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ある女の懺悔 2
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私はあの方に嘘をつくしかありませんでした。でなければ、あの方は私をどうなさったか分かりません。精神が錯乱しているようでしたから、私もあの方も、どちらも大変なことになっていたかもしれません。
これが後にこの話をもっと複雑にしてしまう事など、その時の私は知りませんでした。今でも最善の策だったと思っていますわ。
あの方は混乱なさって、しきりに同じことを言い続けるのです。
「お姉様が、ああ、お姉様にこれを見られたんだわ」
乱れたベッドを見て、ベッドの下に崩れ落ちてぶつぶつと呟くんです。
あの方はほろほろと涙を流して、表情を消し去ってしまわれました。私は本当にそれに危機感を持ったのです。このままではいけないのだと本能的に感じたのです。
ですから私は言いました。
「大丈夫です、大丈夫ですよ。イヤリングならば私が他のメイドに頼んでおいたのです。一刻も早く修理をしたいと思ったので、他のメイドを呼びつけて、修理屋に持って行くように命じたのです。お嬢様が入浴している間に、そう頼んだのですわ。だから心配しないでくださいまし」
そういえばあの方は心底安心したようにへなっと笑って、私の手を握りました。
私がいてよかった、というのです。私は罪悪感に苛まれながら、あの方のお手を握り返しました。その手はぞっとするほど冷たかった……。
真っ赤な嘘に、きっとあの方も多少は気づいていたでしょうね。私はそれほど要領のいい女ではございませんし。それでも私のそんな言葉を易々と信じてしまうくらい、あの方は弱っていたんです。何かが無ければ正常に戻れなかったんです。
私はあの方が、いつも無邪気に振舞っているあのお方が急に大人びた狂気を見せたことを信じたくはありませんでした。
こんなことがなければ、あと数年はお砂糖菓子のように育つことができたでしょうに。
汚い大人の欲望を知らなくて済んだのに。
私はいつもそう思って……そうして、いつのまにか旦那様のことを憎むほどまでになってしまいました。
あれからずっと、夜遅くに旦那様はあの方のお部屋を訪ねてくるのでございます。しかも、私はそれを断ることはできないのです。あの方からも旦那様からもお部屋に通すことが命じられていましたから。
……私も気が狂ってしまいそうだった。無理に笑うあの方にどんな声をかけていいか分かりませんでしたし、旦那様があの方のお部屋に行けば行くほど増えていくあの方の宝飾品やドレスを見ることが恐ろしかった。
それに、旦那様があの方のお部屋に来る前にする用意がなによりも嫌いでした。
白粉をはたいて、紅の紅をさして、旦那様の好む香水をつけて差し上げて、旦那様が買った夜着を着せることが苦痛でした。
あの方は旦那様と朝まで過ごすと、「ご褒美」を貰えるんだそうです。宝石やドレス、菓子や本まで、ありとあらゆるものが与えられるそうです。
あの方は拒む術を知らなかったし、あの方に旦那様を拒む権利なんてありませんでした。感情など必要ではないような扱いを受けるのですから、そりゃあそんな権利なんてカケラもなかったでしょう。
あの方は、次の日部屋に運び込まれる物をみるのが嫌いでした。嬉しそうに振る舞いながら、一瞬眉をひそめるのです。汚らわしい物を見たときのように、心底軽蔑しているような様子で。これは私の想像でしかありませんけど、あの方はご自分に対してその表情を浮かべていたのだと思います。娼婦のような真似をする私はなんなのだ、と時々嘆いておいででしたし。
あの方は旦那様とご一緒にお買い物に行くことも嫌いでした。本当に無欲な方なのです。暖かいベッドと三食の食事さえあれば十分なお方なのです。
