589 / 996
592話 最後の夜
しおりを挟む
おいしいフランス料理が楽しめた。写真もいっぱい撮ったし、これでエリナさんも提供先への義理も果たせるだろう。
部屋に戻るとすぐ着替えた。すごい洋服の数だ。
車もトウモロコシの段ボールが大きすぎるから、洋服まで積むのは無理だね。
「莉子、もう要らない服は全部宅急便で送っちゃおうか?」
莉子「うん、それが良いよ。だって車がすごいことになってるもん」
夏に明日、洋服を宅急便で送ることをメールした。
そしたら「すぐ段ボールをフロントに頼んだから、貰ってそっちに持って行きます」と返信が来た。
こういう時の夏は本当に優れたマネージャーになってくれる。
送りたい洋服をベッドに並べていると、もう夏が来た。3箱も持ってきたよ。
まあ、3人分だからそれくらいになる。「俺も1箱送ります」と言っていた。
我が家のクローゼットもそろそろ中身が多くなってきたんだよね。
荷物を詰め込んだところで、莉子が言った。
莉子「春ちゃん、今夜は夏のそばにいてあげたら?泣いてたしさ、きっと寂しがると思うよ。スポンサーのお礼だよ」
「いいのか?」
莉子「うん、いいよ。春ちゃんを貸してあげるよ。それに私はなんだか疲れたからもうすぐ寝るよ」
「わかった。ありがとうね」
「とりあえず、カートを借りて来るよ」 行こうとしたら、先に夏がカートを引いてやって来た。
なんてタイミングが良いんだ。しかも宅急便の伝票まで書いている。
送料は莉子の経費だから莉子の法人カードを使うのだそうだ。儲けた!(笑)
しかもガムテープまで借りてきてくれた。こっちは詰め込むだけだから簡単だ。
夏がどんどん詰め込んでテープで止めてくれた。さあ、OKだね。
「俺も一緒に行くよ。今夜は夏の部屋で寝ることになったからさ」
夏「えっ? 莉子良いの?」
「うん、いいよ、楽しい旅をありがとうね。春ちゃんをこき使って良いよ」
夏「莉子、ありがとうね。じゃあ、お兄さんにはカートを押してもらおうかなあ?」
「ふっ、ちょっと待って。着替えを持って行くよ」
「じゃあ、お休みなさい」とカートと共に部屋を出た。夏がニヤリとしている。
「うれしいか? でもまだ身体を大事にしないと駄目だよ。あとで風呂に行こうか?最後の夜だから温泉に入った方がいいよ」
「はい」
荷物を出した後は、二人で大浴場に行った。
さっと身体を洗った後は、また露天風呂から満天の空を眺めた。
「夏、この旅行が夏にとってはあまり楽しくなかったんじゃないか?別に無理しなくていいよ」
夏「俺は、まだ自分の身体がよく分からないんです。もうおなかは痛くないから、気持ちの上では治っていると思うんだけど、普通に食べると裏切られる。もう治らないような気もするし、いつになったら本当に治るのかもうわからないから、仕事に行く自信がないです」
「夏、おいで」そばに来た夏の手を握った。
「絶対治るよ。でも多分6か月くらいはかかると思うよ。焦らないでいいから、身体は大事にしようよ」
「うん」と頷いて下を向いた。さあ、のぼせるから上がろうか。
ベッドに入ると、夏が胸に顔を寄せてきた。
「夏、完全に治って自信が出るまでは研修を休んだらどうだ?いっそ1年くらい休むか?無理に専攻医にならなくてもいいんだ。しばらくゆっくり過ごした方がいいよ。夏は身体だけじゃなくて、心がすごく疲れているんだよ。だから時間がかかるよ。毎日遊んで暮らしてもいいしさ。少し仕事を離れたらどうだ?診断書は俺が書いてやるからさ」
夏はずっと目をつぶって聞いていた。
「本当にそんなに休んでもいいの?」
「うん、いいよ。今まで医大を受験すると決めた時からずっと、突っ走ったままだから、気持ちが疲れたんだよ。心に重荷があると、いくら食事療法をしても中々効果は上がらないんだよ。夏一人くらい俺が養うさ」
「お兄さん、いつもありがとう。俺のことをいつも考えてくれてすごくうれしい。お言葉に甘えて休ませてもらいます。でも期間は1年じゃなくてもいいです。半年くらいでもいいかなあ?」
「うん、いいよ。ゆっくり遊ぶことでも考えろよ」
「うん、そうするね。じゃあ、お兄さん、今から遊んでほしい・・」
「ん? そう来るか・・しょうがないな。治りが遅くなっても知らないぞ」
それから深いキスを何回もして、結局夏を喜ばせてしまった。まあ、軽くだけどさ。
来週、また診断書を書いて送っておこう。
部屋に戻るとすぐ着替えた。すごい洋服の数だ。
車もトウモロコシの段ボールが大きすぎるから、洋服まで積むのは無理だね。
「莉子、もう要らない服は全部宅急便で送っちゃおうか?」
莉子「うん、それが良いよ。だって車がすごいことになってるもん」
夏に明日、洋服を宅急便で送ることをメールした。
そしたら「すぐ段ボールをフロントに頼んだから、貰ってそっちに持って行きます」と返信が来た。
こういう時の夏は本当に優れたマネージャーになってくれる。
送りたい洋服をベッドに並べていると、もう夏が来た。3箱も持ってきたよ。
まあ、3人分だからそれくらいになる。「俺も1箱送ります」と言っていた。
我が家のクローゼットもそろそろ中身が多くなってきたんだよね。
荷物を詰め込んだところで、莉子が言った。
