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第二章カスヤロウあがき編
あがき7:カスヤロウ、バカヤロウと再会する
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「手詰まりだなー」
「せやなー」
金髪の男女が、昼間から酒場でグダグダしていた。彼らの名はテスターとヒース。第一章で主人公をしていた二人は、魔王の住む大地ピスタチオを目の前にしながらも、移動手段が無く足留めされたいた。
「せっかく魔王城が見える海岸まで来たのに、船が出せないってどういう事だよ」
「魔族の本拠地と下手に航路繋げたらアカン。地元民を責める事はでけへん」
「この国で冒険者としてランク上げて、信頼を得ればワンチャン船出してくれっかなー、よし、仕事しよ」
そんな訳でギルドの掲示板を見に行った二人だったが、そこで奇妙な張り紙を見つけた。
【神の契約書を持ちし者、アーモンド王国へ来たれ】
『私達は三人の人間を探しています。それは、天使と契約し神の恩恵を日替わりで受ける不死身の人間です。心当たりのある方は、アーモンド王国中央ギルドまでお越し下さい。力を合わせ魔王を倒しましょう』
テスターはその内容を三度読み返し、首を捻った。
「なんだこりゃ?宝探しの暗号か?」
ここまで読んでくれた読者の皆様はとっくにご存知ではあるが、再度言おう。テスターはアホだった。それは、冒険者として経験を積んだ今も変わらない。
「多分アタシらの事やで。アタシらにアーモンドまで来いって言っとるんや」
「これって、そーゆー事なの!?でも、ここってインゲンの最北端だぞ。ここからアーモンドって遠い!」
「大丈夫や。ちょっとアタシだけ空から先に行って宿屋予約しとくから」
「あー、その手があったか」
ヒースがギルドの外に出て、人目につかない様に飛び去った後、テスターも人目につかない様にしながら路地裏に入る。
「そろそろかな」
物陰で数時間仮眠をとった後、テスターは自分の胸にナイフを突き立てた。胸から血が吹き出し、暫くして死体が消滅する。
「おはよーさん。アーモンド中央ギルドが経営する宿屋やで」
「よっし、デスワープ成功」
自動復活の場所は寝床に指定した地点になる事と、天使は単体なら人智を超えた飛行速度で動けるのを利用し、アーモンド王国に最短で辿り着いたテスターは、そのままギルドの受付で自分達が張り紙の人物だと説明する。
「こちらでお待ち下さい」
本来ならばS級冒険者でないと入れない特別室へと案内されるテスターとヒース。二人が特別室に入るのを見届けた受付嬢は元の場所へと帰っていった。
「なあ、馬鹿金髪」
「なんだ?」
「ここまで来てから言うのも何やけど、何で試用者や天使の事が外部に漏れてるんやろ?アタシもお前もなるべくバレへん様にしてきたよな?」
「ああ、俺達でさえバラしたらマズイと思って他人の前では普通の冒険者してきた。つまり、この国のスキル試用者は俺やお前以上にアホなんだろうな」
他人に無い特別な力をわざわざ晒すのは馬鹿である。テスターの頭ではそのレベルの発想が限界だった。まあ実際、この情報を流した本人は神すら恐れぬ大きなリスクを背負っているのだからテスター以上に愚かという面があるのは否定できない。
「まあ、そいつがアホやとしてもこんな広告を出せる金持ちで事情通なのは確かやし、話聞いてヤバイ奴ならどついて、味方になれそうなら魔王の所さん行くスポンサーになって貰ったらええんちゃう?」
「うーん、とにかく話を聞かないと」
そんな会話をしていると、外から扉がノックされ、ラッコの着ぐるみを着た中年が入ってきた。
「マリアのお父さん…?」
「テスタメント殿下…?」
テスターとクレイムはお互いを見て固まる。
「「何でここにいるの?とっくに死んだものと思ってたのに??」」