それでも、あの方は笑い続けました。贈り物を貰うたび、旦那様が部屋に来るたびに。それはあの方の使命であるかのように、本当に自然に笑うのです。朗らかに、そして妖艶に。その笑みは見るものを魅了してしまう笑みでした。見る者の支配欲が顔を出してしまうような、恐ろしい程の笑みでした。それはあの方の本当の笑みではございません。あの方は心の底から嬉しくて笑った時にはそれはそれは清らかに笑うのですから。純粋に、気高く微笑まれるのですから。
奥様は、旦那様とあの方の関係に気づいておられたのでしょう。もともと線の細い方でしたから、あっという間にぼろぼろになってしまいました。あの方が旦那様に良いようにされているのはご自身のせいだと仰って、いつもいつも嘆かれていました。私はどんどんぼろぼろになっていくあの方と奥様を見続けていました。他の使用人達も同じです。私たちはただの使用人に過ぎないのですから、このお屋敷のことに、ましてや旦那様に意見することなんてできないんです。
そうしして、あの方はそれからずっと旦那様のお相手を続けておりました。
それもしばらくしたら変わってしまったのですけれども……。なんて言えばいいのか私にもわからないのです。どう言えばあの方の名誉を傷つけずにすむのか、分からないんです。
あれが始まったのはいつだったのか私は知らなかったのです。旦那様に仄めかされて、やっと気づいたんです。
……あの方が他の方のお相手をなさっているということに。
もちろん、あの方があばずれというわけではありません。自分から誘うような、そんな女の方ではございません。
それは……取引だったのでございます。私の支えているお屋敷の旦那様は、今の事業を拡大したいと望まれたんです。取引の相手をもっと高貴な方々に変えて商売をなさりたかったそうなんです。
何度も何度も商談を重ねて、やっとその契約が結ばれたのですけれど、それは期限付きの契約でございました。2、3年程の短い契約です。それほどまでに偉い方々と取引をしていたのですから、当たり前と言ってしまえばそうなのですけれどね。
旦那様はその御礼と、その契約を伸ばすためにあの方を差し出しました。それが、悪かったのでございます。それが一番良くなかったんです。
あの方はただただその指示に従うしかありませんでした。逃げるという考えなんて頭の中にないんです。毎日毎日続けられる地獄のようなことに、不幸なことに慣れてしまったのです。
あの方は日に日に目の光を失っていって、時々私に話して聞かせました。自分はお姫様であり、いつか王子様が迎えに来てくれるのだ、と。そうしたらお姉様と一緒に大きなお城で暮らすのだと。そう話した後、くすくす笑うんです。分かっているわ、私は平民の娘なの、でも、自分が高貴な人だって思ってなくちゃやりきれないじゃない? って、私に問いかけるんです。私はやっぱりどうすれば良いのかわかりませんでした。私ごときが慰めの言葉を口にしたって、あの方の気休めにもならないと察したんです。私の言葉が気休めになる時期なんて、とっくのとうに過ぎ去っていたのです。わたしはなんて声をかけて良いのかもわかりませんでしたから、私はただあの方の前に立ち尽くしていました。
そうこうしているうちにもお屋敷の空気は悪くなっていき、奥様の容態も悪化していきました。奥様による監視の目がなくなったことから旦那様の行動も悪くなっていき、あの方は最初の頃よりもずっと傷つけられていきました。食も細くなって、パンを少しとスープしかお食べにならないのです。あの方のお姉様との関係も悪化したようで、もうお二人が一緒にお食事をすることなどなくなりました。奥様もずっとベットに横になっている状態ですし、旦那様もお忙しそうにしておりますから夜遅くにしか帰宅なさいません。ですから、誰もあの方の異変に気がつかなかったんです。私はあの方に声をかけて、少しでも多くお食事を取って頂こうとしました。料理人に無理を言って胃に優しい料理を作ってもらったり、栄養を補うための薬をあちこちから取り寄せたのです。