莉子「春ちゃん、今夜は夏のそばにいてあげたら?泣いてたしさ、きっと寂しがると思うよ。スポンサーのお礼だよ」
「いいのか?」
莉子「うん、いいよ。春ちゃんを貸してあげるよ。それに私はなんだか疲れたからもうすぐ寝るよ」
「わかった。ありがとうね」
「とりあえず、カートを借りて来るよ」 行こうとしたら、先に夏がカートを引いてやって来た。
なんてタイミングが良いんだ。しかも宅急便の伝票まで書いている。
送料は莉子の経費だから莉子の法人カードを使うのだそうだ。儲けた!(笑)
しかもガムテープまで借りてきてくれた。こっちは詰め込むだけだから簡単だ。
夏がどんどん詰め込んでテープで止めてくれた。さあ、OKだね。
「俺も一緒に行くよ。今夜は夏の部屋で寝ることになったからさ」
夏「えっ? 莉子良いの?」
「うん、いいよ、楽しい旅をありがとうね。春ちゃんをこき使って良いよ」
夏「莉子、ありがとうね。じゃあ、お兄さんにはカートを押してもらおうかなあ?」
「ふっ、ちょっと待って。着替えを持って行くよ」
「じゃあ、お休みなさい」とカートと共に部屋を出た。夏がニヤリとしている。
「うれしいか? でもまだ身体を大事にしないと駄目だよ。あとで風呂に行こうか?最後の夜だから温泉に入った方がいいよ」
「はい」
荷物を出した後は、二人で大浴場に行った。
さっと身体を洗った後は、また露天風呂から満天の空を眺めた。
「夏、この旅行が夏にとってはあまり楽しくなかったんじゃないか?別に無理しなくていいよ」
夏「俺は、まだ自分の身体がよく分からないんです。もうおなかは痛くないから、気持ちの上では治っていると思うんだけど、普通に食べると裏切られる。もう治らないような気もするし、いつになったら本当に治るのかもうわからないから、仕事に行く自信がないです」
「夏、おいで」そばに来た夏の手を握った。
「絶対治るよ。でも多分6か月くらいはかかると思うよ。焦らないでいいから、身体は大事にしようよ」
「うん」と頷いて下を向いた。さあ、のぼせるから上がろうか。
ベッドに入ると、夏が胸に顔を寄せてきた。
「夏、完全に治って自信が出るまでは研修を休んだらどうだ?いっそ1年くらい休むか?無理に専攻医にならなくてもいいんだ。しばらくゆっくり過ごした方がいいよ。夏は身体だけじゃなくて、心がすごく疲れているんだよ。だから時間がかかるよ。毎日遊んで暮らしてもいいしさ。少し仕事を離れたらどうだ?診断書は俺が書いてやるからさ」
夏はずっと目をつぶって聞いていた。
「本当にそんなに休んでもいいの?」
「うん、いいよ。今まで医大を受験すると決めた時からずっと、突っ走ったままだから、気持ちが疲れたんだよ。心に重荷があると、いくら食事療法をしても中々効果は上がらないんだよ。夏一人くらい俺が養うさ」
「お兄さん、いつもありがとう。俺のことをいつも考えてくれてすごくうれしい。お言葉に甘えて休ませてもらいます。でも期間は1年じゃなくてもいいです。半年くらいでもいいかなあ?」
「うん、いいよ。ゆっくり遊ぶことでも考えろよ」
「うん、そうするね。じゃあ、お兄さん、今から遊んでほしい・・」
「ん? そう来るか・・しょうがないな。治りが遅くなっても知らないぞ」
それから深いキスを何回もして、結局夏を喜ばせてしまった。まあ、軽くだけどさ。
来週、また診断書を書いて送っておこう。
5
あなたにおすすめの小説
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写はすべて架空です。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?
すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。
お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」
その母は・・迎えにくることは無かった。
代わりに迎えに来た『父』と『兄』。
私の引き取り先は『本当の家』だった。
お父さん「鈴の家だよ?」
鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」
新しい家で始まる生活。
でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。
鈴「うぁ・・・・。」
兄「鈴!?」
倒れることが多くなっていく日々・・・。
そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。
『もう・・妹にみれない・・・。』
『お兄ちゃん・・・。』
「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」
「ーーーーっ!」
※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。
※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。
※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる