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薬草の急騰? いまが稼ぎ時だ。え? 獰猛な人狼? ぼくそんなの知らないよ?
ブラックウルフと草原へでかける。
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水晶をいれたカゴを背負い、意気揚々と大門へむかう。途中、噴水のまえでもめている夫婦に出会った。
「あんたっ、やめときなよっ。どんだけのひとが襲われて怪我してるとおもってるの⁉」
「大丈夫だって。草原はあんな広いのに。そうそう出くわしはしないさ」
「でも、だって!」
「タロウだって連れていくし。なぁ、タロウ。お前は俺のことを守ってくれるよな!」
男が頭を撫でているブラックウルフは、腹の左右に荷物入れのあるカバンを背負っていた。
(なるほど、ああやってブラックウルフに荷物を持たせるんだな)
「昨日のブラックウルフ、今日もいるかな? いたら今度こそちゃんと名まえを考えてやらないと」
なにせ、うまくいったら無料でペットのブラックウルフが手にはいるのだから。そうしたら戦闘要員として狩りに連れていけるし、荷物を持たせれば遠出もできるようになる。ぼくはわくわくしながら大門をめざした。
ワンワンワン!
「いたっ! おーい!」
駆けてきたブラックウルフに用意しておいたパンの耳をやる。
「どうだ、おいしいか?」
「クゥ―ン」
「あっ、だめだよ。顔を舐めないで。痒くなっちゃうから」
よーし、よしよし、と頭を撫でてやって、そしてぼくはブラックウルフの背中によいしょと跨った。首にしっかり腕をまわして、「じゃあ、あっちに連れてって」と草原のかなたに見えている大木を指す。
「クゥ⁉」
「ほらっ、行けっ」
「キュウゥン」
「到着したときの御褒美もあるんだからね!」
「ワン!」
ブラックウルフが草原に向けて駆けだした。
「そうだ、行け行けーっ。薬草でいっぱい儲けることができたら、もっといいもの食べさせてやるからなっ」
「ワン!」
「まずはヤナとヘナでしっかりお金稼ぎだ。明るいうちにたくさん収穫しておいて、それから宿を決めて、荷物をおいたら装備探しだな。あとほかにも簡単な狩りで報酬がもらえるクエストを探してみないと」
ブラックウルフの背中のうえで、「あとは~」と頭のなかで指折り考える。そうしているうちに大木の近くまでやってきた。自分で歩くのとはけた違いのはやさだ。ところがだ。あとすこしというところでブラックウルフは立ち止まってしまった。
「おい、ブラックウルフ? まだ木まではもうちょっとあるぞ? ちゃんと走ってよ?」
「クゥゥン…‥」
「どうしたんだ? 尻尾も耳も垂らしちゃって。疲れたのか?」
「キュゥゥン」
「そっか、しかたないな。じゃあ……」
ブラックウルフの背中から下りると、背負ったカゴのなかから包みをとりだす。てくてく歩きながらそのなかの菓子を一枚、また一枚とブラックウルフに食べさせてやった。はじめこそうれしそうに菓子をパクつきながらついてきていたブラックウルフだったが、いよいよ大木が目のまえに差し迫ったあたりで、ぴたりと足をとめてしまう。
「あれ? もういらないの?」
「キュウン」
しょんぼりとひと鳴きしたブラックウルフは、くるりとぼくに背中をむけた。そして。
「あっ! あああああ! まってぇぇーっ」
叫んでも無駄だった。ブラックウルフはあっというまに、もときた方へと走り去っていったのだ。
「えっ⁉ ぼく帰りはどうやって帰るの? ひどいよっ。自力で歩かないといけないんなら、重くていっぱい薬草を持って帰られないじゃないか」
呆然としてブラックウルフが去っていった方向を眺める。
「せっかくの大きなカゴなのに、これじゃ宝の持ち腐れだ。あぁあ。やっぱり野生のブラックウルフをペットにするのはむずかしいのかな」
がっかりしながら、ぼくはトボトボ大木へと歩きだした。
「装備よりもさきに、足になるものを買わなきゃ……」
ペット用のブラックウルフを買う? それとも馬? 馬車? ほかにこの世界にはどんな乗り物があるのだろう?