あの方は私が頼めば少しずつお食事を取ってくれるようになりましたけれど、それでも普通の令嬢が食べる食事の量には程遠い量でした。……美しい令嬢は、子鳥のような量しか食べないと仰るでしょう? 本当に、そのくらいの量しかお食べにならないんです。月に一度お医者様に来ていただいて、少しだけお話をなさって、いくつかのお薬を貰って、それでやっと体がもっている状態でした。
不健康そうに見える表情をお化粧で誤魔化して、やせ細った体は布を贅沢に使われたドレスで隠していました。舞踏会に出るたびに、あの方は沢山の殿方に褒めそやされておりました。そうして、嬉しそうな顔を作るんです。それが彼らに望まれている表情だから、と言って。
どんどんと元気をなくしていくあの方と反対に、旦那様のお屋敷は潤っていきました。屋敷に高価な美術品が置かれるようになり、増築工事が施され、あの方のお姉様のためにガラスの温室が建てられました。あの方の部屋の壁紙も変わり、寝具は全てピンク色のシルク生地に豪奢な刺繍がなされたものにされました。
あの方のお姉様は自分専用の温室が建てられたことがとても嬉しかったようで、婚約者の方と一緒によく過ごしておられました。王宮に仕えていた庭師も呼ばれ、貴重な草花を取り寄せて、本当に美しい温室を作りあげておられました。
あの方は他の方にその温室の話を聞くと、よく表情を歪めました。あの方のお姉様は、絶対にあの方を温室に入れなかったのです。何が何でも入れたくないと仰って、きつくあの方に言いました。そうして、約束までさせたのです。私はそれをあの方から聞いた時、腹わたが煮え繰り返りそうになりました。あの方の犠牲の上にその温室は建てられたと言うのに、一切わかっていない、甘やかされた人に腹が立ったんです。ずっとぬるま湯に浸かってきた方が憎くて堪らなくなったんです。あの方はあんなに苦しんでおられるのに! 食事さえもできない状態になっておられるのに! がりがりにやせ細った体で、沢山の殿方に無体を強いられているのに!
……でも、あの方はお姉様のことが大好きでいらっしゃったから、その言う通りにして、約束を守られました。悲しそうにしながら、ベッドに寄りかかって部屋の窓から美しい温室を眺めていました。
その辺りだったと思います。
……あの方のお義母様がお亡くなりになったのは。
これが後にこの話をもっと複雑にしてしまう事など、その時の私は知りませんでした。今でも最善の策だったと思っていますわ。
あの方は混乱なさって、しきりに同じことを言い続けるのです。
「お姉様が、ああ、お姉様にこれを見られたんだわ」
乱れたベッドを見て、ベッドの下に崩れ落ちてぶつぶつと呟くんです。
あの方はほろほろと涙を流して、表情を消し去ってしまわれました。私は本当にそれに危機感を持ったのです。このままではいけないのだと本能的に感じたのです。
ですから私は言いました。
「大丈夫です、大丈夫ですよ。イヤリングならば私が他のメイドに頼んでおいたのです。一刻も早く修理をしたいと思ったので、他のメイドを呼びつけて、修理屋に持って行くように命じたのです。お嬢様が入浴している間に、そう頼んだのですわ。だから心配しないでくださいまし」
そういえばあの方は心底安心したようにへなっと笑って、私の手を握りました。
私がいてよかった、というのです。私は罪悪感に苛まれながら、あの方のお手を握り返しました。その手はぞっとするほど冷たかった……。
真っ赤な嘘に、きっとあの方も多少は気づいていたでしょうね。私はそれほど要領のいい女ではございませんし。それでも私のそんな言葉を易々と信じてしまうくらい、あの方は弱っていたんです。何かが無ければ正常に戻れなかったんです。
私はあの方が、いつも無邪気に振舞っているあのお方が急に大人びた狂気を見せたことを信じたくはありませんでした。
こんなことがなければ、あと数年はお砂糖菓子のように育つことができたでしょうに。
汚い大人の欲望を知らなくて済んだのに。
私はいつもそう思って……そうして、いつのまにか旦那様のことを憎むほどまでになってしまいました。
