医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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211話 夏輝サイド・目覚めたら抱きしめたい・6 喋った!

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 莉子とお兄さんが同じ病室になってもう3週間が過ぎたよ。
莉子はうれしくてうれしくて、お兄さんにもう朝から夜までなんでも話しかけているんだよ。お兄さんを寝かせないつもり?なんて俺が言うんだけどさ。
まあ、お兄さんは莉子がいくら喋ろうと、関係なく疲れたら眠ってしまうからいいんだけどさ。

不便と言えば、莉子の身体を拭く時かな。莉子だけカーテンがないんだよ。だから部屋のドアを閉めるんだけど、
なんせ出入りが激しいからさ、大分気を使うよね。でも今更仕方がないから、いつものようにやっているんだけどね。
コットンでペタペタと莉子に化粧水を付けていると、ナースの人がくすくすと笑って、皆で見に来るんだよね。
もう~全く……。思いっきりやれないよ。でも気にしないで、いつものように、乳液もつけてあげるんだ。もちろん手と足にもね。
するとまたナースの人たちが大して用もないのに来るんだよ。全く、はあ~。もう勘弁してくれ。ふたりっきりになりたいよ。
でさ、莉子の好きな足のサウナをすると、また覗きに来て、「莉子ちゃん、いいわね~」とか言っちゃってさ、うるさいんだよ。

そしたら莉子が「エへへへ、気持ちがいいです」って答えるからさ、それで会話が成り立ってんじゃん。また来るぜ。(莉子、頼むから無視しろよ・・・とは言えなんだよね。これがさ)

そういえば、お兄さんがナースはうるさいと言っていたことを思い出したよ。なるほど、お兄さんくらい超イケメンでカッコいい医者だと、さぞモテるだろうなあと思ったよ。
結婚したのが義妹だったからなんとか納まったのかもしれないな。はあ……。

ところで、お兄さんの回復ぶりはすごいよ。どんどん日々進歩しているんだよ。
昨日、病室に行って、お兄さんの顔のそばに顔を寄せたら、「な、つ」って言ったんだ!! 莉子もあわててそばに行って、顔を寄せたら「り、こ」って言ったんだ。

うわ~と莉子と抱き合ってクルクル回って喜んだんだ。そしたら、それが医局に聞こえたらしくて、一斉に来たよ。ふふふ。医師にナースたちがみんな覗きに来たんだよ。

「お兄さんが俺の名前を言ったんですよ」莉子も「私の名前も言ったんです」というと、みんなでうわ~と言ってパチパチと拍手をしたんだよ。あははは。

それくらいみんなにとってうれしいことだったんだ。記憶が戻ってきているってことでしょう?意識障害が治ってきているということだよね?俺だって勉強しているんだよ。お兄さんの症状のことはね。

また今夜も両親に聞かせてやらないといけないよ。はあ、こんなにうれしいなんてね。
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