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19 砂時計 ※性的表現あり

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 ※ ご注意

   性的表現あります





「ご依頼があろうとなかろうと、一月あたり100万ペクーニア戴きます。
 
 あとはご依頼一件について基本料金1時間で50000ペクーニアになります。

 延長料金は10分につき10000ペクーニア、最大でも合計2時間を超えたサービスはお受けできません。

 これは性行為がなくても時間給で料金が発生しますので、ご注意ください。

 ご依頼に際しては少なくとも3日前までにお申し込みください。
  当日の依頼にはお応えできません。
      
また、当日のキャンセルにつきましては100%お支払いただきます。

 月のものがある期間、私の場合はだいたい月末から月の初めころですが、はご依頼をお受けできません 」

 翌日再び喫茶室で会った時、サフィニアは契約書の書面を持ってきた。

 仕事が早すぎやしないだろうか。

「基本料金についてはおおよそ以上のように考えておりますが、何か異論は?」

 「・・・・特には・・」

 どうせ文句を言ったら、ならばこの話はナシで、とか言うんだろ?

「では、次は行為上のルールとそれに伴って発生する料金についてご説明いたしますね」

 「・・・・・・」

「まず、基本料金内での体位は正常位のみ・・・・と言いたいところですが、お互いなるべく顔は合わせたくないですからね、基本はバックで、ということでお願いします。
 それ以外の行為をお望みの場合はその都度別料金が発生いたしますが、事前にどういった内容かをお聞きして、拒否させていただく場合がございます。
 因みに唇へのキスは禁止とさせていただきます」

「・・・・・っ!!」

 「高級コールガールは皆さんキスは禁止なんですってね。
 事情があって身体で稼がなくてはいけなくても、唇だけは愛する人に捧げるんですって。

 ですから私もそうさせて戴きますわ」

「・・・・・違反したらどうなるんだ?」

「違反の程度にもよりますが、悪質性が認められる場合は一発契約解除ですね」

「・・・・・・」

「あと、・・・は、」

 サフィニアが紙をめくりながら確認をする。


「暴力行為は禁止、と、ご予約は最低でも中三日なかみっか開けてください」

「・・・・」

 「では、こちらにサインいただけますか?」

 サフィニアはこれでも契約するのか?
 という嘲笑の混じった呆れ顔で契約書とペンを差し出してくる。

 ニールが受け取って、同じ二枚の書類にサインをして双方が一枚ずつ持つこととなった。

 サフィニアの目が、

『お前にはプライドが無いのか』

 と蔑んでいたが、ニールにとってはこんな細い繋がりにでも縋りつくしかない希望の糸だった。

 貰った控えには、契約は一年ごとの更新、と書かれていた。


 ニールはサフィニアが嫌がるだろうから、と王都内に部屋を借りてそこにサフィニアを呼んだ。


 入ってきたサフィニアは口の端に笑みを浮かべて、

「料金は前払いでお願いします」

 とグルーミーの娘であることを見せつけた。

 これはあくまでもビジネスである、と。

 「オプションはお付けになります?」

「オプションとは?」

「正常位    +20000
    手淫        +30000
    口淫        +50000

 となっています。
 他に侯爵様の趣味嗜好がおありの場合はご相談ください。
 可能な場合のみ新たに料金を設定の上対応させて戴きます」

「・・・じゃあ・・・とりあえず正常位で・・・」

「以上でよろしいですか?」

「・・・名前を・・・俺の名前を呼んではもらえないか?」

 サフィニアは一瞬顔をしかめたが、すぐに営業スマイルになって、

「持ち帰り検討させていただきます」
  
 と答えた。

 ニールにはその笑顔が痛かった。

 「では、本日は70000ペクーニアお支払いただきます」

  ニールが札入れから支払う。

「毎度ありがとうございます」

 サフィニアは初めてなのに そう言って貰った札をポーチにしまった。

 そして鞄の中から砂時計を出して、

「それでは今から料金が発生します」

 と言って、砂時計をひっくり返した。

 サラサラと砂が流れ落ちる。

 まるで俺が指の間からこぼれ落としてしまった大切な時間のようだ。

 ニールは自分が流れ落ちる砂の上に立っている気分がして、ぼおっと眺めていた。

「侯爵様、どうなさいました?」
  
 サフィニアの声に我に返る。

「私が自分で脱ぎますか?」

 ドレスの胸元のボタンに手を掛けてサフィニアが聞く。

「・・・いや、・・・とりあえずソファーに座ってくれないか?」

 「何もしなくても料金は発生しますわよ?」

「わかってる」

 ソファーに並んで座ったサフィニアの肩を恐る恐る抱いたが拒否はされなかった。
 ただ、サフィニアの体にグッと力が入ったのが伝わってきただけだ。

 サフィニアの髪を指で掻き上げると微かに良い匂いがした。

 「髪、切ったんだな」

 「ええ」

「色も染めたんだ」

「ええ」

「また、伸ばせよ」
 
「お望みなら」

 ニールは何度もサフィニアの髪を撫でる。

「色も戻せ。
 ・・・お前の髪が好きだったんだ。
 木漏れ日が射して輝いていた」

 ニールは裏庭のベンチで一人読書をするサフィニアを思い浮かべた。

 次の瞬間キスをしようと近づいてくるニールの顔をサフィニアが押し留めた。

「あ、すまない。つい・・・」  

 「侯爵様、時間がなくなりますけど大丈夫ですか?」

 「あ、・・・ああ」

 ニールはサフィニアのドレスのボタンを外していく。

 情けないが、なんだか緊張する。

 ニールに晒された胸は、あの頃の膨らみの少ない少女の胸ではなかった。

 子供を産んだせいもあるのか、妖艶な豊かな膨らみを持っていた。
  
 ニールは、きっとジュスト殿下に何度も愛されたのであろうその胸にショックを受けた。

  それでやる気が削がれるか、というと気持ちは逆に働いた。

 ニールはサフィニアの胸にむしゃぶりついて舐め回した。
 
 そうすればジュスト殿下の痕跡を消せるとでも思っているように。

 気持ちが高ぶったニールはサフィニアを抱き上げるとベッドへ運んだ。

 ニールに全てを剥ぎ取られたサフィニアは相変わらずの美しい肢体を晒した。
 ニールはそのしっとりと滑らかな肌に頬ずりし、甘い匂いを堪能した。

 気持ちが高ぶって、何度か唇にキスをしようとして止められた。

 ニールには愛でも、サフィニアにはビジネスだった。


 ニールの指がサフィニアの陰部に差し入れられて執拗に掻き回す。

 会わない5年の間にニールも技術を上げたのか、サフィニアからヌルヌルとした液体が流れ出て来てニールを歓喜させる。
 
 ニールは自分も服を脱ぎ捨ててサフィニアに覆い被さる。

 いよいよ自分を挿入しようとした時にサフィニアに止められる。

「侯爵様、砂が落ちてしまいましたわ」

 「え、・・・延長で。・・・最大の60分で」

 「60000ペクーニアですわ」

 ニールは下半身を膨張させた姿で起き上がって札入れから60000ペクーニアを取り出してサフィニアに渡した。

 情けなかった。

 サフィニアはお金を受け取ると、金貸し業者の手つきで枚数を数えて、

「確かに。毎度ありがとうございます」

 とスマイルした。

 

 

 



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