あれからずっと、夜遅くに旦那様はあの方のお部屋を訪ねてくるのでございます。しかも、私はそれを断ることはできないのです。あの方からも旦那様からもお部屋に通すことが命じられていましたから。
……私も気が狂ってしまいそうだった。無理に笑うあの方にどんな声をかけていいか分かりませんでしたし、旦那様があの方のお部屋に行けば行くほど増えていくあの方の宝飾品やドレスを見ることが恐ろしかった。
それに、旦那様があの方のお部屋に来る前にする用意がなによりも嫌いでした。
白粉をはたいて、紅の紅をさして、旦那様の好む香水をつけて差し上げて、旦那様が買った夜着を着せることが苦痛でした。
あの方は旦那様と朝まで過ごすと、「ご褒美」を貰えるんだそうです。宝石やドレス、菓子や本まで、ありとあらゆるものが与えられるそうです。
あの方は拒む術を知らなかったし、あの方に旦那様を拒む権利なんてありませんでした。感情など必要ではないような扱いを受けるのですから、そりゃあそんな権利なんてカケラもなかったでしょう。
あの方は、次の日部屋に運び込まれる物をみるのが嫌いでした。嬉しそうに振る舞いながら、一瞬眉をひそめるのです。汚らわしい物を見たときのように、心底軽蔑しているような様子で。これは私の想像でしかありませんけど、あの方はご自分に対してその表情を浮かべていたのだと思います。娼婦のような真似をする私はなんなのだ、と時々嘆いておいででしたし。
あの方は旦那様とご一緒にお買い物に行くことも嫌いでした。本当に無欲な方なのです。暖かいベッドと三食の食事さえあれば十分なお方なのです。
それでも、あの方は笑い続けました。贈り物を貰うたび、旦那様が部屋に来るたびに。それはあの方の使命であるかのように、本当に自然に笑うのです。朗らかに、そして妖艶に。その笑みは見るものを魅了してしまう笑みでした。見る者の支配欲が顔を出してしまうような、恐ろしい程の笑みでした。それはあの方の本当の笑みではございません。あの方は心の底から嬉しくて笑った時にはそれはそれは清らかに笑うのですから。純粋に、気高く微笑まれるのですから。
奥様は、旦那様とあの方の関係に気づいておられたのでしょう。もともと線の細い方でしたから、あっという間にぼろぼろになってしまいました。あの方が旦那様に良いようにされているのはご自身のせいだと仰って、いつもいつも嘆かれていました。私はどんどんぼろぼろになっていくあの方と奥様を見続けていました。他の使用人達も同じです。私たちはただの使用人に過ぎないのですから、このお屋敷のことに、ましてや旦那様に意見することなんてできないんです。
そうしして、あの方はそれからずっと旦那様のお相手を続けておりました。
それもしばらくしたら変わってしまったのですけれども……。なんて言えばいいのか私にもわからないのです。どう言えばあの方の名誉を傷つけずにすむのか、分からないんです。
あれが始まったのはいつだったのか私は知らなかったのです。旦那様に仄めかされて、やっと気づいたんです。
……あの方が他の方のお相手をなさっているということに。
もちろん、あの方があばずれというわけではありません。自分から誘うような、そんな女の方ではございません。
それは……取引だったのでございます。私の支えているお屋敷の旦那様は、今の事業を拡大したいと望まれたんです。取引の相手をもっと高貴な方々に変えて商売をなさりたかったそうなんです。
何度も何度も商談を重ねて、やっとその契約が結ばれたのですけれど、それは期限付きの契約でございました。2、3年程の短い契約です。それほどまでに偉い方々と取引をしていたのですから、当たり前と言ってしまえばそうなのですけれどね。
旦那様はその御礼と、その契約を伸ばすためにあの方を差し出しました。それが、悪かったのでございます。それが一番良くなかったんです。
あの方はただただその指示に従うしかありませんでした。逃げるという考えなんて頭の中にないんです。毎日毎日続けられる地獄のようなことに、不幸なことに慣れてしまったのです。