この世界がこんな風になった原因のバカヤロウとカスヤロウ、一年ぶりの再会だった。
「せやなー」
金髪の男女が、昼間から酒場でグダグダしていた。彼らの名はテスターとヒース。第一章で主人公をしていた二人は、魔王の住む大地ピスタチオを目の前にしながらも、移動手段が無く足留めされたいた。
「せっかく魔王城が見える海岸まで来たのに、船が出せないってどういう事だよ」
「魔族の本拠地と下手に航路繋げたらアカン。地元民を責める事はでけへん」
「この国で冒険者としてランク上げて、信頼を得ればワンチャン船出してくれっかなー、よし、仕事しよ」
そんな訳でギルドの掲示板を見に行った二人だったが、そこで奇妙な張り紙を見つけた。
【神の契約書を持ちし者、アーモンド王国へ来たれ】
『私達は三人の人間を探しています。それは、天使と契約し神の恩恵を日替わりで受ける不死身の人間です。心当たりのある方は、アーモンド王国中央ギルドまでお越し下さい。力を合わせ魔王を倒しましょう』
テスターはその内容を三度読み返し、首を捻った。
「なんだこりゃ?宝探しの暗号か?」
ここまで読んでくれた読者の皆様はとっくにご存知ではあるが、再度言おう。テスターはアホだった。それは、冒険者として経験を積んだ今も変わらない。
「多分アタシらの事やで。アタシらにアーモンドまで来いって言っとるんや」
「これって、そーゆー事なの!?でも、ここってインゲンの最北端だぞ。ここからアーモンドって遠い!」
「大丈夫や。ちょっとアタシだけ空から先に行って宿屋予約しとくから」
「あー、その手があったか」
ヒースがギルドの外に出て、人目につかない様に飛び去った後、テスターも人目につかない様にしながら路地裏に入る。
「そろそろかな」
物陰で数時間仮眠をとった後、テスターは自分の胸にナイフを突き立てた。胸から血が吹き出し、暫くして死体が消滅する。
「おはよーさん。アーモンド中央ギルドが経営する宿屋やで」
「よっし、デスワープ成功」
自動復活の場所は寝床に指定した地点になる事と、天使は単体なら人智を超えた飛行速度で動けるのを利用し、アーモンド王国に最短で辿り着いたテスターは、そのままギルドの受付で自分達が張り紙の人物だと説明する。
「こちらでお待ち下さい」
本来ならばS級冒険者でないと入れない特別室へと案内されるテスターとヒース。二人が特別室に入るのを見届けた受付嬢は元の場所へと帰っていった。
「なあ、馬鹿金髪」
「なんだ?」
「ここまで来てから言うのも何やけど、何で試用者や天使の事が外部に漏れてるんやろ?アタシもお前もなるべくバレへん様にしてきたよな?」
「ああ、俺達でさえバラしたらマズイと思って他人の前では普通の冒険者してきた。つまり、この国のスキル試用者は俺やお前以上にアホなんだろうな」
他人に無い特別な力をわざわざ晒すのは馬鹿である。テスターの頭ではそのレベルの発想が限界だった。まあ実際、この情報を流した本人は神すら恐れぬ大きなリスクを背負っているのだからテスター以上に愚かという面があるのは否定できない。
「まあ、そいつがアホやとしてもこんな広告を出せる金持ちで事情通なのは確かやし、話聞いてヤバイ奴ならどついて、味方になれそうなら魔王の所さん行くスポンサーになって貰ったらええんちゃう?」
「うーん、とにかく話を聞かないと」
そんな会話をしていると、外から扉がノックされ、ラッコの着ぐるみを着た中年が入ってきた。
「マリアのお父さん…?」
「テスタメント殿下…?」
テスターとクレイムはお互いを見て固まる。
「「何でここにいるの?とっくに死んだものと思ってたのに??」」
この世界がこんな風になった原因のバカヤロウとカスヤロウ、一年ぶりの再会だった。
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