医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語

スピカナ

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592話 最後の夜

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 おいしいフランス料理が楽しめた。写真もいっぱい撮ったし、これでエリナさんも提供先への義理も果たせるだろう。 

部屋に戻るとすぐ着替えた。すごい洋服の数だ。

車もトウモロコシの段ボールが大きすぎるから、洋服まで積むのは無理だね。

「莉子、もう要らない服は全部宅急便で送っちゃおうか?」

莉子「うん、それが良いよ。だって車がすごいことになってるもん」

夏に明日、洋服を宅急便で送ることをメールした。

そしたら「すぐ段ボールをフロントに頼んだから、貰ってそっちに持って行きます」と返信が来た。

こういう時の夏は本当に優れたマネージャーになってくれる。

送りたい洋服をベッドに並べていると、もう夏が来た。3箱も持ってきたよ。

まあ、3人分だからそれくらいになる。「俺も1箱送ります」と言っていた。

我が家のクローゼットもそろそろ中身が多くなってきたんだよね。

荷物を詰め込んだところで、莉子が言った。

莉子「春ちゃん、今夜は夏のそばにいてあげたら?泣いてたしさ、きっと寂しがると思うよ。スポンサーのお礼だよ」

「いいのか?」

莉子「うん、いいよ。春ちゃんを貸してあげるよ。それに私はなんだか疲れたからもうすぐ寝るよ」

「わかった。ありがとうね」

「とりあえず、カートを借りて来るよ」 行こうとしたら、先に夏がカートを引いてやって来た。

なんてタイミングが良いんだ。しかも宅急便の伝票まで書いている。

送料は莉子の経費だから莉子の法人カードを使うのだそうだ。儲けた!(笑)

しかもガムテープまで借りてきてくれた。こっちは詰め込むだけだから簡単だ。

夏がどんどん詰め込んでテープで止めてくれた。さあ、OKだね。

「俺も一緒に行くよ。今夜は夏の部屋で寝ることになったからさ」

夏「えっ? 莉子良いの?」

「うん、いいよ、楽しい旅をありがとうね。春ちゃんをこき使って良いよ」

夏「莉子、ありがとうね。じゃあ、お兄さんにはカートを押してもらおうかなあ?」

「ふっ、ちょっと待って。着替えを持って行くよ」

「じゃあ、お休みなさい」とカートと共に部屋を出た。夏がニヤリとしている。

「うれしいか? でもまだ身体を大事にしないと駄目だよ。あとで風呂に行こうか?最後の夜だから温泉に入った方がいいよ」

「はい」

荷物を出した後は、二人で大浴場に行った。

さっと身体を洗った後は、また露天風呂から満天の空を眺めた。

「夏、この旅行が夏にとってはあまり楽しくなかったんじゃないか?別に無理しなくていいよ」

夏「俺は、まだ自分の身体がよく分からないんです。もうおなかは痛くないから、気持ちの上では治っていると思うんだけど、普通に食べると裏切られる。もう治らないような気もするし、いつになったら本当に治るのかもうわからないから、仕事に行く自信がないです」

「夏、おいで」そばに来た夏の手を握った。

「絶対治るよ。でも多分6か月くらいはかかると思うよ。焦らないでいいから、身体は大事にしようよ」

「うん」と頷いて下を向いた。さあ、のぼせるから上がろうか。


ベッドに入ると、夏が胸に顔を寄せてきた。

「夏、完全に治って自信が出るまでは研修を休んだらどうだ?いっそ1年くらい休むか?無理に専攻医にならなくてもいいんだ。しばらくゆっくり過ごした方がいいよ。夏は身体だけじゃなくて、心がすごく疲れているんだよ。だから時間がかかるよ。毎日遊んで暮らしてもいいしさ。少し仕事を離れたらどうだ?診断書は俺が書いてやるからさ」

夏はずっと目をつぶって聞いていた。

「本当にそんなに休んでもいいの?」

「うん、いいよ。今まで医大を受験すると決めた時からずっと、突っ走ったままだから、気持ちが疲れたんだよ。心に重荷があると、いくら食事療法をしても中々効果は上がらないんだよ。夏一人くらい俺が養うさ」

「お兄さん、いつもありがとう。俺のことをいつも考えてくれてすごくうれしい。お言葉に甘えて休ませてもらいます。でも期間は1年じゃなくてもいいです。半年くらいでもいいかなあ?」

「うん、いいよ。ゆっくり遊ぶことでも考えろよ」

「うん、そうするね。じゃあ、お兄さん、今から遊んでほしい・・」

「ん? そう来るか・・しょうがないな。治りが遅くなっても知らないぞ」

それから深いキスを何回もして、結局夏を喜ばせてしまった。まあ、軽くだけどさ。

来週、また診断書を書いて送っておこう。
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