あの方は日に日に目の光を失っていって、時々私に話して聞かせました。自分はお姫様であり、いつか王子様が迎えに来てくれるのだ、と。そうしたらお姉様と一緒に大きなお城で暮らすのだと。そう話した後、くすくす笑うんです。分かっているわ、私は平民の娘なの、でも、自分が高貴な人だって思ってなくちゃやりきれないじゃない? って、私に問いかけるんです。私はやっぱりどうすれば良いのかわかりませんでした。私ごときが慰めの言葉を口にしたって、あの方の気休めにもならないと察したんです。私の言葉が気休めになる時期なんて、とっくのとうに過ぎ去っていたのです。わたしはなんて声をかけて良いのかもわかりませんでしたから、私はただあの方の前に立ち尽くしていました。
そうこうしているうちにもお屋敷の空気は悪くなっていき、奥様の容態も悪化していきました。奥様による監視の目がなくなったことから旦那様の行動も悪くなっていき、あの方は最初の頃よりもずっと傷つけられていきました。食も細くなって、パンを少しとスープしかお食べにならないのです。あの方のお姉様との関係も悪化したようで、もうお二人が一緒にお食事をすることなどなくなりました。奥様もずっとベットに横になっている状態ですし、旦那様もお忙しそうにしておりますから夜遅くにしか帰宅なさいません。ですから、誰もあの方の異変に気がつかなかったんです。私はあの方に声をかけて、少しでも多くお食事を取って頂こうとしました。料理人に無理を言って胃に優しい料理を作ってもらったり、栄養を補うための薬をあちこちから取り寄せたのです。
あの方は私が頼めば少しずつお食事を取ってくれるようになりましたけれど、それでも普通の令嬢が食べる食事の量には程遠い量でした。……美しい令嬢は、子鳥のような量しか食べないと仰るでしょう? 本当に、そのくらいの量しかお食べにならないんです。月に一度お医者様に来ていただいて、少しだけお話をなさって、いくつかのお薬を貰って、それでやっと体がもっている状態でした。
不健康そうに見える表情をお化粧で誤魔化して、やせ細った体は布を贅沢に使われたドレスで隠していました。舞踏会に出るたびに、あの方は沢山の殿方に褒めそやされておりました。そうして、嬉しそうな顔を作るんです。それが彼らに望まれている表情だから、と言って。
どんどんと元気をなくしていくあの方と反対に、旦那様のお屋敷は潤っていきました。屋敷に高価な美術品が置かれるようになり、増築工事が施され、あの方のお姉様のためにガラスの温室が建てられました。あの方の部屋の壁紙も変わり、寝具は全てピンク色のシルク生地に豪奢な刺繍がなされたものにされました。
あの方のお姉様は自分専用の温室が建てられたことがとても嬉しかったようで、婚約者の方と一緒によく過ごしておられました。王宮に仕えていた庭師も呼ばれ、貴重な草花を取り寄せて、本当に美しい温室を作りあげておられました。
あの方は他の方にその温室の話を聞くと、よく表情を歪めました。あの方のお姉様は、絶対にあの方を温室に入れなかったのです。何が何でも入れたくないと仰って、きつくあの方に言いました。そうして、約束までさせたのです。私はそれをあの方から聞いた時、腹わたが煮え繰り返りそうになりました。あの方の犠牲の上にその温室は建てられたと言うのに、一切わかっていない、甘やかされた人に腹が立ったんです。ずっとぬるま湯に浸かってきた方が憎くて堪らなくなったんです。あの方はあんなに苦しんでおられるのに! 食事さえもできない状態になっておられるのに! がりがりにやせ細った体で、沢山の殿方に無体を強いられているのに!
……でも、あの方はお姉様のことが大好きでいらっしゃったから、その言う通りにして、約束を守られました。悲しそうにしながら、ベッドに寄りかかって部屋の窓から美しい温室を眺めていました。
その辺りだったと思います。
……あの方のお義母様がお亡くなりになったのは。
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