医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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111話 婦人科にて

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産婦人科医の川瀬から火曜の5時に予約が取れたから、検査結果を聞いて欲しいと連絡があった。5時からなら行けるね。俺がネット診療を4時に終わるから、4時20分には莉子を大学に迎えに行くからね。一緒に病院へ行こう。莉子は当日スカートを履くのを忘れないでね。寒かったら、病院のトイレでスカートに着替えてもいいよ。

当日、大学に莉子を迎えに行くと、莉子はもう緊張していた。
大丈夫だよ。俺が付いているからねと莉子の手を握った。病院に着くと、すぐ手続きをして婦人科の外来に行った。もちろん車から降りた時から俺たちは手を絡めて繋いでいた。病院スタッフにはもう妹だと公認だからね。(笑)
これで指輪でもして行ったら、ハチの巣をつついたみたいな大騒ぎになることは間違いなしだからな。

着いたら5分もしないうちに呼ばれた。今日は俺も一緒に結果を聞くことを伝えていたんだけど、先に莉子だけ呼ばれた。術後を診察するのだそうだ。終わってからは俺も呼んでくれた。二人で結果を聞く。

「まず莉子ちゃんは手術後の状態は全く問題はないです。ただ、子宮内膜症の癒着は、改善出来た部分と無理な部分があります。穴を開けた表面の腸などの部分は癒着を剥がせたのですが、ダグラス窩などはちょっと回りの組織が薄くて腸に密接しているし、難しいので今回は癒着を剥がすことが出来ていません。そういうわけで、排便痛はそれなりに強いかもしれません。
摘出した卵巣付近の癒着は剥がせています。あとは右側の卵巣にエコーを掛けましたが、いまのところ、異常は感じられません。
あと、摘出した左の卵巣の組織検査結果ですが、チョコレート嚢腫であることがわかりました。これは良性です。
この卵巣の中で子宮内膜が蓄積した結果、チョコレート色の嚢腫になったということです。早く摘出して良かったですよ。放っておいてらどんどん大きくなっていたと思いますからね。
莉子ちゃんはこれからも薬の治療を続けてね。子宮内膜症はずっと付き合っていかないといけない病気なので、何とかうまく折り合いを付けてやっていきましょう」

「それと妊娠を希望していると聞いたんだけど、北原も同じなの?」 うん、まあ、できることなら莉子が欲しがっているから、俺の方はいつでもかまわない。
「じゃあ、その方向で薬などを考えていきましょう。ただあまり期待しないでじっくりと取り組んでいきましょうね。でも今は術後でもあるので、もう少し内膜症の治療を優先しましょう。はい、では今日は終わりです。莉子ちゃんも北原も早く赤ちゃんが出来るといいねえ」
「はい。よろしくお願いします」と莉子が照れくさそうに頬笑んだ。
俺たちは手を繋いで病院内を歩き、会計をしてから薬を受け取って車に向かった。

莉子、今日は疲れただろう?学校も4限まであったし、それから病院だからな。スカートだから足元は寒くないか?
後部座席のひざ掛けをかけてやる。すぐ帰ろうな。で、一緒に風呂に入ろうよ。「うん」莉子はそういうと目をつぶった。疲れたようだ。
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