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11.※微

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少しだけRシーンがあるため、背後注意です。


――――――――――


 食事のあと、お礼を言った僕は家まで送ってもらうつもりだった。馬車でここまで連れてきたんだから、最後まで責任持って送り届けてくれるよね?
 だから玄関の方ではなく二階のゲストルームのような場所に通されたとき、まだ何か用があったかなぁとのんきなことを考えていた。

「……ん? これって、パジャマ?」
「そうだ。今日は泊まっていってくれ。バスルームに湯も用意してある」
「ええ!? そんなつもりなかったんだけど……。セレス、別にお礼なんていいよ? なんだかんだいつもご馳走してもらってるのは僕なんだから」
「駄目か……?」
「ぐ」

 セレスに眉をほんの少し下げて見つめられて、僕は手渡されたパジャマをぎゅっと握りしめた。うわっ、なんか触ったことないくらい柔らかい生地なんだけど!
 ほとんど無表情なのに、アメシストの瞳にじっと見つめられると僕は弱い。強くお願いされたわけでもないのに、そんなに言うなら……と気づけば頷いていた。明日は仕事も休みだし、セレスが最初からそのつもりだったなら、断るのも悪いし。ね?

 おやすみ、と挨拶をしてドアがパタンと閉まる。僕は改めてひと晩過ごすことになった部屋を見渡した。
 壁や寝具は白く、ソファやベッドスプレッドには淡いグリーンが使われている。家具の木の色と相まって落ち着く色合いだ。このお屋敷に到着したときはその立派さに驚いたけど、全体的に内装はシンプルで意外と居心地がいい。派手さを好まないのはセレスらしいかも。
 
 今日は十分な魔力を摂取できなかったから、水に濡らした布で身体を清拭する程度で済ませるつもりだった。湯を用意してくれたのがかなり嬉しくて、僕はいそいそとバスルームに向かった。

「ほわ……この香りが自分からするのってやばいかも」

 湯を使ったあと、僕は用意してくれていたパジャマを着てごろんとベッドの上に転がっていた。
 パジャマの着心地が良すぎて、その手触りをすりすり、ずっと手のひらで確認している。それはいいんだけど……これ、女性用な気がする。
 ワンピースタイプのパジャマは足元がスースーして、まぁ涼しい。貴族の寝間着ってこんなものなのかもしれない。うーん、誰も見てないからいっか。

 そしてバスルームにあった石鹸を使わせてもらった僕は、いつもセレスから香っている森林のようないい香りに包まれていた。
 いつもと違うベッドに横になって、セレスのいい匂いに包まれてしまうと……変な気分になってくる。
 そもそも、僕的にはもう長い間ご無沙汰なのだ。意識すれば意識するほど、ぞわぞわ身体が落ち着かない。

(あ。どうしよ……)

 ひと様の家なのに、なんならその背徳感も作用して神経が高ぶってくる。自分の中心に血が集まってきているのを感じて、僕はそっと手を伸ばした。

「んっ」

 パジャマの上から半勃ちになっているペニスをなぞると、待ちに待った刺激に声が漏れる。きもちー……
 むくむくと欲望が成長するのを感じて、僕は開きなおった。どうせもう収まりもつかないし、一発サクッと抜いちゃえば気持ちよく寝られるはず!
 ベッド横のサイドテーブルには、ランプに照らされるようにして保湿用の香油が置いてある。さっきは喜々として湯上がりのスキンケアに使わせてもらったそれを、もうちょっと拝借しても構わないだろう。

 高級な服を汚してはいけないから、パジャマを捲り上げる。ズボンがないと、こういうとき楽だなー。
 下穿きをずらせば、天を仰ぐペニスがぷるんと出てきた……自分のものだけど、元気です。香油を手にとって、塗り拡げるようにまぶす。
 体温が上がってきて、ちょっと申し訳ないくらいにいい匂いが広がった。石鹸の香りと混ざると、なんともいえない妖しい芳香になる。

「ん、……あっ、ぁー……」

 ちゅこちゅこと上下に扱くと、腰に痺れるような快感が溜まった。いつもひとりでするときより興奮しちゃってる……
 どうしても漏れ出る声を抑えるため、僕はパジャマの裾を口に咥えた。
 気持ちよくて頭がぼうっとしてくる。そろそろと、無意識にもう片方の手を昂ぶりの根本に動かして、会陰まで垂れてきた香油を塗り拡げるようにマッサージした。

 蕾が勝手に期待してひくひくするのを感じる。さすがに指は入れない。でも香油の滑りを使って後孔の周りを撫でるだけで、ぞくぞくと快感が背筋を這い上がった。

「むぅっ。んん……んぁ……」

 あふれる唾液でパジャマが濡れてくるのにも構わず、僕は集中して両手を動かした。
 目をぎゅっと閉じる。否応もなく好きな人の……セレスの顔が脳裏に浮かんだ。

(あ~~~挿れてほし…………)

 どうしようもなくそう思いながらも、肌を重ねた記憶を掘り起こし……快感の頂点まで駆け上がる。陰嚢がきゅっと上がり、もうイきそうッ……

 訪れる解放感に身体が備えたところで、

 カチャ、

 と部屋のドアが開いた。
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