45 / 74
045:冬の森での狩り
しおりを挟む
領都で冬を過ごす事になった俺たちは、さっそくランドクルーザーに乗り込み北の森を目指した。森までは車で2時間ほどで着いた。そしてさっそく危険だという北の森へと踏み込む。
現在の時刻は朝の9時頃。新雪の柔らかな感触を感じながら森を進む。すると森の浅い層だというのに、さっそく魔物と遭遇した。ゴブリンとそれより一回り大きな赤黒い肌の鬼もいる。
「ホブゴブリンだ。ゴブリンの上位種で強いぞ」
ラーダにそう聞いた俺は「銃が通用するか試したいがいいか?」と皆に確認する。全員から許可をもらったので、さっそく試してみる。周りのゴブリンを速やかに排除するべく銃を発砲。
「ん? 少し硬いか?」
普通のゴブリンに見えるが違うのか?
まぁいい。残ったホブゴブリンの心臓付近を撃ち抜く。通常の銃より静音性が増しているとはいえ完全には音は消えていない。タァーンという音は静かな森に響く。白い雪に真っ赤な血飛沫が舞う。
が……
「一発で沈まない!」
威力も増しているはずの銃の攻撃に耐えた。そしてホブゴブリンは吠えた。
「がぁああああ!」
瞬間。身を屈め、こちらに突っ込んでくる。
「もう一発!」
そう思って銃を構えた所で、ホブゴブリンが前のめりに倒れた。しばらく様子を確認して息を吐く。
「ふぅ……」
参ったなこりゃ。ラーダが真横にやってくる。
「タフだろ?」
「あぁ。これは困った。俺の銃でこれだとハルの散弾銃だと厳しいな」
ハルが提案してきた。
「余っている1ポイント使って威力あげます?」
「そうだな。だが少し反動がきつくなるぞ?」
「そうでした……どうしましょう?」
「まだポイントは取っていてくれ。少し考えよう」
「はい」
俺たちが話している間に、ジャックとエリスがゴブリンの解体をしている。人型の魔物は基本的に魔石ぐらいしか使い道がない。解体もすぐに終わる。
「とりあえず進もう。出来ればハルのレベルを上げたい。できる限りでいいから彼女に任せたいがいいか?」
ラーダに確認を取る。
「あぁ。攻撃力のアップは急務だからな」
こうして、さらに奥へと進む。
「ところで、ずいぶんと浅い層で魔物が出てきたな」
俺の感想にエリスが答える。
「えぇ。冬場は餌が少なくなりますからね。その分、彼らの行動範囲が上がるんです」
「なるほど。おっ、この足跡は……鹿……か? それにしては少し大きいか?」
ラーダに尋ねるが「何だろうな。分からん」と返ってきた。隣に来たエリスが変わりに答えてくれた。
「レッドアイかもしれませんね」
「レッドアイ?」
「見た目は鹿ですが魔物です。赤い目が特徴なんです」
「強さは?」
「メスかオスかで変わりますね。オスは強いです。ホブゴブリンでさえ狩られます。メスは臆病で基本的には襲いかかっては来ません」
そこまで会話をしたところでハルに指示を出す。
「ハル。訓練だ。メスなら狩るところまで任せる」
「はい!」
こうして冬の森での狩りが本格的に始まるのだった。
現在の時刻は朝の9時頃。新雪の柔らかな感触を感じながら森を進む。すると森の浅い層だというのに、さっそく魔物と遭遇した。ゴブリンとそれより一回り大きな赤黒い肌の鬼もいる。
「ホブゴブリンだ。ゴブリンの上位種で強いぞ」
ラーダにそう聞いた俺は「銃が通用するか試したいがいいか?」と皆に確認する。全員から許可をもらったので、さっそく試してみる。周りのゴブリンを速やかに排除するべく銃を発砲。
「ん? 少し硬いか?」
普通のゴブリンに見えるが違うのか?
まぁいい。残ったホブゴブリンの心臓付近を撃ち抜く。通常の銃より静音性が増しているとはいえ完全には音は消えていない。タァーンという音は静かな森に響く。白い雪に真っ赤な血飛沫が舞う。
が……
「一発で沈まない!」
威力も増しているはずの銃の攻撃に耐えた。そしてホブゴブリンは吠えた。
「がぁああああ!」
瞬間。身を屈め、こちらに突っ込んでくる。
「もう一発!」
そう思って銃を構えた所で、ホブゴブリンが前のめりに倒れた。しばらく様子を確認して息を吐く。
「ふぅ……」
参ったなこりゃ。ラーダが真横にやってくる。
「タフだろ?」
「あぁ。これは困った。俺の銃でこれだとハルの散弾銃だと厳しいな」
ハルが提案してきた。
「余っている1ポイント使って威力あげます?」
「そうだな。だが少し反動がきつくなるぞ?」
「そうでした……どうしましょう?」
「まだポイントは取っていてくれ。少し考えよう」
「はい」
俺たちが話している間に、ジャックとエリスがゴブリンの解体をしている。人型の魔物は基本的に魔石ぐらいしか使い道がない。解体もすぐに終わる。
「とりあえず進もう。出来ればハルのレベルを上げたい。できる限りでいいから彼女に任せたいがいいか?」
ラーダに確認を取る。
「あぁ。攻撃力のアップは急務だからな」
こうして、さらに奥へと進む。
「ところで、ずいぶんと浅い層で魔物が出てきたな」
俺の感想にエリスが答える。
「えぇ。冬場は餌が少なくなりますからね。その分、彼らの行動範囲が上がるんです」
「なるほど。おっ、この足跡は……鹿……か? それにしては少し大きいか?」
ラーダに尋ねるが「何だろうな。分からん」と返ってきた。隣に来たエリスが変わりに答えてくれた。
「レッドアイかもしれませんね」
「レッドアイ?」
「見た目は鹿ですが魔物です。赤い目が特徴なんです」
「強さは?」
「メスかオスかで変わりますね。オスは強いです。ホブゴブリンでさえ狩られます。メスは臆病で基本的には襲いかかっては来ません」
そこまで会話をしたところでハルに指示を出す。
「ハル。訓練だ。メスなら狩るところまで任せる」
「はい!」
こうして冬の森での狩りが本格的に始まるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる