50 / 74
050:2枚の依頼表
しおりを挟む
翌朝。野営設備を撤収して、来た時とは違うルートで帰る。当然のようにゴブリンやホブゴブリン。オークなんかが出た。野生動物と違って魔物は冬でも元気なようだ。
狩人としては有り難いが、地元の人間にとっては本当に困った生き物なんだと思う。ザックザックザックと雪の上を歩く。真っ白い雪に自分たちの痕跡が残されていく。
ちなみに熊の肉やら毛皮やら胆やらは格納に入れてある。時間を停止させるような機能はなく温度調整もされていない。普通に俺たちのいる環境に作用されているようだ。
およそ半日を掛けて森を出て、車に乗り込み安全運転でトロトロと走る。
除雪がされていない雪道。どこに何が埋まっているかわからないからな。
来たときには2時間だったが領都に帰るのに3時間かかった。まぁ徒歩だとその倍以上掛かるであろうことを考えれば贅沢な話なんだけど。
領都についた時には、すでに日が暮れていた。大門は閉まっていたが、横の小さな出入り口は空いているので、兵士にお願いして通してもらった。
「ふぅ。人の世界だぁ」
ラーダが大きく息を吐いている。俺はさっそく指示を出す。
「二手に別れよう。宿を確保する組とハンターギルドで換金する組に」
するとハンターギルドには俺とエリスさんとジャックで行くことになり、ハルとラーダが宿を確保する組となった。
珍しい組み合わせになったが、特に意味はない。それぞれが行きたいところを示しただけだ。
「よっしゃ。じゃあ俺は宿だな。ハル行くぞ」
「あいあ~い。部屋割りは前回と同じでいいんだよね?」
俺は頷く。
「あぁ。大部屋とハルとエリスが泊まる二人部屋だな。じゃあ頼んだぞ」
「あいあ~い」
こうして、俺とジャックとエリスで行動を開始するのだった。途中でのこと。
「エリスさんもジャックもギルドで依頼を探すんだよな?」
エリスが頷く。
「そうですね。冬にしか採れない薬草なんていうのもありますから。もし依頼があるのなら受けておこうかと」
俺はなるほどと頷き、ジャックを見る。
「ジャックは?」
「僕は勉強ですね。冬の仕事にどういうのがあるのかぁとか。熊は幾らで売れるのかぁとか」
「勉強?」
「あはは。はい。まぁ知っておいて損はない、かなぁと」
「ふぅん。勉強熱心だな?」
「ふふ。えぇ。ちゃんとした大人になりたいですから!」
そうか。いい心がけだな。
そんな会話を交わしているとハンターギルドに到着した。中へと入る。まだ利用は数回ほど。ほとんど初心者と変わらない。ベテランのエリスに中堅から上位どころのジャックとラーダという仲間に恵まれ、こなす仕事は間の中堅どころとなっている。
俺とジャックは受付へ。エリスが依頼表の確認に行ったのだった。
熊は結構いい値段で売れた。毛皮も胆も肉もだ。ジャックが驚いている。
「結構いい値段になりましたね」
「これは、ありがたいな」
他にもゴブリンやホブゴブリン。オークの魔石も売れた。レッドアイもいい値段になった。たった2日で金貨1枚と銀貨や銅貨がジャラジャラ、という感じだ。
俺たちが換金している間にエリスが依頼表を持ってきた。何故か2枚も持っている。
「こっちが薬草の依頼。もう一枚がちょっと面白そうな内容なので持ってきました」
そう言って、彼女が見せてくれた紙には北の森で噂される未確認生物の発見・調査。可能なら討伐の依頼という文字が書かれていた。
狩人としては有り難いが、地元の人間にとっては本当に困った生き物なんだと思う。ザックザックザックと雪の上を歩く。真っ白い雪に自分たちの痕跡が残されていく。
ちなみに熊の肉やら毛皮やら胆やらは格納に入れてある。時間を停止させるような機能はなく温度調整もされていない。普通に俺たちのいる環境に作用されているようだ。
およそ半日を掛けて森を出て、車に乗り込み安全運転でトロトロと走る。
除雪がされていない雪道。どこに何が埋まっているかわからないからな。
来たときには2時間だったが領都に帰るのに3時間かかった。まぁ徒歩だとその倍以上掛かるであろうことを考えれば贅沢な話なんだけど。
領都についた時には、すでに日が暮れていた。大門は閉まっていたが、横の小さな出入り口は空いているので、兵士にお願いして通してもらった。
「ふぅ。人の世界だぁ」
ラーダが大きく息を吐いている。俺はさっそく指示を出す。
「二手に別れよう。宿を確保する組とハンターギルドで換金する組に」
するとハンターギルドには俺とエリスさんとジャックで行くことになり、ハルとラーダが宿を確保する組となった。
珍しい組み合わせになったが、特に意味はない。それぞれが行きたいところを示しただけだ。
「よっしゃ。じゃあ俺は宿だな。ハル行くぞ」
「あいあ~い。部屋割りは前回と同じでいいんだよね?」
俺は頷く。
「あぁ。大部屋とハルとエリスが泊まる二人部屋だな。じゃあ頼んだぞ」
「あいあ~い」
こうして、俺とジャックとエリスで行動を開始するのだった。途中でのこと。
「エリスさんもジャックもギルドで依頼を探すんだよな?」
エリスが頷く。
「そうですね。冬にしか採れない薬草なんていうのもありますから。もし依頼があるのなら受けておこうかと」
俺はなるほどと頷き、ジャックを見る。
「ジャックは?」
「僕は勉強ですね。冬の仕事にどういうのがあるのかぁとか。熊は幾らで売れるのかぁとか」
「勉強?」
「あはは。はい。まぁ知っておいて損はない、かなぁと」
「ふぅん。勉強熱心だな?」
「ふふ。えぇ。ちゃんとした大人になりたいですから!」
そうか。いい心がけだな。
そんな会話を交わしているとハンターギルドに到着した。中へと入る。まだ利用は数回ほど。ほとんど初心者と変わらない。ベテランのエリスに中堅から上位どころのジャックとラーダという仲間に恵まれ、こなす仕事は間の中堅どころとなっている。
俺とジャックは受付へ。エリスが依頼表の確認に行ったのだった。
熊は結構いい値段で売れた。毛皮も胆も肉もだ。ジャックが驚いている。
「結構いい値段になりましたね」
「これは、ありがたいな」
他にもゴブリンやホブゴブリン。オークの魔石も売れた。レッドアイもいい値段になった。たった2日で金貨1枚と銀貨や銅貨がジャラジャラ、という感じだ。
俺たちが換金している間にエリスが依頼表を持ってきた。何故か2枚も持っている。
「こっちが薬草の依頼。もう一枚がちょっと面白そうな内容なので持ってきました」
そう言って、彼女が見せてくれた紙には北の森で噂される未確認生物の発見・調査。可能なら討伐の依頼という文字が書かれていた。
0
あなたにおすすめの小説
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ
天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。
ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。
そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。
よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。
そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。
こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
アーティファクトコレクター -異世界と転生とお宝と-
一星
ファンタジー
至って普通のサラリーマン、松平善は車に跳ねられ死んでしまう。気が付くとそこはダンジョンの中。しかも体は子供になっている!? スキル? ステータス? なんだそれ。ゲームの様な仕組みがある異世界で生き返ったは良いが、こんな状況むごいよ神様。
ダンジョン攻略をしたり、ゴブリンたちを支配したり、戦争に参加したり、鳩を愛でたりする物語です。
基本ゆったり進行で話が進みます。
四章後半ごろから主人公無双が多くなり、その後は人間では最強になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる