうしても執務室にいることが多いらしく、いい気晴らしだと笑っていた。
サンドリア公爵家の護衛騎士たちは、政務官たちの護衛で新街に全員行っている。
政務官たちは少しでも多く見学したいと、疲れも見せずにウエストランドに着いた翌日には新街へ行っている。
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