それから五分も歩かないうちに、ようやく大木のもとへとたどり着いた。
「あんたっ、やめときなよっ。どんだけのひとが襲われて怪我してるとおもってるの⁉」
「大丈夫だって。草原はあんな広いのに。そうそう出くわしはしないさ」
「でも、だって!」
「タロウだって連れていくし。なぁ、タロウ。お前は俺のことを守ってくれるよな!」
男が頭を撫でているブラックウルフは、腹の左右に荷物入れのあるカバンを背負っていた。
(なるほど、ああやってブラックウルフに荷物を持たせるんだな)
「昨日のブラックウルフ、今日もいるかな? いたら今度こそちゃんと名まえを考えてやらないと」
なにせ、うまくいったら無料でペットのブラックウルフが手にはいるのだから。そうしたら戦闘要員として狩りに連れていけるし、荷物を持たせれば遠出もできるようになる。ぼくはわくわくしながら大門をめざした。
ワンワンワン!
「いたっ! おーい!」
駆けてきたブラックウルフに用意しておいたパンの耳をやる。
「どうだ、おいしいか?」
「クゥ―ン」
「あっ、だめだよ。顔を舐めないで。痒くなっちゃうから」
よーし、よしよし、と頭を撫でてやって、そしてぼくはブラックウルフの背中によいしょと跨った。首にしっかり腕をまわして、「じゃあ、あっちに連れてって」と草原のかなたに見えている大木を指す。
「クゥ⁉」
「ほらっ、行けっ」
「キュウゥン」
「到着したときの御褒美もあるんだからね!」
「ワン!」
ブラックウルフが草原に向けて駆けだした。
「そうだ、行け行けーっ。薬草でいっぱい儲けることができたら、もっといいもの食べさせてやるからなっ」
「ワン!」
「まずはヤナとヘナでしっかりお金稼ぎだ。明るいうちにたくさん収穫しておいて、それから宿を決めて、荷物をおいたら装備探しだな。あとほかにも簡単な狩りで報酬がもらえるクエストを探してみないと」
ブラックウルフの背中のうえで、「あとは~」と頭のなかで指折り考える。そうしているうちに大木の近くまでやってきた。自分で歩くのとはけた違いのはやさだ。ところがだ。あとすこしというところでブラックウルフは立ち止まってしまった。
「おい、ブラックウルフ? まだ木まではもうちょっとあるぞ? ちゃんと走ってよ?」
「クゥゥン…‥」
「どうしたんだ? 尻尾も耳も垂らしちゃって。疲れたのか?」
「キュゥゥン」
「そっか、しかたないな。じゃあ……」
ブラックウルフの背中から下りると、背負ったカゴのなかから包みをとりだす。てくてく歩きながらそのなかの菓子を一枚、また一枚とブラックウルフに食べさせてやった。はじめこそうれしそうに菓子をパクつきながらついてきていたブラックウルフだったが、いよいよ大木が目のまえに差し迫ったあたりで、ぴたりと足をとめてしまう。
「あれ? もういらないの?」
「キュウン」
しょんぼりとひと鳴きしたブラックウルフは、くるりとぼくに背中をむけた。そして。
「あっ! あああああ! まってぇぇーっ」
叫んでも無駄だった。ブラックウルフはあっというまに、もときた方へと走り去っていったのだ。
「えっ⁉ ぼく帰りはどうやって帰るの? ひどいよっ。自力で歩かないといけないんなら、重くていっぱい薬草を持って帰られないじゃないか」
呆然としてブラックウルフが去っていった方向を眺める。
「せっかくの大きなカゴなのに、これじゃ宝の持ち腐れだ。あぁあ。やっぱり野生のブラックウルフをペットにするのはむずかしいのかな」
がっかりしながら、ぼくはトボトボ大木へと歩きだした。
「装備よりもさきに、足になるものを買わなきゃ……」
ペット用のブラックウルフを買う? それとも馬? 馬車? ほかにこの世界にはどんな乗り物があるのだろう?
それから五分も歩かないうちに、ようやく大木のもとへとたどり着いた。
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