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【5】巡る記憶

【5】記憶……⑫

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「はいはい、ミアは出て行きな。二度とこの部屋へ入ってくんな」
「ちょっと、待てってば」

 視線を感じたミアがエフレムを見ると、サッと顔を背けられてしまった。大きな耳で隠れた表情を伺い知ることはできなかったが、見えた口元がくにゃりと歪み、笑っているように見えた。

(笑われてしまった……)

 背中を押され、強引に追い出されたミアが仕方なく隣の部屋へ戻ると暖炉に薪がくべてあり、かなり暖かくなっていた。

「これが暖炉か」

 マントを取り、暖炉の前に座ったミアはパチンと火の粉があがる様子を眺めていた。近くに座りすぎて頬が熱い。八月だと言うのに、この部屋だけ冬支度を始めているようだった。
 ここに比べ、首都は温暖な気候だった。冬でもアバヤの下に特殊加工された防寒具を身につければ、それだけで過ごせるくらいだった。

「……」

 エフレムの喘ぎ声とそれをたしなめるオセの低い声が聞こえる。決して壁が薄いわけではない、声が大きいのだ。聞くに耐えられなくなったミアはブーツを脱ぎ、両耳をふさいでベッドへ向かった。

 隣りから聞こえる声のせいか、洞窟でのことを思い出したミアは、枕元にいくつも置かれたクッションの下に潜り込んだ。
 考えないようにしようとすればするほど、股間が熱くなってしまう。ミアは膝を擦り合わせ、そこへ僅かに残ったシャノンの匂いを無心で嗅いでいた。

「……ん」

 完全に勃起してしまったミアは、そこをどうしたらいいのか分からず、デュベイの端を股に挟んで擦り付けていた。が、服の上からでは物足りない。ブラウスのボタンを外し、あの洞窟で大きなざらつく舌で舐られたことを思い出しながら、ミアはブラウスの裾から手を滑り込ませて小さく固くなった乳首を指先で摘まんだ。今まで気にしたことは無かった。が、コリコリとしこっていて、強く摘まむと脳天に突き刺すような刺激がある。

 昨日、唇に触れたシャノンの骨ばった長い人差し指を思いながら、無意識にミアは自分の指を舐め濡らしていた。

(アヌスに欲しい……)

 クッションが頭から外れ、エフレムの声が良く聞こえた。

 ボトムのウエストを寛げ、ミアは後ろへ手を滑り込ませる。アヌスは固く閉じていて、洞窟でのように容易にほどける感じではない。あの時は中から分泌液が溢れ、いつでも挿入できそうだった。

「……ッ」

 火照った身体をもてあまし、アヌスに強引に指を挿入させようとした瞬間、ベッドが軋んでミアは背中から抱きしめられた。

「ーーミア、何やってるの?」

 シャノンだ。

(何をしようとしていたんだ、私は……)

 ハッとしてボトムから引き抜こうとした手は、密着した身体に挟まれてどうすることもできなかった。

「うなじまで真っ赤じゃないか。大丈夫?」
「――なぜ、ノックをしてくださらないのですか」

「何度もしたよ。アルマから言伝ことづてを預かってきたの」

「アルマ様は何と」

「先にミアが何をやっていたのか、教えて」

「ひゃっ」

 シャノンがミアの尻に腰を打ち付けて来る。アヌスに突き立てた指が中へ入り込みそうになって慌てるミアの口からは、変な声が漏れた。

 
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