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「ねぇ、修司は血液型何?」
「O型だけど?どうして?」
「あ、血液型占いとかしてみよっかな~なんて」
町子は修司がO型だと聞いてホッとする。
町子の父はAB型だ。
「町子は?何型?」
「A型」
「ふーん。で?」
「え?」
「占うんじゃないの?」
「あ、あ~。明日、明日ね、職場の人に聞いてみるの」
「・・・変なの」
久しぶりに町子のアパートに来た修司との間に流れるギクシャクした空気に、さっきから修司はなにかしら不審なものを感じているようだ。
『う・・・もう無理』
「・・・あのさ・・修司は知ってるの?」
「・・・何を?」
「・・・私の父のこと。・・・私の父と修司のお母さんのこと・・」
「・・・まあ」
「・・・・」
スピーカーから流れてくる ちり紙交換ののんびりした声が窓から侵入してくる。
「町子は?・・・いつから知ってた?」
「つい最近。友香子ちゃんが教えてくれた」
「そう・・」
古新聞、古雑誌、ボロ布など、ございましたらトイレットペーパーと交換いたします~。
「知ってて近づいたの?」
「それは違う」
「ホントに?」
「町子が東京にいることもしらなかったし、第一、黒田さんの娘さんの名前までは知らなかった。
たまたま宅配便の差出人の住所と名字で、もしかして、とは思って、つい話かけちゃったけど、その時はそれだけでのつもりだった。
偶然 商店街で再会して、巡り合わせっていうか運命?かなって・・・」
「・・・私に近づいて、どうするつもりだったの?・・・恨んでる?」
「・・・わからない」
どっちがわからないんだろう?
私に近づいた目的?
恨んでいるのか?
その両方か?
もう一度聞くのも修司を問い詰めているようで憚られる。
「・・・オレの父親は黒田さんではないよ」
修司は記憶を辿るように、ゆっくりと話始めた。
「オレのお祖父さんがK地区の水片さんだってのは母さんが死んで初めて知ったし、母さんがK地区の出身?って言えるのかわかんないけど、そういうのも初めて知った。
母さんがどういう育ち方をしたのかは知らないし、本人も話したがらなかったけど、碌でもない生き方してきたんだろうなってのは見ててわかってたよ。
で、葬式の時も皆してヒソヒソ感じ悪くて、つくづく厄介者なんだなーって肩身が狭かったんだけど、それでも一応母親じゃない?
お通夜の夜に誰もいなくなった時にさ、母さんがいつも着けていた指輪のことを思い出して、
『形見にもらおう』
って思って、棺の蓋を開けたんだよ。
そしたらさ、母さんが指輪をしていた左手が、手首ごと無いんだよ 」
「えっ?・・・」
町子は鏡を見なくても自分の顔が真っ青になっているのがわかった。
「なんだろう。その時は中学生だったからさ、どういうことなのか問い詰める、とか、抗議する、とか思いつかなかったんだよね。
でも、あとから考えれば考えるほど納得いかないっていうかさ。
ただでさえ碌な人生じゃなかったのに、最期にこんな風に遺体まで傷つけられるのかっておもったら怒りが湧いてきた。
だけど警察の検死?とかも済んでるわけじゃない?
ましてや火葬も終わってる。
いくら『母の死体から手首が切り取られていた』ってオレが騒いだとしても、誰も相手にしないよね。
それから2年くらい経ってからかな、高1の時、水片のじいさんが一人で畑にいるところを問い詰めたんだ」
修司も青い顔をして俯いていた。
「母さんの遺体から手首を切ったのは何故だ?って。
そしたらさ、罪人だから・・・罪人だからって言ったんだぜ?」
修司の目には涙が滲んでいた。
ああ、あの糠味噌の手首は修司のお母さんだったんだな。
町子はボンヤリとあの日の光景を思い出して、急にせり上がってきた吐き気に抗うことができなかった。
「O型だけど?どうして?」
「あ、血液型占いとかしてみよっかな~なんて」
町子は修司がO型だと聞いてホッとする。
町子の父はAB型だ。
「町子は?何型?」
「A型」
「ふーん。で?」
「え?」
「占うんじゃないの?」
「あ、あ~。明日、明日ね、職場の人に聞いてみるの」
「・・・変なの」
久しぶりに町子のアパートに来た修司との間に流れるギクシャクした空気に、さっきから修司はなにかしら不審なものを感じているようだ。
『う・・・もう無理』
「・・・あのさ・・修司は知ってるの?」
「・・・何を?」
「・・・私の父のこと。・・・私の父と修司のお母さんのこと・・」
「・・・まあ」
「・・・・」
スピーカーから流れてくる ちり紙交換ののんびりした声が窓から侵入してくる。
「町子は?・・・いつから知ってた?」
「つい最近。友香子ちゃんが教えてくれた」
「そう・・」
古新聞、古雑誌、ボロ布など、ございましたらトイレットペーパーと交換いたします~。
「知ってて近づいたの?」
「それは違う」
「ホントに?」
「町子が東京にいることもしらなかったし、第一、黒田さんの娘さんの名前までは知らなかった。
たまたま宅配便の差出人の住所と名字で、もしかして、とは思って、つい話かけちゃったけど、その時はそれだけでのつもりだった。
偶然 商店街で再会して、巡り合わせっていうか運命?かなって・・・」
「・・・私に近づいて、どうするつもりだったの?・・・恨んでる?」
「・・・わからない」
どっちがわからないんだろう?
私に近づいた目的?
恨んでいるのか?
その両方か?
もう一度聞くのも修司を問い詰めているようで憚られる。
「・・・オレの父親は黒田さんではないよ」
修司は記憶を辿るように、ゆっくりと話始めた。
「オレのお祖父さんがK地区の水片さんだってのは母さんが死んで初めて知ったし、母さんがK地区の出身?って言えるのかわかんないけど、そういうのも初めて知った。
母さんがどういう育ち方をしたのかは知らないし、本人も話したがらなかったけど、碌でもない生き方してきたんだろうなってのは見ててわかってたよ。
で、葬式の時も皆してヒソヒソ感じ悪くて、つくづく厄介者なんだなーって肩身が狭かったんだけど、それでも一応母親じゃない?
お通夜の夜に誰もいなくなった時にさ、母さんがいつも着けていた指輪のことを思い出して、
『形見にもらおう』
って思って、棺の蓋を開けたんだよ。
そしたらさ、母さんが指輪をしていた左手が、手首ごと無いんだよ 」
「えっ?・・・」
町子は鏡を見なくても自分の顔が真っ青になっているのがわかった。
「なんだろう。その時は中学生だったからさ、どういうことなのか問い詰める、とか、抗議する、とか思いつかなかったんだよね。
でも、あとから考えれば考えるほど納得いかないっていうかさ。
ただでさえ碌な人生じゃなかったのに、最期にこんな風に遺体まで傷つけられるのかっておもったら怒りが湧いてきた。
だけど警察の検死?とかも済んでるわけじゃない?
ましてや火葬も終わってる。
いくら『母の死体から手首が切り取られていた』ってオレが騒いだとしても、誰も相手にしないよね。
それから2年くらい経ってからかな、高1の時、水片のじいさんが一人で畑にいるところを問い詰めたんだ」
修司も青い顔をして俯いていた。
「母さんの遺体から手首を切ったのは何故だ?って。
そしたらさ、罪人だから・・・罪人だからって言ったんだぜ?」
修司の目には涙が滲んでいた。
ああ、あの糠味噌の手首は修司のお母さんだったんだな。
町子はボンヤリとあの日の光景を思い出して、急にせり上がってきた吐き気に抗うことができなかった。
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