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005:異世界です
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さて、現状を理解する必要がある。
現在、俺達は何やら超常の存在に拉致されたようだ。
洞窟から外に出たら異世界なのだろう。
いや、まぁ。
洞窟から出て地球でしたって落ちなら笑い話で済むんだが、ステータスという魔法が使えるからなぁ。
そのステータスに表示さている内容。それを見るに、どうやらポイントを取得してスキルなるものを取得していくことが出来るらしい。
その取得スキルには幾つか種類があり、そしてそれはツリー状。つまり分岐している。
マジでゲームみたいだ。
ポイントの取得方法が分からないのが不親切で理不尽な内容の。
「加瀬さん。そろそろ洞窟から出ませんか?」
「あん?」
「冒険の旅に出発ですよ!」
バカハルが目を輝かせて俺の上着の袖を引っ張る。マジでこいつ楽しんでやがるよ。
「しっかしどうすっかなぁ」
「何がですか?」
「装備だよ。荷物一式全部。車の中だ」
俺の言葉にハルが「あっ!」と言う表情をした。
考えてなかったな?
俺は溜め息を吐くのだった。
※
※
※
洞窟の電気は点けたままで、そのまま来た道を引き返す。すると扉の前には車があった。ハルが叫ぶ。
「あっ! ランドクルーザー! 加瀬さん!」
これは望外のラッキー。あの愉快犯。どうやら俺たちの装備一式も転移させてくれたらしい。
「これで少しは生き残れる算段が出てきたか?」
そう叫んで、車に近寄った俺たちは周囲の風景の違いに気がついた。そこは北海道の原野というより、ヨーロッパ辺りの丘陵地帯のそれだった。
「マジで風景が変わってるよ……」
さすがのハルも唖然としている。
まぁ何はともあれ、装備の確認だ。車外から中を見るに、どうやら来た時そのままらしい。車の後ろの荷台には解体したエゾシカも載っている。
さっそく車内に入り、エンジンが掛かるか試す。
すると問題なく動くことが分かった。
ハルが助手席に座り、飲みかけのペットボトルのお茶を一口。俺も少し落ち着くために水筒のコーヒーを飲んだ。
「ふぅ」
ホット一息。さて。これからどうすっかな。悩んでいるとハルが口を開いた。
「とりあえず異世界人を探しませんか?」
俺は首を左右に降る。
「それは良い案だが、でも問題は言語が分かるかどうかだ」
「あー。その問題があったか。なら、どうします?」
「さっきスキルツリーを見たときに『環境』と言う項目に異世界言語というスキルがあった。幾つか言語に種類が有るようだが。まぁ、それの内のどれかを取得すれば、おそらく意思の疎通が出来ると思う」
「なるほど。この車はどうします?」
「捨てていくには勿体ないよな?」
「ですね。周囲の環境を見るに、足として必要そうですし」
周囲に人工物は一切ない。
「車で丘陵地帯を流しながら、スキルを取るためのポイントを稼ぐとしよう」
俺の提案にハルが言う。
「スキルポイントの取得ってどうやるんですかね?」
「それは……ゲームなんかだと魔物を倒してレベルが上ったりすればポイントが手に入るようなことを言っていたな」
以前、息子がそんな事を言っていた気がする。
「カズ君ですか?」
「あぁ」
「う~ん。なら、流しの途中で何か獲物が居たら狩ります?」
ハルの提案に俺は難色を示す。
「良いのかな?」
「何がですか?」
「無断、無許可で狩って?」
日本だと狩っていい対象とか、区域とか色々とあるんだが……
「それは……どうなんでしょうね?」
二人して完全に困ってしまうのだった。
現在、俺達は何やら超常の存在に拉致されたようだ。
洞窟から外に出たら異世界なのだろう。
いや、まぁ。
洞窟から出て地球でしたって落ちなら笑い話で済むんだが、ステータスという魔法が使えるからなぁ。
そのステータスに表示さている内容。それを見るに、どうやらポイントを取得してスキルなるものを取得していくことが出来るらしい。
その取得スキルには幾つか種類があり、そしてそれはツリー状。つまり分岐している。
マジでゲームみたいだ。
ポイントの取得方法が分からないのが不親切で理不尽な内容の。
「加瀬さん。そろそろ洞窟から出ませんか?」
「あん?」
「冒険の旅に出発ですよ!」
バカハルが目を輝かせて俺の上着の袖を引っ張る。マジでこいつ楽しんでやがるよ。
「しっかしどうすっかなぁ」
「何がですか?」
「装備だよ。荷物一式全部。車の中だ」
俺の言葉にハルが「あっ!」と言う表情をした。
考えてなかったな?
俺は溜め息を吐くのだった。
※
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※
洞窟の電気は点けたままで、そのまま来た道を引き返す。すると扉の前には車があった。ハルが叫ぶ。
「あっ! ランドクルーザー! 加瀬さん!」
これは望外のラッキー。あの愉快犯。どうやら俺たちの装備一式も転移させてくれたらしい。
「これで少しは生き残れる算段が出てきたか?」
そう叫んで、車に近寄った俺たちは周囲の風景の違いに気がついた。そこは北海道の原野というより、ヨーロッパ辺りの丘陵地帯のそれだった。
「マジで風景が変わってるよ……」
さすがのハルも唖然としている。
まぁ何はともあれ、装備の確認だ。車外から中を見るに、どうやら来た時そのままらしい。車の後ろの荷台には解体したエゾシカも載っている。
さっそく車内に入り、エンジンが掛かるか試す。
すると問題なく動くことが分かった。
ハルが助手席に座り、飲みかけのペットボトルのお茶を一口。俺も少し落ち着くために水筒のコーヒーを飲んだ。
「ふぅ」
ホット一息。さて。これからどうすっかな。悩んでいるとハルが口を開いた。
「とりあえず異世界人を探しませんか?」
俺は首を左右に降る。
「それは良い案だが、でも問題は言語が分かるかどうかだ」
「あー。その問題があったか。なら、どうします?」
「さっきスキルツリーを見たときに『環境』と言う項目に異世界言語というスキルがあった。幾つか言語に種類が有るようだが。まぁ、それの内のどれかを取得すれば、おそらく意思の疎通が出来ると思う」
「なるほど。この車はどうします?」
「捨てていくには勿体ないよな?」
「ですね。周囲の環境を見るに、足として必要そうですし」
周囲に人工物は一切ない。
「車で丘陵地帯を流しながら、スキルを取るためのポイントを稼ぐとしよう」
俺の提案にハルが言う。
「スキルポイントの取得ってどうやるんですかね?」
「それは……ゲームなんかだと魔物を倒してレベルが上ったりすればポイントが手に入るようなことを言っていたな」
以前、息子がそんな事を言っていた気がする。
「カズ君ですか?」
「あぁ」
「う~ん。なら、流しの途中で何か獲物が居たら狩ります?」
ハルの提案に俺は難色を示す。
「良いのかな?」
「何がですか?」
「無断、無許可で狩って?」
日本だと狩っていい対象とか、区域とか色々とあるんだが……
「それは……どうなんでしょうね?」
二人して完全に困ってしまうのだった。
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